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第一章 学院編
第12話 ネームド・イーター③
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「ねえ、エスト君……」
「ん、何だ?」
「飛べるんなら、最初から飛んでいけばよかったんじゃ……」
「おまえがここを進むって言って森を指したからだろ」
「えぇ……」
俺一人なら飛んでいっていただろう。だが、いまはシャイルがいる。
人前であまり力を使うと俺の能力が空気を操る魔法だと露見してしまうから、能力は極力使わないようにしていたし、使ったとしても空気の能力だと特定できないように気を使っていた。
しかし、いまのシャイルなら俺の能力の正体に気づいていてもおかしくない。
「エスト、魚が登ってくる」
魚とはフォレストフィッシュのことだ。
白い光をまとう魚。そいつがどんな習性を備えていてどんな攻撃をしかけてくるのか、まるで見当がつかない。
いや、見当がつかないなんて、そんな言葉は俺にはふさわしくなかったな。得られる情報からその性質をプロファイリングして攻撃パターンを絞り込む。それが俺のやり方だ。
俺たちはひとまず目的地に向かって移動を始めた。
俺が空気の床をスライドさせているので、俺とシャイルは透明な動く歩道に運ばれているような状態だ。
フォレストフィッシュは俺たちを追ってきている。もしこいつに五感があるとしたら、何を頼りに俺たちを追ってくるのだろうか。
音? それはない。さっきは真空の壁で覆っていたのだ。空気中を波として伝播する音は真空中を伝わることができない。
臭い? それもない。俺は意図的に真空を作り出していたのだから、いかなる気体もその空間に侵入はできない。
となると、視覚で俺たちを捕捉しているということになる。
だが、ひと言に視覚といっても、動物によって性能差は大きい。動くものに反応する種、赤外線に反応する種、あるいは人間のように狭い可視領域の光を捉えている種。すぐに思いつくのはこの三種だ。
この三種に絞って考えるとすると、フォレストフィッシュは赤外線に反応している可能性が高い。さっき動いていなかった俺たちに向かってきていたのだから、動くものに反応するわけではないし、光を捉えるのだとすれば、自分自身の光に目が眩んで逆に何も見えない。
赤外線というのは、熱ではない。電磁波だ。
人間の平均体温は36.5度であるが、これを波長に換算すると約10µm。
燃え盛るスピアテイルはもっと強烈な赤外線を放っているだろうが、特定の波長を得物として認識しているのであれば、正確に俺たちを狙いつづけるのも納得できる。
「チッ、厄介な敵だな、こいつは」
仮に蜃気楼を作って目くらましをしようとも、赤外線を辿るフォレストフィッシュはまっすぐに俺たちに向かってくるということだ。
こいつから逃げおおせるのは至難。迎え撃つしかない。
だが、俺のプロファイリング結果には幸いな部分もある。
フォレストフィッシュはひたすら俺たちを追ってくるが、遠距離攻撃をしかけてくる様子はない。距離さえ保ちつづければ脅威ではないということだ。
魚を覆う光は攻撃手段ではなく、何かをカムフラージュしているに違いない。
「さすがのエスト君でも、お手上げ? 逃げましょう! せっかく空を飛べるんだから」
「お手上げなわけないだろ。逃げねーよ。いいから見ていろ」
俺は空気を薄く板状に固め、それをフォレストフィッシュに縦に打ち下ろした。
フォレストフィッシュがバッサリと二つに割れるが、破面がグニャリとうねり、不定形のスライムのように流動的にくっついて元に戻った。
「ふ、不死身……」
シャイルの顔に絶望の色が浮かぶ。
しかし俺の目は誤魔化せない。いまの攻撃でフォレストフィッシュは切られてなどいなかった。自ら体を分断し、攻撃を避けたのだ。
