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前日譚 私は婚約破棄を選び取った
私の婚約者は陽だまりをくれた
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彼女に向ける想いが、王太子としてあるべき、緩やかで穏やかな愛であれば良かったのだ。
そうであれば、私は彼女の立場も愛せていただろう。
だが、私の想いは穏やかなものとは到底呼べないものだった。
艶やかな銀の髪と、濃い紫の瞳。
フェリの色は、美しいと言う言葉に留まらなかった。
『女神の愛し子』という彼女の呼称を幾度呪ったことだろう。
なぜ神話に女神の色が書かれているのかと、神話すら憎かった。
何度、成長と共に彼女の色が変わらないかと願ったことだろうか。
せめて、彼女が周囲の期待から逃げ出してくれないかと願ったことさえあった。
――それでは彼女らしさが失われてしまうというのに、それを分かっていながら、それでも願うことを止められなかった。
だが、幸か不幸か、私の身勝手な願いは叶うことはなかった。
年を追うごとに彼女の髪はますます煌めきを放ち、紫の瞳は彼女の表情を鮮やかに彩る。
彼女は、相も変わらず、周囲からの期待を重荷とは捉えず、期待を向けてくる周囲に喜びを与え、また彼女自身の嗜好としても武芸と軍の話をするときが、彼女の瞳は一番輝く。
だから彼女の色を恨めしく思いながら、けれど彼女はその色を纏うに相応しいと思っていることも確かだった。
それは出会って間もない頃から持ち続けてきた、せめぎ合い、絡み合った感情だった。
彼女と初めて顔を合わせたのは、彼女との婚約が為された、私が12歳、彼女が10歳の時だった。
歳の近い公爵家の令嬢、加えて「女神の愛し子」である彼女を、父である国王は私の将来の伴侶に切望し、説得を重ねて公爵家から承諾を得たのだ。
幼いながらも聡い方だった私は、王家に利するこの婚約の重みを理解し、女神の愛し子を伴侶として生涯にわたり丁重に遇する心構えはできていた。
元々、彼女と会ったことはなかったが、彼女の存在を知ったときから、密かに親近感を覚えていた。
容姿で騒がれる事も然り、生まれた瞬間から立場と責任を負った者ということも、近しいものを感じていた。私は「王太子」、彼女は「女神の愛し子」という立場にあり、周りから求められる仮面を一生着けていく。
だから、お互いを理解し、穏やかに歩んでいけると思っていた。
少なくとも、私は彼女を理解し、寄り添えると思っていたのだ。
そして、初めての顔合わせの場で――、
私は陽だまりを知り、そして、彼女に囚われた。
◇◇
本当に銀の髪なのだな――、
初めて彼女を目にして思ったことは、何とも間の抜けたものだった。
今の私なら、彼女の素晴らしいところを時間の許す限り語ることができるが、あの時の私は希有な銀の髪に目を奪われたのだ。
それまで、噂に聞く銀の髪は、女神に寄せようとした何とか銀に見える色合いのものだと思い込んでいた。
けれども目の前には、磨き抜かれた銀の色をした煌めく髪が令嬢の顔を縁取っている。
これまで目にしたことがない、艶やかな見事な銀の髪。
その美しさに神々しさを感じてしまい、彼女に罪悪感を抱いた。
容姿を騒がれ、勝手な印象を持たれて日々辟易している自分が、同じ事を彼女にしてしまったのだ。
気まずさを押し隠して、彼女に微笑むと――、
彼女の紫の大きな瞳が見開き、滑らかな頬が一瞬で赤く染まった。
あまりにも素直なその反応に、思わず笑みが零れると、彼女の瞳はさらに見開き、それからうれしさが弾けたような、眩しい笑顔を返してくれた。
瞬間、ふっと胸が温まり、彼女とは上手く付き合えるのだろう、そんな思いが過っていた。
お茶を共に味わいながら、――彼女はお茶請けも大いに気に入って笑顔を見せてくれた――、フェリとの他愛ない会話が始まったが、彼女への好感は深まっていく。
単純なやり取りにも、一つ一つ心を込めて返してくれる姿勢はもちろん、ふとした拍子に私の容姿に見惚れて頬を染める素直さも、そこに見惚れる以上のものがない純真さも、彼女との時間を好ましいものにしていった。
時間はあっという間に過ぎて、終わりの時間が近づいてきた。
それに気がついたとき、なぜだかこのまま別れることをもどかしく覚えた。
彼女とはまだ当たり障りのない言葉のやり取りしかしていない。
そのことが悔しかったのだ。
あぁ、認めよう。
もうこの時点で、無自覚ではあったが、自分は緩やかで穏やかな想いから外れだしていたのだ。
今日は初めての顔合わせで、これから機会はいくらでもある、そう分かっているのに、もどかしさに突き動かされ、彼女に思わず問いかけた。
「『女神の愛し子』として暮らすのは、疲れないかい?」
言った側から後悔した。零れ出た問いは、あまりにも踏み込んだものだった。
何を焦っているのかと自分に呆れる私の前で、フェリは目を瞬かせ、少ししてから答えをくれた。
「父が屋敷に吟遊詩人を招いたことがあります。皆、――私もですが、とても感動して、素敵な時間をもらいました」
彼女の神妙な表情は、彼女の話すことがいかに質問の答えから遠いものでも、これまでの会話と同じように、真摯に考えて答えてくれていることを伝えていた。
耳を傾ける私の前で、彼女は言葉を続けた。
「私にはあのように人を喜ばせることは、とても難しいものなのです。いえ、喜ばせるだけの技術のあるものは、残念ながらありません」
武芸の事を思い出したのだろうか。
フェリの声音に僅かな陰りが混じり、そのような技術を持っている者はごく少数だと、慰めの言葉が出かかったが、それは飲み込んだ。
彼女がすぐに花が綻ぶような笑顔を見せてくれたのだ。
「ですが、人は、私の銀の髪を見るだけで、顔を輝かせてくれます」
――!
