28 / 32
第二十八話 番号803の病室
第二十八話 番号803の病室
労役施設の朝は、鐘の音から始まる。
まだ空が白みきらないうちに、低く重い鐘が鳴り、灰色の服を着た者たちが寝台から起き上がる。
番号803も、その一人だった。
かつてアルベルト男爵夫人と呼ばれた女。
そして一時は、自らを公爵夫人だと名乗った女。
だが今、その名を呼ぶ者はいない。
「803、起きろ」
監督女官の声が響く。
803は薄い毛布の中で身じろぎした。
身体が重い。
喉が焼けるように痛い。
胸の奥で、乾いた咳がひゅうひゅうと鳴っている。
「……少し、休ませて」
掠れた声で言う。
監督女官は表情を変えなかった。
「昨日も同じことを言った」
「本当に、苦しいの……」
「ならば病棟へ行く。そこで軽作業だ」
休めるわけではない。
労役施設において、病とは免除ではない。
作業内容が変わるだけだった。
803は震える手で寝台の縁を掴み、どうにか身体を起こした。
かつては侍女が髪を梳き、ドレスの紐を締め、香油を選んでくれた。
今は違う。
髪は乱れ、肌は荒れ、爪は割れている。
鏡はない。
それだけが救いだった。
自分の変わり果てた姿を見なくて済むから。
施設の中庭は冷たい風が吹いていた。
803は何度も咳き込みながら、病棟へ向かう列に並ぶ。
足元がふらつく。
前を歩く女にぶつかると、乱暴に睨まれた。
「邪魔よ」
以前の彼女なら、怒鳴り返しただろう。
「私に向かって何という口の利き方をするの」と。
けれど今、その言葉は出ない。
言ったところで、誰も従わない。
誰も怯えない。
彼女はもう、誰かを黙らせられる立場ではない。
病棟と呼ばれる建物は、屋敷の医務室とは似ても似つかなかった。
粗末な長机。
薬草の匂い。
薄暗い窓。
そこに座らされ、布を裂いて包帯を作る作業を与えられる。
指先が震え、何度も布を落とした。
監督女官が眉をひそめる。
「遅い」
「手が……」
「口ではなく手を動かせ」
803は唇を噛んだ。
布を裂く。
畳む。
束ねる。
ただそれだけの作業なのに、息が上がる。
胸が痛い。
咳が止まらない。
そのたびに、隣の者が迷惑そうに身を引く。
「うつさないでよ」
803は俯いた。
誰も心配しない。
誰も水を差し出さない。
誰も「奥様」と呼ばない。
その事実が、病よりも冷たく胸に刺さった。
昼過ぎ、王宮から一通の報告が届いた。
北部鉱山で、アルベルトが死亡したという知らせだった。
施設の管理官が、その文書を淡々と読み上げる。
「労役番号721、坑道崩落事故により死亡」
それだけ。
803はしばらく意味を理解できなかった。
「721……?」
自分の夫。
アルベルト。
かつて「あなたは公爵家を支える方ですわ」と持ち上げた男。
二人で、公爵家の屋敷の広間を我が物顔で歩いた。
娘に、公爵令嬢らしく振る舞いなさいと教えた。
エレノアを、世間知らずの小娘だと笑った。
その男が、番号で死んだ。
「……アルベルト様は?」
思わず、そう聞いた。
管理官は文書から目を上げる。
「労役番号721のことなら、死亡と伝えた」
「名前で……呼んでください」
声は震えていた。
管理官は少しも動じない。
「ここでは番号で管理する」
それだけだった。
803の胸の奥で、何かが崩れた。
夫の死を悼む暇さえ、名前を呼ぶ自由さえない。
彼女は布を握りしめたまま、低く笑った。
笑ったつもりだった。
だが、喉から出たのはひどい咳だった。
咳は止まらず、やがて布に赤い点が散った。
監督女官が顔をしかめる。
「医師を呼べ」
医師と言っても、王宮の名医ではない。
施設付きの年老いた治療師だった。
彼は803の手首を取り、瞼を見て、胸の音を聞いた。
そして短く言う。
「肺をやられている。作業は無理だな」
803は顔を上げた。
「では、休めるの……?」
ほんの少しだけ希望が混じった声だった。
治療師は首を横に振る。
「隔離病室へ移す。回復すれば軽作業に戻す」
回復すれば。
その言葉が、ひどく遠く聞こえた。
隔離病室は、病室というより倉庫に近かった。
薄い寝台が三つ。
小さな窓。
湿った石壁。
