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27.ダンジョン
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ゲーテル大迷宮、この街ができる前からこの場所にずっとあり続けるとても古いダンジョンだ。
この世界にはダンジョンが時たま発生する。
発生したばかりのダンジョンは階層が少なく比較的簡単に最奥までたどり着くことができる。
そして最奥に存在しているボスを倒してダンジョンコアを抜き取ったり壊したりすることでダンジョンは成長が止まる。
ゲーテル大迷宮も大昔に最奥にたどり着いた人がダンジョンコアを抜き取ったために成長自体は止まっている。
しかし先人たちが最奥までたどり着いた時点でこのダンジョンは100階層を優に超える巨大ダンジョンにまで成長していたそうだ。
それゆえに再びダンジョンの最奥にたどり着いた人は過去に何人かしかいない。
ザックスはこのダンジョンの最奥というのを目指しているらしい。
「ダンジョンの最奥に存在するボスは倒されても時間が経つと復活するんだ。いつか俺も、ダンジョンの最奥まで行ってボスを倒してみたい」
そう語るザックスはおっさんなのに少年のような目をしていた。
夢物語だと笑うつもりはない。
ザックスは身体を治すことさえできればこの世界でも上位に位置する強者だ。
実現不可能な目標ということもないだろう。
だけど今は、じっくりコツコツといこう。
貧弱な僕というお荷物を抱えているのだから慎重すぎるくらいで十分だ。
「それで、ここのダンジョンについてもう少し詳しく教えてよ」
「いいぜ。ゲーテル大迷宮は全部で180層からなる巨大ダンジョンだ。階段を下に下っていく地下迷宮タイプで、1階層から最下層までずっと迷宮型の階層が続く迷宮の中の迷宮だぜ。出現するモンスターや罠は下に向かえば向かうほど強力になっていくし、仕掛け扉も難しくなる。攻略するには力だけでも知恵だけでも足りないってわけだ」
力を示し、知恵を絞ってダンジョンを攻略していくのか。
なんかとても楽しそうだけど、命がけなんだよね。
まるっきりイ〇ディジョーンズの世界だな。
迷宮型の階層とかいうのは前にザックスに聞いたことがある。
ダンジョンには様々なタイプの階層を持つダンジョンがあると。
例えば有名なのはダンジョンの中なのに空があり太陽がありだだっ広い草原が広がっているような草原型の階層。
迷宮型のように罠や仕掛けがあるわけではないけれど、大量のモンスターに囲まれたりする危険性があるそうだ。
ゲーテル大迷宮は1階層から最下層までずっと迷宮型の階層が続くためにそういった心配はしなくてもいい。
だけどモンスターは出現するし、危険な罠もあるので気を付けなければならない。
「180階層もあるんじゃ最下層近くの攻略には物資の問題とかもあるんじゃないの?」
「そうでもねえ。各階層の入り口には転移門ってのがあるんだ。一度来た階層には次から転移して行くことができる」
ワープできるシステムなのか。
まあワープでもなければ180階層もあるダンジョンなんか攻略できないよね。
深すぎだっての。
「そういえばダンジョンの中には宝箱があるって聞いたんだけど、どのくらいの頻度で見つけることができるの?」
「そうだな。せいぜい3回潜って1回見つかるくらいじゃないか?運とか経験もあるが、俺はそんなもんだな」
「ザックスさん、それでも多いっすよ。俺なんか月に1度見つければいいほうでしたよ」
元冒険者のスコットがザックスの言葉を捕捉する。
ザックスが3回に1回くらいで、スコットは月1回くらいか。
スコットは元Cランク冒険者だ。
このへんがAランクとCランクの違いでもあるんだろうね。
それだけ違えば稼ぎの違いも相当なものだろう。
まあいくら強くてお金を持っていようと一歩間違えば奴隷に落ちるというのは同じだけど。
ザックスは死にそうになって高度な治療を受けるための治療費で奴隷落ち。
スコットは博打で負けて奴隷落ち。
差がないわけでもないか。
Aランクはおそらくちょっと博打で負けた程度では奴隷落ちしない。
「宝箱からはどんなものが出るの?」
「なんでもだな。金銀財宝やマジックアイテムから何に使うのかわからないガラクタまでなんでも出る可能性がある。一説にはダンジョンの中で死んだ者の持ち物をダンジョンが取り込み、それが宝箱の中身になっているという話だ。嘘くさいけどな」
カビの生えたパンとか出てきたら嫌だな。
さすがに食べ物は出ないか。
宝箱の中身はダンジョンに挑んだ人の持ち物だったものって説があるのか。
でもそうなるとダンジョンに挑んだ人の中にすごいアイテムを持っていた人がいなければダンジョンで手に入るアイテムにはあまり期待できないのではないだろうか。
「すげえアイテムを持った奴がダンジョンで死なねえとすげえアイテムは手に入らないんじゃねえか、とそう思っただろ?それが違うんだよな。誰も挑んだことのねえ新しいダンジョンからもすげえアイテムが手に入ることはある。だが、ダンジョンで死んだ奴の遺品が宝箱から出たってことも実際にある。そのへんがわからねえところなんだよな」
それって、すべてのダンジョンが繋がっているだけなのではないだろうか。
ダンジョンに挑んで亡くなった人の遺品がダンジョンに吸収され、宝箱の中身となる。
そしてすべてのダンジョンは繋がっており、吸収された遺品がどこのダンジョンのどの宝箱から出てくるのかはランダム。
この仮説ならばすべてが説明できる。
