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Chapter 3 僕の場合
3.9 Symmetry operation
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ギルドカードの星は、物質ではない点で、通常の盗難とは明らかに質が異なる。
つまり、ユウマさんがロザリィさんの星を奪ったのは、純粋な魔法現象だ。
素直にいくと、ロザリィさんの星をユウマさんに移す、次のような変換魔法が、ふたりの間に作用したと考えたい所だ。
ロザリィさん
↓
ユウマさん
ところが、この世界において、一方通行の変換魔法は作用できない。この世界ではどんな変換魔法にも必ずその逆変換が成立する。この性質を可逆というのだった。
ロザリィさん
⇅
ユウマさん
この変換は可逆なので、たとえユウマさんが変換魔法で星を奪おうとしても、ロザリィさんが魔力を行使すれば、星を奪い返すことができる。ちょうど綱引きのように。
この作用機構は、例えば精神介入系の魔法にも共通する。以前、ニンゲンゴブリンのニゴさんが自分の思考をラトちゃんに移そうとした時には、ラトちゃんが逆に思考を操作していた。
金星等級であるロザリィさんの魔力が、銀星等級であるユウマさんの魔力に負けることは、いくら油断していたとしても考えにくい。ただ、それでもロザリィさんの星はなくなり、レベルの低下が確認された。
よって、考えていた魔法の作用機構が異なるか、あるいは神などによる超然現象が影響しているか、どちらかの可能性が高い。
今回はギルドカードにロザリィさんのレベル変動が観測されているので、冒険規定内の現象と見ることができる。よって、超自然的な非可逆変換は考えにくい。
以上より、魔法の作用機構が異なる可能性が高いと推定した。
僕が想定している変換魔法の作用機構は以下に示す通りだ。
まず、ひとりの冒険者について、星を持つ状態と持たない状態がある。銅星でも銀星でも金星でもいいけれど、次のように示すことにする。
*:星なし
⇅
☆:星あり
星は冒険者に共通の指標であり、対称性がある。
ここでいう対称性とは、ざっくり言えば、入れ替えても区別できないという性質だ。
例えば金星1のロザリィさんについて、ギルドカードで星以外の項目を全て隠してしまえば、記載されているのがロザリィさんの金星なのか、他の冒険者の金星なのかを、区別することはできないのだ。
今回、例えば金星1については、次の状態だった
ロザリィさん:=☆
ユウマさん:=*
この時、星の状態を入れ替えるような変換が、ふたりに対して作用したと考える。すると、ロザリィさんの☆とユウマさんの*は入れ替わる。
ロザリィさん:=*
ユウマさん:=☆
この変換が、ロザリィさんが持っていた銀星3,4,5および金星1に対して、それぞれ作用したのだと僕は想定している。
ポイントは、1つの星をふたりが奪い合うのではなく、ふたりがそれぞれ持つ星の状態が入れ換わる可逆な変換、対称操作を考えている点だ。
ここでは、ロザリィさんの☆の状態を盗むことは、ユウマさんが*の状態をロザリィさんに与えることと同じ意味を持つ。
星の状態を盗むという変換が、星の状態を与えるという変換と、本質的に同じ対称操作だとすれば、ロザリィさんの抵抗を受けずに作用できる可能性がある。
パーティメンバーに回復魔法をかける際、魔法抵抗に優れる者でも効果が薄れたりしないのと同じように。
「ですから恐らく、全く同じ変換を作用させれば元に戻るでしょう。ロザリィさんが対応できなかったことから、従来は実現していない魔法の可能性が高いですが、今後データを取得すれば」
「ルーちゃん、ロザリィはもう帰ったのだ」
全く気が付かなかった。
さすが、レベルの差をものともせずにひと晩逃げ切っただけはある。
聞いてもらえなかったのは残念だけれど、ロザリィさんがいなくても、魔力応答が分かれば変換魔法は再現できる。そして、必要な魔力はラトちゃんに供給して貰えるだろう。
「さっき言った通り、ふたりで森の奥まで行こうか」
「押し取りにも、そろそろ巡り合うお日柄なのだ」
僕たちの冒険者等級は銅星で、ギルドカードに載る範囲の状態を変換されても大した問題はない。
冒険者としての力量が無い方が安全というのは、なんとも妙な話だな。
つまり、ユウマさんがロザリィさんの星を奪ったのは、純粋な魔法現象だ。
素直にいくと、ロザリィさんの星をユウマさんに移す、次のような変換魔法が、ふたりの間に作用したと考えたい所だ。
ロザリィさん
↓
ユウマさん
ところが、この世界において、一方通行の変換魔法は作用できない。この世界ではどんな変換魔法にも必ずその逆変換が成立する。この性質を可逆というのだった。
ロザリィさん
⇅
ユウマさん
この変換は可逆なので、たとえユウマさんが変換魔法で星を奪おうとしても、ロザリィさんが魔力を行使すれば、星を奪い返すことができる。ちょうど綱引きのように。
この作用機構は、例えば精神介入系の魔法にも共通する。以前、ニンゲンゴブリンのニゴさんが自分の思考をラトちゃんに移そうとした時には、ラトちゃんが逆に思考を操作していた。
金星等級であるロザリィさんの魔力が、銀星等級であるユウマさんの魔力に負けることは、いくら油断していたとしても考えにくい。ただ、それでもロザリィさんの星はなくなり、レベルの低下が確認された。
よって、考えていた魔法の作用機構が異なるか、あるいは神などによる超然現象が影響しているか、どちらかの可能性が高い。
今回はギルドカードにロザリィさんのレベル変動が観測されているので、冒険規定内の現象と見ることができる。よって、超自然的な非可逆変換は考えにくい。
以上より、魔法の作用機構が異なる可能性が高いと推定した。
僕が想定している変換魔法の作用機構は以下に示す通りだ。
まず、ひとりの冒険者について、星を持つ状態と持たない状態がある。銅星でも銀星でも金星でもいいけれど、次のように示すことにする。
*:星なし
⇅
☆:星あり
星は冒険者に共通の指標であり、対称性がある。
ここでいう対称性とは、ざっくり言えば、入れ替えても区別できないという性質だ。
例えば金星1のロザリィさんについて、ギルドカードで星以外の項目を全て隠してしまえば、記載されているのがロザリィさんの金星なのか、他の冒険者の金星なのかを、区別することはできないのだ。
今回、例えば金星1については、次の状態だった
ロザリィさん:=☆
ユウマさん:=*
この時、星の状態を入れ替えるような変換が、ふたりに対して作用したと考える。すると、ロザリィさんの☆とユウマさんの*は入れ替わる。
ロザリィさん:=*
ユウマさん:=☆
この変換が、ロザリィさんが持っていた銀星3,4,5および金星1に対して、それぞれ作用したのだと僕は想定している。
ポイントは、1つの星をふたりが奪い合うのではなく、ふたりがそれぞれ持つ星の状態が入れ換わる可逆な変換、対称操作を考えている点だ。
ここでは、ロザリィさんの☆の状態を盗むことは、ユウマさんが*の状態をロザリィさんに与えることと同じ意味を持つ。
星の状態を盗むという変換が、星の状態を与えるという変換と、本質的に同じ対称操作だとすれば、ロザリィさんの抵抗を受けずに作用できる可能性がある。
パーティメンバーに回復魔法をかける際、魔法抵抗に優れる者でも効果が薄れたりしないのと同じように。
「ですから恐らく、全く同じ変換を作用させれば元に戻るでしょう。ロザリィさんが対応できなかったことから、従来は実現していない魔法の可能性が高いですが、今後データを取得すれば」
「ルーちゃん、ロザリィはもう帰ったのだ」
全く気が付かなかった。
さすが、レベルの差をものともせずにひと晩逃げ切っただけはある。
聞いてもらえなかったのは残念だけれど、ロザリィさんがいなくても、魔力応答が分かれば変換魔法は再現できる。そして、必要な魔力はラトちゃんに供給して貰えるだろう。
「さっき言った通り、ふたりで森の奥まで行こうか」
「押し取りにも、そろそろ巡り合うお日柄なのだ」
僕たちの冒険者等級は銅星で、ギルドカードに載る範囲の状態を変換されても大した問題はない。
冒険者としての力量が無い方が安全というのは、なんとも妙な話だな。
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