100 / 131
100.展望温泉
しおりを挟む
7月、高天神城へ徳川軍の救援に向かっていた信長が帰ってきた。
なんとか間に合って、高天神城は武田軍の手に落ちずに済んだようだ。
また史実とは違った結果になってしまった。
史実では高天神城は落ち、徳川からは侍が離反して逆に武田勝頼は武田家当主として家臣たちの支持を厚くする。
松姫様のお兄さんである仁科盛信さんに頼んだささやかな工作が大きな効果を発揮している。
戦国時代の戦いにはあとちょっとあれがこうなっていたら結果は変わっていたかもしれないという戦いが多いから、ほんの少し武田方の戦力が少ないだけで結果がガラッと変わってしまうんだね。
武田勝頼は新米当主だから、家臣たちを従えるためには実績というものが必要になってくる。
史実では明智城や高天神城を落とすことで家臣たちに自分は戦が強いということをアピールして従えていたようだけれど、パラレルなこの世では負け星ばかりが付いてしまっていた。
特に高天神城を落とせなかったのは痛い。
高天神城は勝頼のお父さんである武田信玄をも退けたことのあるお城だ。
それを落とすことで、史実の勝頼は自分はお父さんよりも強いんだぞと家臣たちにアピールすることができた。
逆に考えれば、高天神城を落とせなかった勝頼に家臣たちを纏めることは難しい。
もう長篠の戦いは起こらないかもしれないな。
かの有名な武田騎馬軍団が勝頼に従わない可能性すらある。
このまま武田は分裂して内戦に突入かもな。
そうなれば周りの武将に寄って集られて領地を食い荒らされるだろう。
信濃はやっぱり信長が取るのかな。
甲斐はちょっと遠いから関東勢が取るかもな。
あのあたりは結構いい温泉地なだけに、あまり荒らしてほしくは無いな。
やっぱり温泉、家に欲しいな。
『できますぞ』
「できるの!?」
『ダンジョンの力と拙者の魔導工学を合わせれば、できないことなどほとんどありませぬ』
すごいな魔導工学。
では早速やってもらおう。
自宅といってもあの長屋に温泉を引くわけにはいかないから、沖ノ鳥島の屋敷と蟹江ダンジョンの屋上あたりに引いてもらおうかな。
蟹江ダンジョンの屋上には何か造りたいと思っていたところだ。
なんてったって240メートルの建物の屋上だよ。
それも周りに高層ビル建築なんて無い戦国時代の。
蟹江ダンジョンの屋上に立つと、まるで空を自分だけのものにしてしまったかのような優越感がある。
ここに温泉が引けたら最高だろうな。
まずは浴槽を作ろう。
浴槽はダンジョンのオプションを使えばいいので簡単だ。
居住区、タイプバスルームの浴槽総ヒノキトリプルラージサイズをタップ。
転落防止用の柵しかなかった蟹江ダンジョンの屋上に、3メートル×9メートルのヒノキの浴槽ができあがった。
雨の日でも入れるように屋根を追加。
でも星を見ながら入りたいときもあるだろうから屋根はガラス張りにしておこう。
洗い場は無駄にたくさんつけておく。
塩分の強い泉質の温泉なんかだと乾くとお肌がベタベタするものもあるから、洗い場のシャワーから出るのは真水だ。
全てヒノキで出来た浴槽の匂いを嗅げば、まるで新築の家みたいな清涼感溢れる匂いに包まれる。
「完璧だね。あとはお湯だけだ。どこの温泉なら引けるの?」
『どこでもでござる。北海道登別温泉のお湯であろうが、イタリアのサトゥルニア温泉のお湯であろうが、現地まで行って源泉をダンジョン領域に取り込んできていただければここまで引くことは可能でござる』
距離は関係ないみたいだ。
それよりも海外の温泉というものにも興味が湧いてきた。
イタリアといえばヴェスビオやエトナ火山などの多くの火山を抱える火山地帯だ。
当然温泉が湧いているだろう。
他にも火山地帯は環太平洋地域を中心に数多く存在している。
ロシアやニュージーランドも温泉が湧いていると聞いたことがあるな。
海外の温泉への興味は尽きないけれど、今すぐ行ってダンジョン化というわけにもいかない。
とりあえずまずは日本の温泉からだな。
「今日はこの温泉、明日はこの温泉、みたいに変えることってできる?」
『可能でござります』
「じゃあ今日は下呂温泉のお湯にする。あそこなら御嶽山に埋め込んだサブコアの範囲内だ」
『分かり申した。では参ります。ダンジョン管理システムにアクセス』
雪斎はなにやらスマホの中ですったもんだしている。
スパナのようなものを取り出したり、ドリルのようなもので何かを削ったりと演出が細かい。
少し時間がかかるようなのでテーブルと椅子を取り出してお茶にする。
まだこの時代には無いであろう煎茶だ。
お茶うけはついこの間ガチャから出た胡椒せんべいだ。
熱い煎茶と胡椒辛いせんべいが良く合う。
10分ほどお茶を飲みながらぼーっとしていると、スマホがブーブーと震えて雪斎から作業が完了したということが伝えられる。
「ダンジョンのオプションに下呂温泉のお湯が追加されてる。雪斎やるね」
『ありがたきお言葉』
いつもちょっとやりすぎちゃう雪斎だけれど、これは純粋にすごいと褒めてあげられる。
このくらいでいいんだよ、いつも魔導なんちゃらとか反重力なんちゃらとか超技術を自慢げに搭載するからなかなか褒めてあげられないんだ。
超技術は遠く離れた温泉地からお湯を引くとかそういうことに使っておけばいい。
『あとついでといってはなんですが、魔導ナノマシンによる細胞修復機能もつけておきました。どのような怪我や病気であっても、お湯に溶け込んだ魔導ナノマシンがたちどころに癒してくれる優れものでござる』
ああうん、嬉しいよ……。
でも温泉の美肌成分が全くの無意味になった。
なんとか間に合って、高天神城は武田軍の手に落ちずに済んだようだ。
また史実とは違った結果になってしまった。
史実では高天神城は落ち、徳川からは侍が離反して逆に武田勝頼は武田家当主として家臣たちの支持を厚くする。
松姫様のお兄さんである仁科盛信さんに頼んだささやかな工作が大きな効果を発揮している。
戦国時代の戦いにはあとちょっとあれがこうなっていたら結果は変わっていたかもしれないという戦いが多いから、ほんの少し武田方の戦力が少ないだけで結果がガラッと変わってしまうんだね。
武田勝頼は新米当主だから、家臣たちを従えるためには実績というものが必要になってくる。
史実では明智城や高天神城を落とすことで家臣たちに自分は戦が強いということをアピールして従えていたようだけれど、パラレルなこの世では負け星ばかりが付いてしまっていた。
特に高天神城を落とせなかったのは痛い。
高天神城は勝頼のお父さんである武田信玄をも退けたことのあるお城だ。
それを落とすことで、史実の勝頼は自分はお父さんよりも強いんだぞと家臣たちにアピールすることができた。
逆に考えれば、高天神城を落とせなかった勝頼に家臣たちを纏めることは難しい。
もう長篠の戦いは起こらないかもしれないな。
かの有名な武田騎馬軍団が勝頼に従わない可能性すらある。
このまま武田は分裂して内戦に突入かもな。
そうなれば周りの武将に寄って集られて領地を食い荒らされるだろう。
信濃はやっぱり信長が取るのかな。
甲斐はちょっと遠いから関東勢が取るかもな。
あのあたりは結構いい温泉地なだけに、あまり荒らしてほしくは無いな。
やっぱり温泉、家に欲しいな。
『できますぞ』
「できるの!?」
『ダンジョンの力と拙者の魔導工学を合わせれば、できないことなどほとんどありませぬ』
すごいな魔導工学。
では早速やってもらおう。
