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「森の秘密と新たな発見」
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「また森……またかよ……」
朝から天気もよく、今日はのんびり商品の整理でもしようと思っていた矢先。
「山田、見て!この魔力探知玉、昨日までは反応なかったのに、今日になっていきなりピコピコしてるの!」
「いやいや、名前のわりに反応が可愛いな!?でもそれ、もしかして“何かが起きてる”ってことか……」
探知玉は、かつて幻獣の周囲でだけ反応した代物だった。つまり――また、何か動きがあるということだ。
「……行くか。ルファ、準備してくれ」
「了解~!おやつも持ってくね!」
「いや、ピクニックじゃないからな!?」
こうして、俺たちはふたたび森へと足を踏み入れることになった。
森の空気は、どこか張りつめていた。鳥の声はあるが、どことなく緊張感が混じっているような気がする。
「あの泉、無事だといいけどな……」
幻獣と出会った泉へ向かうと、そこには――
「……なんだこりゃ」
泉の周囲に、うっすらと光の輪が浮かんでいた。まるで魔法陣のような、けれど自然に溶け込んだ神秘的な模様。
「これ……地下の魔力が噴き出している。しかも安定してる……」
ルファがしゃがみ込み、地面に触れる。
「前に護符を修復したとき、魔力の流れが変わったでしょ?その影響かも。森の奥深くにある“何か”が、目覚め始めているのかもしれない」
「…… “何か”って、お前な、そういうざっくりした言い方すると怖さ倍増するからやめてくれよ!」
「でも、確実に“何かある”ってことは分かったでしょ?」
「くそ、言い返せない……」
そのときだった。木々の間から、ぴたりと視線を感じた。
「山田、上……!」
幻獣が、枝の上に立っていた。
静かに、でも確かに――俺たちを“招いて”いた。
「またお前か!いや、嬉しいけど毎回タイミング完璧すぎない!?」
幻獣は何も言わず、ぴょんと飛び降りると、森の奥へと走り出した。
「ついてこいってことか?」
「行こう、山田!これはきっと、すごい発見になるよ!」
「いやいや、なんで毎回テンション高いんだよお前は!」
幻獣に導かれ、俺たちはこれまで入ったことのない、森の深部へと踏み込んでいった。
森の奥へ進むにつれ、空気が変わっていくのが分かった。
「うわ……地面、やたら柔らかくなってきたな……」
「これは、魔力が土に染み込んでいる証拠かも。見て、この苔。光ってるよ」
確かに、足元の苔が微かに青く光っている。幻想的……というより、異質だ。
幻獣は一定の距離を保ちながらも、何度もこちらを振り返っては、待っていてくれる。
「やっぱり、案内してるよな……完全に、俺らを“選んで”るってことか」
しばらく歩いた先――開けた空間に出た。
「なんだ、ここ……遺跡?」
巨木に囲まれた空間の中心に、崩れかけた石の建造物があった。地面には、古代文字らしき刻印が並び、中央には割れた石碑が立っている。
「うわぁ……これ、すごい。間違いなく、この森の核心部だよ!」
ルファは目を輝かせて駆け寄り、石碑に手を当てた。
「ここの魔力……ものすごく古くて、優しい。自然と共鳴してる感じがする」
「でも、なんでそんな場所に、幻獣が……?」
幻獣は、割れた石碑の前に静かに座ると、ゆっくりと前脚で地面をかいた。
そこには、土に埋もれていた、もう一つの小さな護符の欠片があった。
「また……護符か。前のとは形が違うけど、似てるな」
「これは、 “記憶の護符”かも。土地の記憶や精霊の痕跡を記録するための古い魔具。失われた文化を読み取る鍵になるって言われてる」
「じゃあ……これ、ここに眠ってた記憶の……?」
幻獣がそっと鼻先で護符に触れると、ふわりと光が溢れた。
その光の中に――映像のように、過去の風景が浮かび上がる。
まだ元気だった石碑。森の中に棲む精霊たち。そして、幻獣に似た存在が、森と共に暮らしていた頃の光景。
「……これ、この森の過去だ」
「すごい……この場所、ただの遺跡じゃなかったんだ……」
光はゆっくりと収束し、護符は静かに力を失った。
幻獣は再び俺の前に立ち、目を細めて見上げてきた。
「……ああ。分かった。お前は、 “伝えてほしかった”んだな。森に、町に、この場所のことを」
ルファも頷く。
「きっと、町の人たちも、こういう歴史やつながりを知れば、森をもっと大切に思えると思う」
俺は護符をそっと手に取り、胸ポケットにしまった。
「……持って帰ろう。この森の記憶、俺たちが伝えるよ」
幻獣は、それに満足したように、小さく鳴くと、また森の奥へと姿を消していった。
「なぁルファ……俺たち、また一歩進んだのかな」
「うん。 “ただの雑貨屋”だったはずが、今じゃ森の記録係かもね」
「いやいや、肩書きが増えてくの、なんとかならないの……?」
けれど、不思議と悪くない気がした。
町に戻った俺は、護符を見ながら、新しい商品案を思いついた。
「 “記憶の石”――過去の思い出を記録して、ほのかに語りかけてくれる石……いけるかもしれない」
ルファはそれを聞いて笑った。
「次の商品は、 “心に残る系”だね!」
「いやいや、ちゃんと使えるやつにしてくれよ!」
そう突っ込みながらも、心の中には確かな手応えがあった。
森の奥で見つけた秘密。そして、そこに眠っていた記憶。
それは――俺たちの成長の証でもあった。
朝から天気もよく、今日はのんびり商品の整理でもしようと思っていた矢先。
「山田、見て!この魔力探知玉、昨日までは反応なかったのに、今日になっていきなりピコピコしてるの!」
「いやいや、名前のわりに反応が可愛いな!?でもそれ、もしかして“何かが起きてる”ってことか……」
探知玉は、かつて幻獣の周囲でだけ反応した代物だった。つまり――また、何か動きがあるということだ。
「……行くか。ルファ、準備してくれ」
「了解~!おやつも持ってくね!」
「いや、ピクニックじゃないからな!?」
こうして、俺たちはふたたび森へと足を踏み入れることになった。
森の空気は、どこか張りつめていた。鳥の声はあるが、どことなく緊張感が混じっているような気がする。
「あの泉、無事だといいけどな……」
幻獣と出会った泉へ向かうと、そこには――
「……なんだこりゃ」
泉の周囲に、うっすらと光の輪が浮かんでいた。まるで魔法陣のような、けれど自然に溶け込んだ神秘的な模様。
「これ……地下の魔力が噴き出している。しかも安定してる……」
ルファがしゃがみ込み、地面に触れる。
「前に護符を修復したとき、魔力の流れが変わったでしょ?その影響かも。森の奥深くにある“何か”が、目覚め始めているのかもしれない」
「…… “何か”って、お前な、そういうざっくりした言い方すると怖さ倍増するからやめてくれよ!」
「でも、確実に“何かある”ってことは分かったでしょ?」
「くそ、言い返せない……」
そのときだった。木々の間から、ぴたりと視線を感じた。
「山田、上……!」
幻獣が、枝の上に立っていた。
静かに、でも確かに――俺たちを“招いて”いた。
「またお前か!いや、嬉しいけど毎回タイミング完璧すぎない!?」
幻獣は何も言わず、ぴょんと飛び降りると、森の奥へと走り出した。
「ついてこいってことか?」
「行こう、山田!これはきっと、すごい発見になるよ!」
「いやいや、なんで毎回テンション高いんだよお前は!」
幻獣に導かれ、俺たちはこれまで入ったことのない、森の深部へと踏み込んでいった。
森の奥へ進むにつれ、空気が変わっていくのが分かった。
「うわ……地面、やたら柔らかくなってきたな……」
「これは、魔力が土に染み込んでいる証拠かも。見て、この苔。光ってるよ」
確かに、足元の苔が微かに青く光っている。幻想的……というより、異質だ。
幻獣は一定の距離を保ちながらも、何度もこちらを振り返っては、待っていてくれる。
「やっぱり、案内してるよな……完全に、俺らを“選んで”るってことか」
しばらく歩いた先――開けた空間に出た。
「なんだ、ここ……遺跡?」
巨木に囲まれた空間の中心に、崩れかけた石の建造物があった。地面には、古代文字らしき刻印が並び、中央には割れた石碑が立っている。
「うわぁ……これ、すごい。間違いなく、この森の核心部だよ!」
ルファは目を輝かせて駆け寄り、石碑に手を当てた。
「ここの魔力……ものすごく古くて、優しい。自然と共鳴してる感じがする」
「でも、なんでそんな場所に、幻獣が……?」
幻獣は、割れた石碑の前に静かに座ると、ゆっくりと前脚で地面をかいた。
そこには、土に埋もれていた、もう一つの小さな護符の欠片があった。
「また……護符か。前のとは形が違うけど、似てるな」
「これは、 “記憶の護符”かも。土地の記憶や精霊の痕跡を記録するための古い魔具。失われた文化を読み取る鍵になるって言われてる」
「じゃあ……これ、ここに眠ってた記憶の……?」
幻獣がそっと鼻先で護符に触れると、ふわりと光が溢れた。
その光の中に――映像のように、過去の風景が浮かび上がる。
まだ元気だった石碑。森の中に棲む精霊たち。そして、幻獣に似た存在が、森と共に暮らしていた頃の光景。
「……これ、この森の過去だ」
「すごい……この場所、ただの遺跡じゃなかったんだ……」
光はゆっくりと収束し、護符は静かに力を失った。
幻獣は再び俺の前に立ち、目を細めて見上げてきた。
「……ああ。分かった。お前は、 “伝えてほしかった”んだな。森に、町に、この場所のことを」
ルファも頷く。
「きっと、町の人たちも、こういう歴史やつながりを知れば、森をもっと大切に思えると思う」
俺は護符をそっと手に取り、胸ポケットにしまった。
「……持って帰ろう。この森の記憶、俺たちが伝えるよ」
幻獣は、それに満足したように、小さく鳴くと、また森の奥へと姿を消していった。
「なぁルファ……俺たち、また一歩進んだのかな」
「うん。 “ただの雑貨屋”だったはずが、今じゃ森の記録係かもね」
「いやいや、肩書きが増えてくの、なんとかならないの……?」
けれど、不思議と悪くない気がした。
町に戻った俺は、護符を見ながら、新しい商品案を思いついた。
「 “記憶の石”――過去の思い出を記録して、ほのかに語りかけてくれる石……いけるかもしれない」
ルファはそれを聞いて笑った。
「次の商品は、 “心に残る系”だね!」
「いやいや、ちゃんと使えるやつにしてくれよ!」
そう突っ込みながらも、心の中には確かな手応えがあった。
森の奥で見つけた秘密。そして、そこに眠っていた記憶。
それは――俺たちの成長の証でもあった。
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