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本編
責任を取ります。愛を込めて
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「フェリ、これはどういうことなんだい?」
レイモンドは薄明かりでも美しい青の瞳を見開いて、フェリシアに問いかけた。
彼の疑問は自然なものだと思う。
何しろ、フェリシアは寝台にレイモンドを組み伏せて、艶然と見下ろしていたのだ。
◇◇
二人は戦後処理を終え、トレス金山領に戻っていた。
最大の戦後処理であるアクフルーメンとの終戦条約は、侵攻を指示したアクフルーメン王太子の身分剥奪と生涯の幽閉、王太子を制止しなかった国王の退位、アクフルーメンが大量に調達した武器をゲニアス国に無償供出するという賠償で合意した。
辺境伯と令息に毒を仕掛け、侵攻まで仕掛けたアクフルーメンに対して、経済的な面で見れば、かなり甘いともいえる内容だったが、厳しい補償を求めても逼迫したアクフルーメンには支払うことは不可能であり、苦肉の策によりこの決着となった。
アクフルーメンの侵攻を根絶するには、この賠償内容ではなく、むしろ経済支援が有効であるとは考えられるものの、侵攻され被害を受けた事実がある以上、支援はできない。
落とし所が、アクフルーメンの経済的負担が少ない、武器を放棄させるというものしかなかったのだ。
国王が代わり、体制も変わったという名目で、いずれは経済支援をすることになるだろうとゲニアス国首脳陣は考えている。
幸い、始めに狙われた辺境伯と令息は、何とか上体を起こせるまでには回復してきた。
辺境伯領に平常を取り戻す兆しが見えたことで、フェリシアたちは引き上げることとなったのだった。
トレス領主城に向かう道中、フェリシアは自分の忍耐の強さを内心で褒め称えていた。
相も変わらぬヴィクターの不満を聞き流していたことではない。それぐらいで褒め称えるほど自分の度量は小さくない。……はずだ。
彼女の忍耐を鍛えたのは、レイモンドと個人的に話す時間が全く取れなかったことだった。
婚約者でなくなった異性であり、部隊も違う。彼との距離は遠く、話す機会はなかったのだ。
そして、耐えに耐えたフェリシアとその一行が無事にトレス領主城に着き、一行が疲れた身体を休め始めた夜も更けた頃、耐えることを止めたフェリシアはレイモンドの寝室を訪ね、驚く彼を寝台に組み伏せたのだ。
驚きは見せるものの、何の抵抗も見せない彼に、フェリシアはゆっくりと顔を近づけ、そして唇を重ねた。
温かな彼の温もりを感じた。フェリシアの大好きな彼そのものにも思える温もりは、彼女の胸にじわりと温もりを広げた。
1ヶ月感じることのできなかったその温もりを、もっと欲しいと思ったとき、彼が息を呑んだ気配が伝わり、諦めと共に唇を離そうとした。
その瞬間、頭を抱え込まれて唇を貪られていた。息継ぐ暇も与えられず、何度も口づけられる。
温もりを超え、熱を帯びた彼の口付けに翻弄され、気がつけば身体を入れ替えられて、彼に見下ろされていた。
レイモンドは、まるでそこにも命がこもっているかのように、フェリシアの髪をそっと撫でた。彼は、そのまま髪を一房すくい取り、口付ける。
そして寝台に囁くような懺悔が響いた。
「婚約破棄を選んで、済まなかった」
フェリシアは、こみ上げる思いを抑え込むように目を伏せて、彼に囁き返した。
「一つ、聞きたかったの」
目を閉じていても、彼が自分を、自分だけを見つめてくれているのを感じた。
それだけで、彼の想いを知ることはできたけれど、それでも、この問いは必要だった。彼とこの先を共にするには、どうしても必要だった。
「私がレイ以外の誰かとこうしても、よかったの?」
必要なことだと思い定めていたのに、フェリシアはその問いかけを瞬時に後悔した。
目を閉じていても、彼の気配が変わったのが分かったのだ。
彼を傷つけた胸の痛みに歯を噛みしめたフェリシアは、小さな囁きを耳にした。
「生きて帰ることができるのか、分からなかった」
フェリシアは腑に落ちるものがあった。
レイモンドの言葉は、彼の弱気を表したものではない。純然たる事実だった。
この戦いで一番の危険にさらされたのは、北西軍の指揮を執った彼だったのだから。
『婚約破棄されたフェリシアが婚姻するまで、婚約破棄したレイモンドは婚約も婚姻もしない』
あの賠償は、もしもの事が起きてしまったときの遺言を兼ねた告白だったのだろう。
――フェリシア以外の誰とも婚約も婚姻もする気は無い
――フェリシアだけなのだ
いつか、時が過ぎて穏やかに婚約破棄を振り返ることができたときに、そのことに気がついてほしい――、
そんな密やかな願いをあの賠償に盛り込んだ彼の気持ちを思うと、胸が詰まった。
彼を抱きしめたくて、腕を伸ばした。
彼はフェリシアの腕を取り、傷跡に薄らと彼を刻みながら囁いた。
「もしも、生きて帰ることができて、その時にフェリが誰かと――」
その先を言葉にするのも辛いとばかりに、レイモンドは強く目を閉じ、言葉を紡ぐのを止めた。
フェリシアは胸の痛みを堪えながら、答えを待った。
「そうなっていたら、私は相手をどんな手を使っても押しのけるつもりだった。……フェリが相手を想っていても」
すっと、傷が塞がった気がした。
そう思っていたのなら、もう、許そう。
無理をすることなく、そんな思いが静かに浮かんだ。
彼が一人で決めたことに、拳で怒りを突きつけたけれど――、
本当なら、フェリシアはもっと怒ってもいいのかもしれない。
怒るべきなのかもしれない。
例えば、婚約破棄をされたことに。
――どこかで彼の想いを感じるものはあったけれど、彼が離れていったことは、部屋で一人になれば息ができないほど辛かったのだと、彼の胸を叩いてよいのかもしれない。
全て一人で決めたことにだって。
――結論が変わることはなくとも、彼の気持ちに寄り添いたかったのだと、拳だけでなく、素直に彼の前で泣いて訴えても、許されるかもしれない。
けれど、もういいと思えた。
傷ついたフェリシアが誰かを選んでも、レイモンドが全力で取り戻す覚悟をしてくれていたのなら、もういいと思えた。
そして、本当のところは、フェリシアに彼を責める資格は――、なかったから。
今回の彼の行動の全ては、フェリシアを死の危険から遠ざけるためのものだ。
それは、あの日の自分の失態が原因だ。
あの日、自分の失態は彼を深く傷つけ、その傷が癒えることは、悲しいけれど、もうないのかもしれない。
少なくとも、今日まで癒えることはなかった。
現に、レイモンドは腕の傷跡にまた口付けを始めている。傷跡は、もう彼の痕で埋まりつつある。
フェリシアは胸の詰まる思いで、口付けを落とし続ける彼を見つめた。
彼はフェリシアの死を恐れ、フェリシアの死を見ることを恐れている。
こんな無謀な策を立て、それを実行してしまうほどに。
『……君は私の命なんだ』
あの言葉は比喩ではなく、フェリシアの死は彼を壊してしまうのだろう。
――なら、私は責任を取るしかないのね。
フェリシアは内心で苦笑した。
あぁ、もう、ひどい人。
心の内で責めながら、フェリシアは覚悟を決めると、身体を起こしてレイモンドに向き合った。
青い瞳は直向きにこちらを見ていた。
「レイ。これを見て」
フェリシアは髪に仕込んでいた小さな針を取り出した。
「こんな小さなものでも、刺す場所によっては人を殺せるのよ」
正確にその場所を刺す技術が要るものの、それさえできれば殺すことは可能だ。
護身の手段として、レイモンドも知っていたのだろう。彼の顔に驚きは浮かばなかった。
わざわざ話し出した彼女の意図が分からないまま、静かに針を見つめている。
フェリシアは息を吸い込んだ。
覚悟を決めたとはいえ、やはり大きな決断なのだ。
「私がレイよりも早くにこの世を去るときには――」
仮定の言葉だけでも、レイモンドは眉を寄せた。
そんな顔をさせるのは、これが最後よ。
フェリシアは微笑んだ。
これから自分の言う言葉が、彼に何を与えるか分かっているから。
もう一度、小さく息を吸い込んだ後、フェリシアは自分の想いの全てを込めて、彼に誓いを贈った。
「私はレイにこれを刺すわ」
――彼に自分の死を見せることはない――
そう約束した瞬間、美しい青の瞳は見開かれ、そして、彼は眩しいほどの笑顔を浮かべた。
一片の曇りもない、幸せが溢れ出たような、光り輝くその笑顔は、フェリシアの心も照らしてくれたものの、やはり内心で思ってしまう。
あぁ、もう、本当にずるい人。
大切な人に死なれるのは、フェリシアだって辛いことなのに、彼はフェリシアに彼女の手でそれをさせることをもぎ取ったのだ。
より多く愛した方が負けというけれど、あまりにも厳しい負け方だ。
それでも、彼の恐れがこれで収まるなら、彼が幸せになれるなら、負けるしかない。
