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第2章
最後の試合
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とうとう、私の学園での生活が、残すところあと二日となりました。
今日は、最後の試合の日です。
卒業を控え、最上級学年で行う時間制限のない勝ち抜き戦の試合に、私も参加することになりました。
この日は、叔父様とセディが試合を観に来てくれたのです。
二人とも今日も覆面を着けていたのですが、叔父様に関しては有難く思ってしまいました。
叔父様の輝くような笑顔は心臓に悪いです。ごめんなさい、叔父様。
結局、普段の授業通りの結果で勝ち残り、決勝へ駒を進めたのはダニエル先輩と私でした。
試合の開始位置にそれぞれ立ちます。
先輩の鷲を思わせる黄色の瞳が、今日も鋭く私を見下ろしています。
「始め!」
合図とともに、盾の結界を張りながら私は炎の攻撃を仕掛け、その隙に瞬間移動で横に飛びます。
先輩も難なく攻撃を避けながら、瞬間移動で私に詰め寄りながら、氷の攻撃を投げかけてきます。
セディの模範演技を見てから、先輩と私は動きながら戦う試合をするようになりました。
厳密にいえば、先輩と私だけが、戦い方を変えたのです。
しばらくお互い攻撃と移動を繰り返していましたが、先輩は不意に開始位置に移動しました。
先輩の意図が読めず戸惑いましたが、私も開始位置に戻ってみます。
先輩は結界を維持したまま、私を見つめ話しかけてきました。鷲の瞳が試合中なのになぜか穏やかに感じます。
「俺は、お前に感謝している。」
驚きのあまり、私は一瞬結界を解いてしまい、先輩に苦笑されました。
「お前がいなかったら、俺は適当なところで満足して終わっていた。だから、俺はお前に感謝している」
「私こそ、先輩に感謝しています。先輩が初めの試合で相手をして下さらなかったら…」
たくさんの思いがこみ上げてきて、声が詰まってしまいました。
先輩は目を細めて、そんな私を見ています。
「俺は、どうやらお前のこと…」
先輩は言葉を切って、一瞬客席を見遣りました。セディの辺りでしょうか?
そして首を振ってまた苦笑いし、なんと結界を解いてしまったのです。
「お前、初めての試合の後、俺が言ったことを覚えているか?」
鷲の瞳が、清々しいまでに澄み切っています。
私は自分の鼓動が大きくなり始めたのを感じました。
良くないものを感じます。
「もちろん、覚えています。いつか封印を外して全力で…」
ふわりと浮かんだ、少し悲しそうな少し嬉しそうな綺麗な笑顔が私の言葉を止めました。
鼓動はもう体の外まで響いているのではないかと思うほどです。
先輩、…何を考えているのです?
先輩は一歩後ろへゆっくりと下がりました。
「俺には、お前にこの経験は必要だと思うんだ」
先輩は瞳を閉じました。
そして小さく呟きました。
「長生きしろよ」
その瞬間、光が炸裂したのです。
光に包まれた先輩は眩しすぎて姿が見えません。光は真っ直ぐ天に伸び、雲が急速に生まれます。
劇場の気温は一気に下がり、体が抑えつけられるような重みを感じます。
あっという間に重みは増して、抑えつけられるどころか、今や押しつぶされそうな強さです。
生徒だけでなく一部の先生までも、耳を押さえ、床に倒れこんで呻いています。
雲にめがけて竜巻が出来つつあるのです…!
劇場の周りに銀の結界が張られました。
――「いつか、試合中に封印を外せる時間を作って『全力』で来い」
先輩…!
私は涙を拭いながら、封印石を還しました。
瞳を閉じます。
これまで「全力」を出したのは、殿下の治癒をしたときだけです。
できるのでしょうか…、いえ、やらなくてはいけません。
息を吸い込み身体の魔力を感じ取り、私は全ての魔力を魔法の組み立てに変えました。
瞬間、魔力の変化で体が燃えるように熱くなります。
『シルヴィッ!』
セディの叫びが頭に響きます。
恐らく私の身体も光っているのでしょう。
『セディの前で暴走はしません。二度と』
思念を返しながら、先輩の魔力を探ります。先輩は魔力の放出がまだ続いています。
先輩の意識はもう無くなっています。暴走です。
私は封印の魔法で先輩の魔力を抑え込みました。魔力のぶつかり合いです。
先輩の魔力は流れ続けようと抵抗します。
私は魔法を魔素への分解に組み換え、先輩の魔力を分解していきます。
暴走で体を削りながら生み出す先輩の魔力は膨大です。
私は劇場に残留する魔力を集め、対抗します。
――ッ!
声にならないセディの悲鳴を感じます。
確かに無謀です。体が溶けるように熱く、手足の位置がつかめません。
意識を再度、先輩の魔力に集中し、私の集めた魔力の全てで最後の一撃をかけました。
放った魔力は先輩の魔力に絡みつき――、
そして、ようやく分解の流れが加速を始めたのです。
目を開くと、倒れた先輩が見えました。
魔力の供給がなくなった竜巻は勢いを弱め、やがて、雲とともに消えていきました。
晴れてきた空を見ていると、魔力が空になった私は、気まで抜けてしまい、地面に崩れ落ちそうになりました。
「シルヴィッ!」
転移してくれたセディに抱き留められ、私はとうとう意識を手放してしまいました。
今日は、最後の試合の日です。
卒業を控え、最上級学年で行う時間制限のない勝ち抜き戦の試合に、私も参加することになりました。
この日は、叔父様とセディが試合を観に来てくれたのです。
二人とも今日も覆面を着けていたのですが、叔父様に関しては有難く思ってしまいました。
叔父様の輝くような笑顔は心臓に悪いです。ごめんなさい、叔父様。
結局、普段の授業通りの結果で勝ち残り、決勝へ駒を進めたのはダニエル先輩と私でした。
試合の開始位置にそれぞれ立ちます。
先輩の鷲を思わせる黄色の瞳が、今日も鋭く私を見下ろしています。
「始め!」
合図とともに、盾の結界を張りながら私は炎の攻撃を仕掛け、その隙に瞬間移動で横に飛びます。
先輩も難なく攻撃を避けながら、瞬間移動で私に詰め寄りながら、氷の攻撃を投げかけてきます。
セディの模範演技を見てから、先輩と私は動きながら戦う試合をするようになりました。
厳密にいえば、先輩と私だけが、戦い方を変えたのです。
しばらくお互い攻撃と移動を繰り返していましたが、先輩は不意に開始位置に移動しました。
先輩の意図が読めず戸惑いましたが、私も開始位置に戻ってみます。
先輩は結界を維持したまま、私を見つめ話しかけてきました。鷲の瞳が試合中なのになぜか穏やかに感じます。
「俺は、お前に感謝している。」
驚きのあまり、私は一瞬結界を解いてしまい、先輩に苦笑されました。
「お前がいなかったら、俺は適当なところで満足して終わっていた。だから、俺はお前に感謝している」
「私こそ、先輩に感謝しています。先輩が初めの試合で相手をして下さらなかったら…」
たくさんの思いがこみ上げてきて、声が詰まってしまいました。
先輩は目を細めて、そんな私を見ています。
「俺は、どうやらお前のこと…」
先輩は言葉を切って、一瞬客席を見遣りました。セディの辺りでしょうか?
そして首を振ってまた苦笑いし、なんと結界を解いてしまったのです。
「お前、初めての試合の後、俺が言ったことを覚えているか?」
鷲の瞳が、清々しいまでに澄み切っています。
私は自分の鼓動が大きくなり始めたのを感じました。
良くないものを感じます。
「もちろん、覚えています。いつか封印を外して全力で…」
ふわりと浮かんだ、少し悲しそうな少し嬉しそうな綺麗な笑顔が私の言葉を止めました。
鼓動はもう体の外まで響いているのではないかと思うほどです。
先輩、…何を考えているのです?
先輩は一歩後ろへゆっくりと下がりました。
「俺には、お前にこの経験は必要だと思うんだ」
先輩は瞳を閉じました。
そして小さく呟きました。
「長生きしろよ」
その瞬間、光が炸裂したのです。
光に包まれた先輩は眩しすぎて姿が見えません。光は真っ直ぐ天に伸び、雲が急速に生まれます。
劇場の気温は一気に下がり、体が抑えつけられるような重みを感じます。
あっという間に重みは増して、抑えつけられるどころか、今や押しつぶされそうな強さです。
生徒だけでなく一部の先生までも、耳を押さえ、床に倒れこんで呻いています。
雲にめがけて竜巻が出来つつあるのです…!
劇場の周りに銀の結界が張られました。
――「いつか、試合中に封印を外せる時間を作って『全力』で来い」
先輩…!
私は涙を拭いながら、封印石を還しました。
瞳を閉じます。
これまで「全力」を出したのは、殿下の治癒をしたときだけです。
できるのでしょうか…、いえ、やらなくてはいけません。
息を吸い込み身体の魔力を感じ取り、私は全ての魔力を魔法の組み立てに変えました。
瞬間、魔力の変化で体が燃えるように熱くなります。
『シルヴィッ!』
セディの叫びが頭に響きます。
恐らく私の身体も光っているのでしょう。
『セディの前で暴走はしません。二度と』
思念を返しながら、先輩の魔力を探ります。先輩は魔力の放出がまだ続いています。
先輩の意識はもう無くなっています。暴走です。
私は封印の魔法で先輩の魔力を抑え込みました。魔力のぶつかり合いです。
先輩の魔力は流れ続けようと抵抗します。
私は魔法を魔素への分解に組み換え、先輩の魔力を分解していきます。
暴走で体を削りながら生み出す先輩の魔力は膨大です。
私は劇場に残留する魔力を集め、対抗します。
――ッ!
声にならないセディの悲鳴を感じます。
確かに無謀です。体が溶けるように熱く、手足の位置がつかめません。
意識を再度、先輩の魔力に集中し、私の集めた魔力の全てで最後の一撃をかけました。
放った魔力は先輩の魔力に絡みつき――、
そして、ようやく分解の流れが加速を始めたのです。
目を開くと、倒れた先輩が見えました。
魔力の供給がなくなった竜巻は勢いを弱め、やがて、雲とともに消えていきました。
晴れてきた空を見ていると、魔力が空になった私は、気まで抜けてしまい、地面に崩れ落ちそうになりました。
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