召喚失敗から始まる異世界生活

思惟岳

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第50話 決着

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 「こ、これは、一本取られましたね」

 ドラゴンの声が聞こえてきた。

 たいしたダメージはない。
 せいぜい、すこし煤けた程度だ。
 髪の毛でもあれば、「アフロ」になったかもしれないが…。

 「この白銀に輝く機体に、ささやかとはいえ傷をつけたのは、あなたが初めてです。まあ、戦ったのも、これが初めてですが…」

 よくわからないヤツだった…。

 「わたくしも、出し惜しみは、やめましょう」

 ドラゴンは、ゆっくりと着地した。すると…

 がしゃん!がしゃん!

 両足から鉤爪が出てきて、地面に突き刺さった。
 固定具アンカーってやつかもしれない。

 __ふうん

 あんな巨体なのに、躯体からだを固定するなんて。
 どんだけ、反動が大きい攻撃をするつもりだ?

 さらに、ドラゴンの両脇が、ブラインドのように開いた。
 吸気ダクトらしい。
 周囲の大気が、気流となって、吸い込まれていくのがわかる。

 最後に、ドラゴンは、口を大きく開けた。
 口の中から、大きな砲身が突き出した。


 __砲身?

 ブレスのときには、あんなものはなかった。
 
 __ブレスじゃないのか?


 ばちっ…、ばりばちっ…、ばちっ!

 砲身の先端で、青白い火花が散り、白い電流の塊が出現した。

 ぎゅん、ぎゅんぎゅん、ぎゅんぎゅんぎゅん……

 みるみるうちに、電流の塊が、大きくなっていく。 

 
 「ふっふーーん!ボク、アレ、知ってるよ。アレはねえ……」

 わが家のベランダで、セーラが、もったいぶってると。

 「荷電粒子砲です!」

 聖女セシリアが、すかさず言った。

 「ちっ!」

 悪気のない聖女に、女神が舌打ちしていた。

 __それにしても

 TV(ビデオ)で見てたのは、美少女戦士だけじゃなかったのか?
 ちょっと、TV(ビデオ)見すぎじゃないの。

 
 「ジュンしゃま!ここは、(鋼の)土魔法ですニャ!」

 頭上で、ライムが叫んだ。


 「わかった!」


 オレは、手のひらを、思い切り床に叩きつけた。
 と同時に。ドラゴンの口からも、強烈なビームが発射された。


 ドオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーン! 


 最下層のボス部屋は、白い閃光に包まれ、地を揺るがす轟音が部屋全体を揺らした。

 
 オレは、直径10メートルほどの『土魔法の塔』を、ドラゴンに向かって突きたて。
 ドラゴンは、超極太のビームを、オレに向かって発射した。


 両者は、部屋の中央で、ぶつかり合った。しかし…


 「塔が、対消滅ついしょうめつで、光りの粒子に変換されてますニャ!このままでは、もちませんニャー!」

 __いやいや

 ただ、ビームの熱で、塔が蒸発してるだけだろう。
 どいつもこいつも、アニメの見すぎじゃないのか。

 でも、ぐんぐんと、押されているのは、たしかだった。
 やはり、荷電粒子砲に対して、(鋼でも何でもない)土魔法では分が悪い。
 
 『土魔法の塔』は、あっという間に、残り数メートルほどになった。

 
 「「ジュンくん!」」
 「「「「ジュン!」」」」

 みんなの悲痛な声が、耳を打った。 

 __くっ!

 オレは、さらに魔力を込めた。

 次の瞬間。

 ドラゴンは、下から突き上げられるように、吹っ飛んだ。
 そして、ビームで、床を削りながら、はるか向こうの壁に激突。
 まもなく、荷電粒子砲の激しい光も、消失した。

 なんということはない。

 『塔』を10本ほど追加して、ドラゴンに叩き込んだのだ。
 向こうは、砲身一本でも、こちらは、魔法。
 魔力さえあれば、手数は、いくらでも増やせる。


 「もう、ジュンくんってば、ひやひやさせすぎだよ!」
 
 セーラが、ちょっとむくれたように言った。

 「まったくだぜ。最初から、そうすりゃよかったじゃえねえか」

 
 __でも


 「まだ、終わってませんのニャ!」

 
 ミシミシミシミシミシミシミシミシミシミシミシ……


 ドラゴンの躯体が、10本の『塔』とダンジョンの壁に挟まれて、次第に潰れてゆく。


 「あと少しで、スクラップですニャ!」
 
 ライムの声が響いた。


 その時だった。


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーーーーーッ!

 
 次から次へと魔物が押し寄せ、スクラップ寸前のドラゴンの周囲を、埋め尽くした。



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