少し悔しくて、少し切なくて、こみ上げる思いを抑え込むように、フェリシアはレイモンドを抱きしめた。
レイモンドは優しく抱き返してくれた。
レイモンドは薄明かりでも美しい青の瞳を見開いて、フェリシアに問いかけた。
彼の疑問は自然なものだと思う。
何しろ、フェリシアは寝台にレイモンドを組み伏せて、艶然と見下ろしていたのだ。
◇◇
二人は戦後処理を終え、トレス金山領に戻っていた。
最大の戦後処理であるアクフルーメンとの終戦条約は、侵攻を指示したアクフルーメン王太子の身分剥奪と生涯の幽閉、王太子を制止しなかった国王の退位、アクフルーメンが大量に調達した武器をゲニアス国に無償供出するという賠償で合意した。
辺境伯と令息に毒を仕掛け、侵攻まで仕掛けたアクフルーメンに対して、経済的な面で見れば、かなり甘いともいえる内容だったが、厳しい補償を求めても逼迫したアクフルーメンには支払うことは不可能であり、苦肉の策によりこの決着となった。
アクフルーメンの侵攻を根絶するには、この賠償内容ではなく、むしろ経済支援が有効であるとは考えられるものの、侵攻され被害を受けた事実がある以上、支援はできない。
落とし所が、アクフルーメンの経済的負担が少ない、武器を放棄させるというものしかなかったのだ。
国王が代わり、体制も変わったという名目で、いずれは経済支援をすることになるだろうとゲニアス国首脳陣は考えている。
幸い、始めに狙われた辺境伯と令息は、何とか上体を起こせるまでには回復してきた。
辺境伯領に平常を取り戻す兆しが見えたことで、フェリシアたちは引き上げることとなったのだった。
トレス領主城に向かう道中、フェリシアは自分の忍耐の強さを内心で褒め称えていた。
相も変わらぬヴィクターの不満を聞き流していたことではない。それぐらいで褒め称えるほど自分の度量は小さくない。……はずだ。
彼女の忍耐を鍛えたのは、レイモンドと個人的に話す時間が全く取れなかったことだった。
婚約者でなくなった異性であり、部隊も違う。彼との距離は遠く、話す機会はなかったのだ。
そして、耐えに耐えたフェリシアとその一行が無事にトレス領主城に着き、一行が疲れた身体を休め始めた夜も更けた頃、耐えることを止めたフェリシアはレイモンドの寝室を訪ね、驚く彼を寝台に組み伏せたのだ。
驚きは見せるものの、何の抵抗も見せない彼に、フェリシアはゆっくりと顔を近づけ、そして唇を重ねた。
温かな彼の温もりを感じた。フェリシアの大好きな彼そのものにも思える温もりは、彼女の胸にじわりと温もりを広げた。
1ヶ月感じることのできなかったその温もりを、もっと欲しいと思ったとき、彼が息を呑んだ気配が伝わり、諦めと共に唇を離そうとした。
その瞬間、頭を抱え込まれて唇を貪られていた。息継ぐ暇も与えられず、何度も口づけられる。
温もりを超え、熱を帯びた彼の口付けに翻弄され、気がつけば身体を入れ替えられて、彼に見下ろされていた。
レイモンドは、まるでそこにも命がこもっているかのように、フェリシアの髪をそっと撫でた。彼は、そのまま髪を一房すくい取り、口付ける。
そして寝台に囁くような懺悔が響いた。
「婚約破棄を選んで、済まなかった」
フェリシアは、こみ上げる思いを抑え込むように目を伏せて、彼に囁き返した。
「一つ、聞きたかったの」
目を閉じていても、彼が自分を、自分だけを見つめてくれているのを感じた。
それだけで、彼の想いを知ることはできたけれど、それでも、この問いは必要だった。彼とこの先を共にするには、どうしても必要だった。
「私がレイ以外の誰かとこうしても、よかったの?」
必要なことだと思い定めていたのに、フェリシアはその問いかけを瞬時に後悔した。
目を閉じていても、彼の気配が変わったのが分かったのだ。
彼を傷つけた胸の痛みに歯を噛みしめたフェリシアは、小さな囁きを耳にした。
「生きて帰ることができるのか、分からなかった」
フェリシアは腑に落ちるものがあった。
レイモンドの言葉は、彼の弱気を表したものではない。純然たる事実だった。
この戦いで一番の危険にさらされたのは、北西軍の指揮を執った彼だったのだから。
『婚約破棄されたフェリシアが婚姻するまで、婚約破棄したレイモンドは婚約も婚姻もしない』
あの賠償は、もしもの事が起きてしまったときの遺言を兼ねた告白だったのだろう。
――フェリシア以外の誰とも婚約も婚姻もする気は無い
――フェリシアだけなのだ
いつか、時が過ぎて穏やかに婚約破棄を振り返ることができたときに、そのことに気がついてほしい――、
