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「(……とは言ったものの、これはどうしようかしら)」
サクラちゃんの話を聞いた私は応えに迷っていた。
「(恐らく……というよりほぼ確実に肇くんはサクラちゃんのことが好きで、サクラちゃんも自覚がないだけで肇くんのことが好きになっちゃっている)」
「(個人的にはサクラちゃんの初恋を応援したい気持ちもあるんだけど……相手が悪すぎるわね……)」
まぁこうなることを予想できていたとはいえ、実際に聞かされるとやっぱり驚いてしまう。
「(アオイちゃんは絶対に反対するだろうし、どうしたものかしら)」
サクラちゃんだってもう子供じゃない。ここで下手に誤魔化しても状況が悪くなるだけだろう。
なにせ仕事の方にまで影響が出ているし……。
ただ、二人がくっつけたとしても、肇くんはいずれ元の世界に帰る。
そうなった時に、肇くんがいなくなった喪失感に耐えられるのか。いや、それよりも。
「……そもそもサクラちゃんがこっちに残ってくれるか、ね」
「残るってどこにですか?」
「え、あっ。ううん、今のは独り言だから気にしないで」
危ない危ない。うっかり声に出していたみたい。
お姉ちゃんなんだし、もっとしっかりしないと。
「それで、なにがわかったんですか」
「えっとね、話す前に私からサクラちゃんに一つだけ聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?」
「わたしに、ですか? それはいいですけど……」
「それじゃあ聞くけど、サクラちゃんは肇くんのことは好き?」
「はい、大好きです!」
「……仮に付き合えたとしても、絶対に後悔することになる。それでもサクラちゃんは肇くんを好きと言える?」
「………………ふぇ?」
「わかっているでしょ。肇くんはあっちの世界の人間。遅かれ早かれ別れは来るし、そうなったらもう二度と会えないかもしれない」
「そうなったら苦しむのも、後悔するのもサクラちゃんよ」
「それは……」
私の言葉に、サクラちゃんは少し戸惑ったように視線を右往左往させた後、真っすぐに私の眼を見て、
「……しません」
「え?」
「わたしは、肇さんと好きになったことを、絶対に後悔しません」
私はその瞳を見た時、もう何を言っても意味がないと悟った。
いくら私やアオイちゃんが説得しようとも、この子は自分の気持ちを曲げることはしないだろうと。
……運命とはまた奇妙なものだと強く思う。
あれから二十年以上経って、また同じことが起こりそうになっているのだから。
「(ツバキちゃん……)」
今でもふとした時に思い出す。
この世界に訪れた人間と出会い、恋をして、その人間と一緒に生きることを選んで無告の世界へ行ってしまった親友の名前。
彼女は今、どんな生活をしているのだろう、ちゃんとあの人間とやっていけているのだろうか、別れ際に言ったように世界で一番幸せになれているだろうか。
……もしも、幸せになっているのだとしたら、私は二人の恋を応援したい、とも思った。
「はぁ。そこまで言うならわかったわ。私は二人のことを応援するわ」
「ユズお姉ちゃん! ありがとうございますっ!」
「はいはい。わかったからすぐに抱き着かないの。それより私と作戦会議しましょうか」
「はいっ!」
「(……ごめんね、アオイちゃん)」
私は心の中で、そっと親友の妹に謝った。
サクラちゃんの話を聞いた私は応えに迷っていた。
「(恐らく……というよりほぼ確実に肇くんはサクラちゃんのことが好きで、サクラちゃんも自覚がないだけで肇くんのことが好きになっちゃっている)」
「(個人的にはサクラちゃんの初恋を応援したい気持ちもあるんだけど……相手が悪すぎるわね……)」
まぁこうなることを予想できていたとはいえ、実際に聞かされるとやっぱり驚いてしまう。
「(アオイちゃんは絶対に反対するだろうし、どうしたものかしら)」
サクラちゃんだってもう子供じゃない。ここで下手に誤魔化しても状況が悪くなるだけだろう。
なにせ仕事の方にまで影響が出ているし……。
ただ、二人がくっつけたとしても、肇くんはいずれ元の世界に帰る。
そうなった時に、肇くんがいなくなった喪失感に耐えられるのか。いや、それよりも。
「……そもそもサクラちゃんがこっちに残ってくれるか、ね」
「残るってどこにですか?」
「え、あっ。ううん、今のは独り言だから気にしないで」
危ない危ない。うっかり声に出していたみたい。
お姉ちゃんなんだし、もっとしっかりしないと。
「それで、なにがわかったんですか」
「えっとね、話す前に私からサクラちゃんに一つだけ聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?」
「わたしに、ですか? それはいいですけど……」
「それじゃあ聞くけど、サクラちゃんは肇くんのことは好き?」
「はい、大好きです!」
「……仮に付き合えたとしても、絶対に後悔することになる。それでもサクラちゃんは肇くんを好きと言える?」
「………………ふぇ?」
「わかっているでしょ。肇くんはあっちの世界の人間。遅かれ早かれ別れは来るし、そうなったらもう二度と会えないかもしれない」
「そうなったら苦しむのも、後悔するのもサクラちゃんよ」
「それは……」
私の言葉に、サクラちゃんは少し戸惑ったように視線を右往左往させた後、真っすぐに私の眼を見て、
「……しません」
「え?」
「わたしは、肇さんと好きになったことを、絶対に後悔しません」
私はその瞳を見た時、もう何を言っても意味がないと悟った。
いくら私やアオイちゃんが説得しようとも、この子は自分の気持ちを曲げることはしないだろうと。
……運命とはまた奇妙なものだと強く思う。
あれから二十年以上経って、また同じことが起こりそうになっているのだから。
「(ツバキちゃん……)」
今でもふとした時に思い出す。
この世界に訪れた人間と出会い、恋をして、その人間と一緒に生きることを選んで無告の世界へ行ってしまった親友の名前。
彼女は今、どんな生活をしているのだろう、ちゃんとあの人間とやっていけているのだろうか、別れ際に言ったように世界で一番幸せになれているだろうか。
……もしも、幸せになっているのだとしたら、私は二人の恋を応援したい、とも思った。
「はぁ。そこまで言うならわかったわ。私は二人のことを応援するわ」
「ユズお姉ちゃん! ありがとうございますっ!」
「はいはい。わかったからすぐに抱き着かないの。それより私と作戦会議しましょうか」
「はいっ!」
「(……ごめんね、アオイちゃん)」
私は心の中で、そっと親友の妹に謝った。
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