魔女5人の恋愛戦争 ~前線が嫌になったので、娘達と平凡な暮らし・・・いや!娘達を人間にしようと思います~

ちば防蟲

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11話「二日酔いの聖剣卿」

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目を覚ますと・・・・・・薄暗い青空が広がっていた。それは、星々の輝く時間帯が過ぎていったことを示している。


「・・・・・・?」


リードリッヒは地面に手をつけ、ゆっくりと状態を起こした。そして、先程まで地面に触れていた両手を顔の前まで持ってくると、握ったり開いたりを繰り返し、まじまじと見つめる。

手のひらには土が付着している為、茶色い。


(お、落ち着け~!最後の記憶だと、夜だったよな?だったよなっ!?)


もう一度、空を見上げるリードリッヒ。先程の薄暗さがなくなりつつある青々とした空。どうみても、夜ではない。


(・・・・・朝っ!?)


なんてことだっ!!っと、言ってはいないが、顔がそのように物語っていた。


(まさかの、また半日経っている?嘘だよね?ね!!)


自問自答を繰り返すリードリッヒ。その背中に近づく5つの影。

その気配に、振り返ると


「やっと、起きましたね!マスターに聞きたいことがあります!」


「お、おい!姉さん。今聞くことじゃないだろ?まずは、移動しないと」


「マスター、ごめんね?張り切って飛びすぎちゃった。気持ち悪いとかない?大丈夫?」


「・・・・・・・・・・大丈夫?」


「トリア姉様、ツムちゃん、怪我等ないことは確認したので大丈夫だと思います。チューリッヒの診断は100%ですからっ!」

5体の娘達がいた。


メラニーは、何かを問い詰めるべく近づき。

サイファーは、そんなメラニーの肩を掴み止める。

トリア、ツムはリードリッヒの心配をして。

チューリッヒは心配ないっ!と断言する。


そんな、娘達と薄暗さが消えつつある空を見てリードリッヒが思うことは一つ


「なんで!起こしてくれなかったんだァァァァアァ!」


リードリッヒは草原の彼方・・・山脈まで到達しそうな大声を上げた。



――――本日の聖剣卿の朝は遅い。昨日のリードリッヒショックから立ち直ろうと、人肌の湯にてストレスを解消した・・・と思いたかったが、まだまだ、ムシャクシャしていた為、酒に手を付けてしまった。


普段の酒は嗜む程度で辞めておくが、昨晩は飲んで飲み込まれて酒に溺れてしまった。


「なんで!起こしてくれなかったんだァァァァアァ!」


空の酒瓶が転がっている寝室でふわふわの毛布に包まっていた長い金髪をボサボサにしている女は、自分の脳みそを揺らした奇怪な音に怪訝な表情を浮かべた。


「・・・・・・ん、リードリッヒの声・・・・?」


起こされた聖剣卿はズキズキと痛みを訴える頭を押さえながら体を起こし、寝床の上で乙女チックな座り方をする。


しばらく、そのままの状態で呆けていると、あれ?と首を傾げた。


「リードリッヒは昨日のうちに出ていったはず・・・よね?なんで、声が聞こえたの・・・?」

自分の手に顎を乗せて考え込む聖剣卿。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!?



急に体中が火照り、昨晩の酒が回りだす。くらくらした頭は自分の意志に逆らって、わざわざ起き上がった寝床へと戻っていく。


そして、横になった聖剣卿は、ふわふわ毛布を頭まですっぽりと被り丸くなった。

(な!何てことを考えたのよっ!?わたしっ!!?リ、リードリッヒとなんて・・・・。冗談じゃないわっ!!)


何か恥ずかしくなる行為を考え・・・いや、妄想してしまったことで、足先まで熱を発する体。


(わ、私は!別に欲求不満というわけではないわ!リードリッヒの声が聞こえたのは・・・・そう!戦場から逃げた罪人への断罪意識だわっ!決して、私を捨てないで側に居てくれている。次に目を開けた時に私の目の前で寝ていて、「ずっと、君の側にいるよ」って耳元で囁いてくれる・・・・そんなことをっ!か、考えていたわけ・・・・ありえませんわっ!!)


自分への言い訳を自分で考える聖剣卿。


事実は、駐屯地の外でリードリッヒが大声を上げていたわけだが。

聖剣卿には、大声ってところは頭から削除されており、リードリッヒの声っていう情報だけが残っていた。いないはずの人の声が聞こえる。


これは、妙な話である。酒を飲み過ぎたせいだとしても?なぜ、リードリッヒの声が聞こえるのだ・・・?と考え込んだ聖剣卿がフラフラな頭をフル回転させて導き出した答えは、自分の想いがリードリッヒを求めているという決して、認めたくない内容だった。


しかも!自分好みの場面妄想に当てはめたものだから、頭がショートしてしまう事態に陥った。


(ううううう~~~こんな状態では、業務に支障がでますわ!アゲハに病欠するって伝えましょう。そう!それが適切だわ!うんうん)


自分で決定したことを自分で肯定する。

朝から精神が不安定な状態。果たして酒のせいなのか?リードリッヒの離脱が原因なのか?それとも・・・・・・?


戦場で恋を知ってしまった乙女の戦いは、今日のところは休日となった。

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