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12.円融天皇と藤原家の時代
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スキルオーブ(槍術・中)というものが前回のガチャで出た。
使うだけでスキルという力を身に付けることができるアイテムであると俺は予想している。
おそらく括弧の中の槍術・中というのがこのアイテムを使ったときに手に入るスキルなのだろう。
槍を使うとゲームみたいに技が飛び出すようなスキルなのか、それとも槍の扱いに補正がかかるスキルなのか、それは使って見なければわからない。
「これ、どうやって使うんだろ」
アイテム自体はピンポン玉くらいのガラスの玉のようなアイテムだ。
玉の中にはぼんやり光る幾何学模様のようなものが封じ込められている。
100円ショップでこんなインテリアが売ってたら買うかもな。
どこにも飾らず引き出しの中に入れておくと思うけど。
手のひらに乗せ、コロコロと手で弄ぶ。
仙人の霊的感覚が、この玉の中にとんでもないエネルギーが宿っていることを教えてくれた。
このエネルギーを開放することができたらスキルを覚えることができると思うのだが、どうやるのかはわからない。
身体に纏っている霊力のような力を操ることができないとこのアイテムは使うことができないのではなかろうか。
「仙人専用アイテムってことか」
それも俺のようなド素人仙人ではなく、修業を終えた玄人仙人用のものだ。
これを使うためにも、仙人としての修業というものをしてみるか。
大地から立ち上るエネルギーを仮に気と呼び、生き物の身体を覆うエネルギーを霊力と呼ぶとする。
俺が考えるに仙人は気を身体に取り込み、自分の霊力に変換することのできる人間だ。
霊力の量が多くなったことにより、俺の身体能力は上がり五感は鋭くなったのだろう。
仙人は不老不死という伝説があるが、不老はともかく不死ではないのではと思っている。
なぜなら普通に転んだりしたら痛いし、山を歩くと茨に引っかかって傷ができたりもするからだ。
茨のトゲで傷ができるのだから刃物で刺されたら普通に死ぬだろう。
だがなんとなく傷の治りは早いような気がしている。
霊力というのが俺の身体にどのような効果をもたらすのか、色々と検証していこう。
「漫画とか小説だと、霊力とか魔力で自然治癒力を高めたり身体能力を強化したりするよな」
それには力をコントロールしたり、一部分に集中させたりという修業をしていることが多い。
二次元に習って俺もそんな感じの修業をしてみよう。
まずは気を自分で取り込んでみよう。
いつもは勝手に取り込まれる気を、自分で意図して取り込む。
これができればガンガン気を取り込んで霊力に変換し、身体に纏う霊力の量を増やし密度を濃くすることが可能となるだろう。
霊力が上がったことで身体能力や五感が良くなったのならば、更に上げれば超常的な力が得られるのではないだろうか。
目を瞑り、気の流れを感じる。
今もふわふわと大地から立ち上る気が俺の身体に入り込み、霊力となり続けている。
その流れを強める。
気を強く吸引する、サイクロン掃除機のように。
「お、きたぞ、きたきた!」
身体が熱くなってきた。
ぶわっと身体から全方位に熱気を放出しているかのような感覚。
しかしこれでは霊力がどんどん身体から逃げていってしまっている。
いつまでも経っても身体に内包する霊力は増えない。
逃げていこうとする霊力を身体に留めなくては。
少年誌のハンター漫画でも最初の修業はオーラを身体に留めることだった。
俺の修業もまずそこからだ。
大切なのはイマジネーション。
身体の中、霊力が血液に溶け込み血管を巡るイメージ。
細胞一つ一つにまで浸透し、定着する。
あと腕が生えてくる。
強くイメージを続けること10分ほど。
そろそろ俺の集中力が切れ、飽きてきた頃ようやく霊力の放出が緩やかになってきた。
同時に身体を包む霊力が密度を増した。
「よし、成功」
集中力が切れた瞬間、霊力は元通りになった。
気の取り込みも通常通りに逆戻りだ。
意識しなくともできるようになるにはもっと継続した修業が必要になるのだろう。
今はそういうことができるとわかっただけでも十分だ。
腕も念じ続けたら生えてくるかもしれない。
