僕の想いが君に通じますように

木野葉ゆる

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 試験は、過去最高の出来だった。
 明日から試験休み、そして夏休みが来る。社会人な僕は、日中は相変わらず仕事だ。盆休みが一週間あるけど。
 彼と会えない日が続くのか、と思うと、僕はため息しか出なくなる。
 一応、連絡先は知ってるけど、彼から連絡が来たことなんてない。メッセージも既読無視。
 
 教師からの連絡事項の伝達が済んで、教室では生徒たちが思い思いに過ごしている。
 彼が僕の側に来た。

「あんたは残業するの? 」
 僕は授業があるから、仕事終わりに真っ直ぐ学校に来ていた。小さな不動産事務所には、残業なんてほとんどない。苦手な飲み会とかもなくて、僕は助かっている。
「残業なんてしないよ」
 彼がなんでそんなことを聞いてきたのか分からないけど、僕は首を横に振って答えた。
「じゃあ、夜は暇だな? 」

 翌日の金曜日、僕は業務スーパーでタマネギとジャガイモと牛肉を買った。
 彼からの初めてのメッセージは、買い物メモだった。それから、自宅の住所とアプリの地図が張り付けてあった。
 彼の自宅は新興住宅地にある戸建住宅だった。建売じゃなくて注文住宅らしい建物は、まだ新しかった。
 
「いらっしゃい。……こっちがキッチンだから、カレー作って。ルーはこれ、人参は入れるな」
「……なんで僕が……」
 思わず漏らした不満の声は、彼のひと睨みで黙らせられる。
 渋々と、用意されていたエプロンを身につけて、包丁を手に取った。
 彼の家は、キッチンも含めて、とても綺麗で整頓されている。でも、あまり生活感はなかった。まるでモデルルームのようだと思う。
 買ってきた食材を使ってカレーを作った。一人暮らしが長いから、簡単な料理は出来る。
 彼は文句も褒め言葉も口にせず、黙々と食べた。
 僕は、なんだかなぁと思いながらも、スプーンを口に運んだ。
 
 僕も人のことは言えないが、彼の家庭も、家族円満とは言えなさそうだ。
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