119 / 131
チートをもらえるけど平安時代に飛ばされるボタン 押す/押さない
4.アイテムの検証と走馬灯
しおりを挟む
先ほどガチャから出てきたアイテムの中から、この状況をなんとかできるものがないか一つ一つ検証していく。
収納の指輪はまあいいだろう。
物を収納することのできる指輪だ。
指にはめなくても使える。
どのくらいの物が入るのかは分からない。
虫など入るか試してみたが、生物は入らなかった。
死骸ならば入る。
入れたものはカタログギフトのような感じで頭に浮かび上がる。
脳内で選択すればそれが出てくる。
ちなみにスマホも入れることができたので、今は入れてある。
レアリティSランクには相応しいアイテムだ。
次は同じくSランクアイテム、神槍グングニル。
とても綺麗な槍だ。
石突から柄、穂先まですべて白銀の金属で作られており、なんだかわからない彫刻がびっしりと掘られている。
総金属製のわりにはアルミのように軽い。
まさかアルミでは無いだろうから、チタン合金かなにかだろうか。
神槍らしいからそんな人間の尺度で測れる金属ではないかもしれないけどね。
穂先は鏡のようにピカピカに鋭く磨かれていて、俺の冴えない顔が映りこむ。
まあ今のところただの綺麗な槍だ。
使ってみないと分からないな。
神話だと、投げたら必ず当たってその上手元まで返ってくるんだったっけな。
俺はなんの気なしに目の前の倒木に向かって投げてみた。
すると槍が手から離れた瞬間消えてしまう。
「え……」
投げ放った右手を思わず二度見した。
なんでだ。
しかしその答えは次の瞬間分かった。
空から槍が降ってきたのだ。
いや、実際に投げていなければ槍が降ってきたとは気が付かなかっただろう。
ただ空から光の柱が降ってきて愚かな人間に天罰を下したと思ったかもしれない。
それほどまでに鮮烈な光景だった。
一瞬遅れて地響きと衝撃波が俺を襲った。
上も下もわからなくなるほどシェイクされながら吹き飛ばされる。
どれくらい意識を失っていただろうか。
ふと気が付くと、すでに日が暮れはじめていた。
「いってぇ……」
右腕に激痛が走り、顔をしかめる。
恐る恐る腕を見るとそこには太い木の枝がぐっさりと刺さっていた。
思わず気が遠のく。
やばいな、なんだあの槍。
あんなの戦略兵器じゃないか。
というかこの腕のほうがやばいか。
もう何がなんだかわからない。
とりあえず、これ抜かないといけないんだな。
泣きそうだ。
あの槍は近距離で使っちゃダメなタイプの武器だったみたいだな。
というかもう二度と使わないかもしれないけどな。
あんなの万の軍勢を相手に無双する時くらいにしか使いようがないじゃないか。
「ああもう、現実逃避しても仕方がない!」
俺は身体を起こし、右腕を直視した。
右手には投げたはずの槍がしっかり握られていてイラっとした。
戻ってきてんじゃねえよ、とやつ当たってみても右腕の痛みは増すばかりだ。
ズキズキと頭の芯まで響くような痛みが治まらない。
すでに傷は熱を持っており、化膿し始めている。
そりゃそうか、枯れ木なんかばい菌がいっぱいだものな。
指先を動かしてみると、酷く痛むものの動かすことはできた。
奇跡的に神経には傷が付いていないようだが、このままだと化膿して腕が壊死してしまうかもしれない。
偏見かもしれないが、平安時代なんて大怪我したら祈祷師が祈って治すような時代だろ。
傷が化膿しただけでも死ぬか生きるか運任せなんじゃなかろうか。
痛みと焦りで心音が高鳴る。
これほど自分の軽はずみな行動を悔やんだことはない。
槍だ、投げてみようなんて思った先ほどの自分をぶん殴ってやりたい。
行き場のない怒りが痛みを軽減してくれているうちに、引き抜いてしまおう。
おそらく血がたくさん出るだろう。
しかしこのまま刺しておいても誰も助けてくれない状況では、いつか引き抜かなければならない。
ならば今この怒りに任せて抜いてしまったほうがいい。
俺は覚悟を決め、腕に刺さる木の枝を左腕で握り締めた。
「うぅ、いっ、あぁぁぁぁぁぁっ」
腕の肉に食い込んでなかなか抜けない木の枝をぐいぐいと傷口を抉るように引っ張ると、経験したことのない痛みが脳髄を焼いた。
同時に血が噴き出し、傷口から命が流れ出ているような錯覚に陥る。
否、錯覚ではないのかもしれない。
血が流れ落ちるごとに身体から熱が失われていくのが分かる。
寒い。
死というものが目前に迫っているのだと今になって気付く。
俺が目を覚ますまでの間、もしかしたらすでに少なくない量の血が流れていたのかもしれない。
目を覚ますことができたのが奇跡だとしたら、次はない。
「くそっ、死にたくない……」
なんでこんなわけのわからないところで死ななきゃいけないんだよ。
まだ童貞なんだよ。
やりたいことだってたくさんあった。
現代で俺はどういう扱いなんだろうか。
死んだことになっているのだとしたら、家族を悲しませてしまった。
寡黙な父と、おせっかい焼きな母、母に似ておしゃべりな妹。
あ、これ走馬灯だ。
やばい、まじで……。
『おいっ、!”#$%&’(??』
身体がゆすられているような気がした。
傷が痛むからやめてくれ。
『”#$かり”#$おいっ!!しっかりせい!!』
野太い男の声がした。
