家族や親族はままならぬものですね。似たような経験があるので、真奈美さんに感情移入できました。

初めまして。
読ませていただきました。

とても良かったです。

まず、前半では田舎の理不尽さが際立って感じられ、希星ちゃんに声をかけられてからは一転、祖母の本当の気持ちが明らかになる、という展開。
そこでお話がくるりと形を変える感じがして、その真意と物語の意図がとても気になりだしました。

けれど、二人の会話から「本当は祖母は孫思いの優しい人でした」という、ありがちだけれど一方的な話に収束しては行かず、主人公の立場からの感情がしっかり描かれたことで、物語の多角的な視点を感じました。
相容れない田舎の風習は、あまり肯定的には捉えられませんが（あくまでこのお話を通しては、という意味ですが）、主人公、祖母、希星の三者は、それぞれ否定しきることの出来ない複雑で切実な思いを抱いていたのだろうと感じられます。
そういう、正解ではないかもしれないけれど彼らなりの大切な思いがあったという、その部分をあぶりだされたようで、感慨を覚えました。

主人公の選んだ生き方を、否定的な意味で「逃げる」とする見方も確かにきっとあって、けれど主人公の言うように「逃げる」ことは簡単ではないのですよね。
この場合の「逃げる」は、見方を変えれば自分の足で自分の道を歩き始めているということ。
祖母の時代には叶わなかったことを主人公はしっかりとやっているんですよね。

希星ちゃん背景について、彼女が主人公にぶつけた言葉の後ろにあることを、物語として読んでみたいなと、贅沢なことを考えました。

ともあれ、とても良かったです。
ありがとうございました。

きっと物語としては周囲と和解して祖母さんとの過去も受け入れて前に進むというのが綺麗にまとまるのかもしれません。どこかで気持ちに折り合いをつけるのが大人としては正しいと思うから。でもそれって綺麗ごとだなとも思います。逃げ出したまま、それはそれで良いんだよと言ってあげたい気もする。甘えだと責められたりもするだろうけど。