サリーは死ぬべきだったのか?

我利我利亡者

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19 完

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 フッ、と意識が浮上する。腕の中に暖かい重みを抱き込んでいた。魔女の呪いで薄れていた感覚が戻ってきているようだ。耳元で不規則にサワサワとどこか懐かしい音がして、それに誘われるようにして、フワフワと浮ついていた意識がだんだんとハッキリしていった。ある程度まで意識が戻ったところで、意を決して目を開ける。
 すると、目の前には緑の壁が。少し瞬きをして、それが背の高い草だと理解した。サワサワという音は、草が風に揺れる音だったのだ。視界が続く限り、それが続いている。視線を落とし腕の中を見ると、そこには見覚えのあるフワフワ頭が。オーウェン様だ。オーウェン様も同じタイミングで目を覚ましたようで、腕の中でモゾモゾと動き始める。
「……オーウェン様、ご無事ですか?」
「ん……平気。痛いところはないよ」
 オーウェン様が上を向いたので、顔が見えるようになった。顔色は悪くないし、呼吸のリズムも正常。意識を取り戻したばかりでまだボーッとしているようだが、それ以外には特に不調は見られない。一先ずは安心していいだろう。
 オーウェン様の無事を確かめたのならば、次にすべきは今俺たちが居る場所の確認だ。少なくとも先程まで居た、人の溢れる王城の広間ではなさそうである。広間の床にはこんな風に草は生えていないからな。このまま寝転がっていては草に邪魔されて見えるのは上にある青い空ばかりで、何も分からない。辺りを見渡す為、手をついて恐る恐る体を起こした。
 頭を起こす時少しフラッとしたが、それも直ぐに収まる。そこは、どこかの草原のようだった。辺りを見渡すと遠くに街のようないくつもの建物の影が見えたが、それだけ。他には誰もいないし、何もない。見渡す限り草原が続いている。
 そういえば、ここは随分気候が穏やかだな。今は寒さの厳しい真冬の筈なのに、日差しが照っていることを差し引いても大分暖かい。流石に春のようだとまでは言わないまでも、感覚が確かなら冬も終わりがけと言った感じの気温だ。
 目の前に広がる光景はどこまでも麗らかで、時折吹く風に煽られて草がそよぐ以外、なんの変化もない。そのあくびが出てしまいそうな長閑な様子に、先程までの大変な騒動との落差も相まって、これは夢か、死んであの世にでも来たか、と思ってしまいそうな程だった。オーウェン様も体を起こし、辺りを見渡してポカンとしている。どうやら彼も上手く現状が飲み込めていないらしい。
「ここは……」
「あなた達の生まれた国のある大陸とは別の大陸にある、とても平和な大国よ」
 突然背後から聞こえてきた声に、驚きでビクリと身体を震わせた。急いで振り向くと、そこには魔女の姿が。さっきまでは確かに誰も居なかった筈の場所に立っている。いつの間にそこに。だんだん慣れてきたが、いつもいきなり現れるので心臓に良くない。
 思いの外近くに現れた魔女に一瞬体を強ばらせて警戒するが、そこで先程魔女が言っていたことを思い出す。そういえば、自分は俺達の味方だとか言ってたっけ。注意深く魔女を観察する。魔女は微笑みながら佇んでいるだけで、特にこちらに危害を加えようとか、何かしようという様子は見られない。先程の発言もあり、相手が危害を加えるつもりがなさそうなので、完全に油断はしないものの、警戒を少し緩める。
「ここはあなた達の生きていた国とは言葉も習俗も違うけれど、人は穏やかで大地は肥沃。平和でとても住み良い場所よ。言語は魔法で通じるようにしておいたし、住む場所や当座のお金も私の方で用意しておいたから、安心して新しい暮らしを始めることができるわ」
 ほら、あそこにあなた達の新しい家を用意したの、と先程見つけた街の方を指し示す魔女。俺とオーウェン様はそちらを見やってから、どちらからともなく顔を見合わせる。表情を見るに、俺と同じく彼も急激な展開の流れについていけていないようだった。
 別の大陸にある異国? 魔法で言葉は通じるようにしておいた? 新しい暮らし? 魔女は本当に、俺たちをあの息苦しい祖国から連れ出してくれたのか?