そう言いきる根拠は、フォレストフィッシュが二つに割れたとき、その破面の部分だけ胴径が増していたことにある。あの魚は小さい魚の集合体で、一匹の魚を装っているということだ。空気の刃を避けるために、破面の部分にいた魚は大きく動かなければならず、それでフォレストフィッシュの胴体が流動的に見えたのだ。
「安心しろ。フォレストフィッシュの正体はもう見切った」
「え、うそ⁉ 正体って何なの?」
「シャイル、スイミーって知っているか?」
「知らないけど……」
「そうか。知らないか……」
フォレストフィッシュの攻撃手段はおそらく、一匹の魚であるように見せて相手に油断させ、近づいたところで分散し、敵を覆うように全身に一匹一匹が噛みつき食い殺す、というものだろう。
もし敵が蜂の群れのように小さい大群だったら全力で逃げるしかない。フォレストフィッシュは本当は小さい魚なので速くはないから、敵を逃がさないために一匹の魚に成りすまして相手を油断させているのだ。
ただし、いまの俺は蜂の大群だろうが負ける気はしない。
俺は手をかざし、フォレストフィッシュを空気の板で囲った。
「あいつはあの空間に閉じ込めた。もう身動きは取れない」
「閉じ込めたって、私たちを浮かせているような透明な板でってこと? でも、あいつは光のバケモノなんだよ! 通り抜けてくるよ!」
「いいや、違う。あれはただの光っている魚だ。ま、空気中を泳いでいる時点で、ただの魚、って言うのはおかしいかもしれんがな」
案の定、フォレストフィッシュは透明な壁に立ち往生した。透明な壁にぶつかって形を崩すかと思ったが、ぶつかる前に止まった。空気の流れを敏感に感じ取っているのだろう。
さっきの空気包丁もかわされたのだから、それくらいは想定済みだ。
「ほ、本当だ……。でも、どうやって……」
「どうやって退治するか? なあ、シャイル。ミキサーって知っているか?」
「え? 何?」
小首を傾げるシャイルには、もう萎縮している様子はない。
俺は閉じ込めているフォレストフィッシュの正面へと自ら近づいた。
シャイルの顔に不安の色が蘇るが、俺はお構いなしに続けた。
「シャイル殿は御存知ないようですねぇ。ねえねえ、フォレストフィッシュさん。ミキサーというものを御存知ですか?」
俺はニヤリと笑う。魚が答えるはずもない。もちろん、小首を傾げるなんてこともない。
だって、ただの魚だもの。空を飛んでも、光をまとっても、俺の前ではただの魚にすぎない。
「御存知ないですか、そうですか。ではお教えしましょう。こういうものをいうんですよ!」
フォレストフィッシュを構成していた小魚たちがバラバラに散らばった。フォレストフィッシュを閉じ込めている空間の中に強烈な竜巻を発生させたのだ。そして魚たちの泳ぎはしだいに風に負けはじめ、勢いを増す風の細刃にどんどん切り裂かれていき、そして直方体の空間が真っ白に染まった。それは光ではなく、魚の身の色だ。
「白身魚さんでしたか。食べてないけど、ごちそうさまでした」
シャイルは酒場で飲みすぎたオヤジみたいに顔色を青くしてうつむいた。
「エスト君……。あなたって本当に下衆ね。友達を辞めたいなんて思った相手は、あなたが初めてだわ」
「ほう、それは意外だな。いままでに出会った奴らにそう思う相手はいなかったのか」
例えば、今日ここに来る前に遭遇したあの女とか。
「人間は誰しも醜い部分を内に秘めていて、それが表に出てくる程度は人それぞれだと思うの。でも、あなたは何というか、悪魔じみているのよ。あなたのそれは誰しもが持っているものではないというか、常軌を逸しているというか……」
「発想が天才的なだけだ。人は理解が追いつかないものを、敵だ、異物だ、と言って排除したがるものだ」
「エスト君は口も達者ね。きっと自分以外のみんなを見下しているんでしょうね」
「ああ、もちろん、そうだとも。ま、たまには目を見張るなかなかの奴もいるけどな」
風紀委員長のあの人とか、な。
それと……。
フォレストフィッシュ。誰が名づけたのか知らないが、うまく名づけたものだ。
