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3.増えるダンジョンポイント

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 ピピピピという目覚まし時計の音で目が覚める。
 もう少し寝ていたい気分だけど睡眠時間で言えばもう8時間は寝ているはずだ。
 今日はやりたいことがたくさんあるし、時間を無駄にするわけにはいかない。
 俺はダンジョンポイントで生み出した寝袋から這い出し、顔を洗う。
 ポイントの関係で今このダンジョンコアルームには学生時代の合宿所のような洗面台と実家の納屋のようなボットン便所しか設備が無い。
 寝具も硬い地面に寝袋直寝だからあまり寝心地が良くない。
 早くダンジョンポイントを溜めて快適な生活が送りたいものだ。

「はぁ、慣れないな……」

 洗面台の小さな鏡に映る自分の顔は、全く見覚えの無い外国人顔だ。
 彫りはそれほど深くは無いが肌の色が病的に白い。
 髪は赤みがかった黒。
 瞳の色は綺麗な緑だ。
 元の冴えないしょうゆ顔よりも確実に男前にはなっていると思うが、鏡を見ても一瞬自分だとは認識できない。
 早く慣らしておかないと寝ぼけて鏡を見たときなどにびっくりしてしまいそうだ。
 しかし転生者というのが俺のほかにもいるとしたら、俺とは逆の人もいると思うんだ。
 俺は前世よりも男前になったが、逆に前世でイケメンでブサイクに転生してしまった人やそもそも人ではない生き物に転生した人もいるかもしれない。
 オークやゴブリンに転生なんてしてしまった人は悲惨だろうな。
 自分の顔が醜いモンスターの顔になっているのを鏡で見た日には俺なら発狂してしまいそうだ。
 魔王という種族が人型で本当によかった。

「さて、ダンジョンポイントはどうなっているかな」

DP:150

「おお、50も増えている」

 いざという時の備えとして100ポイント残してすべて使い切ったダンジョンポイントは、一晩経つと150ポイントにまで増えていた。
 ダンジョンポイントは侵入者がいなくても土地の余剰魔力を吸収して1日に平均で10ポイント程度は増えるはずなのだが、俺のダンジョンはなぜだか50ポイントも増えている。
 この土地がそれほど魔力の豊富な土地だということなのだろうか。
 この岩山は火山っぽいからな。
 ダンジョンができて頻繁に噴火する火山地帯が静まるということはこの世界では良くあることらしいし、この島も火山島だったのかもしれない。
 俺のダンジョンができたおかげで火山が静まったのだとすれば、感謝して欲しいくらいだ。
 火山は静まるし、俺はダンジョンポイントをたくさんもらえるしウィンウィンだな。
 もう片方のウィンが誰なのかは分からないが。
 今後島に知的生命体が俺一人だとすれば、孤独との戦いになるかもしれないな。


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