15 / 25
「新たな挑戦と成長」
しおりを挟む
「よし、今日は――新商品開発日だ!」
朝から気合いを入れた俺は、店のカウンターに広げた紙に“やりたいことリスト”をずらりと書き並べた。
「ルファー!今日こそは真面目にアイデア出すぞー!」
「えっ、今日って“新商品ふわっと考える日”じゃなかったっけ?」
「そんなゆるい日あるか!」
そう、このところ俺たちの雑貨屋「ヤマーダ」は好調だった。商品は好評、住民からの注文も増えてきた。だが――ここで満足してはいけない。雑貨屋は進化し続けなければならないのだ!
「というわけで、今回は“便利だけどちょっと楽しい”系を目指す」
「なるほど。じゃあ、 “浮かぶ掃除布”とかどう?」
「いや、それどこまで浮くの!?空中分解したらどうすんだよ!」
「じゃあ“しゃべるミトン”。料理中に応援してくれるの」
「いやいや、ただでさえ鍋と格闘してるのに横から『がんばって!』とか言われたら集中できないだろ!」
「じゃあ、がんばらない方向で“癒しのミトン”にする?」
「……ちょっとそれ、悪くないかもしれない」
そうして生まれたのが、「癒しのミトン(仮)」だった。
手にはめると、ほんのりあったかくなって、編み込まれた魔法糸が心拍に合わせてやさしく振動する仕組み。疲れている人ほど気持ちよく感じるらしい。
「これ、実験してみるか」
俺はミトンを手にはめてみた。
「おぉ……なんか、手のひらでおふとん抱えてるみたいな感覚……」
「ふふっ、山田がうっとりしてるの、珍しい」
「いやいや、違うって!これはほら、技術者としての感動であって……」
そのとき、店の扉がガラリと開いた。
「すみません、山田さん!頼みがあって――」
駆け込んできたのは、鍛冶屋の若旦那だった。汗だくで、手には何かの設計図。
「ちょっと困ったことになりまして……これ、見てもらえませんか?」
差し出されたのは、複雑な魔力回路が描かれた設計図だった。
「これ……かなり高度な魔道具の図面だな。鍛冶屋さんが作るには、ちょっと魔力制御が難しすぎる気がするけど……」
「はい、正直、町の技術だけじゃ無理があるかと。でも、どうしてもこれが必要で……」
「何に使うんだ?」
「町の水門です。最近の水量変化に対応するために、魔力で自動調整できる仕組みにしたいんです」
「……なるほど。つまり、町のために?」
「はい!」
「分かった。力を貸すよ」
「ありがとうございます!」
横でルファがにやりと笑う。
「新商品開発、延期だね」
「いやいや、こういうのも“挑戦”ってやつだろ!」
俺は、設計図を抱え、店の奥の作業机へと向かった。
設計図を見つめながら、俺は呟いた。
「いやいや……これ、難易度高すぎないか?」
描かれているのは、水門の開閉を魔力の流れで制御する複雑な回路。そして、誤作動を防ぐための“感応式魔法信号フィルター”……って、名前からしてイヤな予感しかしない。
「山田、眉間にシワ寄ってるよ~。大丈夫?」
「いや、寄るだろ普通!?魔道具職人でも唸るぞ、この構造!」
「でも、挑戦なんでしょ?」
「ぐぬぬ……くそ、やるしかないか……!」
まずは、回路の要になる“魔力共振結晶”の代替素材を探すところから始めた。町の工房を巡り、古い魔石の在庫を掘り出し、ルファの実験アイテムを分解し……。
「ルファ、これ使っていいか?」
「それ“幻獣の涙”を再現しようとして失敗したやつだけど、いいよ!」
「……お前、何作ろうとしてたの……?」
とにかく、町中の知恵と素材をかき集めて、試作を始める。
一度目の試作は、火花を散らして失敗。
二度目は、魔力が暴走して店のランタンが踊り出す。
三度目は、何も起きず。
「いや、反応なしかい!!」
「山田、ここでくじけちゃダメ!」
「誰がくじけてるか!……って、俺、今“成長フラグ”立てられてない!?」
町の住民たちも、次第に協力してくれるようになった。
「これ、昔うちのじいちゃんが使っていた魔導金属よ」
「山田さん、失敗しても応援していますから!」
「子供たちが“水門マン”ってあだ名つけていました!」
「いやいや、それはちょっと恥ずかしい!!」
――そして、五度目の試作。
魔力を流すと、設計通りに結晶が反応し、信号を受けて水門が“ゆっくり”開いた。
「……やった。やったぞ!」
歓声が上がる。鍛冶屋の若旦那が、手をぎゅっと握りしめていた。
「山田さん、本当に……ありがとうございました!」
「いや、俺ひとりの力じゃない。町のみんながいてくれたからだ」
俺の言葉に、周囲があたたかく笑った。
そしてその夜。店の片隅で、俺は“癒しのミトン”を再び手にはめていた。
「……なんか、いつもより、あったかく感じるな」
ルファが横に座りながら言った。
「山田ってさ、最初は“便利な雑貨で異世界ライフ”って言ってたじゃん。でも最近、 “町の課題に真正面から向き合っている”よね」
「いやいや、そんな意識高いこと考えてないって……ただ、放っとけないだけで……」
「うん、でもそれが“成長”だと思うよ」
ルファの笑顔を見ながら、俺はそっと目を閉じた。
「……次は、何を作ろうかな」
まだ見ぬ課題が待ち受けているかもしれない。でも、それを“挑戦”に変えていける今の自分なら、きっと大丈夫だ。
「よーし、次は“空飛ぶスリッパ”だ!」
「それはやめとけ!!」
店に笑い声が響いた。
明日も、きっと面白くなる。
朝から気合いを入れた俺は、店のカウンターに広げた紙に“やりたいことリスト”をずらりと書き並べた。
「ルファー!今日こそは真面目にアイデア出すぞー!」
「えっ、今日って“新商品ふわっと考える日”じゃなかったっけ?」
「そんなゆるい日あるか!」
そう、このところ俺たちの雑貨屋「ヤマーダ」は好調だった。商品は好評、住民からの注文も増えてきた。だが――ここで満足してはいけない。雑貨屋は進化し続けなければならないのだ!