毎日念じてみるとしよう。
俺が金太郎さんたちに拾われてからそろそろ20日が経過した。
俺は3日くらい眠っていたそうだから、すでに平安時代にトリップしてから3週間以上が経っている計算になる。
怪我も癒えたし、生活していくだけの物資も十分だ。
そろそろ出ていこうかとも思ったのだが、2人に引き留められてなんとなくここで暮らしている。
もしかしたらずっとここで暮らしていくかもしれない、そんな気すらしている。
平安時代の生活を調べれば調べるほど、ここの暮らしが天国のように思えてくるんだよな。
貴族も華やかなだけじゃないみたいだし、庶民は漏れなく生活苦。
各地で土豪たちが独自の自衛戦力を整え始め、これから武士の時代が来る。
食べ物や土地を奪い合い、権力を求めて武力を蓄え成り上がる、そんな時代だ。
お腹いっぱい食べられて、みんなが笑って暮らすということがこの時代どれだけ難しいことか。
「といっても応仁の乱まではまだ500年くらいあるんだけどね」
それまでは一応朝廷の機能というものが曲りなりにも機能していることだろう。
今のところ権力の大きさでいったら藤原家が一番なわけだけど、一応組織のトップは天皇だからね。
朝廷の下に貴族がおり、貴族の下に武士がいるという権力図がまだ成り立つ。
俺はスマホを取り出し、よくわかる平安時代アプリで現在の天皇を検索する。
今は推定西暦976年前後だから、64代円融天皇か。
真に失礼ながら聞いたことのないお名前だ。
関係者を見るとまず母親が藤原家だ。
そして奥さんも藤原。
お妾さんも藤原。
めちゃめちゃ藤原尽くしだ。
近親婚が心配になるレベルで藤原だらけ。
改めてこの時代の藤原一族の権勢を思い知らされる。
スマホの力を知られたらきっとすごい勢いで手に入れようとするんだろうな。
絶対ばれないようにしないと。
しかしまあ、ガチャを回さないという選択はないよな。
俺は今日も日課のガチャをタップした。
光は青。
Cランク以下のアイテムしか出てないときの演出だ。
Sランク
なし
Aランク
なし
Bランク
なし
Cランク
・米×10
・小麦粉×10
・水×10
Dランク
・ひのきの棒
・ビー玉
・飴玉×10
・ビニール袋×10
・マグカップ
・虫網
・果物ナイフ
なんともしょっぱい日もあったもんだ。
使うだけでスキルという力を身に付けることができるアイテムであると俺は予想している。
おそらく括弧の中の槍術・中というのがこのアイテムを使ったときに手に入るスキルなのだろう。
槍を使うとゲームみたいに技が飛び出すようなスキルなのか、それとも槍の扱いに補正がかかるスキルなのか、それは使って見なければわからない。
「これ、どうやって使うんだろ」
アイテム自体はピンポン玉くらいのガラスの玉のようなアイテムだ。
玉の中にはぼんやり光る幾何学模様のようなものが封じ込められている。
100円ショップでこんなインテリアが売ってたら買うかもな。
どこにも飾らず引き出しの中に入れておくと思うけど。
手のひらに乗せ、コロコロと手で弄ぶ。
仙人の霊的感覚が、この玉の中にとんでもないエネルギーが宿っていることを教えてくれた。
このエネルギーを開放することができたらスキルを覚えることができると思うのだが、どうやるのかはわからない。
身体に纏っている霊力のような力を操ることができないとこのアイテムは使うことができないのではなかろうか。
「仙人専用アイテムってことか」
それも俺のようなド素人仙人ではなく、修業を終えた玄人仙人用のものだ。
これを使うためにも、仙人としての修業というものをしてみるか。
大地から立ち上るエネルギーを仮に気と呼び、生き物の身体を覆うエネルギーを霊力と呼ぶとする。
俺が考えるに仙人は気を身体に取り込み、自分の霊力に変換することのできる人間だ。
霊力の量が多くなったことにより、俺の身体能力は上がり五感は鋭くなったのだろう。
仙人は不老不死という伝説があるが、不老はともかく不死ではないのではと思っている。
なぜなら普通に転んだりしたら痛いし、山を歩くと茨に引っかかって傷ができたりもするからだ。
茨のトゲで傷ができるのだから刃物で刺されたら普通に死ぬだろう。
だがなんとなく傷の治りは早いような気がしている。
霊力というのが俺の身体にどのような効果をもたらすのか、色々と検証していこう。
