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転職
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「ねえクヌート。そもそも明後日まで親は街へやってこないの?」
タニヤは眉間にしわを寄せながらクヌートへ問いかけた。
すると、マルクがぽんと手を叩いて声を上げる。
「それは私も気がかりだったのです。こちらとしては都合がよいのは明後日なのですが、モンスターはこちらのことなどお構いなしでしょうから……」
「きゅきゅきゅ、きゅきゅい。きゅーい」
タニヤとマルクの疑問に、クヌートがすぐさま答えた。
マルクは真剣に話をしているクヌートに笑顔を見せながら、ちらりと横目でタニヤに視線を送ってくる。
タニヤは慌ててクヌートの言葉をマルクに翻訳して聞かせた。
「明日にでも襲撃してこられるほど街の近くまで親が来ているのならば、自分がとっくに気配に気がついている。だから心配いらない、だそうです」
タニヤがマルクに向かって話をしていると、クヌートは机の上でどこか遠くを見つめはじめた。
クヌートは背筋を伸ばして後ろ脚だけで真っすぐに立ち、街周辺のモンスターの気配を探っている。
その姿を、マルクは物珍しそうに眺めてから口を開いた。
「……でしたら、明後日のパーティのときに決行で問題ありませんね」
「私は問題ありません。屋敷のそばまで案内していただければ、あとは私とクヌートの二人で侵入してあの子を連れ出します」
「きゅきゅい(問題ない)」
クヌートが胸を張って得意げにしているので、マルクは困惑しながらもタニヤに最終確認をしてくる。
「では明後日で決まりですね。ですが、本当にお二人で大丈夫ですか? モンスターが暴れるとも限りませんし、こちらで人を手配できますが……」
「こっそり忍び込むのに人数が増えるのは得策とは思えません。大丈夫ですよ。もし子供が暴れたらこれを使います」
タニヤはそう言いながら、大げさに髪をかき上げる。
クヌートと同じように得意げな表情を浮かべると、タニヤは真っすぐにマルクを見つめた。
「少々手荒ですが、鳴き声も遮断されるでしょうし。親がくるまでの時間稼ぎにもなると思います」
タニヤはかき上げた髪を右耳にかけ、身につけている耳飾りをマルクに見せた。
「おや、それは何だい? アンタがそんなことを言うのだから、ただの耳飾りじゃないのだろうね」
「……きゅーい……」
グリエラはタニヤの耳飾りを見て、すぐに質問をしてきた。
机の上にいたクヌートが、タニヤの耳飾りを見て呆れたように小さく鳴き声を上げる。
クヌートはゆっくりと首を振り、机の上に寝ころんでしまった。
「これ、すっごく便利なのですよ。どんな大きさの荷物も綺麗さっぱり収納できてしまう魔法道具なのです!」
タニヤは眉間にしわを寄せながらクヌートへ問いかけた。
すると、マルクがぽんと手を叩いて声を上げる。
「それは私も気がかりだったのです。こちらとしては都合がよいのは明後日なのですが、モンスターはこちらのことなどお構いなしでしょうから……」
「きゅきゅきゅ、きゅきゅい。きゅーい」
タニヤとマルクの疑問に、クヌートがすぐさま答えた。
マルクは真剣に話をしているクヌートに笑顔を見せながら、ちらりと横目でタニヤに視線を送ってくる。
タニヤは慌ててクヌートの言葉をマルクに翻訳して聞かせた。
「明日にでも襲撃してこられるほど街の近くまで親が来ているのならば、自分がとっくに気配に気がついている。だから心配いらない、だそうです」
タニヤがマルクに向かって話をしていると、クヌートは机の上でどこか遠くを見つめはじめた。
クヌートは背筋を伸ばして後ろ脚だけで真っすぐに立ち、街周辺のモンスターの気配を探っている。
その姿を、マルクは物珍しそうに眺めてから口を開いた。
「……でしたら、明後日のパーティのときに決行で問題ありませんね」
「私は問題ありません。屋敷のそばまで案内していただければ、あとは私とクヌートの二人で侵入してあの子を連れ出します」
「きゅきゅい(問題ない)」
クヌートが胸を張って得意げにしているので、マルクは困惑しながらもタニヤに最終確認をしてくる。
「では明後日で決まりですね。ですが、本当にお二人で大丈夫ですか? モンスターが暴れるとも限りませんし、こちらで人を手配できますが……」
「こっそり忍び込むのに人数が増えるのは得策とは思えません。大丈夫ですよ。もし子供が暴れたらこれを使います」
タニヤはそう言いながら、大げさに髪をかき上げる。
クヌートと同じように得意げな表情を浮かべると、タニヤは真っすぐにマルクを見つめた。
「少々手荒ですが、鳴き声も遮断されるでしょうし。親がくるまでの時間稼ぎにもなると思います」
タニヤはかき上げた髪を右耳にかけ、身につけている耳飾りをマルクに見せた。
「おや、それは何だい? アンタがそんなことを言うのだから、ただの耳飾りじゃないのだろうね」
「……きゅーい……」
グリエラはタニヤの耳飾りを見て、すぐに質問をしてきた。
机の上にいたクヌートが、タニヤの耳飾りを見て呆れたように小さく鳴き声を上げる。
クヌートはゆっくりと首を振り、机の上に寝ころんでしまった。
「これ、すっごく便利なのですよ。どんな大きさの荷物も綺麗さっぱり収納できてしまう魔法道具なのです!」
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