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リスタート
第4話
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「──っ城に戻ります!」
クロビスが叫ぶように言い、玄関の方へと走り出した。
「待って! あなたはすごく疲れているのに、また争いの場にいくなんて危ないじゃない」
「そんなことを言っている場合ではありません!」
「でも、あなたは昨日から働きすぎていると思うの」
「私ひとりだけそんなことを言っていられません!」
クロビスはサクラの制止の声に振り返ることなく、玄関を飛び出していった。
「──っ、そんなそんな! 昨日の今日でまた稀人だなんて」
サクラはクロビスのあとを追おうと、一歩前に足を踏み出した。
しかし、そばにいるヴァルカが悲鳴のような声をあげて床に座り込んでしまったので、サクラは立ち止まった。
「ああ、どうしてそんな。どうして神はこのようなことを……!」
「落ち着いてヴァルカさん。街に襲撃者が来たのは間違いないだろうけど、相手が稀人だとはかぎらないじゃない」
「いいえいいえ! いまの鐘の音は稀人の襲撃を知らせるものでございました。聞き間違えではございませんわ!」
「……え、もしかしてあの鐘って襲撃者によって音が違うの?」
「当然でございます! 稀人であれば兵士でもない私たちのような一般市民は、絶対に関わってはいけませんから」
ヴァルカがこんなときになにを言っているのだと、不思議そうな顔をしてサクラを見てくる。
知らなかった。
いま聞いた鐘の音は、サクラがゲーム内で聞いていた警報音と同じだった。
当然といえば当然のことだ。プレイヤーは稀人なのだから、それ専用の音を鳴らされるにきまっている。
てっきりすべての襲撃者にたいして同じ鐘の音が鳴っているものだと、サクラは思い込んでいた。
「……でもでも、そうですわね。サクラ様のおっしゃる通り、稀人ではないのかもしれません」
「そ、そうよ。だから落ち着きましょう」
サクラはそう言いながら、床に座り込んでいるヴァルカに手を貸す。
ヴァルカはサクラの手を掴んで、ゆっくりと立ち上がった。彼女はまだ不安そうな顔をしつつ、廊下の窓から城の方に視線を向ける。
「きっとご主人様は大丈夫ですわね。だってだって、稀人が二日も続けてやってくるなんて聞いたことがございませんもの」
ヴァルカは両手を合わせて祈っている。
そのままそっとしておいてあげたかったが、サクラはどうしても気になって尋ねてしまった。
「ねえヴァルカさん。稀人が数日という短期間で攻めてくることって、そんなに珍しいのかしら?」
「ええ、そうですわね。どんなに短くても、普通は半年くらいは空きますわね」
「へえ、そうなの。じゃあ三か月でもちょっと短いくらいだわね」
「はい? まあたしかに、私はこの街で生まれ育っておりますが、三か月ほどで稀人がやってきたなんてことは聞いたことがありません」
サクラが立て続けにする質問に、ヴァルカはどんどん困惑した顔になっていく。
この世界の住民であれば当たり前に知っていることを、サクラが質問してくる意味がわからないのだろう。
「……なるほどね。それはすごーく意図的なような気がするんじゃないのかな」
サクラは戸惑っているヴァルカをその場に残し、自室に向かった。
部屋の中に入ると、机の上に回収してきたアイテムを広げる。
「だいたいさ、ゲームをプレイしていたころからずっといけ好かないって思っていたのよ」
ベルヴェイクは、サクラが本当に知りたいと思っていたことは、なにも教えてはくれなかった。サクラの前に幻影とはいえ姿をみせたのは、自分に興味を持つように仕向けたつもりなのかもしれない。
「たぶんさ、あいつの言っていたことは本当のことなの。都合のいい部分だけ聞かせてきたのよ」
もっと知りたければ前に進め。
真実を手に入れたいのならば会いに来い。
ベルヴェイクが本当にサクラへ伝えたかったのは、そういうことなのかもしれない。
「乗ってやるわよその挑発。覚悟しておきなさいよね」
サクラは着ている服を脱ぐと、旅の踊り子装備を手に取った。
本当はゲームのスタート地点である暗礁の森で、モンスターを相手に戦闘の経験を積みたかった。戦い方の練習をする時間も与えてはくれないのか。