胸を衝かれた気がした。
その衝撃が収まる前に、フェリは輝くような笑顔を浮かべた。
「私は『女神の愛し子』であることを幸運に思っています」
彼女の笑顔が眩しかった。
彼女は『女神の愛し子』の重さを十分に理解している。噂では、ウィアート家の精鋭たちに自ら指導を乞うて、武芸の練習、座学の勉強に明け暮れているという。
その上で、彼女の銀の髪を見て周りが喜ぶ姿を、幸運と感じているのだ。
私にはできない感じ方だった。
それは、私と彼女とでは、周囲から向けられる目が違うこともあるだろう。私の容姿を騒ぐ者には、彼女の周囲のように崇めるだけではなく、追従や欲が混じることが多々ある。
だからと言って、全てがそうだったわけではない。目の前のフェリのように、只々、美しさを感じてくれるだけの者もいるのだ。
だが、それを分かっていても、私は、私を見る相手の喜びを自分の喜びとはしなかった。
彼女の見ている世界は、どれだけ厳しいものであっても、きっと明るさが差し込むものなのだろう。
もし『女神の愛し子』に何らかの資格が必要なら、彼女のこの受け止め方にあるのかもしれない。
私では見ることも感じることもできない温かな世界を、彼女は自分に教えてくれた。
心地よい、温かな日だまりのような世界が、彼女の中にはあるのだ。
彼女の隣にいれば、自分までその陽だまりに包まれる気がする。
彼女の世界に思いを馳せていると、そっと声をかけられた。
「殿下は、疲れることがおありなのですか」
疲れていた――。
容姿で騒がれ、その容姿故に王太子としての立場が軽んじられないよう、全力で自身を研鑽していくことは、自分の責務だと思ってはいたが、生涯にわたりこの責務に向き合い続けることを考えると、老いて容貌が衰え、苦労が一つ減る日がやけに遠くに思えてしまうのだ。
このような仄暗い考えは、彼女の世界を穢してしまう気がして、言いあぐねてしまった。
だが、何も答えを返せなかったことで、察したのだろう。
彼女は真っ直ぐに私を見つめると、口を開いた。
「父が、殿下は努力を惜しまない素晴らしい方だと申していました」
フェリの父である総司令官は、愛らしい彼女とは違い、実に厳めしい顔を持つ世辞とは無縁の人間だ。顔とは対極の磊落な人物だが、その分、本音をぶつけてくるのだ。
その彼に認められていることは、それも努力を認めてくれたことは、素直にうれしかった。
喜びが顔に出ていたのだろうか。彼女は笑顔を見せてくれる。
彼女の笑顔に胸が温まったが、彼女はすっと澄ました顔に変えてしまった。
「私も努力しています」
もちろん彼女の努力は知っていたし、敬意も抱いていたが、愛らしい自慢に、くすりと笑いが零れてしまった。
私の微笑を打ち破るように、彼女はずいと身を乗り出した。
近い距離に入られて目を瞠る私の前で、彼女は茶目っ気を帯びた眼差しを向けて、囁きを落とした。
「誰もいない二人の時は、盛大に休みましょうよ」
砕けた口調で囁かれた提案は、思いもかけないもので、気がつけば私は声を立てて笑っていた。
それは、王太子としてはあるまじき笑い方だったが、「二人の時は王太子を休んで」、この笑い方でよいのだ。
彼女も向かいで、釣られるように声を立てて笑ってくれている。それでいいのだ。
何しろ、私たちは努力しているのだから。
ふわりと身体が軽くなり、胸に明かりが差し込んだ気がした。
私は陽だまりを知り、そして、この陽だまりを手放したくないと強く思った。
彼女への緩やかな想いは、こうしてゆっくりと形を変え始めていた。
そうであれば、私は彼女の立場も愛せていただろう。
だが、私の想いは穏やかなものとは到底呼べないものだった。
艶やかな銀の髪と、濃い紫の瞳。
フェリの色は、美しいと言う言葉に留まらなかった。
『女神の愛し子』という彼女の呼称を幾度呪ったことだろう。
なぜ神話に女神の色が書かれているのかと、神話すら憎かった。
何度、成長と共に彼女の色が変わらないかと願ったことだろうか。
せめて、彼女が周囲の期待から逃げ出してくれないかと願ったことさえあった。
――それでは彼女らしさが失われてしまうというのに、それを分かっていながら、それでも願うことを止められなかった。
だが、幸か不幸か、私の身勝手な願いは叶うことはなかった。
年を追うごとに彼女の髪はますます煌めきを放ち、紫の瞳は彼女の表情を鮮やかに彩る。
彼女は、相も変わらず、周囲からの期待を重荷とは捉えず、期待を向けてくる周囲に喜びを与え、また彼女自身の嗜好としても武芸と軍の話をするときが、彼女の瞳は一番輝く。