 疑問は尽きないが、どうやらここが元いた国とは別の国というのは本当のようだ。気候が違うのは勿論、植生は見覚えがないし、つい今しがた頭上を通り過ぎていった鳥も聞いた事のない鳴き声をしていた。兄さんと一緒に休みの日には野山を駆け回っていたから、花の名前は分からずとも俺は結構自然には詳しいんだ。俺が知らない間に動植物が突然変異したのでない限り、ここは魔女の言った通りの祖国から遠く離れた異国なのだろう。
 ということは、あとは変に嘘をつく必要もないし、必然的に魔女が俺達の新しい生活の為にその基盤となる家や資金を用意したことも、魔法で言葉を通じるようにしたことも、全部本当だと言うことになる。魔女のお陰で俺達は、春の建国記念の祭りまで無駄にヤキモキしながら指折り数えて脱出の日を待たずに済んだのだ。……信じられない。魔女が俺達にしてくれたことが、ではなくて、こんなにも早くオーウェン様と自由になれたことが、にわかには信じられなかった。
 本当なら、約3ヶ月もの長い間待った後に、正直成功するかどうかも分からない危険な脱出を試みなければ自由になれなかったのに。しかも、脱出のチャンスを待っている間にオーウェン様は世継ぎ教育で女の相手をしなければならず、俺はそれを指を咥えて遠くから耐えることしかできなかったのも、なくなった。国の追っ手から逃れながら、日々を何とか生きていかねばならない逃亡の苦労も心配しなくていい。目の前に立ち塞がっていた数々の困難や課題が一気に吹っ飛んだのだ。俺が直ぐには現実を信じられないのも、まあ納得してもらえるだろう。
 そうして何も言えないまま俺達が呆然としていると、魔女がまた口を開く。今度は先程までの飄々とした雰囲気とは打って変わって、悲しげな空気を背負っていた。
「……オーウェン殿下。ごめんなさい。私はあなたの父親のコーネリアスへの復讐に拘るあまり、なんの落ち度もないあなたに呪いをかけてしまった。そのせいであなたは親からの愛情を受けられず、本来なら得られる祝福も施されないまま、生まれついての立場を追いやられて、呪いで何もかもを奪われた。それだけでなく、狭苦しい塔に閉じ込められて、縄に繋がれ、まるで獣のように扱われる辱めまで受けさせてしまったわね。なにより普通の人間性を持ちながらも自由に動かない体に精神を閉じ込められたことが、あなたにとってはどれだけ苦痛だったことでしょう。本当に申し訳ないことをしたわ。私はあなたの人生をめちゃくちゃにしてしまった。苦難を伴って無為に消費されてしまったあなたの子供時代はもう戻ってこないし、私の犯した罪がこんなことで償えるとは思えないけれど、何度でも謝らせてちょうだい。本当に、なんと謝ればいいのか……。あなたが望むのなら、償いとして私はこれから先できる限りのことをするわ。それがどんな大変なことでも構わない。それだけの事を望まれて当然の仕打ちを、私はあなたにしてしまったのだから」
 言い終わると、魔女はその場に片膝を付き、こちらに深々と頭を下げる。そのままじっと、動かない。オーウェン様の反応を待っているのだ。ただ、どんなものであろうとも、オーウェン様の裁きを受け入れようとしている。きっとここでオーウェン様が『例え何があっても、魔女を許さない』と言っても、魔女は甘んじてそれを受け入れ、その言葉を背負ってこれから先途方もなく長い人生を生きていくことだろう。
 オーウェン様はじっと、魔女の方を見ている。黙ったまま、動かない。その横顔からは感情は読み取れず、若しかするとオーウェン様は今までの自分の人生や、そこに纏わる暗い記憶を思い返しているのかもしれなかった。俺は他のことならなんでも手助けするけれど、こればかりはオーウェン様の問題だ。俺が口出しすることでもない。ただ黙したままオーウェン様の次の行動を待つ。
