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魔族
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いま動かなければ死ぬかもしれないと思った。
先ほどまでの躊躇する気持ちがどこかに吹き飛んでしまうほどの殺気を少女から感じた。
イルシアも同様だったらしく、二人で同時に少女に向かって攻撃をしかけていた。身体が本能的に動いていたのだ。倒れているエリクとアヤを巻き込んでしまうかもしれないなどと言っている場合ではなかった。
ライラは一歩踏み出すと同時に、全身へ精霊の力を纏って全力で少女に向かう。
しかし、ライラの攻撃は少女に届かなかった。少女の纏う黒い霧に阻まれ近付くこともできなかった。
「――っくそ! 邪魔だぞてめえ!」
「悪いけどアンタの相手は私よ!」
イルシアは少女の黒い霧に阻まれる前に、エセリンドから攻撃を受けていた。
イルシアの槍をエセリンドが弾き飛ばす。そのまま二人は激しい戦闘を始めた。
「ふふふふふ、二人っきりだね。なんだか嬉しいなあ」
「……私はまったく嬉しくないわよ。そもそも、二人きりじゃないし」
口の端を上げてニヤリと笑う少女に、ライラは顔をしかめる。
「ええー、僕はすごく嬉しいよ」
ライラがもう一度攻撃をしかけるために構えると、少女はまあまあと言いながら手を合わせた。
「僕はね、君のことを前から知っていたんだ。こうして会うのははじめてだけど、君のことはよーく知っているよ」
「…………どういうことよ。私を以前から知っていた?」
少女がねっとりとした視線をこちらにむけてくるので、ライラは背筋がぞっとした。
「うふふ、知りたい? 知りたいよねえ。こんな風に意味深に言われちゃったら、すっごく気になるよねえ?」
少女は再びエリクを足蹴にしながら笑う。彼の呻き声が耳に届く。
「――っやめて! 二人には手を出さないで‼」
ライラが叫ぶと、少女は見せつけるように勢いよくエリクを蹴とばした。助けに行きたいが、瘴気の霧に阻まれて近づけない。
「――あはははははははははは! 心配だよねえ? 僕がこの子のことをどうするのか気になるよねえ?」
少女はアヤをきつく抱きしめているエリクの背中をもう一度蹴とばした。
エリクが蹴られた衝撃で怯んだ隙に、アヤの首を掴んで彼から引き離す。
「やめて! お願いだからその子から手を離して!」
瘴気の渦をかき分けながらアヤへ手を伸ばすがどうしても近づけない。
「うっふっふっふっふー。どうしようかなあ」
少女は楽しそうに笑いながらエリクの背中を何度も蹴り飛ばす。
目の前で人が傷つけられているのに何もできないのはもどかしい。
「もし君が僕の言うことを聞いてくれたら、この子を無事に返すというのはどうかなあ?」
「――わかった、わかったわよ! 何でも言うことを聞くから‼」
ライラがそう叫ぶと、少女は大声で笑いだした。
「あははははははは! 即答なんだ! まだ何も要求をしていないのに、何でもするってさ!」
少女はひとしきり笑い終えると、アヤをエリクの元へ投げ捨てた。すると、少女の周りに漂っていた瘴気が薄くなっていく。
少女がゆっくりと歩み寄ってくる。
ライラは少女が自分の元までやってくるまで何もせずに立ちつくしていた。ライラが一歩でも動けば再びアヤを盾にするのは目に見えている。
「本当に君は子供のこととなると周りが見えなくなるねえ」
ライラの目の前に立ってけらけらと笑う少女を見て、全身から血の気が引いていくのがわかった。
先ほどまでの躊躇する気持ちがどこかに吹き飛んでしまうほどの殺気を少女から感じた。
イルシアも同様だったらしく、二人で同時に少女に向かって攻撃をしかけていた。身体が本能的に動いていたのだ。倒れているエリクとアヤを巻き込んでしまうかもしれないなどと言っている場合ではなかった。
ライラは一歩踏み出すと同時に、全身へ精霊の力を纏って全力で少女に向かう。
しかし、ライラの攻撃は少女に届かなかった。少女の纏う黒い霧に阻まれ近付くこともできなかった。
「――っくそ! 邪魔だぞてめえ!」
「悪いけどアンタの相手は私よ!」
イルシアは少女の黒い霧に阻まれる前に、エセリンドから攻撃を受けていた。
イルシアの槍をエセリンドが弾き飛ばす。そのまま二人は激しい戦闘を始めた。
「ふふふふふ、二人っきりだね。なんだか嬉しいなあ」
「……私はまったく嬉しくないわよ。そもそも、二人きりじゃないし」
口の端を上げてニヤリと笑う少女に、ライラは顔をしかめる。
「ええー、僕はすごく嬉しいよ」
ライラがもう一度攻撃をしかけるために構えると、少女はまあまあと言いながら手を合わせた。
「僕はね、君のことを前から知っていたんだ。こうして会うのははじめてだけど、君のことはよーく知っているよ」
「…………どういうことよ。私を以前から知っていた?」
少女がねっとりとした視線をこちらにむけてくるので、ライラは背筋がぞっとした。
「うふふ、知りたい? 知りたいよねえ。こんな風に意味深に言われちゃったら、すっごく気になるよねえ?」
少女は再びエリクを足蹴にしながら笑う。彼の呻き声が耳に届く。
「――っやめて! 二人には手を出さないで‼」
ライラが叫ぶと、少女は見せつけるように勢いよくエリクを蹴とばした。助けに行きたいが、瘴気の霧に阻まれて近づけない。
「――あはははははははははは! 心配だよねえ? 僕がこの子のことをどうするのか気になるよねえ?」
少女はアヤをきつく抱きしめているエリクの背中をもう一度蹴とばした。
エリクが蹴られた衝撃で怯んだ隙に、アヤの首を掴んで彼から引き離す。
「やめて! お願いだからその子から手を離して!」
瘴気の渦をかき分けながらアヤへ手を伸ばすがどうしても近づけない。
「うっふっふっふっふー。どうしようかなあ」
少女は楽しそうに笑いながらエリクの背中を何度も蹴り飛ばす。
目の前で人が傷つけられているのに何もできないのはもどかしい。
「もし君が僕の言うことを聞いてくれたら、この子を無事に返すというのはどうかなあ?」
「――わかった、わかったわよ! 何でも言うことを聞くから‼」
ライラがそう叫ぶと、少女は大声で笑いだした。
「あははははははは! 即答なんだ! まだ何も要求をしていないのに、何でもするってさ!」
少女はひとしきり笑い終えると、アヤをエリクの元へ投げ捨てた。すると、少女の周りに漂っていた瘴気が薄くなっていく。
少女がゆっくりと歩み寄ってくる。
ライラは少女が自分の元までやってくるまで何もせずに立ちつくしていた。ライラが一歩でも動けば再びアヤを盾にするのは目に見えている。
「本当に君は子供のこととなると周りが見えなくなるねえ」
ライラの目の前に立ってけらけらと笑う少女を見て、全身から血の気が引いていくのがわかった。
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