だから彼女の色を恨めしく思いながら、けれど彼女はその色を纏うに相応しいと思っていることも確かだった。
それは出会って間もない頃から持ち続けてきた、せめぎ合い、絡み合った感情だった。
彼女と初めて顔を合わせたのは、彼女との婚約が為された、私が12歳、彼女が10歳の時だった。
歳の近い公爵家の令嬢、加えて「女神の愛し子」である彼女を、父である国王は私の将来の伴侶に切望し、説得を重ねて公爵家から承諾を得たのだ。
幼いながらも聡い方だった私は、王家に利するこの婚約の重みを理解し、女神の愛し子を伴侶として生涯にわたり丁重に遇する心構えはできていた。
元々、彼女と会ったことはなかったが、彼女の存在を知ったときから、密かに親近感を覚えていた。
容姿で騒がれる事も然り、生まれた瞬間から立場と責任を負った者ということも、近しいものを感じていた。私は「王太子」、彼女は「女神の愛し子」という立場にあり、周りから求められる仮面を一生着けていく。
だから、お互いを理解し、穏やかに歩んでいけると思っていた。
少なくとも、私は彼女を理解し、寄り添えると思っていたのだ。
そして、初めての顔合わせの場で――、
私は陽だまりを知り、そして、彼女に囚われた。
◇◇
本当に銀の髪なのだな――、
初めて彼女を目にして思ったことは、何とも間の抜けたものだった。
今の私なら、彼女の素晴らしいところを時間の許す限り語ることができるが、あの時の私は希有な銀の髪に目を奪われたのだ。
それまで、噂に聞く銀の髪は、女神に寄せようとした何とか銀に見える色合いのものだと思い込んでいた。
けれども目の前には、磨き抜かれた銀の色をした煌めく髪が令嬢の顔を縁取っている。
これまで目にしたことがない、艶やかな見事な銀の髪。
その美しさに神々しさを感じてしまい、彼女に罪悪感を抱いた。
容姿を騒がれ、勝手な印象を持たれて日々辟易している自分が、同じ事を彼女にしてしまったのだ。
気まずさを押し隠して、彼女に微笑むと――、
彼女の紫の大きな瞳が見開き、滑らかな頬が一瞬で赤く染まった。
あまりにも素直なその反応に、思わず笑みが零れると、彼女の瞳はさらに見開き、それからうれしさが弾けたような、眩しい笑顔を返してくれた。
瞬間、ふっと胸が温まり、彼女とは上手く付き合えるのだろう、そんな思いが過っていた。
お茶を共に味わいながら、――彼女はお茶請けも大いに気に入って笑顔を見せてくれた――、フェリとの他愛ない会話が始まったが、彼女への好感は深まっていく。
単純なやり取りにも、一つ一つ心を込めて返してくれる姿勢はもちろん、ふとした拍子に私の容姿に見惚れて頬を染める素直さも、そこに見惚れる以上のものがない純真さも、彼女との時間を好ましいものにしていった。
時間はあっという間に過ぎて、終わりの時間が近づいてきた。
それに気がついたとき、なぜだかこのまま別れることをもどかしく覚えた。
彼女とはまだ当たり障りのない言葉のやり取りしかしていない。
そのことが悔しかったのだ。
あぁ、認めよう。
もうこの時点で、無自覚ではあったが、自分は緩やかで穏やかな想いから外れだしていたのだ。
今日は初めての顔合わせで、これから機会はいくらでもある、そう分かっているのに、もどかしさに突き動かされ、彼女に思わず問いかけた。
「『女神の愛し子』として暮らすのは、疲れないかい?」
言った側から後悔した。零れ出た問いは、あまりにも踏み込んだものだった。
何を焦っているのかと自分に呆れる私の前で、フェリは目を瞬かせ、少ししてから答えをくれた。
「父が屋敷に吟遊詩人を招いたことがあります。皆、――私もですが、とても感動して、素敵な時間をもらいました」
彼女の神妙な表情は、彼女の話すことがいかに質問の答えから遠いものでも、これまでの会話と同じように、真摯に考えて答えてくれていることを伝えていた。
耳を傾ける私の前で、彼女は言葉を続けた。
「私にはあのように人を喜ばせることは、とても難しいものなのです。いえ、喜ばせるだけの技術のあるものは、残念ながらありません」
武芸の事を思い出したのだろうか。
フェリの声音に僅かな陰りが混じり、そのような技術を持っている者はごく少数だと、慰めの言葉が出かかったが、それは飲み込んだ。
彼女がすぐに花が綻ぶような笑顔を見せてくれたのだ。
「ですが、人は、私の銀の髪を見るだけで、顔を輝かせてくれます」
――!
胸を衝かれた気がした。
その衝撃が収まる前に、フェリは輝くような笑顔を浮かべた。
「私は『女神の愛し子』であることを幸運に思っています」
彼女の笑顔が眩しかった。
彼女は『女神の愛し子』の重さを十分に理解している。噂では、ウィアート家の精鋭たちに自ら指導を乞うて、武芸の練習、座学の勉強に明け暮れているという。
その上で、彼女の銀の髪を見て周りが喜ぶ姿を、幸運と感じているのだ。
私にはできない感じ方だった。
それは、私と彼女とでは、周囲から向けられる目が違うこともあるだろう。私の容姿を騒ぐ者には、彼女の周囲のように崇めるだけではなく、追従や欲が混じることが多々ある。
だからと言って、全てがそうだったわけではない。目の前のフェリのように、只々、美しさを感じてくれるだけの者もいるのだ。
だが、それを分かっていても、私は、私を見る相手の喜びを自分の喜びとはしなかった。
彼女の見ている世界は、どれだけ厳しいものであっても、きっと明るさが差し込むものなのだろう。
もし『女神の愛し子』に何らかの資格が必要なら、彼女のこの受け止め方にあるのかもしれない。
私では見ることも感じることもできない温かな世界を、彼女は自分に教えてくれた。
心地よい、温かな日だまりのような世界が、彼女の中にはあるのだ。
彼女の隣にいれば、自分までその陽だまりに包まれる気がする。
彼女の世界に思いを馳せていると、そっと声をかけられた。
「殿下は、疲れることがおありなのですか」
疲れていた――。
容姿で騒がれ、その容姿故に王太子としての立場が軽んじられないよう、全力で自身を研鑽していくことは、自分の責務だと思ってはいたが、生涯にわたりこの責務に向き合い続けることを考えると、老いて容貌が衰え、苦労が一つ減る日がやけに遠くに思えてしまうのだ。
このような仄暗い考えは、彼女の世界を穢してしまう気がして、言いあぐねてしまった。
だが、何も答えを返せなかったことで、察したのだろう。
彼女は真っ直ぐに私を見つめると、口を開いた。
「父が、殿下は努力を惜しまない素晴らしい方だと申していました」
フェリの父である総司令官は、愛らしい彼女とは違い、実に厳めしい顔を持つ世辞とは無縁の人間だ。顔とは対極の磊落な人物だが、その分、本音をぶつけてくるのだ。
その彼に認められていることは、それも努力を認めてくれたことは、素直にうれしかった。
喜びが顔に出ていたのだろうか。彼女は笑顔を見せてくれる。
彼女の笑顔に胸が温まったが、彼女はすっと澄ました顔に変えてしまった。
「私も努力しています」
もちろん彼女の努力は知っていたし、敬意も抱いていたが、愛らしい自慢に、くすりと笑いが零れてしまった。
私の微笑を打ち破るように、彼女はずいと身を乗り出した。
近い距離に入られて目を瞠る私の前で、彼女は茶目っ気を帯びた眼差しを向けて、囁きを落とした。
「誰もいない二人の時は、盛大に休みましょうよ」
砕けた口調で囁かれた提案は、思いもかけないもので、気がつけば私は声を立てて笑っていた。
それは、王太子としてはあるまじき笑い方だったが、「二人の時は王太子を休んで」、この笑い方でよいのだ。
彼女も向かいで、釣られるように声を立てて笑ってくれている。それでいいのだ。
何しろ、私たちは努力しているのだから。
ふわりと身体が軽くなり、胸に明かりが差し込んだ気がした。
私は陽だまりを知り、そして、この陽だまりを手放したくないと強く思った。
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