「漫画とか小説だと、霊力とか魔力で自然治癒力を高めたり身体能力を強化したりするよな」
それには力をコントロールしたり、一部分に集中させたりという修業をしていることが多い。
二次元に習って俺もそんな感じの修業をしてみよう。
まずは気を自分で取り込んでみよう。
いつもは勝手に取り込まれる気を、自分で意図して取り込む。
これができればガンガン気を取り込んで霊力に変換し、身体に纏う霊力の量を増やし密度を濃くすることが可能となるだろう。
霊力が上がったことで身体能力や五感が良くなったのならば、更に上げれば超常的な力が得られるのではないだろうか。
目を瞑り、気の流れを感じる。
今もふわふわと大地から立ち上る気が俺の身体に入り込み、霊力となり続けている。
その流れを強める。
気を強く吸引する、サイクロン掃除機のように。
「お、きたぞ、きたきた!」
身体が熱くなってきた。
ぶわっと身体から全方位に熱気を放出しているかのような感覚。
しかしこれでは霊力がどんどん身体から逃げていってしまっている。
いつまでも経っても身体に内包する霊力は増えない。
逃げていこうとする霊力を身体に留めなくては。
少年誌のハンター漫画でも最初の修業はオーラを身体に留めることだった。
俺の修業もまずそこからだ。
大切なのはイマジネーション。
身体の中、霊力が血液に溶け込み血管を巡るイメージ。
細胞一つ一つにまで浸透し、定着する。
あと腕が生えてくる。
強くイメージを続けること10分ほど。
そろそろ俺の集中力が切れ、飽きてきた頃ようやく霊力の放出が緩やかになってきた。
同時に身体を包む霊力が密度を増した。
「よし、成功」
集中力が切れた瞬間、霊力は元通りになった。
気の取り込みも通常通りに逆戻りだ。
意識しなくともできるようになるにはもっと継続した修業が必要になるのだろう。
今はそういうことができるとわかっただけでも十分だ。
腕も念じ続けたら生えてくるかもしれない。
毎日念じてみるとしよう。
俺が金太郎さんたちに拾われてからそろそろ20日が経過した。
俺は3日くらい眠っていたそうだから、すでに平安時代にトリップしてから3週間以上が経っている計算になる。
怪我も癒えたし、生活していくだけの物資も十分だ。
そろそろ出ていこうかとも思ったのだが、2人に引き留められてなんとなくここで暮らしている。
もしかしたらずっとここで暮らしていくかもしれない、そんな気すらしている。
平安時代の生活を調べれば調べるほど、ここの暮らしが天国のように思えてくるんだよな。
貴族も華やかなだけじゃないみたいだし、庶民は漏れなく生活苦。
各地で土豪たちが独自の自衛戦力を整え始め、これから武士の時代が来る。
食べ物や土地を奪い合い、権力を求めて武力を蓄え成り上がる、そんな時代だ。
お腹いっぱい食べられて、みんなが笑って暮らすということがこの時代どれだけ難しいことか。
「といっても応仁の乱まではまだ500年くらいあるんだけどね」
それまでは一応朝廷の機能というものが曲りなりにも機能していることだろう。
今のところ権力の大きさでいったら藤原家が一番なわけだけど、一応組織のトップは天皇だからね。
朝廷の下に貴族がおり、貴族の下に武士がいるという権力図がまだ成り立つ。
俺はスマホを取り出し、よくわかる平安時代アプリで現在の天皇を検索する。
今は推定西暦976年前後だから、64代円融天皇か。
真に失礼ながら聞いたことのないお名前だ。
関係者を見るとまず母親が藤原家だ。
そして奥さんも藤原。
お妾さんも藤原。
めちゃめちゃ藤原尽くしだ。
近親婚が心配になるレベルで藤原だらけ。
改めてこの時代の藤原一族の権勢を思い知らされる。
スマホの力を知られたらきっとすごい勢いで手に入れようとするんだろうな。
絶対ばれないようにしないと。
しかしまあ、ガチャを回さないという選択はないよな。
俺は今日も日課のガチャをタップした。
光は青。
Cランク以下のアイテムしか出てないときの演出だ。
Sランク
なし
Aランク
なし
Bランク
なし
Cランク
・米×10
・小麦粉×10
・水×10
Dランク
・ひのきの棒
・ビー玉
・飴玉×10
・ビニール袋×10
・マグカップ
・虫網
・果物ナイフ
なんともしょっぱい日もあったもんだ。
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