僕の想いが君に通じますように

木野葉ゆる

文字の大きさ
8 / 9

⑻ ※

しおりを挟む
「相沢君、君を抱きたい……」
 
 僕はそっと、君の耳にそう囁いた。
 君の僕に対する想いは、恋や愛じゃないかもしれない。でも、体を重ねることで、僕の想いが君に伝わればいいと思った。君は愛されるべき人だと、僕の全てで伝えたかった。
 
「あんたはバカだ……」
 そんな風に言うくせに、君は僕の手を引いて、部屋へと連れて来てくれた。
 
 神聖なものに触れるかのように、僕は震えながら君にキスをした。
「……んっ……」
 重なった唇から、小さな声が漏れる。
 角度を変えて、何度も何度も啄む様なキスをした。
 濡れた君の唇と瞳に、ほんのりと色付いた頬に、どうしようもなく欲情した。
「相沢君は綺麗だ……、好きだよ」
 強張った肩を撫でて、耳の下にもキスをした。
 頸筋を唇で辿って、邪魔なシャツを脱がせた。
 君は恥ずかしそうに無意識に胸を隠す。
 肋骨の浮いた薄い身体。服を脱ぐと、思った以上に君は細くて、ちょっと心配になった。ちゃんと食べているのだろうか? そして、僕は君を壊してしまわないだろうか?
「俺の裸なんか見て、萎えねぇの? 」
 君はそっぽを向いてそんなことを言うから、その手を僕の脚の間に導いた。
「ほら、もうこんなに硬い。相沢君だからこうなるんだよ……。責任取ってね」
 悪戯っぽく囁いて、君の耳にかぷりと噛みついた。
「ひゃっ……」
 そんなかわいい声が聞こえたから、僕は嬉しくなって、左手で君の頭を撫でて、もう一度唇にキスをした。
 今度は口内にも舌を侵入させて、君の甘い舌を吸った。
 深く、深く、貪る様に、君とのキスに夢中になる。
 左手で頭を支えて、右手で背中を撫で摩る。
 脇腹に手をやると、君は擽ったそうに身を捩った。
「あんたも脱げよ……」
 シャツを脱いだら、君の手が恐々と僕に触れた。
 ああ、君は可愛い。
 耐えきれず、僕はベッドに君を押し倒した。
 
「相沢君は何もしなくていいから、僕に任せて。気持ち良かったら、素直に声を聞かせて、その方がもっと良くなるから……」
 優しく君の素肌を撫でながら、僕は唇で鎖骨を辿る。
 甘噛みしたり、吸い付いたり、簡単に痕のつく君の白い肌に、僕の印を刻んでいく。
 ポカリと、頭を叩かれた。
 君の顔を見たら、悔しそうに唇を歪めてた。
「なんか、あんた、慣れててムカつく……」
 ぼそっと、そんなことを言う君も、とても愛おしい。
「慣れてなんかないよ、ほら」
 君の手を、今度は僕の心臓の上にくっつけた。
 ずっと、心臓が壊れそうなくらい、鼓動が速くて煩いんだ。
「……熱い」
 うん、僕の肌も、熱を持ってる。
 こんなにも興奮してるのは、相沢君、君とだからだ。
 ギュッと抱きしめた。
「相沢君、大好きだよ」
「……ひさたか。久敬って呼んで」
「久敬、僕はさとる、智だよ」
「知ってるよ、智、もう一回キスして……」
 クスクスと笑いながら、僕たちはまたキスをした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話

タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。 瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。 笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。

情けない男を知っている

makase
BL
一見接点のない同僚二人は週末に飲みに行く仲である。

鈴木さんちの家政夫

ユキヤナギ
BL
「もし家事全般を請け負ってくれるなら、家賃はいらないよ」そう言われて鈴木家の住み込み家政夫になった智樹は、雇い主の彩葉に心惹かれていく。だが彼には、一途に想い続けている相手がいた。彩葉の恋を見守るうちに、智樹は心に芽生えた大切な気持ちに気付いていく。

ラベンダーに想いを乗せて

光海 流星
BL
付き合っていた彼氏から突然の別れを告げられ ショックなうえにいじめられて精神的に追い詰められる 数年後まさかの再会をし、そしていじめられた真相を知った時

白花の檻(はっかのおり)

AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。 その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。 この出会いは祝福か、或いは呪いか。 受け――リュシアン。 祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。 柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。 攻め――アーヴィス。 リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。 黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。 王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

処理中です...