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 それから暫くして。暦は進み、季節はもうすっかり秋になった頃。満を持して、俺とオーウェン様が『嘆きの塔』を抜け出す日がやってきた。
「よし、準備はバッチリできました。行きますよ、オーウェン様!」
「ガウッ!」
 今日のオーウェン様の格好は一風変わっていた。いつもの簡素ではあるもののある程度は高級な装いではなく、俺がもう使わないであろうボロいシーツから仕立てた見た目と動きやすさ重視の服だ。まじまじと近くで見さえしなければ、そこら辺にいる市井の子供に見えなくもない。外から理由をつけて頼んでおいた毛糸で編んだ、子供には少し大きいマフラーを頭に巻いて、顔を隠させる。あとは俺が自分で使うからと頼んだ大人用のブーツを履かせれば完璧だ。なに、金がなくて上の兄弟のお下がりのサイズの合わない装飾品を身につけている子供は、巷にはざらにいる。下手に裸足で行くより余っ程目立たない筈だ。素人仕事の俺の仕立てた服が程よく貧乏臭さを醸し出しているので、組み合わせもバッチリである。どこからどう見ても、平民の少し貧しめの子供にしか見えない。今回ばかりはオーウェン様が普段からあまりいい扱いをして貰えていなかったことが功を奏した。
 対する俺は、いつもの装いだ。着古して少し草臥れたシャツとズボン。その上に最初の日に着てきていたコートも羽織る。前々から小汚くならなければいいのだという考え方で、自分の身なりにあまりに気を使わない性質だった。それ故に上等な服は持っていない。なので、ここに来てから少ない数を洗って着回したのもあり、服は程よくボロっちくなっている。お陰で俺も、連れのオーウェン様の格好に見合った市井に溶け込む貧相な身なりに見えるだろう。
 用心して2人の顔に誤認の魔法をかけ、他に必要なものをいくつか鞄に詰め込んで持ち、反対の手でオーウェン様を抱えあげれば準備は完了。本当、体を鍛えといてよかった。オーウェン様は最近じゃあ年相応にはまだ少し足りないが、健康的な食生活をして大分肉がついて健康体になってきているので、そこらの一般人だったら片手では持ち上げられなかったぞ。
 オーウェン様と俺が暮らすこの『嘆きの塔』は、王城内でも見捨てられた区画にある。当然、見張りなんて居ないし、それどころか魔法による警備システムすらついていない。多くの人々が行き来する王城の中心部に向かっていくとまた話しは違ってくるが、ここら辺からなら余裕で出入りできる。案の定、オーウェン様を連れたまま、俺は難なく城下町へと出ることができた。まだ早い時間で人目は少ないが、それでも更に用心して人通りの少ない道を選び、とある地区を目指す。その道中も、オーウェン様はキラキラと目を輝かせて周囲をキョロキョロと見ている。
「……!」
「フフッ。目新しいものが沢山あって、見ているだけで楽しいですね」
 話しかけるとこちらを振り向き、夢見るような様子で何度も頷いて見せた。と、いうのもオーウェン様はまだしっかり言葉を話せないので、下手に目立たないように極力外では口を利かないようにと約束しているのだ。少し可哀想だが、こればっかりは仕方がない。まあ、オーウェン様本人は、始めて見る外の世界に夢中で、ちっとも気にした様子もないが。
「オーウェン様、ここから先は少し危ない区域なので、念の為お顔は隠しておいてください。私は腕に自信がありますしお顔に誤認の魔法をおかけしていますが、オーウェン様程お可愛らしいと、攫おうとする不届きな輩が出てきてしまうかもしれませんから」
 そう言ってしっかり顔が隠れるようにマフラーを少しずり上げてやれば、オーウェン様は大人しくそれに埋もれてくれる。俺はその小さな体を抱き上げ直し、足早に路地裏へと足を踏み入れた。
 昼間でも薄暗いこの辺りは、スラム街程でないにせよ、治安の悪い区域である。中でもここは、盗品や横領された横流し品がよく出回っている地元では『泥棒市場』と呼ばれている通りだ。そこかしこに薄汚い酔っ払いや地面に直接怪しげな商品を並べている露天商もどきなんかが見受けられた。あまりオーウェン様に見せたい場所でもないので、サッサと用事を済ませてでてしまおう。
 路地を進んで角を何度か曲がり、1軒の古びた店舗の前まで来た。表に下がっていた筈の飾り看板はちぎれてどこかに行き、店名が書かれていたであろうショーウィンドウは汚れていて店の名前は分からない。中は暗く、開いている様子はなさそうだ。それでも構わず、俺は店の入口の前に立ち、独特のリズムをつけてノックした。
「……合言葉は?」
「魔女は鵞鳥に乗って飛んで行く」
「……」
 暫く間が空いた後、固く閉ざされていた扉がギイッと音を立てながら開く。俺達が中に入ると、その後ろで直ぐさま扉が閉まった。店の中はチラホラと弱い明かりはあるもののそれだけで、辛うじて足元が見える程度だ。所狭しと並べられている様々な品々に足を取られないように気をつけながら、店内を進んでいく。時々現れる薄明かりの中に異国のお面や古臭い燭台、片方だけの手袋に枯れ草の瓶詰め、何に使うのか分からない道具まで、色んな物が浮かび上がっては消えていった。
 ここは裏では有名な店で、よく経歴の怪しい表では扱えないような品の売買に使われている。店の店主はここら辺の顔で時に捜査機関に協力し、違法行為も裏モノを扱っている以外には特にしておらず、上手く立ち回っている為、当局からも静観されていて摘発されない。外を出歩くにも先立つものが必要だが、特に『嘆きの塔』には金品を持ち込んでいなかった為、今の俺は一文無し。なので今日はここに、資金の調達にやってきたのだ。
 オーウェン様は次々に現れては消えていく見慣れない光景に、少し目を回しているようだ。目線は店内の商品に向けながらも、縋るように体を少しこちらに寄せてくる。狭い店内なので、直ぐに俺達は店奥のカウンターに辿り着いた。カウンターには1人のシワクチャの老人が座っている。老人はこちらに顔も向けずに声を発した。
「売りかい? 買いかい?」
「売りだ。これの中身を頼む」
 ドサッ、と持ってきていた鞄を老人の前に置く。老人は枯れ木のように細い腕を伸ばして鞄を掴み、早速中身の検分を始めた。
「……ほう、これはなかなかいい品だ。どこで手に入れたんだ?」
「そういう事を聞かれたくねぇからこんな所まで来たんだがね。無駄なお喋りはいいからさっさと済ませてくれ」
 鞄の中身は余分に頼んでちょろまかした石鹸やタオルなどの備品だ。本来王城に卸される品は転売しても直ぐ足がつくように印が着けられているのだが、都合のいいことにオーウェン様のところに回ってくるのは全部その印がついていなかった。大方自分達が落ち零れと思っている王子に、盗難防止用とは言え王家の印が付いている品を渡したくないのだろう。まったく、くだらないプライドだ。そのお陰でこうしていい品を簡単に横流しできて、こっちは大いに助かっているがね。
「そうさなあ。締めて、こんなもんでどうだ?」
「安すぎる。一見だからって足元見てんじゃねぇよ」
「どうせ訳アリのモンだろう? 捌いてもらえるだけありがたいと思いな」
「テメェその気なら、俺は今からでも他の店に行くぜ」
 返せ、と手を伸ばせば老人は少し唸って交渉上手め、と呟き、先程見せてきた見積書の値段を書き直す。それが納得のいくものだったので、俺は黙って頷いた。直ぐに中身を金に入れ替えた鞄が返ってくる。
「ありがとよ、オヤジ」
「はいよ」
 よし、これで軍資金ができた。もうここに用はない。とっととずらかろう。鞄を手に後ろには目もくれず、スタスタと店を出て表通りに戻る。
 表通りに戻ると、時刻はもう昼前。通りは昼飯の買い出しに出てきた主婦や使用人達でごった返していた。少し早いが、腹ごしらえするか。
「オーウェン様、何かお召し上がりになりたいものはございませんか? 見つけたらなんなりとお教え下さい」
 そう言ってオーウェン様にも店や商品がよく見えるようにしながら、ゆっくり通りを進んでいく。オーウェン様は目ん玉が転がり落ちそうな程目を見開いて、色んなものを見尽くそうと必死だ。フワフワ頭が右へ左へ忙しなく動く。
「っ!」
 オーウェン様の頭の動きが止まったのでその視線の先を見てみると、肉の串焼きの屋台があった。そういえば、この間本の中の登場人物が焚き火で焙った肉を食べてる描写を見て、グルグル腹を鳴らしていたっけ。よし、あれにするか。
「オーウェン様、あの串焼きでよろしいですか?」
 コクコクと力強く頷くオーウェン様。首が取れそうだ。よっぽど食べたいんだろう。これは是非とも買ってやらなくては。
「オヤジ、その串焼き3本くれ」
「はいよ!」
 代金を渡すと、元気のいい店主が肉汁滴る大きな串焼きを3本渡してくれた。それを受け取り、オーウェン様を連れて一旦人のいない路地裏に引っ込む。周りに人がいないのを確認してから、座りやすそうな石段に俺のコートを敷いた上に座らせ、口元を隠していたマフラーを下ろさせた。
「はい、オーウェン様。どうぞお召し上がりください。まだ熱いのでお気をつけくださいね」
「ガウッ!」
 慎重に串焼きを受け取ったオーウェン様は、まずそれをマジマジと見つめ、ホウッと感嘆の溜息をつく。湯気のたつさまを眺め、その香ばしい香りを胸いっぱいに吸い込み、それから漸く恐る恐る小さく1口齧る。
「っ! おぃ、し!」
「フフッ、気に入っていただけたようで嬉しゅうございます」
 オーウェン様は串焼きを1口食べては感激し、また1口食べては身体を震わせ、を繰り返す。俺はそれを見て微笑ましく思いながら、自分も手早く食事を済ませていった。
「オーウェン様、こちらももう少し召し上がられますか?」
「……いい?」
「勿論! 遠慮なさらないでください。元はと言えばオーウェン様の為の備品を売って作ったお金で買ったものなんですから」
「あぃ、が、と」
「いえいえ」
 まだ口をつけていなかったもう1本をオーウェン様に渡す。結局、オーウェン様は串焼きを1本と少し食べた。胃袋に余裕があれば、もっと食べたかったことだろう。食べきれなかった分は俺がやっつけておいた。
「次に来た時、また食べましょうね」
「ガウッ!」
 肉汁で汚れた口周りを拭いてやってからマフラーを巻き、再び表通りに戻る。次に向かうは別の通りだ。そこは食後のおやつに丁度いい甘味が沢山売っており、あちこちから甘い匂いが漂ってくる。美しい見た目の美味しそうな甘味の数々を見て、オーウェン様はもう大興奮。夢見心地な顔をして俺の顔を振り返る。
「……! ……!」
「喜んでいただけて何よりです。今は先程の串焼きでお腹いっぱいでしょうから、これから行く先で食べる、おやつの甘味を買いましょうね」
 どれがいいですか? と、また先程のように店と商品を見せていく。オーウェン様はウットリと目の前に繰り広げられる甘味達に見惚れている。
「ゥッ!」
「ああ、これにしましょうか」
 沢山の甘味の中からオーウェン様が選んだのは、1口大にカットした果物の表面を甘い飴で薄く固めた甘味だ。コーティングに使われた飴がツヤツヤと艷めく果物は、見ているだけで食欲を唆る。
「おカミさん、ここにあるの全種類3個ずつ包んでくれ」
「あら、太っ腹ね! お買い上げどうも!」
 持ち歩けるように袋に入れられた甘味を渡され、代わりに代金を渡す。ありがとう、と礼を言って立ち去ろうとした、その時。
「あー、待って待って、お兄さん! 沢山買ってくれたからね、そっちのお坊ちゃんにこれあげる!」
 そう言って気の良さそうな店主が、先程受け取ったのよりも一回り小さな袋をくれた。受け取って中を見ると、大きな飴玉がいくつか入っている。
「うちは普通の飴も美味しいんだよ。本当は常連さんにしかあげてないけど、そっちのお坊ちゃん可愛いから、特別ね!」
「ありがとう。本当はこの子がお礼を言えたらいいんだけど、弟は小さい頃熱病にかかってから少し言葉が不自由なんだ。代わりに俺の言葉で許してくれ」
「あら、それは大変ね。でも、こうして外を連れ歩いてくれる優しいお兄ちゃんがいたら安心だわ。僕、お出かけ楽しんでね!」
 店主が気さくにオーウェン様に手を振った。すると、オーウェン様も少し照れながら手を振り返し、一言。
「あぃ、と」
 礼を言ってから照れてしまったのか、ピュッと俺の方を向いて首筋に顔を埋める。その様子を見た店主は、嬉しそうに顔を綻ばせた。
「まあまあまあ! なんて可愛いんでしょう! これはお兄ちゃんが可愛がるのも無理ないわ! お兄さん、またいつでも2人で来てね! 歓迎するから!」
「フフッ、分かった。おまけありがとう。また来るよ」
 微笑ましい遣り取りに笑ってその場を離れる。腹ごしらえとおやつの調達もできたところで、次に俺は街の中心から少し外れたところにある、貸馬屋に向かう。昼飯時ということもあって、店は空いていた。受付まで行って必要書類にバレない程度に適当なことを書き込み、金を払って馬を一頭借りる。選んだのは気性が穏やかな栗毛の若い雌。オーウェン様が一目見て気に入った様子だったので、どうせ初めて馬に触れるなら彼が選んだ馬にしようと思ったのだ。
 まず俺が先に上に跨り、その次に店の人間に手伝ってもらいながらオーウェン様を馬上に引き上げた。何かの弾みでウッカリ落ちないように紐でオーウェン様の体と俺の体を固定すれば、馬を使った移動スタイルの完成だ。
「手伝いありがとう。それじゃあ、夕方までには帰るよ」
「はい、行ってらっしゃいませ」
 店の人間の言葉を背中に受けつつ、馬を駆って走り出す。馬に乗るのは実に1年ぶりなので、最初はゆっくりと。勘が戻ってきてからは、それなりの速さで。オーウェン様が怖がらないようトップスピードではないものの、やはり馬なのでそこそこ速い。オーウェン様が目を回しやしないかと思ったが、そんな俺の心配など何処吹く風。当の本人は生まれて初めて見る馬上からの景色に大興奮。ひっきりなしに喜びの歓声を上げていた。
 そうして馬を走らせること、暫く。周りの景色からはすっかり人工的建造物がなくなり、見渡せど見渡せどどこまでも緑の葉に視界を遮られるようになった。目的地に近くなったのでスピードを弛め、駈歩をさせる。
「さあ、オーウェン様。もう直ぐですよ」
 そして、平坦ではあるものの獣道1歩手前といった荒れ具合の道を進んでいくと、今日最後の目的地、秘密の花畑へと辿り着いた。
「ガウゥ……!」
「凄いでしょう? ここは地元の人間でもあまり知らない、隠れた名所なんですよ。今時分になると、こうして一面に花が咲き乱れるんです」
 俺は花に詳しくないので名前は分からないが、赤、青、黄、オレンジ、ピンク。誰かが手入れしている訳でもないのに、様々な色合いの花が美しく咲き誇っている。まるで、あの日オーウェン様が見惚れた、挿絵の中の世界のように。
「さて。一旦馬は降りて、おやつの時間にいたしましょうか。この子にも水を飲ませてあげたいですし、この先に小さいけれど豊かな泉がありますから、そこに行きましょう」
 泉につくと体を止めていた紐を解いて先に俺が降り、続いてオーウェン様を抱き下ろす。1人でやるのは少し苦労したが、オーウェン様も不自由な体をできる限り動かして協力してくれたので、あまり大変ではなかった。地面に敷いたコートの上に座らせたオーウェン様が無邪気に牝馬と戯れている間に、荷解きをしておやつの準備をする。
 保護の魔法をかけていたので、荷崩れはしていなかった。持ってきていた水筒から紅茶を注ぎ、取り出しやすいように甘味の入った袋の口を折ってから、オーウェン様のところに持っていく。
「オーウェン様。おやつの準備ができましたよ」
「あー、と。サリ」
 泉の綺麗な水で2人共手を洗い、甘味を食べ始める。オーウェン様はまだ少し動きがぎこちない指を使って、琥珀色の飴に赤い果実が包まれた甘味を取った。落とさないように慎重に、恐る恐る小さなそれを口に入れる。
「……どうです? お口にあいましたか?」
「んんー! お、いし! ぉい、し!」
 必死に言葉を紡いで伝えようとするなんて、余っ程気に入ったのだろう。オーウェン様はあまりの美味しさに目を潤ませながら、蕩けた表情を浮かべている。普段は同じような干菓子ばかり食べているから、こういう新鮮で瑞々しい生菓子は目新しいのだろう。夢中になって、味わっている。いつかフワフワのクリームがのった、甘いケーキなんかも食べさせてあげたいな。きっと喜ぶに違いない。
「サリ、ィ。た、ベル!」
「私もいただいてもよろしいのですか?」
「ガウッ!」
 むしろ、こんなに美味しいものを前にして1つも食べないつもりなのか? 信じられない! そう言いたげな驚愕の表情を向けられる。まあ、確かにオーウェン様1人に任せるには少し量が多いし、有難くご相伴に与ろう。適当なのを1つ取って、一口で食べる。
「おお、これはなかなか」
 外の飴はパリパリで、中のフルーツは程よく水気が切られているけれど、しっかりとジューシーだ。ほんのりとした優しい甘さが舌の上に広がる。まろやかな舌触りが嬉しい。
「とっても美味しいですね、オーウェン様」
「ガウッ!」
 オーウェン様はどの種類のフルーツの甘味も気に入ったようで、それぞれ1個ずつ食べてはあまりの美味しさに体を揺らしながら悶絶していた。馬に乗って運動したので腹は空いていたようだが、それでも彼は元々の胃袋の容量が小さい。食べきれなかった分は、日持ちするものでもないので俺が片付けた。
 飴のせいでベタベタになった口周りと手を洗い、スッキリしたところで馬はその場において先程の花畑に戻る。
「グルゥ……!」
 オーウェン様は感嘆の声を出して、目の前に広がる光景に見惚れているようだ。暖かく心地よい午後の日差し。肌を擽る風。ほのかに漂う花の香り。その全てを少しも逃すまいとでも言うかのように、息を潜めている。
「さあ、オーウェン様。地面に下ろしますから、存分に楽しんでください」
「グゥ、で、も」
「どうかいたしましたか?」
「はな、きれぃ。さわ、る、する。こ、わい」
 どうやら生まれて初めて見る花畑の美しさに、少し気圧されてしまったようだ。無理もない。今まで本の中にしかなかった夢のような光景が、目の前に拡がっているんだから。きっと、オーウェン様にとってこの花畑は不可侵の聖域なのだろう。
「……それなら、直ぐ近くにもう1つおすすめの場所がありますから、そちらに行きましょうか。そちらからはこの花畑が一望できるので、思う存分寛げますよ」
「ガウ」
 小さく頷き同意したオーウェン様を抱え直し、俺は近くの傾斜に足を向けた。
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