魔女5人の恋愛戦争 ~前線が嫌になったので、娘達と平凡な暮らし・・・いや!娘達を人間にしようと思います~

ちば防蟲

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9話「脱出成功!!」

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「真面目に取り組むのは分かるけどさ。こっちだって心配したんだから、少しは反省してほしい」

サイファーに注意される一番上の姉メラニー。


「分かったよ。ほんと心配性ね。サイファーは」


「こんな、生真面目な暴走姉がいると心配が耐えない~」


「なっ!!そ、そんな口の利き方をするんでしたら、

今後は!マスターへの給仕係を譲ってあげませんからね!」


「い、いいよ?そんなの順番を待っていればいいし。

それに、僕の方が気に入られているだろうから問題ない~。この前なんて、2人で買い出しに行ったし」


「買い出しっ!!?私、そんなの知らないんだけどっ!?いつ行ったの?言いなさいよ!」


「言わないよ!バカ姉~~」


「くぅぅぅぅぅっ!!この!素直になれないツンドラ女!」

大草原の中で、掴み合いをする2体の人形。リードリッヒから2体同時に離れる機会があまり無かった為、結構本気な取っ組み合いとなる。


すると、そこに・・・・・


「わ!わわわゎゎゎゎっ!ど、どいて下さァァァい!」

取っ組み合いによって、土色が着いた軍服を着込んだ2体の人形の頭上から可愛らしい音が降ってきた。

音の方向を見上げた2体の目の前には、チューリッヒの泣き顔が・・・・。


((あ、これは~~~~~ぶつかるかも))

と、思った矢先に硬い素材同士の衝突音が響いた。



――――頭を抑えて蹲うずくまる3体。

「いったぁい。どんな体勢で飛んでくるの!チューリッヒ!!」

額を抑えながら、チューリッヒを責めるサイファー。涙目である。


「だってぇ~。トリア姉様が~~~~」

トリアのせいにしようとするチューリッヒ。かなりの涙目である。


「もう~~。今度特訓ですね!」

次あるか分からない着地の特訓を迫るメラニー。瞳の奥がメラメラと、燃えている。涙は流れていない。


「ひぃぃぃぃ!!」

メラニーが発した特訓という言葉に反応するチューリッヒ。

体が震え出す。過去に何らかの恐怖を植え付けられているようだ。


「これで、あとはトリアとマスターが飛び超えれば、脱出成功ね。意外とチョロいもんだったわ」


「そ、そうだね。もう少し苦戦すると思ったんだけど・・・ほら?聖剣卿ってぼく達並に強いでしょ?もしも、戦闘になったらお互いに無傷ではすまなかったと思うし」


仁王立ちのメラニーと額を抑えながら立ち上がったサイファーが、この作戦がほぼ、完遂しているからか気が抜けた会話をし始めた。


「あら、聖剣卿が強いのは認めますが、私にかかれば一捻りです」


「いやいやいや、一捻りとはいかないでしょ。でも・・・・そうだな、姉さんがリミッターを外して対峙すれば、一捻りと言えなくも無い・・・かもね」


「何を言っているの?リミッターを解除してしまったら、記憶が消えてしまいます!

それに・・・解除しなくても私が勝ります」


ぷいっとそっぽを向いてしまったメラニー。

その表情からは「まったく!姉の実力を少しは信じられないわけ?その青い目は節穴か!」と言いたげだ。


「悪かった。悪かったって姉さん。聖剣卿より姉さんの方が強いって。ね?だから機嫌直して」


「ふん!」


「ふん!じゃないよ。もう~~~~じゃ!あの人に判断してもらおう!それで、白黒はっきりつくでしょ?」


メラニーの創造主であり、メラニーやその他娘達にとって絶対的な存在であるリードリッヒに意見を求めようと言い出すサイファー。


でも・・・・それは・・・・


「・・・・・・・・・・・・・・」


さっきまで、可愛く顔を背けていたメラニーのテンションがみるみると下がっていくのが、その真っ暗な表情から理解できた。


そう・・・・聖剣卿vsメラニーの話には地雷が含まれていたのだ。


「え・・・えーーと。メラニー姉さん?いきなりどうしたのさ?ツムみたいだよ?」


からかい半分で会話していたサイファーがメラニーの変化に気づくには少し時間がかかった。

(あれれれ?あの人の話を出せば、いつも通り丸く収まると思ったのにこの反応・・・。もしや、地雷かな?地雷を踏んじゃったのかな?)


サイファーは選択肢の引き運悪さに

(やっちまった)と思いつつ、メラニーが立ち直るように努力する。


「気にするなって!あいつが何を言おうが!ぼく達姉妹は姉さんの味方だからさ!!だから、そう暗くなるなって!!」


「・・・・あれは、紅の魔王の討伐前夜のことでした」


突然、前触れもなく語りだすメラニー。


「いや、あの~~。人の話を聞いてくれませんかね?姉さん?お~~い」


「マスターと作戦の最終確認を行っていた時です。私とマスターの空間に無断で立ち入った人間がいました」


「お~~い、何を語り始めてんだよ姉さん。そんなの興味ないんだが」


「聖剣卿が・・・割り込んできたのです。しかもですよ?私に出て行けと?言いやがり、何様だって!やつですよ!!」


「わ、わかったから。聖剣卿が全部悪いんだから。な?もういいだろ?もうじき、トリア達も来るだろうしここで辞めにしないか?」


「聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿聖剣卿」

どす黒い物が取りついたような暗い声で「聖剣卿」を連呼するメラニー。

さすがにこれには、目の前で宥めようと努力しているサイファーは、恐怖を覚えた。


(うわぁーーー。こりゃ、止まんないな。真っ黒メラニーが出てしまった。満足行くまで、しゃべらせ続けるしかないかな?)


「あの!泥棒猫!!にゃ~にゃ~私のマスターに媚びりやがって!

しかも、雌の匂いぷんぷんでさ!発情期かよ!!これほど・・・これほど!人間として生まれたかったと思ったことはないですよっ!しかも・・・しかも!!」


(ひ、ヒートアップしてきた。てか、なんだろう・・・ぼくも胸の当たりがむかむかしてきたぞ?)


「し~か~も!!私にも聞く権利があります!追い出されるいわれはありません!って答えたら・・・・!!」


「こ、答えたら?」


「マスターが・・・俺と聖剣卿だけで大事な話があるから、お前は出ていけって・・・・。もう!あんまりよ~~っ!!」


「そ、それはあんまりだなっ!」

メラニーの勢いに飲み込まれてサイファーも乗ってしまう。


「でしょ!?だからね!だからね!」


(面倒な絡み方になってきたーーー。てか、そもそも聖剣卿と姉さんが戦ったら、どっちが勝るか?って話だった気がするが・・・なんでいつの間にか、自分が除け者にされて悔しいに変わったんだ?まぁ~いいか。止めると面倒度合いが増すだろうし。適当に返していけば、いつか終わるだろう)


サイファーは、この見込みが甘いことを後に知ることとなる。

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