803はそこへ寝かされた。
毛布は薄く、身体は冷える。
それでも、作業場にいるよりは静かだった。
静かすぎて、過去の声が聞こえてくる。
「触らないで! 私は、公爵夫人よ!」
自分の声だった。
なんて高く、なんて愚かな声だったのだろう。
公爵夫人。
その言葉に、どれほど酔っていたのか。
本当は分かっていた。
アルベルトは公爵ではない。
自分は公爵夫人ではない。
セシリアは公爵令嬢ではない。
それでも、そう呼ばれるのが気持ちよかった。
誰も否定しないうちは、本当にそうなったような気がした。
エレノアが何度も訂正した。
男爵夫人です、と。
セシリアは男爵令嬢です、と。
公爵家の名は貸し借りするものではありません、と。
あの声が、今でも耳に残っている。
「……嫌な子」
掠れた声で呟く。
だが、その言葉には以前のような怒りはなかった。
ただの負け惜しみだった。
嫌な子だったのではない。
正しい子だったのだ。
それを認めるのが、悔しかっただけ。
夕暮れになると、管理官が再び部屋へ入ってきた。
「セシリアについての報告もある」
803は、ぼんやりした目を開けた。
「セシリア……?」
「国外商会への引き渡しは完了している」
胸が詰まる。
「どこに……」
「西方海運都市」
「会えるの……?」
管理官は無表情で答える。
「会えない」
その言葉は、病んだ身体に最後の重しのように落ちた。
夫は鉱山で死んだ。
娘は海の向こうへ売られた。
自分は、番号で呼ばれて病室にいる。
何も残っていない。
本当に、何も。
803は天井を見上げた。
石造りの天井は低く、暗い。
公爵邸の天井は高かった。
シャンデリアが輝いていた。
自分はあの広間で、当然のように笑っていた。
まるで、いつかすべて自分のものになると信じて。
「……エレノアさん」
小さく、その名を呼んだ。
返事はない。
呼んだところで、彼女は来ない。
来る理由もない。
謝りたかったのか。
恨み言を言いたかったのか。
助けてほしかったのか。
自分でも分からなかった。
ただ、最後に浮かぶのは、静かに立つエレノアの姿だった。
泣かず、怒らず、振り返らない少女。
公爵として、すべてを見届けた少女。
803は薄い毛布を握りしめる。
「セシリア……」
涙が一筋、こめかみを伝った。
その夜、熱が上がった。
呼吸はさらに浅くなり、咳は血を含んだ。
治療師が来たが、首を振るだけだった。
「朝までは持たないかもしれん」
監督女官は記録板に書き込む。
番号803。
病状悪化。
夜半。
803は、うわごとのように何かを呟いていた。
「このドレス……セシリアに似合うわ……」
「殿下が……見てくださるわ……」
「私は……公爵……」
そこで言葉が止まる。
違う。
もう、最後の最後でさえ、その嘘を言い切れなかった。
彼女は震える唇で、別の言葉を探した。
「私は……」
何者だったのか。
公爵夫人ではない。
男爵夫人でもない。
番号803。
けれど、それももうすぐ終わる。
朝が近づく前。
病室の小さな窓が、ほんの少し白み始めた頃。
803の呼吸は静かに止まった。
誰も泣かなかった。
治療師が脈を確認し、管理官へ告げる。
「死亡」
管理官は記録に一行を加えた。
――労役番号803。病死。
それで終わりだった。
葬儀はない。
花もない。
かつて身につけた真珠も、香油も、金の扇もない。
ただ、施設の裏手にある共同墓地へ運ばれる。
墓標には名前ではなく、番号だけが刻まれた。
803。
それが彼女の最後だった。
数日後。
公爵邸に、王宮から報告書が届いた。
ルークが封を開け、静かに読み上げる。
「労役番号803。病死。施設規定に従い、現地埋葬」
エレノアは執務机で書類に目を通していた。
ペンを置き、顔を上げる。
「そうですか」
短い返答。
「これで、アルベルトの妻についての処分は終了です」
ルークは慎重に言った。
「はい」
「記録庫へ」
「承知いたしました」
ルークは一礼し、報告書を閉じる。
エレノアは窓の外を見た。
薔薇が風に揺れている。
かつて玄関ホールで響いた声は、もうどこにもない。
――触らないで! 私は、公爵夫人よ!
