ぼんの宇宙日記

ぼん

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ぼんの宇宙日記(15日目)

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15日目。 今日は、何もなかった。 本当に、なんにも。

朝、船長がコーヒーをこぼした以外、特別なことは起きなかった。 サニー号は静かに航行していて、モニターの表示も変化なし。 ミナは工具の整理をしていて、部品を磨く音だけが聞こえていた。 ぼくはその横で、コーヒーの匂いを嗅ぎながら床に丸くなった。 ちょっと苦くて、大人っぽい匂いだった。

昼、操舵室のクッションでごろごろしてたいら、 「ぼん、今日はやけにおとなしいな」と船長が言った。 ぼくは目だけで返事した。 なんだか、今日はいたずらする気分じゃなかったんだ。 そういう日もある。 しっぽも、ふりふりしない日。

午後、星図室の窓から、遠くの星を見た。 名前も知らない、色も地味な星だったけど、 ぼくにはなんとなく“落ち着く”色に見えた。 夢をくれる星じゃないけど、眠りをくれる星かもしれない。 その星に、ひなたぼっこの丘があったらいいな。 あったかい石の上で寝られるような場所。

夜、船長がふと、「ぼん、旅ってのはこういう時間のためにあるのかもしれないな」って言った。 ぼくは彼の足元で丸くなって、静かにゴロゴロ鳴らした。 それが、ぼくの「うん、きっとそうだね」っていう返事。

おやすみ、静かな1日。おやすみ、苦いコーヒー。なにもない日も、きっと大事。
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