自宅といってもあの長屋に温泉を引くわけにはいかないから、沖ノ鳥島の屋敷と蟹江ダンジョンの屋上あたりに引いてもらおうかな。
蟹江ダンジョンの屋上には何か造りたいと思っていたところだ。
なんてったって240メートルの建物の屋上だよ。
それも周りに高層ビル建築なんて無い戦国時代の。
蟹江ダンジョンの屋上に立つと、まるで空を自分だけのものにしてしまったかのような優越感がある。
ここに温泉が引けたら最高だろうな。
まずは浴槽を作ろう。
浴槽はダンジョンのオプションを使えばいいので簡単だ。
居住区、タイプバスルームの浴槽総ヒノキトリプルラージサイズをタップ。
転落防止用の柵しかなかった蟹江ダンジョンの屋上に、3メートル×9メートルのヒノキの浴槽ができあがった。
雨の日でも入れるように屋根を追加。
でも星を見ながら入りたいときもあるだろうから屋根はガラス張りにしておこう。
洗い場は無駄にたくさんつけておく。
塩分の強い泉質の温泉なんかだと乾くとお肌がベタベタするものもあるから、洗い場のシャワーから出るのは真水だ。
全てヒノキで出来た浴槽の匂いを嗅げば、まるで新築の家みたいな清涼感溢れる匂いに包まれる。
「完璧だね。あとはお湯だけだ。どこの温泉なら引けるの?」
『どこでもでござる。北海道登別温泉のお湯であろうが、イタリアのサトゥルニア温泉のお湯であろうが、現地まで行って源泉をダンジョン領域に取り込んできていただければここまで引くことは可能でござる』
距離は関係ないみたいだ。
それよりも海外の温泉というものにも興味が湧いてきた。
イタリアといえばヴェスビオやエトナ火山などの多くの火山を抱える火山地帯だ。
当然温泉が湧いているだろう。
他にも火山地帯は環太平洋地域を中心に数多く存在している。
ロシアやニュージーランドも温泉が湧いていると聞いたことがあるな。
海外の温泉への興味は尽きないけれど、今すぐ行ってダンジョン化というわけにもいかない。
とりあえずまずは日本の温泉からだな。
「今日はこの温泉、明日はこの温泉、みたいに変えることってできる?」
『可能でござります』
「じゃあ今日は下呂温泉のお湯にする。あそこなら御嶽山に埋め込んだサブコアの範囲内だ」
『分かり申した。では参ります。ダンジョン管理システムにアクセス』
雪斎はなにやらスマホの中ですったもんだしている。
スパナのようなものを取り出したり、ドリルのようなもので何かを削ったりと演出が細かい。
少し時間がかかるようなのでテーブルと椅子を取り出してお茶にする。
まだこの時代には無いであろう煎茶だ。
お茶うけはついこの間ガチャから出た胡椒せんべいだ。
熱い煎茶と胡椒辛いせんべいが良く合う。
10分ほどお茶を飲みながらぼーっとしていると、スマホがブーブーと震えて雪斎から作業が完了したということが伝えられる。
「ダンジョンのオプションに下呂温泉のお湯が追加されてる。雪斎やるね」
『ありがたきお言葉』
いつもちょっとやりすぎちゃう雪斎だけれど、これは純粋にすごいと褒めてあげられる。
このくらいでいいんだよ、いつも魔導なんちゃらとか反重力なんちゃらとか超技術を自慢げに搭載するからなかなか褒めてあげられないんだ。
超技術は遠く離れた温泉地からお湯を引くとかそういうことに使っておけばいい。
『あとついでといってはなんですが、魔導ナノマシンによる細胞修復機能もつけておきました。どのような怪我や病気であっても、お湯に溶け込んだ魔導ナノマシンがたちどころに癒してくれる優れものでござる』
ああうん、嬉しいよ……。
でも温泉の美肌成分が全くの無意味になった。
3
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる