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第3章
叔父様との誕生日
今日は私の誕生日です。
誕生日はうれしいものですが、今日は特別に待ちきれない気持ちがありました。
セディと会える約束があるからです。
そうは言っても、仕事はあります。
今日は特に大変な作業です。
魔法使いの棟で試合が行われるのです。皆さん、待ちに待った試合です。
ダニエル先輩は、試合の日が決まったときは叫んでいました。
相変わらず先輩らしいです。
皆さんが試合をするため、叔父様と私は皆さんの分の作業を引き受けることになったのです。先輩以外の皆さんも試合が決まってから顔が明るいものになりました。
皆さんのためにも私は頑張ります!
ですが、私はあまり頑張る余地がありませんでした。
叔父様が相方だと、私が手を出せることは悲しくなるぐらいなかったのです。
結局、叔父様の鮮やかなお手並みから予定よりかなり早い時間に作業は終わり、私は叔父様の疲れをいやすべく、治癒をかけただけでした。
実はそれすらも不要だった気がするのですが。
何だか、叔父様に連れられて森を散策したころを思い出します。叔父様にとって私は今もあのころのような子どものままなのかもしれません。
「叔父様、二人きりで歩くのは随分久しぶりですね」
なぜか即座に棟には帰らず休憩することを選んだ叔父様に、少し寄りかかってみました。
叔父様は目元を緩めて私の瞳をのぞき込みます。
傍で働いて見慣れていても、この至近距離では思考が奪われそうな美しさです。
「そうだな。もう少し、子どものままでいて欲しいものだ」
何とか思考を取り戻して私は答えます。
「たとえ子どもでも叔父様の心配はするのです」
「私は子どもに心配させるほど、頼りないのか」
叔父様はさらに笑みを深めて、私の頭を撫でました。
思考がまた飛んで行ってしまいそうです。
私は俯きました。叔父様は撫でるのを止めて、私を待ってくれます。
心と呼吸を落ち着けて、叔父様の紫の入った青の瞳を見つめました。
叔父様は私の眼差しを受け止めてくれます。
「叔父様、いえ、守護師」
叔父様はもう私の先の言葉を分かっているのでしょう。目を伏せました。それでも私は声に出しました。
「私は、一刻も早く、守護師を補佐できる存在になります」
お城で勤め始めてからずっと感じていました。叔父様はたった一人で抱えているものが多すぎると。
叔父様の強大な魔力に、無意識に誰もが頼ってしまいます。
叔父様はそれらを受け止め、淡々と責務を果たしています。
その姿は、叔父様の清らかな魔力と相まってとても孤高に見え、切なくなるのです。
叔父様は私の頭を胸に抱きよせました。
「シルヴィ、焦らず、もう少し、この私のために子どものままでいておくれ」
頭に降ってきた沁み入る声に抗おうとすると、叔父様は腕に力を込めてそれを許しませんでした。
「お前は私の次に守護師に、そして遠い先には長となるだろう」
どこかで予想はしていたものの、それは重い言葉でした。
思わず強張った私を、叔父様が優しく撫でてくれます。
「シルヴィ、私の宝、次代の守護師。
いずれ必ず重い責務を負うのだ。どうかゆっくり育っておくれ。
お前が傍にいてくれるだけで私は支えてもらっているのだ。焦る必要はない」
叔父様は大きな手で私の頬を包み込みました。
澄み切った眼差しが私を捕らえます。私の心も清められ、自分では気がつかなかった焦りが洗い流された気がします。
叔父様は周りまで輝きそうな笑顔を浮かべました。
「誕生日おめでとう。心からの祝福を」
優しく温かい口づけが額に落とされ、私は一瞬ふわりと叔父様の魔力に包まれたのでした。
誕生日はうれしいものですが、今日は特別に待ちきれない気持ちがありました。
セディと会える約束があるからです。
そうは言っても、仕事はあります。
今日は特に大変な作業です。
魔法使いの棟で試合が行われるのです。皆さん、待ちに待った試合です。
ダニエル先輩は、試合の日が決まったときは叫んでいました。
相変わらず先輩らしいです。
皆さんが試合をするため、叔父様と私は皆さんの分の作業を引き受けることになったのです。先輩以外の皆さんも試合が決まってから顔が明るいものになりました。
皆さんのためにも私は頑張ります!
ですが、私はあまり頑張る余地がありませんでした。
叔父様が相方だと、私が手を出せることは悲しくなるぐらいなかったのです。
結局、叔父様の鮮やかなお手並みから予定よりかなり早い時間に作業は終わり、私は叔父様の疲れをいやすべく、治癒をかけただけでした。
実はそれすらも不要だった気がするのですが。
何だか、叔父様に連れられて森を散策したころを思い出します。叔父様にとって私は今もあのころのような子どものままなのかもしれません。
「叔父様、二人きりで歩くのは随分久しぶりですね」
なぜか即座に棟には帰らず休憩することを選んだ叔父様に、少し寄りかかってみました。
叔父様は目元を緩めて私の瞳をのぞき込みます。
傍で働いて見慣れていても、この至近距離では思考が奪われそうな美しさです。
「そうだな。もう少し、子どものままでいて欲しいものだ」
何とか思考を取り戻して私は答えます。
「たとえ子どもでも叔父様の心配はするのです」
「私は子どもに心配させるほど、頼りないのか」
叔父様はさらに笑みを深めて、私の頭を撫でました。
思考がまた飛んで行ってしまいそうです。
私は俯きました。叔父様は撫でるのを止めて、私を待ってくれます。
心と呼吸を落ち着けて、叔父様の紫の入った青の瞳を見つめました。
叔父様は私の眼差しを受け止めてくれます。
「叔父様、いえ、守護師」
叔父様はもう私の先の言葉を分かっているのでしょう。目を伏せました。それでも私は声に出しました。
「私は、一刻も早く、守護師を補佐できる存在になります」
お城で勤め始めてからずっと感じていました。叔父様はたった一人で抱えているものが多すぎると。
叔父様の強大な魔力に、無意識に誰もが頼ってしまいます。
叔父様はそれらを受け止め、淡々と責務を果たしています。
その姿は、叔父様の清らかな魔力と相まってとても孤高に見え、切なくなるのです。
叔父様は私の頭を胸に抱きよせました。
「シルヴィ、焦らず、もう少し、この私のために子どものままでいておくれ」
頭に降ってきた沁み入る声に抗おうとすると、叔父様は腕に力を込めてそれを許しませんでした。
「お前は私の次に守護師に、そして遠い先には長となるだろう」
どこかで予想はしていたものの、それは重い言葉でした。
思わず強張った私を、叔父様が優しく撫でてくれます。
「シルヴィ、私の宝、次代の守護師。
いずれ必ず重い責務を負うのだ。どうかゆっくり育っておくれ。
お前が傍にいてくれるだけで私は支えてもらっているのだ。焦る必要はない」
叔父様は大きな手で私の頬を包み込みました。
澄み切った眼差しが私を捕らえます。私の心も清められ、自分では気がつかなかった焦りが洗い流された気がします。
叔父様は周りまで輝きそうな笑顔を浮かべました。
「誕生日おめでとう。心からの祝福を」
優しく温かい口づけが額に落とされ、私は一瞬ふわりと叔父様の魔力に包まれたのでした。
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