「……いいんです、魔女……いいえ、マーゴさん。確かにあなたに呪いをかけられたせいで、僕の人生は狂ってしまった。受けた屈辱や苦難の日々を忘れることなど、到底できない。でも、あなたに呪いをかけられたお陰で、僕はサリーに……何より愛しく、僕のことを大切に思ってくれる唯一と出会えました。過去にはあなたを酷く恨んだ瞬間も確かにありました。なぜ自分ばかりがこんな目にあわなくてはならないのかと、運命を呪いもした。けれど、サリーに出会えただけで、僕の苦労は全て報われたのです。そして、サリーとの出会いは、あなたにかけられた呪いがなければ有り得なかった。今の僕には、あなたを恨もうとしても恨めません。さあ、顔を上げて。仲直りしましょう」
 そう言ってオーウェン様は、魔女に微笑みかける。彼の言葉に従い恐る恐る顔を上げた魔女は、今にも泣き出しそうな表情でこちらを見ていた。
 オーウェン様はなんてお優しい人なんだろう。先にこちらに傷つけられたという理由があったとしても、魔女のしたことは簡単に許せるようなことではない。誰にも理解されず、大切にされなかったオーウェン様の苦しみはいかばかりか。本当なら元凶になった相手を、殺したい程憎んでも仕方がないのだ。
 けれど、オーウェン様は許すことを選んだ。憎しみを捨てて、明るい未来に目を向けることを選んだのである。そんな選択をした彼を、俺は心の底から誇らしく思う。
「オーウェン殿下……でも、私は……」
「もし、マーゴさんがまだ僕に謝り足りないと思うのなら、償いとして時々僕達の所に遊びに来てください。それで全部チャラです。お茶とお菓子を用意して、歓迎しますよ」
 サリーの作るお菓子は絶品なんです! あなたもきっと気に入ります、と真剣な顔で魔女に言うオーウェン様。その様子に魔女は少し驚いた表情をしていたが、俺の手料理がいかに素晴らしいのか熱弁するオーウェン様に、困ったように小さく笑う。
「……フフッ、あなた達に私が歓迎されたりなんかしたら、全然謝罪にも、償いにもならないじゃない」
「いいんですよ。なんと言ってもあなたは呪いで僕とサリーを引き合わせてくれた、大恩人ですからね。こっちとしては謝罪どころかむしろお礼をしたいくらいなんだ! 絶対、遊びに来てくださいね。約束ですよ」
 アハハハ、とオーウェン様が朗らかに笑う。楽しそうに、幸せそうに。それを見た魔女も、つられて控えめに笑い出す。笑う2人を前にして、俺もなんだか楽しくなってきて、堪えきれずに笑みが漏れた。そのまま3人で顔を見合わせて笑い合う。それは、俺達の間にあった暗く淀んだ蟠りが氷解した事を示しているようだった。
 笑いながら俺は、隣に居るオーウェン様の温もりや感触を確かめる。ここまで長く、苦しい道程だった。けれど、オーウェン様は今、確かに俺の傍で笑ってくれている。それがどれ程有難いことか。兄さんの死によって1度は笑うことすらできなくなっていた俺だからこそ、よく分かる。
 今はもうここにはいない、兄さんのことを思い出す。兄さんを死なせてしまって、俺は1度は生きることに絶望した。人生を諦め、死のうとまでしたのだ。今でも兄さんのことを思わない日はないし、生涯あの人を忘れることはないだろう。
 けれど、兄さんのことを思っても、前のように死にたくなる程胸が苦しく締め付けられることは今はもうなくなった。そうなれたのは、オーウェン様の存在が大きい。