「というわけで、今回は“便利だけどちょっと楽しい”系を目指す」
「なるほど。じゃあ、 “浮かぶ掃除布”とかどう?」
「いや、それどこまで浮くの!?空中分解したらどうすんだよ!」
「じゃあ“しゃべるミトン”。料理中に応援してくれるの」
「いやいや、ただでさえ鍋と格闘してるのに横から『がんばって!』とか言われたら集中できないだろ!」
「じゃあ、がんばらない方向で“癒しのミトン”にする?」
「……ちょっとそれ、悪くないかもしれない」
そうして生まれたのが、「癒しのミトン(仮)」だった。
手にはめると、ほんのりあったかくなって、編み込まれた魔法糸が心拍に合わせてやさしく振動する仕組み。疲れている人ほど気持ちよく感じるらしい。
「これ、実験してみるか」
俺はミトンを手にはめてみた。
「おぉ……なんか、手のひらでおふとん抱えてるみたいな感覚……」
「ふふっ、山田がうっとりしてるの、珍しい」
「いやいや、違うって!これはほら、技術者としての感動であって……」
そのとき、店の扉がガラリと開いた。
「すみません、山田さん!頼みがあって――」
駆け込んできたのは、鍛冶屋の若旦那だった。汗だくで、手には何かの設計図。
「ちょっと困ったことになりまして……これ、見てもらえませんか?」
差し出されたのは、複雑な魔力回路が描かれた設計図だった。
「これ……かなり高度な魔道具の図面だな。鍛冶屋さんが作るには、ちょっと魔力制御が難しすぎる気がするけど……」
「はい、正直、町の技術だけじゃ無理があるかと。でも、どうしてもこれが必要で……」
「何に使うんだ?」
「町の水門です。最近の水量変化に対応するために、魔力で自動調整できる仕組みにしたいんです」
「……なるほど。つまり、町のために?」
「はい!」
「分かった。力を貸すよ」
「ありがとうございます!」
横でルファがにやりと笑う。
「新商品開発、延期だね」
「いやいや、こういうのも“挑戦”ってやつだろ!」
俺は、設計図を抱え、店の奥の作業机へと向かった。
設計図を見つめながら、俺は呟いた。
「いやいや……これ、難易度高すぎないか?」
描かれているのは、水門の開閉を魔力の流れで制御する複雑な回路。そして、誤作動を防ぐための“感応式魔法信号フィルター”……って、名前からしてイヤな予感しかしない。
「山田、眉間にシワ寄ってるよ~。大丈夫?」
「いや、寄るだろ普通!?魔道具職人でも唸るぞ、この構造!」
「でも、挑戦なんでしょ?」
「ぐぬぬ……くそ、やるしかないか……!」
まずは、回路の要になる“魔力共振結晶”の代替素材を探すところから始めた。町の工房を巡り、古い魔石の在庫を掘り出し、ルファの実験アイテムを分解し……。
「ルファ、これ使っていいか?」
「それ“幻獣の涙”を再現しようとして失敗したやつだけど、いいよ!」
「……お前、何作ろうとしてたの……?」
とにかく、町中の知恵と素材をかき集めて、試作を始める。
一度目の試作は、火花を散らして失敗。
二度目は、魔力が暴走して店のランタンが踊り出す。
三度目は、何も起きず。
「いや、反応なしかい!!」
「山田、ここでくじけちゃダメ!」
「誰がくじけてるか!……って、俺、今“成長フラグ”立てられてない!?」
町の住民たちも、次第に協力してくれるようになった。
「これ、昔うちのじいちゃんが使っていた魔導金属よ」
「山田さん、失敗しても応援していますから!」
「子供たちが“水門マン”ってあだ名つけていました!」
「いやいや、それはちょっと恥ずかしい!!」
――そして、五度目の試作。
魔力を流すと、設計通りに結晶が反応し、信号を受けて水門が“ゆっくり”開いた。
「……やった。やったぞ!」
歓声が上がる。鍛冶屋の若旦那が、手をぎゅっと握りしめていた。
「山田さん、本当に……ありがとうございました!」
「いや、俺ひとりの力じゃない。町のみんながいてくれたからだ」
俺の言葉に、周囲があたたかく笑った。
そしてその夜。店の片隅で、俺は“癒しのミトン”を再び手にはめていた。
「……なんか、いつもより、あったかく感じるな」
ルファが横に座りながら言った。
「山田ってさ、最初は“便利な雑貨で異世界ライフ”って言ってたじゃん。でも最近、 “町の課題に真正面から向き合っている”よね」
「いやいや、そんな意識高いこと考えてないって……ただ、放っとけないだけで……」
「うん、でもそれが“成長”だと思うよ」
ルファの笑顔を見ながら、俺はそっと目を閉じた。
「……次は、何を作ろうかな」
まだ見ぬ課題が待ち受けているかもしれない。でも、それを“挑戦”に変えていける今の自分なら、きっと大丈夫だ。
「よーし、次は“空飛ぶスリッパ”だ!」
「それはやめとけ!!」
店に笑い声が響いた。
明日も、きっと面白くなる。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~
namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。
かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。
海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。
そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。
それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。
そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。
対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。
「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」
アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。
ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。
やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。
揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる