召喚失敗から始まる異世界生活

思惟岳

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第15話

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 「えええええええーーーーーーーっ!」

 女神セーラが、わざとらしく驚いた。
 そして、挙句の果てに、うずくまって泣き真似をはじめた。

 「ジュンくんってば、異世界転移の初日で、もう別のオンナを作ったの!ボクという女神がありながら、ひどいっ!ひどすぎるよぉ!しくしくしく……」


 「おいおい、マジかよ…」
 「ま、まさか…、ホントに女神さまなの…」

 先代聖女のアンナさんは、信じられないようすで固まっている。


 「セーラ…」

 オレは、女神に言った。
 この手のいたずらには、もう慣れている。
 いちいち相手にしても、時間の無駄なのだ。

 「この子を風呂に入れてやりたい。風呂の使い方とか、教えてやってくれ」
 「うん、いいよ!」

 セーラは、けろりとした顔で答えた。

 「ボクに任せて!」
 「ああ、頼む」

 セーラは、この家のことを、よく知っている。
 
 そもそも、見るからに、風呂上がりだし。
 着ているミニ・ワンピも、この家のクローゼットから取り出したものだ。
 だから、セーラに任せても大丈夫なのだ。


 浴室には、広い脱衣室がある。
 オレは、聖女セシリアを床に寝かせて、あとは女性陣に任せた。
  

 リビングとキッチンは、二階だ。
 
 リビングには、全てがそろっている。
 家具も、家電も。
 すでに、部屋は明るい。天井の電灯が点けっぱなしだからだ。
 
 
 「すげえ、明るいっすね…」
 「ああ。灯りは、向こうの世界のものだ。家電っていってな、魔力とは別のエネルギーを使うのさ。この家には、おそらく、魔力を電力に変換する機能があるんだろう。まったく、とんでもねえ家だぜ」
 
 ケンイチさんが、説明していた。
 家主は、オレなんだけど…。

 「おいおい。冷蔵庫の中まで、びっしりじゃねえか。よしっ!ひさしぶりに男の料理でも、作ってみるか。いろいろ使わせてもらうが、かまわねえだろう?」
 「もちろんだ。なんでも使ってくれ」

 ケンイチさんからは、ひと財産もらっている。ケチる理由なんてない。
 さっそく、彼は、缶ビール片手に、料理を始めた。
 オレとケントさんは、お手伝いだ。


 「マジで、夢のようだぜ」

 オレが、缶から粉のカレールーを鍋にあけると、ケンイチさんが嬉しそうに言った。
 男の料理は、カレーだった。それも、ごく家庭的な。
 ケンイチさんにとっては、数年ぶりのカレーらしい。

 「うまそうな匂いっすね」

 ケントさんにとっては、生まれて初めてのカレーだろう。嬉しそうだった。


 カレーも出来上がり、ご飯も炊けた頃、女性陣がリビングに上がってきた。
 四人とも、寝間着を着ている。
 ミニで、スケスケのネグリジェとかじゃないぞ。
 ワンピース型で長い裾の寝間着だ。


 四人とも、ぺたりと床に座って、二人ひと組で髪を乾かし始めた。
 ドライヤーは、リビングの床に置きっぱなしだ。
 もちろん、毎晩、セーラが使っているからだ。

 そう。

 天界で、レクチャーを受けている期間、神々が、毎日遊びに来ていたのだ。
 ちび女神たちなどは、ほとんど入りびたっていた。
 ひとり残らず、見とれてしまうくらいかわいいから、まるで、ハーレム気分だった。
 ちび女神たちが帰ったあと、キッチンで、山積みになった食器を見るまでは…。
 
 
 カレーは、大好評。
 ケンイチさんの料理は、なかなかもので、自慢するだけのことはあった。
 

 男性陣も風呂に入ったあと、皆で、三階に上がった。
 ひと部屋は、オレ専用だ。
 あとは、今のところ空き部屋というか、客間?
 もちろん、男性陣と女性陣に分かれて、寝ることになった。

 
 セーラは、いつもどおり、オレの部屋で寝ようとしたが、女性陣につれていかれた。
 別にやましいことなど何もないが、セーラがまた、妙なことを言い出さないか心配だった。
 いちおう、女神なのだ。
 ふつうは、真に受けてしまうに違いない。
 

 翌朝。

 朝食も、ケンイチさんが支度してくれた。
 アンナさんも、キッチンに向かったので、ふたりに任せた。
 でも、聖女に、料理なんてできるんだろうか?
 疑問には思ったが、ふたりの共同作業に水をさすのは無粋、と思い直した。


 ぴんぽーん、ぴんぽーん、ぴんぽーん、ぴんぽーん…


 みんなで、お茶を飲んでいると、いきなり、玄関のチャイムが鳴り響いた。
 子どものいたずらかと思ったが、異世界の森に、ピンポンダッシュする子どもはいない。
 いや、いまどきの日本にも、ほとんどいないか?


 玄関に降りて、ドアを開けると、教会のばあさんたちが、表に立っていた。
 
 「やっぱり、あんたの家だったんだね」
 

 
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