 最初に俺がオーウェン様に会った時、彼に向けて抱いた感情は同情と哀れみだけだったと思う。オーウェン様のその荒んだ目に昔の自分を重ね、そして彼に手を差し伸べた自分に兄さんを重ねた。今にして思えば、そうして追体験することで、俺は知りたかったのだろう。兄さんがどうして俺を生かしたのか。そして、なぜ俺を残して死んだのかを。
 結局、確かなことは何も分からなかった。当たり前だ。他人の心の中なんて、簡単に推し量ることはできない。それでも、得られたものはあったと思う。オーウェン様と過ごすうちに俺の心の傷は癒え、未来のことを考えられるようになった。失った過去にばかり目を向けるのではなく、これから先得られる未来について考えるようになったのだ。昔、俺は自分がオーウェン様に希望を託したと思っていたけれど、あれは間違いだった。むしろ、俺の方こそオーウェン様に希望を貰っていたのだ。
 あの頃、俺が死にたいと思っていたのは、心からの本心だった。死ななかったのは、兄さんがそれを許してくれるかどうか確証がなかったから。その条件さえクリアできていれば、とっくの昔に俺はこの世からおさらばしていた事だろう。
 そんな思いを、オーウェン様は覆してくれた。無邪気に俺の事を慕い、頼ってくれるオーウェン様に、俺はどれだけ救われたことだろう。オーウェン様に愛され、俺も彼を愛することで、俺は生きる気力を、希望を、心を取り戻せたのだ。
 これから先、平坦な人生が待っているとは限らない。兄さんを失った時のように、また大きな悲しみが俺を襲うこともあると思う。けれど、俺が死にたいと思う日は、もう二度と来ない筈だ。それは、オーウェン様と出会い、彼に心から愛する人を思って生きていくことの価値を再び教えられたから。俺も、オーウェン様が俺に全てを与えてくれたように、なにか彼に返していけたらと思う。その為にも、もう簡単に死んでやるわけにはいかない。
 兄さん。もう少しだけ待っていてくれ。俺はまだこの世界でやるべき事があるみたいだ。1度はあまりに残酷だと憎んだ世界だけれど、今なら愛せそうだよ。いつかそっちに行く時は、俺の大切な人を紹介するから、楽しみにしていて。
 笑いながら、晴々しい思いで空を仰ぐ。兄さんは嘘は言わなかった。広い世界の中に、まだ確かに俺の居場所はあったのだ。兄さんの隣だけでなく、この愛しい少年の隣に。もう2度と見失ったりしない。
 死にたいと思うことも、生きていたくないと思うことも、沢山あった。それでも、俺は死ななくてよかったと、今なら思える。兄さんを死なせてしまった時や、オーウェン様の手を離してしまった時、人生の選択を間違えたあの瞬間に、俺は死ぬべきだったのか? 答えは否だ。オーウェン様のように俺を必要としてくれる対象がいてくれる限り、俺の人生にはその対象の為にも生きていく意味がある。
 兄さんが最後に一言も言い残さなかったのは、きっと俺に何も背負わせたくなかったからだ。だから俺も、誰も恨まず、世界を憎まず、いつか死ぬその日まで、精一杯生きてやろう。もう、俺の心には一片の陰りもない。様々な思いを込めて、俺はソッとオーウェン様の手を握るのだった。





 ここから離れたどこかの大陸に存在する、とある大国。その国の某州の州都から程近い片田舎の町の外れに、小さな家が建っている。その家には、凛々しい青年と美しい少年が2人で住んでいた。青年は子供達に読み書きと剣術を教えることを生計にし、少年は近くの大きな町の学校に奨学金で通いながら、青年を手助けして日々を穏やかに過ごしている。町の人々に慕われ、環境に恵まれ、毎日を笑って過ごす2人の所には時々、美しい黒髪の美女が尋ねてくるんだとか。
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