どうせ死ぬなら最期には可愛い女の子の声が聞きたかった。
収納の指輪はまあいいだろう。
物を収納することのできる指輪だ。
指にはめなくても使える。
どのくらいの物が入るのかは分からない。
虫など入るか試してみたが、生物は入らなかった。
死骸ならば入る。
入れたものはカタログギフトのような感じで頭に浮かび上がる。
脳内で選択すればそれが出てくる。
ちなみにスマホも入れることができたので、今は入れてある。
レアリティSランクには相応しいアイテムだ。
次は同じくSランクアイテム、神槍グングニル。
とても綺麗な槍だ。
石突から柄、穂先まですべて白銀の金属で作られており、なんだかわからない彫刻がびっしりと掘られている。
総金属製のわりにはアルミのように軽い。
まさかアルミでは無いだろうから、チタン合金かなにかだろうか。
神槍らしいからそんな人間の尺度で測れる金属ではないかもしれないけどね。
穂先は鏡のようにピカピカに鋭く磨かれていて、俺の冴えない顔が映りこむ。
まあ今のところただの綺麗な槍だ。
使ってみないと分からないな。
神話だと、投げたら必ず当たってその上手元まで返ってくるんだったっけな。
俺はなんの気なしに目の前の倒木に向かって投げてみた。
すると槍が手から離れた瞬間消えてしまう。
「え……」
投げ放った右手を思わず二度見した。
なんでだ。
しかしその答えは次の瞬間分かった。
空から槍が降ってきたのだ。
いや、実際に投げていなければ槍が降ってきたとは気が付かなかっただろう。
ただ空から光の柱が降ってきて愚かな人間に天罰を下したと思ったかもしれない。
それほどまでに鮮烈な光景だった。
一瞬遅れて地響きと衝撃波が俺を襲った。
上も下もわからなくなるほどシェイクされながら吹き飛ばされる。
どれくらい意識を失っていただろうか。
ふと気が付くと、すでに日が暮れはじめていた。
「いってぇ……」
右腕に激痛が走り、顔をしかめる。
恐る恐る腕を見るとそこには太い木の枝がぐっさりと刺さっていた。
思わず気が遠のく。
やばいな、なんだあの槍。
あんなの戦略兵器じゃないか。
というかこの腕のほうがやばいか。
もう何がなんだかわからない。
とりあえず、これ抜かないといけないんだな。
泣きそうだ。
あの槍は近距離で使っちゃダメなタイプの武器だったみたいだな。
というかもう二度と使わないかもしれないけどな。
あんなの万の軍勢を相手に無双する時くらいにしか使いようがないじゃないか。
「ああもう、現実逃避しても仕方がない!」
俺は身体を起こし、右腕を直視した。
右手には投げたはずの槍がしっかり握られていてイラっとした。
戻ってきてんじゃねえよ、とやつ当たってみても右腕の痛みは増すばかりだ。
ズキズキと頭の芯まで響くような痛みが治まらない。
すでに傷は熱を持っており、化膿し始めている。
そりゃそうか、枯れ木なんかばい菌がいっぱいだものな。
指先を動かしてみると、酷く痛むものの動かすことはできた。
奇跡的に神経には傷が付いていないようだが、このままだと化膿して腕が壊死してしまうかもしれない。
偏見かもしれないが、平安時代なんて大怪我したら祈祷師が祈って治すような時代だろ。
傷が化膿しただけでも死ぬか生きるか運任せなんじゃなかろうか。
痛みと焦りで心音が高鳴る。
これほど自分の軽はずみな行動を悔やんだことはない。
槍だ、投げてみようなんて思った先ほどの自分をぶん殴ってやりたい。
行き場のない怒りが痛みを軽減してくれているうちに、引き抜いてしまおう。
おそらく血がたくさん出るだろう。
しかしこのまま刺しておいても誰も助けてくれない状況では、いつか引き抜かなければならない。
ならば今この怒りに任せて抜いてしまったほうがいい。
俺は覚悟を決め、腕に刺さる木の枝を左腕で握り締めた。
「うぅ、いっ、あぁぁぁぁぁぁっ」
腕の肉に食い込んでなかなか抜けない木の枝をぐいぐいと傷口を抉るように引っ張ると、経験したことのない痛みが脳髄を焼いた。
同時に血が噴き出し、傷口から命が流れ出ているような錯覚に陥る。
否、錯覚ではないのかもしれない。
血が流れ落ちるごとに身体から熱が失われていくのが分かる。
寒い。
死というものが目前に迫っているのだと今になって気付く。
俺が目を覚ますまでの間、もしかしたらすでに少なくない量の血が流れていたのかもしれない。
目を覚ますことができたのが奇跡だとしたら、次はない。
「くそっ、死にたくない……」
なんでこんなわけのわからないところで死ななきゃいけないんだよ。
まだ童貞なんだよ。
やりたいことだってたくさんあった。
現代で俺はどういう扱いなんだろうか。
死んだことになっているのだとしたら、家族を悲しませてしまった。
寡黙な父と、おせっかい焼きな母、母に似ておしゃべりな妹。
あ、これ走馬灯だ。
やばい、まじで……。
『おいっ、!”#$%&’(??』
身体がゆすられているような気がした。
傷が痛むからやめてくれ。
『”#$かり”#$おいっ!!しっかりせい!!』
野太い男の声がした。
どうせ死ぬなら最期には可愛い女の子の声が聞きたかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる