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第四章 闇に包まれた謎
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しおりを挟む夢創作員の仕事を始めてから、一週間弱しか経過していない。それで、依頼料金を支払わずに済むほど、この仕事は給料が高額だったのだろうか。そう疑問に思いながら――こんな仕事が求人募集していたら、大人気に違いないと飛華流は感じていたのだった。
世界の不思議映像グランプリを、飛華流は胸をときめかせ、じっと視聴していた。この番組では、世界で起こる奇妙な現象を、山ほど紹介している。
UFOや未確認(UM)生物(A)、心霊や小人等、オカルト好きにはたまらない映像ばかりだ。
円盤型のUFOが上空を飛び回っている映像が流れ、飛華流は目をキラキラと輝かせる。いつか、僕もこの目で見てみたいな。
テレビに釘付けになっている飛華流を目にし、真誠は呆れた顔をする。
「馬鹿じゃねーの? こんなの、CGに決まってるだろ」
「いいや、これは本物だ。お前は、目に見えるモノしか信じないんだね。……いいか、この世には化学では証明が出来ない事も、多くあるんだよ」
夢を壊す様な事を言われ、飛華流は真誠を睨みつける。すると、納得のいかない様子の真誠に、守莉が洗濯物をハンガーにかけながら言った。
「……ママも、宇宙人は存在すると思うよ。だって、宇宙には無数の星があるんだから」
「ママの言う通りだよ。生命体の暮らす星が、地球だけだと考える方が難しいでしょ」
守莉の意見に、飛華流は強く共感した。
「……それなら、もし仮に宇宙人がこの宇宙のどこかに居るとする。そいつらは、どうやって地球まで来るんだ? 今の時代に、そんな高度な技術ある訳ねーだろ」
そう聞き返してくる真誠に、飛華流は自信満々に答える。
「そんなの、簡単な話だよ。地球に訪れる宇宙人達は、地球人より遥かに高度な技術を持っているんだ。その技術を駆使して、地球へ遊びに来てるんだよ」
「飛華流さー、もう中学生だろ? いつまで、夢見てんだよ」
飛華流を嘲笑う真誠に、守莉が注意する。
「こら、真誠! そんな事、言わないの。そもそも、そういったミステリー現象は、大人でも信じている人はいる。これに関しては、年齢関係ないからね。……あんたは本当、パパにそっくりだね」
皆が、ごちゃごちゃと言い合っていたのが、耳障りだったのだろう。飛華流の隣に座っていたワンダが、拙い日本語で怒りを見せた。
「イライラ……煩い。黙れ」
「あら、ごめんなさいね。ほら、真誠……皆、真剣に見てるんだから邪魔したら駄目よ」
守莉を無視すると、真誠はムスッとして部屋を出ていった。その後も、人魚や河童にチュパカブラといった、数多くの未確認生物が四角い画面の中に映し出された。
次々と視界に入ってくる未知なるモノに、飛華流の心は愉快に踊っていた。
不思議映像に夢中になっていると、あっという間に二時間が経過し、番組が終わった。そして、退屈なニュースが始まる。
飛華流があくびをしながらウトウトしていると、気になるニュースが飛び込んできた。
「一宝町で昨夜、傷だらけで救急搬送された少年が、奇妙な映像を捉えていました。こちらを、ご覧下さい」
携帯で撮影された画質の悪い動画を目にし、飛華流は恐怖で全身が震えた。一体、これは何なんだ。
きっと、この世のモノではない。暗闇に包まれた人通りの少ない細道で、赤い目をギラギラと光らせた人影が動いている。
暗くてはっきりとは認識できないが、飛華流はそれを人ではない何かだと感じた。何故なら、その不気味な影には、目が一つしかないのだから。
この化け物が現れた場所は、飛華流の家の付近だった。それを見た全員、言葉を失った。
「フッハッハハハー。あれあれー? 僕のおもちゃは一体、どこへ行ったのかなー」
謎の何かは、狂った様に不気味な笑い声を上げ、ゆっくりと撮影者へと近づいていく。少年の荒々しい呼吸や、激しい手振れがリアルで、視聴者の恐怖を更に煽る。
迫りくる何かに命を狙われ、少年は隠れている状態なのだという事が動画から分かる。これは、かなり命懸けの撮影だ。動画はそこで終了し、女性キャスターが口を開いた。
「この動画を撮影した少年に、一体何があったのかを伺いました」
病室のベッドに横たわる、全身を包帯で巻かれた少年がテレビに映る。その少年は、なんと飛華流のよく知る人物だった。
ついに、こいつに呪いが発動したのか。いい気味だ。普段、自分をいじめるクラスメイトが、傷だらけになって寝込んでいる。
惨めな姿の勢安に、ひっそりと飛華流は笑みをこぼした。よし、まずは一人目だ。
「酷い怪我ですが、動画に映っていた謎の何かにやられたのですか?」
取材者に問われ、勢安はゆっくりと口を動かす。
「はい。僕は、レッドアイに殺されかけました。あいつは……僕を襲う前に、人の目玉を投げて遊んでいました」
「レッドアイとは……動画で捉えた、あの謎の何かの事ですか?」
「そうです。目が赤々としていたので、僕は分かりやすくそう呼んでいます」
怯えた瞳をした勢安は、気力の無い声でインタビューに答えていく。彼のそんな様を見ていた飛華流は、気づけば塾へ行く時間になっていた。
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