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第2章
封印
練習場に、叔父様の声が広がります。
「いきなり石を作るのではなく、まず、封印することから始めてみるがいい」
叔父様は私から少し離れて、教えてくださいました。
「自分の魔力の流れを感じなさい」
深く染みとおる声に促され、私は目を閉じて自分の魔力に意識を巡らせます。
まるで血の流れのように、全身に隈なく魔力が行き渡っているのが感じ取れます。
「シルヴィ、その魔力の流れを止めるように抑えつけることを想像してごらん」
刹那、私の全てが凍り付いたように固まりました。
魔力が固まっただけでなく、血の流れすら止まったように、息もできません。目を開けることもできません。身動きができず、意識も固まり、抑えつけることを止める方法を考えることすらできません。
恐怖が私に駆け巡ります。
そのとき、閉じた瞼の裏で銀の光を感じました。
すっと叔父様の魔力が体に入り込みます。
厳しいほどの清らかな魔力が、抑えつけていた私の魔力を解かし、一部は魔素にまで戻っていきます。
息ができるようになり、衝撃の反動から崩れ落ちそうになる私を、叔父様が腕を伸ばし抱え込んでくださいます。
息が整わず、お礼も口に出せない私に、叔父様は治癒をかけて下さいます。
私の命の光が強さを増し、魔力が再び行き渡ります。
「危険、という意味が分かりました」
笑う気配が頭の上でしました。支えなしに一人で体を支え、叔父様を見たときには、いつも通りのお顔だったのですが。
「石を作ってみなさい」
私は頷き、息を吸い込み、再び目を閉じました。両手を掲げて先ほどの魔法を思い返します。
――ッ!
恐怖で魔法が途切れました。体が強張っています。息が上がっています。
「シルヴィ。私がいる。必ず、私がお前を助ける。必ず」
瞳を閉じた私の世界に叔父様の声が現れました。
するりと体から力が抜けました。そうです、叔父様が付いていて下さるのです。
もう一度息を吸い込み、両手に魔法を集めます。瞬間、大量の魔力が手から溢れ、光を放ちながら組み立てられていくのを感じます。
「よくやった。見事な組み立てだ。完全な完璧な封印石だ」
ふらついた私を、再度、背後から抱え込み、叔父様が褒めて下さいました。叔父様の魔力で石が浮かべられています。
「これでいつでも卒業できるな。シルヴィ、おめでとう」
私に回された腕から、温かな魔力が染み込んできます。
治癒の力が大きくなりすぎて、学園に入ることが決まった日を思い出しました。
――「部屋に閉じこもっても、泣いても、何にもならないぞ。」
――「これから、お前が変えていくんだ。」
「叔父様、私は変えることができたのですね」
叔父様は私の頭に口づけを落としました。熱いほどの魔力が一瞬私に入り込みます。
「そうだ。見事なまでに」
目から溢れそうなものを見られたくなくて、私は体を回して叔父様に抱き着きました。
「叔父様、いつもありがとうございます。大好きです」
今度は、確かに笑い声が頭の上で響きます。顔を上げると、叔父様が満面の笑みを浮かべています。輝くような笑みに私は意識が飛ぶような気がしました。
やはり覆面は必要です。確かに。
叔父様は笑顔を収めて、私を見つめました。私の意識が戻ってきます。
「さて、シルヴィ、お前の叔父からの頼みを聞いてほしい」
「何なりと」
叔父様のためなら、全力で何でもするつもりです。叔父様は口角を微かに上げました。
なぜでしょう、何か、嫌な予感がします。
「その封印石は使わないでほしいのだ」
え…?
「発動したときの解除が一人でできるとは限らない」
あ…
徐々に私の気持ちの高ぶりが冷めていきます。
叔父様は私の頤を軽く持ち上げ、濃い青の瞳で私の意識をからめとります。
「私のいないところで発動することを考えると、私は不安で何も手が付かないだろう」
明らかに戯れを含みつつ、それでも微かに不安を魔力に滲ませて叔父様は私を包囲してきます。
「シルヴィ、その封印石はこの箱にしまっておくれ」
現れた銀の光の玉から黒い木でできた箱が浮かび上がります。
叔父様は箱まで用意なさっていたのです。
私は負けました。
確かに解除が一人でできるとは限りません。私は溜息をつきながら、箱に入れたのです。
「ありがとう、シルヴィ。これで私は安心だ」
今度は嬉しさがあふれ出た笑みを浮かべ、叔父様は私の意識をさらいます。
次から叔父様には覆面をしてお越しいただきましょう。絶対に。
その後、叔父様の助言で、魔力が溢れた時に光る石を作り、これを私の封印石とすることにしました。
今までの叔父様の封印石も、溢れた魔力で光り、その光で魔力を私に押し戻す組み立てになっていたそうです。
「もう今のお前なら、光を見れば力を収めることができる。石は光るだけで大丈夫だ」
私の額に口づけて柔らかな魔力を送り込み、叔父様は保証してくださいました。
「始めからこちらを教えて下さればよかったのに…」
こぼれ出た不満に、叔父様は楽しさを抑えきれないという笑顔を返しました。
覆面をしてください!今すぐにでも!
必死に意識をつなぐ私に叔父様は言葉を紡ぎます。
「試さなければ、お前は納得しなかっただろう」
確かに。
気が付けば私は叔父様と笑いあっていました。
「いきなり石を作るのではなく、まず、封印することから始めてみるがいい」
叔父様は私から少し離れて、教えてくださいました。
「自分の魔力の流れを感じなさい」
深く染みとおる声に促され、私は目を閉じて自分の魔力に意識を巡らせます。
まるで血の流れのように、全身に隈なく魔力が行き渡っているのが感じ取れます。
「シルヴィ、その魔力の流れを止めるように抑えつけることを想像してごらん」
刹那、私の全てが凍り付いたように固まりました。
魔力が固まっただけでなく、血の流れすら止まったように、息もできません。目を開けることもできません。身動きができず、意識も固まり、抑えつけることを止める方法を考えることすらできません。
恐怖が私に駆け巡ります。
そのとき、閉じた瞼の裏で銀の光を感じました。
すっと叔父様の魔力が体に入り込みます。
厳しいほどの清らかな魔力が、抑えつけていた私の魔力を解かし、一部は魔素にまで戻っていきます。
息ができるようになり、衝撃の反動から崩れ落ちそうになる私を、叔父様が腕を伸ばし抱え込んでくださいます。
息が整わず、お礼も口に出せない私に、叔父様は治癒をかけて下さいます。
私の命の光が強さを増し、魔力が再び行き渡ります。
「危険、という意味が分かりました」
笑う気配が頭の上でしました。支えなしに一人で体を支え、叔父様を見たときには、いつも通りのお顔だったのですが。
「石を作ってみなさい」
私は頷き、息を吸い込み、再び目を閉じました。両手を掲げて先ほどの魔法を思い返します。
――ッ!
恐怖で魔法が途切れました。体が強張っています。息が上がっています。
「シルヴィ。私がいる。必ず、私がお前を助ける。必ず」
瞳を閉じた私の世界に叔父様の声が現れました。
するりと体から力が抜けました。そうです、叔父様が付いていて下さるのです。
もう一度息を吸い込み、両手に魔法を集めます。瞬間、大量の魔力が手から溢れ、光を放ちながら組み立てられていくのを感じます。
「よくやった。見事な組み立てだ。完全な完璧な封印石だ」
ふらついた私を、再度、背後から抱え込み、叔父様が褒めて下さいました。叔父様の魔力で石が浮かべられています。
「これでいつでも卒業できるな。シルヴィ、おめでとう」
私に回された腕から、温かな魔力が染み込んできます。
治癒の力が大きくなりすぎて、学園に入ることが決まった日を思い出しました。
――「部屋に閉じこもっても、泣いても、何にもならないぞ。」
――「これから、お前が変えていくんだ。」
「叔父様、私は変えることができたのですね」
叔父様は私の頭に口づけを落としました。熱いほどの魔力が一瞬私に入り込みます。
「そうだ。見事なまでに」
目から溢れそうなものを見られたくなくて、私は体を回して叔父様に抱き着きました。
「叔父様、いつもありがとうございます。大好きです」
今度は、確かに笑い声が頭の上で響きます。顔を上げると、叔父様が満面の笑みを浮かべています。輝くような笑みに私は意識が飛ぶような気がしました。
やはり覆面は必要です。確かに。
叔父様は笑顔を収めて、私を見つめました。私の意識が戻ってきます。
「さて、シルヴィ、お前の叔父からの頼みを聞いてほしい」
「何なりと」
叔父様のためなら、全力で何でもするつもりです。叔父様は口角を微かに上げました。
なぜでしょう、何か、嫌な予感がします。
「その封印石は使わないでほしいのだ」
え…?
「発動したときの解除が一人でできるとは限らない」
あ…
徐々に私の気持ちの高ぶりが冷めていきます。
叔父様は私の頤を軽く持ち上げ、濃い青の瞳で私の意識をからめとります。
「私のいないところで発動することを考えると、私は不安で何も手が付かないだろう」
明らかに戯れを含みつつ、それでも微かに不安を魔力に滲ませて叔父様は私を包囲してきます。
「シルヴィ、その封印石はこの箱にしまっておくれ」
現れた銀の光の玉から黒い木でできた箱が浮かび上がります。
叔父様は箱まで用意なさっていたのです。
私は負けました。
確かに解除が一人でできるとは限りません。私は溜息をつきながら、箱に入れたのです。
「ありがとう、シルヴィ。これで私は安心だ」
今度は嬉しさがあふれ出た笑みを浮かべ、叔父様は私の意識をさらいます。
次から叔父様には覆面をしてお越しいただきましょう。絶対に。
その後、叔父様の助言で、魔力が溢れた時に光る石を作り、これを私の封印石とすることにしました。
今までの叔父様の封印石も、溢れた魔力で光り、その光で魔力を私に押し戻す組み立てになっていたそうです。
「もう今のお前なら、光を見れば力を収めることができる。石は光るだけで大丈夫だ」
私の額に口づけて柔らかな魔力を送り込み、叔父様は保証してくださいました。
「始めからこちらを教えて下さればよかったのに…」
こぼれ出た不満に、叔父様は楽しさを抑えきれないという笑顔を返しました。
覆面をしてください!今すぐにでも!
必死に意識をつなぐ私に叔父様は言葉を紡ぎます。
「試さなければ、お前は納得しなかっただろう」
確かに。
気が付けば私は叔父様と笑いあっていました。
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