その声は、番号803という記録に塗り潰された。
エレノアは静かに息を吐く。
「残るは、セシリアですね」
「はい」
ルークが答える。
「国外商会からの報告を待つことになります」
「分かりました」
エレノアは再び書類へ視線を落とす。
振り返らない。
哀れまない。
忘れもしない。
ただ、記録する。
公爵家の名を偽った者たちの末路を。
二人目の処分は、これで終わった。
そして最後の一人は、海の向こうにいる。
労役施設の朝は、鐘の音から始まる。
まだ空が白みきらないうちに、低く重い鐘が鳴り、灰色の服を着た者たちが寝台から起き上がる。
番号803も、その一人だった。
かつてアルベルト男爵夫人と呼ばれた女。
そして一時は、自らを公爵夫人だと名乗った女。
だが今、その名を呼ぶ者はいない。
「803、起きろ」
監督女官の声が響く。
803は薄い毛布の中で身じろぎした。
身体が重い。
喉が焼けるように痛い。
胸の奥で、乾いた咳がひゅうひゅうと鳴っている。
「……少し、休ませて」
掠れた声で言う。
監督女官は表情を変えなかった。
「昨日も同じことを言った」
「本当に、苦しいの……」
「ならば病棟へ行く。そこで軽作業だ」
休めるわけではない。
労役施設において、病とは免除ではない。
作業内容が変わるだけだった。
803は震える手で寝台の縁を掴み、どうにか身体を起こした。
かつては侍女が髪を梳き、ドレスの紐を締め、香油を選んでくれた。
今は違う。
髪は乱れ、肌は荒れ、爪は割れている。
鏡はない。
それだけが救いだった。
自分の変わり果てた姿を見なくて済むから。
施設の中庭は冷たい風が吹いていた。
803は何度も咳き込みながら、病棟へ向かう列に並ぶ。
足元がふらつく。
前を歩く女にぶつかると、乱暴に睨まれた。
「邪魔よ」
以前の彼女なら、怒鳴り返しただろう。
「私に向かって何という口の利き方をするの」と。
けれど今、その言葉は出ない。
言ったところで、誰も従わない。
誰も怯えない。
彼女はもう、誰かを黙らせられる立場ではない。
病棟と呼ばれる建物は、屋敷の医務室とは似ても似つかなかった。
粗末な長机。
薬草の匂い。
薄暗い窓。
そこに座らされ、布を裂いて包帯を作る作業を与えられる。
指先が震え、何度も布を落とした。
監督女官が眉をひそめる。
「遅い」
「手が……」
「口ではなく手を動かせ」
803は唇を噛んだ。
布を裂く。
畳む。
束ねる。
ただそれだけの作業なのに、息が上がる。
胸が痛い。
咳が止まらない。
そのたびに、隣の者が迷惑そうに身を引く。
「うつさないでよ」
803は俯いた。
誰も心配しない。
誰も水を差し出さない。
誰も「奥様」と呼ばない。
その事実が、病よりも冷たく胸に刺さった。
昼過ぎ、王宮から一通の報告が届いた。
北部鉱山で、アルベルトが死亡したという知らせだった。
施設の管理官が、その文書を淡々と読み上げる。
「労役番号721、坑道崩落事故により死亡」
それだけ。
803はしばらく意味を理解できなかった。
「721……?」
自分の夫。
アルベルト。
かつて「あなたは公爵家を支える方ですわ」と持ち上げた男。
二人で、公爵家の屋敷の広間を我が物顔で歩いた。
娘に、公爵令嬢らしく振る舞いなさいと教えた。
エレノアを、世間知らずの小娘だと笑った。
その男が、番号で死んだ。
「……アルベルト様は?」
思わず、そう聞いた。
管理官は文書から目を上げる。
「労役番号721のことなら、死亡と伝えた」
「名前で……呼んでください」
声は震えていた。
管理官は少しも動じない。
「ここでは番号で管理する」
それだけだった。
803の胸の奥で、何かが崩れた。
夫の死を悼む暇さえ、名前を呼ぶ自由さえない。
彼女は布を握りしめたまま、低く笑った。
笑ったつもりだった。
だが、喉から出たのはひどい咳だった。
咳は止まらず、やがて布に赤い点が散った。
監督女官が顔をしかめる。
「医師を呼べ」
医師と言っても、王宮の名医ではない。
施設付きの年老いた治療師だった。
彼は803の手首を取り、瞼を見て、胸の音を聞いた。
そして短く言う。
「肺をやられている。作業は無理だな」
803は顔を上げた。
「では、休めるの……?」
ほんの少しだけ希望が混じった声だった。
治療師は首を横に振る。
「隔離病室へ移す。回復すれば軽作業に戻す」
回復すれば。
その言葉が、ひどく遠く聞こえた。
隔離病室は、病室というより倉庫に近かった。
薄い寝台が三つ。
小さな窓。
湿った石壁。
803はそこへ寝かされた。
毛布は薄く、身体は冷える。
それでも、作業場にいるよりは静かだった。
静かすぎて、過去の声が聞こえてくる。
「触らないで! 私は、公爵夫人よ!」
自分の声だった。
なんて高く、なんて愚かな声だったのだろう。
公爵夫人。
その言葉に、どれほど酔っていたのか。
本当は分かっていた。
アルベルトは公爵ではない。
自分は公爵夫人ではない。
セシリアは公爵令嬢ではない。
それでも、そう呼ばれるのが気持ちよかった。
誰も否定しないうちは、本当にそうなったような気がした。
エレノアが何度も訂正した。
男爵夫人です、と。
セシリアは男爵令嬢です、と。
公爵家の名は貸し借りするものではありません、と。
あの声が、今でも耳に残っている。
「……嫌な子」
掠れた声で呟く。
だが、その言葉には以前のような怒りはなかった。
ただの負け惜しみだった。
嫌な子だったのではない。
正しい子だったのだ。
それを認めるのが、悔しかっただけ。
夕暮れになると、管理官が再び部屋へ入ってきた。
「セシリアについての報告もある」
803は、ぼんやりした目を開けた。
「セシリア……?」
「国外商会への引き渡しは完了している」
胸が詰まる。
「どこに……」
「西方海運都市」
「会えるの……?」
管理官は無表情で答える。
「会えない」
その言葉は、病んだ身体に最後の重しのように落ちた。
夫は鉱山で死んだ。
娘は海の向こうへ売られた。
自分は、番号で呼ばれて病室にいる。
何も残っていない。
本当に、何も。
803は天井を見上げた。
石造りの天井は低く、暗い。
公爵邸の天井は高かった。
シャンデリアが輝いていた。
自分はあの広間で、当然のように笑っていた。
まるで、いつかすべて自分のものになると信じて。
「……エレノアさん」
小さく、その名を呼んだ。
返事はない。
呼んだところで、彼女は来ない。
来る理由もない。
謝りたかったのか。
恨み言を言いたかったのか。
助けてほしかったのか。
自分でも分からなかった。
ただ、最後に浮かぶのは、静かに立つエレノアの姿だった。
泣かず、怒らず、振り返らない少女。
公爵として、すべてを見届けた少女。
803は薄い毛布を握りしめる。
「セシリア……」
涙が一筋、こめかみを伝った。
その夜、熱が上がった。
呼吸はさらに浅くなり、咳は血を含んだ。
治療師が来たが、首を振るだけだった。
「朝までは持たないかもしれん」
監督女官は記録板に書き込む。
番号803。
病状悪化。
夜半。
803は、うわごとのように何かを呟いていた。
「このドレス……セシリアに似合うわ……」
「殿下が……見てくださるわ……」
「私は……公爵……」
そこで言葉が止まる。
違う。
もう、最後の最後でさえ、その嘘を言い切れなかった。
彼女は震える唇で、別の言葉を探した。
「私は……」
何者だったのか。
公爵夫人ではない。
男爵夫人でもない。
番号803。
けれど、それももうすぐ終わる。
朝が近づく前。
病室の小さな窓が、ほんの少し白み始めた頃。
803の呼吸は静かに止まった。
誰も泣かなかった。
治療師が脈を確認し、管理官へ告げる。
「死亡」
管理官は記録に一行を加えた。
――労役番号803。病死。
それで終わりだった。
葬儀はない。
花もない。
かつて身につけた真珠も、香油も、金の扇もない。
ただ、施設の裏手にある共同墓地へ運ばれる。
墓標には名前ではなく、番号だけが刻まれた。
803。
それが彼女の最後だった。
数日後。
公爵邸に、王宮から報告書が届いた。
ルークが封を開け、静かに読み上げる。
「労役番号803。病死。施設規定に従い、現地埋葬」
エレノアは執務机で書類に目を通していた。
ペンを置き、顔を上げる。
「そうですか」
短い返答。
「これで、アルベルトの妻についての処分は終了です」
ルークは慎重に言った。
「はい」
「記録庫へ」
「承知いたしました」
ルークは一礼し、報告書を閉じる。
エレノアは窓の外を見た。
薔薇が風に揺れている。
かつて玄関ホールで響いた声は、もうどこにもない。
――触らないで! 私は、公爵夫人よ!
その声は、番号803という記録に塗り潰された。
エレノアは静かに息を吐く。
「残るは、セシリアですね」
「はい」
ルークが答える。
「国外商会からの報告を待つことになります」
「分かりました」
エレノアは再び書類へ視線を落とす。
振り返らない。
哀れまない。
忘れもしない。
ただ、記録する。
公爵家の名を偽った者たちの末路を。
二人目の処分は、これで終わった。
そして最後の一人は、海の向こうにいる。
あなたにおすすめの小説
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
pdf
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
愛しの第一王子殿下
みつまめ つぼみ
恋愛
公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。
そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。
クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。
そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。
あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです
じじ
恋愛
「あんな女、金だけのためさ」
アリアナ=ゾーイはその日、初めて婚約者のハンゼ公爵の本音を知った。
金銭だけが目的の結婚。それを知った私が泣いて暮らすとでも?おあいにくさま。あなたに恋した少女は、あなたの本音を聞いた瞬間消え去ったわ。
私が金づるにしか見えないのなら、お望み通りあなたのためにお金を用意しますわ…ただし、利子付きで。
真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
婚約破棄のその後に
ゆーぞー
恋愛
「ライラ、婚約は破棄させてもらおう」
来月結婚するはずだった婚約者のレナード・アイザックス様に王宮の夜会で言われてしまった。しかもレナード様の隣には侯爵家のご令嬢メリア・リオンヌ様。
「あなた程度の人が彼と結婚できると本気で考えていたの?」
一方的に言われ混乱している最中、王妃様が現れて。
見たことも聞いたこともない人と結婚することになってしまった。
「仕方ない」には疲れました ~三年続いた白い結婚を終わらせたら、辺境公爵の溺愛が待っていました~
ゆぷしろん
恋愛
「仕方ない」と白い結婚に耐え続けていた伯爵夫人エリス。
彼女の誕生日、夫は幼なじみのセシリアを屋敷に連れ帰り、エリスが大切にしてきた猫を彼女に見せろと言う。冷めた晩餐の前で心が折れたエリスは、ついに離縁を宣言し実家へ戻った。
彼女の薬草知識と領地経営の才は、北方を守る公爵ディートリヒが目を留める。流行り病に苦しむ公爵領を救うため奮闘するエリスは、初めて努力を認められ、大切に扱われる喜びを知っていく。一方で彼女を失った元夫の伯爵家は傾き、身勝手な幼なじみの嘘も暴かれて――。
我慢をやめた傷心令嬢が、辺境公爵に溺愛され、自分らしい幸せを選び直す逆転愛されファンタジー。
【短編】婚約解消を望もうとも、婚約者から言葉を聞かない限りは応じませんわ
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
伯爵令嬢のディアナ・アルヴィエは実家と絶縁し、婚約者であるアーレントの実家である辺境領の屋敷で暮らしていた。魔物討伐や結界の管理などを担う即戦力としていたディアナは、アーレンが成人したら結婚する。
はずだった。
王都に突如現れた黒竜討伐へと赴いた婚約者アーレンと様の部下だと名乗る使いから婚約解消の知らせが届く。それと同時に辺境地の結界に亀裂が入り、答え合わせは後回しとなるのだが、同時にカルト集団の奇襲を受けてしまい──!?
両親に愛されなかった令嬢が幸せを受け入れるまでのお話。
年下情緒不安定ヤンデレ騎士×自尊心の低い年上大魔法使いのお話。
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。