ま、おそらくは森の中で目撃したからそう名づけたのだろうが、小さき者の集合体、大木ではなく森だったという事実を知っていて名づけたのだとしたら、相当センスのいい名付け親だと思う。
「エスト。ミスフォーチュン」
エアがまた顕現せずに俺に耳打ちする。
どこからともなく声が聞こえた気がしている様子のシャイルは首を捻って辺りを見まわしている。
「ああ、忘れてねーよ。どこにいるか分かるか?」
独り言をつぶやく俺を、シャイルは不思議そうな瞳で見つめる。
「見失った。たぶん、もう近くにはいない」
ミスフォーチュン。極めて異質な存在。
もはやイーターという枠を超えた別の生命なのではないかとさえ思える。
イーターには多種多様な相貌と性質のものが存在するが、たいていのものは標的を見定めたら、食うか食われるまで追跡を辞めない。まるで食欲のみを行動原理とするゾンビのように。
そんなイーターというカテゴリーに属しながら、ミスフォーチュンは一度得物を前にしておきながら行方をくらますし、その姿を人目に晒すこともしない。
本当に天災の一事象にすぎないのではないかとも思えてくる。
しかし、エアがその存在を感知できるからには、それは実在しているのだろう。
そしてそれは、もしかしたら、ネームド・オブ・ネームド・イーターであるアークドラゴンをも上回る脅威かもしれない。
「襲ってこないのなら、あえてこちらから追跡する必要もない。だが警戒だけは怠るな」
「分かった」
シャイルが安堵の吐息を漏らす。
主に同調するようにリムも尻尾を振っている。
「よかった。これでゆっくり歩けるね。エスト君、そろそろ下に……」
「何を言っている。さっき飛びたいって言っていたじゃないか。このまま飛んでいくぞ。歯を食いしばれよ」
「え……」
シャイルの表情がみるみる青ざめていく。
「シャイル。俺はおまえのそんな表情が嫌いじゃないぜ」
空を飛ぶからには全速力だ。風除けのバリアも張るが、急加速によるGがかかり、背もたれ代わりの硬い空気が背中に大圧力をかける。
「きゃぁあああああああ!」
目的地には一瞬で辿り着いた。
これくらいなら、歩いてもそんなに時間はかからなかったかもしれない。
「ん、何だ?」
「飛べるんなら、最初から飛んでいけばよかったんじゃ……」
「おまえがここを進むって言って森を指したからだろ」
「えぇ……」
俺一人なら飛んでいっていただろう。だが、いまはシャイルがいる。
人前であまり力を使うと俺の能力が空気を操る魔法だと露見してしまうから、能力は極力使わないようにしていたし、使ったとしても空気の能力だと特定できないように気を使っていた。
しかし、いまのシャイルなら俺の能力の正体に気づいていてもおかしくない。
「エスト、魚が登ってくる」
魚とはフォレストフィッシュのことだ。
白い光をまとう魚。そいつがどんな習性を備えていてどんな攻撃をしかけてくるのか、まるで見当がつかない。
いや、見当がつかないなんて、そんな言葉は俺にはふさわしくなかったな。得られる情報からその性質をプロファイリングして攻撃パターンを絞り込む。それが俺のやり方だ。
俺たちはひとまず目的地に向かって移動を始めた。
俺が空気の床をスライドさせているので、俺とシャイルは透明な動く歩道に運ばれているような状態だ。
フォレストフィッシュは俺たちを追ってきている。もしこいつに五感があるとしたら、何を頼りに俺たちを追ってくるのだろうか。
音? それはない。さっきは真空の壁で覆っていたのだ。空気中を波として伝播する音は真空中を伝わることができない。
臭い? それもない。俺は意図的に真空を作り出していたのだから、いかなる気体もその空間に侵入はできない。
となると、視覚で俺たちを捕捉しているということになる。
だが、ひと言に視覚といっても、動物によって性能差は大きい。動くものに反応する種、赤外線に反応する種、あるいは人間のように狭い可視領域の光を捉えている種。すぐに思いつくのはこの三種だ。
この三種に絞って考えるとすると、フォレストフィッシュは赤外線に反応している可能性が高い。さっき動いていなかった俺たちに向かってきていたのだから、動くものに反応するわけではないし、光を捉えるのだとすれば、自分自身の光に目が眩んで逆に何も見えない。
赤外線というのは、熱ではない。電磁波だ。
人間の平均体温は36.5度であるが、これを波長に換算すると約10µm。
燃え盛るスピアテイルはもっと強烈な赤外線を放っているだろうが、特定の波長を得物として認識しているのであれば、正確に俺たちを狙いつづけるのも納得できる。
「チッ、厄介な敵だな、こいつは」
仮に蜃気楼を作って目くらましをしようとも、赤外線を辿るフォレストフィッシュはまっすぐに俺たちに向かってくるということだ。
こいつから逃げおおせるのは至難。迎え撃つしかない。
だが、俺のプロファイリング結果には幸いな部分もある。
フォレストフィッシュはひたすら俺たちを追ってくるが、遠距離攻撃をしかけてくる様子はない。距離さえ保ちつづければ脅威ではないということだ。
魚を覆う光は攻撃手段ではなく、何かをカムフラージュしているに違いない。
「さすがのエスト君でも、お手上げ? 逃げましょう! せっかく空を飛べるんだから」
「お手上げなわけないだろ。逃げねーよ。いいから見ていろ」
俺は空気を薄く板状に固め、それをフォレストフィッシュに縦に打ち下ろした。
フォレストフィッシュがバッサリと二つに割れるが、破面がグニャリとうねり、不定形のスライムのように流動的にくっついて元に戻った。
「ふ、不死身……」
シャイルの顔に絶望の色が浮かぶ。
しかし俺の目は誤魔化せない。いまの攻撃でフォレストフィッシュは切られてなどいなかった。自ら体を分断し、攻撃を避けたのだ。
そう言いきる根拠は、フォレストフィッシュが二つに割れたとき、その破面の部分だけ胴径が増していたことにある。あの魚は小さい魚の集合体で、一匹の魚を装っているということだ。空気の刃を避けるために、破面の部分にいた魚は大きく動かなければならず、それでフォレストフィッシュの胴体が流動的に見えたのだ。
「安心しろ。フォレストフィッシュの正体はもう見切った」
「え、うそ⁉ 正体って何なの?」
「シャイル、スイミーって知っているか?」
「知らないけど……」
「そうか。知らないか……」
フォレストフィッシュの攻撃手段はおそらく、一匹の魚であるように見せて相手に油断させ、近づいたところで分散し、敵を覆うように全身に一匹一匹が噛みつき食い殺す、というものだろう。
もし敵が蜂の群れのように小さい大群だったら全力で逃げるしかない。フォレストフィッシュは本当は小さい魚なので速くはないから、敵を逃がさないために一匹の魚に成りすまして相手を油断させているのだ。
ただし、いまの俺は蜂の大群だろうが負ける気はしない。
俺は手をかざし、フォレストフィッシュを空気の板で囲った。
「あいつはあの空間に閉じ込めた。もう身動きは取れない」
「閉じ込めたって、私たちを浮かせているような透明な板でってこと? でも、あいつは光のバケモノなんだよ! 通り抜けてくるよ!」
「いいや、違う。あれはただの光っている魚だ。ま、空気中を泳いでいる時点で、ただの魚、って言うのはおかしいかもしれんがな」
案の定、フォレストフィッシュは透明な壁に立ち往生した。透明な壁にぶつかって形を崩すかと思ったが、ぶつかる前に止まった。空気の流れを敏感に感じ取っているのだろう。
さっきの空気包丁もかわされたのだから、それくらいは想定済みだ。
「ほ、本当だ……。でも、どうやって……」
「どうやって退治するか? なあ、シャイル。ミキサーって知っているか?」
「え? 何?」
小首を傾げるシャイルには、もう萎縮している様子はない。
俺は閉じ込めているフォレストフィッシュの正面へと自ら近づいた。
シャイルの顔に不安の色が蘇るが、俺はお構いなしに続けた。
「シャイル殿は御存知ないようですねぇ。ねえねえ、フォレストフィッシュさん。ミキサーというものを御存知ですか?」
俺はニヤリと笑う。魚が答えるはずもない。もちろん、小首を傾げるなんてこともない。
だって、ただの魚だもの。空を飛んでも、光をまとっても、俺の前ではただの魚にすぎない。
「御存知ないですか、そうですか。ではお教えしましょう。こういうものをいうんですよ!」
フォレストフィッシュを構成していた小魚たちがバラバラに散らばった。フォレストフィッシュを閉じ込めている空間の中に強烈な竜巻を発生させたのだ。そして魚たちの泳ぎはしだいに風に負けはじめ、勢いを増す風の細刃にどんどん切り裂かれていき、そして直方体の空間が真っ白に染まった。それは光ではなく、魚の身の色だ。
「白身魚さんでしたか。食べてないけど、ごちそうさまでした」
シャイルは酒場で飲みすぎたオヤジみたいに顔色を青くしてうつむいた。
「エスト君……。あなたって本当に下衆ね。友達を辞めたいなんて思った相手は、あなたが初めてだわ」
「ほう、それは意外だな。いままでに出会った奴らにそう思う相手はいなかったのか」
例えば、今日ここに来る前に遭遇したあの女とか。
「人間は誰しも醜い部分を内に秘めていて、それが表に出てくる程度は人それぞれだと思うの。でも、あなたは何というか、悪魔じみているのよ。あなたのそれは誰しもが持っているものではないというか、常軌を逸しているというか……」
「発想が天才的なだけだ。人は理解が追いつかないものを、敵だ、異物だ、と言って排除したがるものだ」
「エスト君は口も達者ね。きっと自分以外のみんなを見下しているんでしょうね」
「ああ、もちろん、そうだとも。ま、たまには目を見張るなかなかの奴もいるけどな」
風紀委員長のあの人とか、な。
それと……。
フォレストフィッシュ。誰が名づけたのか知らないが、うまく名づけたものだ。
ま、おそらくは森の中で目撃したからそう名づけたのだろうが、小さき者の集合体、大木ではなく森だったという事実を知っていて名づけたのだとしたら、相当センスのいい名付け親だと思う。
「エスト。ミスフォーチュン」
エアがまた顕現せずに俺に耳打ちする。
どこからともなく声が聞こえた気がしている様子のシャイルは首を捻って辺りを見まわしている。
「ああ、忘れてねーよ。どこにいるか分かるか?」
独り言をつぶやく俺を、シャイルは不思議そうな瞳で見つめる。
「見失った。たぶん、もう近くにはいない」
ミスフォーチュン。極めて異質な存在。
もはやイーターという枠を超えた別の生命なのではないかとさえ思える。
イーターには多種多様な相貌と性質のものが存在するが、たいていのものは標的を見定めたら、食うか食われるまで追跡を辞めない。まるで食欲のみを行動原理とするゾンビのように。
そんなイーターというカテゴリーに属しながら、ミスフォーチュンは一度得物を前にしておきながら行方をくらますし、その姿を人目に晒すこともしない。
本当に天災の一事象にすぎないのではないかとも思えてくる。
しかし、エアがその存在を感知できるからには、それは実在しているのだろう。
そしてそれは、もしかしたら、ネームド・オブ・ネームド・イーターであるアークドラゴンをも上回る脅威かもしれない。
「襲ってこないのなら、あえてこちらから追跡する必要もない。だが警戒だけは怠るな」
「分かった」
シャイルが安堵の吐息を漏らす。
主に同調するようにリムも尻尾を振っている。
「よかった。これでゆっくり歩けるね。エスト君、そろそろ下に……」
「何を言っている。さっき飛びたいって言っていたじゃないか。このまま飛んでいくぞ。歯を食いしばれよ」
「え……」
シャイルの表情がみるみる青ざめていく。
「シャイル。俺はおまえのそんな表情が嫌いじゃないぜ」
空を飛ぶからには全速力だ。風除けのバリアも張るが、急加速によるGがかかり、背もたれ代わりの硬い空気が背中に大圧力をかける。
「きゃぁあああああああ!」
目的地には一瞬で辿り着いた。
これくらいなら、歩いてもそんなに時間はかからなかったかもしれない。
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