そんな密やかな願いをあの賠償に盛り込んだ彼の気持ちを思うと、胸が詰まった。
彼を抱きしめたくて、腕を伸ばした。
彼はフェリシアの腕を取り、傷跡に薄らと彼を刻みながら囁いた。
「もしも、生きて帰ることができて、その時にフェリが誰かと――」
その先を言葉にするのも辛いとばかりに、レイモンドは強く目を閉じ、言葉を紡ぐのを止めた。
フェリシアは胸の痛みを堪えながら、答えを待った。
「そうなっていたら、私は相手をどんな手を使っても押しのけるつもりだった。……フェリが相手を想っていても」
すっと、傷が塞がった気がした。
そう思っていたのなら、もう、許そう。
無理をすることなく、そんな思いが静かに浮かんだ。
彼が一人で決めたことに、拳で怒りを突きつけたけれど――、
本当なら、フェリシアはもっと怒ってもいいのかもしれない。
怒るべきなのかもしれない。
例えば、婚約破棄をされたことに。
――どこかで彼の想いを感じるものはあったけれど、彼が離れていったことは、部屋で一人になれば息ができないほど辛かったのだと、彼の胸を叩いてよいのかもしれない。
全て一人で決めたことにだって。
――結論が変わることはなくとも、彼の気持ちに寄り添いたかったのだと、拳だけでなく、素直に彼の前で泣いて訴えても、許されるかもしれない。
けれど、もういいと思えた。
傷ついたフェリシアが誰かを選んでも、レイモンドが全力で取り戻す覚悟をしてくれていたのなら、もういいと思えた。
そして、本当のところは、フェリシアに彼を責める資格は――、なかったから。
今回の彼の行動の全ては、フェリシアを死の危険から遠ざけるためのものだ。
それは、あの日の自分の失態が原因だ。
あの日、自分の失態は彼を深く傷つけ、その傷が癒えることは、悲しいけれど、もうないのかもしれない。
少なくとも、今日まで癒えることはなかった。
現に、レイモンドは腕の傷跡にまた口付けを始めている。傷跡は、もう彼の痕で埋まりつつある。
フェリシアは胸の詰まる思いで、口付けを落とし続ける彼を見つめた。
彼はフェリシアの死を恐れ、フェリシアの死を見ることを恐れている。
こんな無謀な策を立て、それを実行してしまうほどに。
『……君は私の命なんだ』
あの言葉は比喩ではなく、フェリシアの死は彼を壊してしまうのだろう。
――なら、私は責任を取るしかないのね。
フェリシアは内心で苦笑した。
あぁ、もう、ひどい人。
心の内で責めながら、フェリシアは覚悟を決めると、身体を起こしてレイモンドに向き合った。
青い瞳は直向きにこちらを見ていた。
「レイ。これを見て」
フェリシアは髪に仕込んでいた小さな針を取り出した。
「こんな小さなものでも、刺す場所によっては人を殺せるのよ」
正確にその場所を刺す技術が要るものの、それさえできれば殺すことは可能だ。
護身の手段として、レイモンドも知っていたのだろう。彼の顔に驚きは浮かばなかった。
わざわざ話し出した彼女の意図が分からないまま、静かに針を見つめている。
フェリシアは息を吸い込んだ。
覚悟を決めたとはいえ、やはり大きな決断なのだ。
「私がレイよりも早くにこの世を去るときには――」
仮定の言葉だけでも、レイモンドは眉を寄せた。
そんな顔をさせるのは、これが最後よ。
フェリシアは微笑んだ。
これから自分の言う言葉が、彼に何を与えるか分かっているから。
もう一度、小さく息を吸い込んだ後、フェリシアは自分の想いの全てを込めて、彼に誓いを贈った。
「私はレイにこれを刺すわ」
――彼に自分の死を見せることはない――
そう約束した瞬間、美しい青の瞳は見開かれ、そして、彼は眩しいほどの笑顔を浮かべた。
一片の曇りもない、幸せが溢れ出たような、光り輝くその笑顔は、フェリシアの心も照らしてくれたものの、やはり内心で思ってしまう。
あぁ、もう、本当にずるい人。
大切な人に死なれるのは、フェリシアだって辛いことなのに、彼はフェリシアに彼女の手でそれをさせることをもぎ取ったのだ。
より多く愛した方が負けというけれど、あまりにも厳しい負け方だ。
それでも、彼の恐れがこれで収まるなら、彼が幸せになれるなら、負けるしかない。
少し悔しくて、少し切なくて、こみ上げる思いを抑え込むように、フェリシアはレイモンドを抱きしめた。
レイモンドは優しく抱き返してくれた。
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