「恥ずかしがっている場合じゃない。防御力は心もとないけど、素早さとスタミナだって重要だもの!」
クロビスが叫ぶように言い、玄関の方へと走り出した。
「待って! あなたはすごく疲れているのに、また争いの場にいくなんて危ないじゃない」
「そんなことを言っている場合ではありません!」
「でも、あなたは昨日から働きすぎていると思うの」
「私ひとりだけそんなことを言っていられません!」
クロビスはサクラの制止の声に振り返ることなく、玄関を飛び出していった。
「──っ、そんなそんな! 昨日の今日でまた稀人だなんて」
サクラはクロビスのあとを追おうと、一歩前に足を踏み出した。
しかし、そばにいるヴァルカが悲鳴のような声をあげて床に座り込んでしまったので、サクラは立ち止まった。
「ああ、どうしてそんな。どうして神はこのようなことを……!」
「落ち着いてヴァルカさん。街に襲撃者が来たのは間違いないだろうけど、相手が稀人だとはかぎらないじゃない」
「いいえいいえ! いまの鐘の音は稀人の襲撃を知らせるものでございました。聞き間違えではございませんわ!」
「……え、もしかしてあの鐘って襲撃者によって音が違うの?」
「当然でございます! 稀人であれば兵士でもない私たちのような一般市民は、絶対に関わってはいけませんから」
ヴァルカがこんなときになにを言っているのだと、不思議そうな顔をしてサクラを見てくる。
知らなかった。
いま聞いた鐘の音は、サクラがゲーム内で聞いていた警報音と同じだった。
当然といえば当然のことだ。プレイヤーは稀人なのだから、それ専用の音を鳴らされるにきまっている。
てっきりすべての襲撃者にたいして同じ鐘の音が鳴っているものだと、サクラは思い込んでいた。
「……でもでも、そうですわね。サクラ様のおっしゃる通り、稀人ではないのかもしれません」
「そ、そうよ。だから落ち着きましょう」
サクラはそう言いながら、床に座り込んでいるヴァルカに手を貸す。
ヴァルカはサクラの手を掴んで、ゆっくりと立ち上がった。彼女はまだ不安そうな顔をしつつ、廊下の窓から城の方に視線を向ける。
「きっとご主人様は大丈夫ですわね。だってだって、稀人が二日も続けてやってくるなんて聞いたことがございませんもの」
ヴァルカは両手を合わせて祈っている。
そのままそっとしておいてあげたかったが、サクラはどうしても気になって尋ねてしまった。
「ねえヴァルカさん。稀人が数日という短期間で攻めてくることって、そんなに珍しいのかしら?」
「ええ、そうですわね。どんなに短くても、普通は半年くらいは空きますわね」
「へえ、そうなの。じゃあ三か月でもちょっと短いくらいだわね」
「はい? まあたしかに、私はこの街で生まれ育っておりますが、三か月ほどで稀人がやってきたなんてことは聞いたことがありません」
サクラが立て続けにする質問に、ヴァルカはどんどん困惑した顔になっていく。
この世界の住民であれば当たり前に知っていることを、サクラが質問してくる意味がわからないのだろう。
「……なるほどね。それはすごーく意図的なような気がするんじゃないのかな」
サクラは戸惑っているヴァルカをその場に残し、自室に向かった。
部屋の中に入ると、机の上に回収してきたアイテムを広げる。
「だいたいさ、ゲームをプレイしていたころからずっといけ好かないって思っていたのよ」
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「たぶんさ、あいつの言っていたことは本当のことなの。都合のいい部分だけ聞かせてきたのよ」
もっと知りたければ前に進め。
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ベルヴェイクが本当にサクラへ伝えたかったのは、そういうことなのかもしれない。
「乗ってやるわよその挑発。覚悟しておきなさいよね」
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本当はゲームのスタート地点である暗礁の森で、モンスターを相手に戦闘の経験を積みたかった。戦い方の練習をする時間も与えてはくれないのか。
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