まあ遺品とダンジョン側が用意したアイテムの両方が宝箱から出るという可能性もあるけどね。
「そういえばさっき宝箱からはマジックアイテムが出るって言ってたけど、マジックアイテムって魔道具とは違うの?」
「違うな。魔道具はマジックアイテムを模して人間が作った物だ。ちゃんと仕組みがある。だがマジックアイテムは文字通り魔法が宿った品だ。なんの仕組みもなく武器やアクセサリーなんかに魔法が宿っているのさ」
文字通り魔法のアイテムってわけか。
空飛ぶ絨毯とか、精霊が封じ込められたランプとかあるかな。
今度一度オークションに参加してみるのもいいかもしれない。
この世界にはダンジョンが時たま発生する。
発生したばかりのダンジョンは階層が少なく比較的簡単に最奥までたどり着くことができる。
そして最奥に存在しているボスを倒してダンジョンコアを抜き取ったり壊したりすることでダンジョンは成長が止まる。
ゲーテル大迷宮も大昔に最奥にたどり着いた人がダンジョンコアを抜き取ったために成長自体は止まっている。
しかし先人たちが最奥までたどり着いた時点でこのダンジョンは100階層を優に超える巨大ダンジョンにまで成長していたそうだ。
それゆえに再びダンジョンの最奥にたどり着いた人は過去に何人かしかいない。
ザックスはこのダンジョンの最奥というのを目指しているらしい。
「ダンジョンの最奥に存在するボスは倒されても時間が経つと復活するんだ。いつか俺も、ダンジョンの最奥まで行ってボスを倒してみたい」
そう語るザックスはおっさんなのに少年のような目をしていた。
夢物語だと笑うつもりはない。
ザックスは身体を治すことさえできればこの世界でも上位に位置する強者だ。
実現不可能な目標ということもないだろう。
だけど今は、じっくりコツコツといこう。
貧弱な僕というお荷物を抱えているのだから慎重すぎるくらいで十分だ。
「それで、ここのダンジョンについてもう少し詳しく教えてよ」
「いいぜ。ゲーテル大迷宮は全部で180層からなる巨大ダンジョンだ。階段を下に下っていく地下迷宮タイプで、1階層から最下層までずっと迷宮型の階層が続く迷宮の中の迷宮だぜ。出現するモンスターや罠は下に向かえば向かうほど強力になっていくし、仕掛け扉も難しくなる。攻略するには力だけでも知恵だけでも足りないってわけだ」
力を示し、知恵を絞ってダンジョンを攻略していくのか。
なんかとても楽しそうだけど、命がけなんだよね。
まるっきりイ〇ディジョーンズの世界だな。
迷宮型の階層とかいうのは前にザックスに聞いたことがある。
ダンジョンには様々なタイプの階層を持つダンジョンがあると。
例えば有名なのはダンジョンの中なのに空があり太陽がありだだっ広い草原が広がっているような草原型の階層。
迷宮型のように罠や仕掛けがあるわけではないけれど、大量のモンスターに囲まれたりする危険性があるそうだ。
ゲーテル大迷宮は1階層から最下層までずっと迷宮型の階層が続くためにそういった心配はしなくてもいい。
だけどモンスターは出現するし、危険な罠もあるので気を付けなければならない。
「180階層もあるんじゃ最下層近くの攻略には物資の問題とかもあるんじゃないの?」
「そうでもねえ。各階層の入り口には転移門ってのがあるんだ。一度来た階層には次から転移して行くことができる」
ワープできるシステムなのか。
まあワープでもなければ180階層もあるダンジョンなんか攻略できないよね。
深すぎだっての。
「そういえばダンジョンの中には宝箱があるって聞いたんだけど、どのくらいの頻度で見つけることができるの?」
「そうだな。せいぜい3回潜って1回見つかるくらいじゃないか?運とか経験もあるが、俺はそんなもんだな」
「ザックスさん、それでも多いっすよ。俺なんか月に1度見つければいいほうでしたよ」
元冒険者のスコットがザックスの言葉を捕捉する。
ザックスが3回に1回くらいで、スコットは月1回くらいか。
スコットは元Cランク冒険者だ。
このへんがAランクとCランクの違いでもあるんだろうね。
それだけ違えば稼ぎの違いも相当なものだろう。
まあいくら強くてお金を持っていようと一歩間違えば奴隷に落ちるというのは同じだけど。
ザックスは死にそうになって高度な治療を受けるための治療費で奴隷落ち。
スコットは博打で負けて奴隷落ち。
差がないわけでもないか。
Aランクはおそらくちょっと博打で負けた程度では奴隷落ちしない。
「宝箱からはどんなものが出るの?」
「なんでもだな。金銀財宝やマジックアイテムから何に使うのかわからないガラクタまでなんでも出る可能性がある。一説にはダンジョンの中で死んだ者の持ち物をダンジョンが取り込み、それが宝箱の中身になっているという話だ。嘘くさいけどな」
カビの生えたパンとか出てきたら嫌だな。
さすがに食べ物は出ないか。
宝箱の中身はダンジョンに挑んだ人の持ち物だったものって説があるのか。
でもそうなるとダンジョンに挑んだ人の中にすごいアイテムを持っていた人がいなければダンジョンで手に入るアイテムにはあまり期待できないのではないだろうか。
「すげえアイテムを持った奴がダンジョンで死なねえとすげえアイテムは手に入らないんじゃねえか、とそう思っただろ?それが違うんだよな。誰も挑んだことのねえ新しいダンジョンからもすげえアイテムが手に入ることはある。だが、ダンジョンで死んだ奴の遺品が宝箱から出たってことも実際にある。そのへんがわからねえところなんだよな」
それって、すべてのダンジョンが繋がっているだけなのではないだろうか。
ダンジョンに挑んで亡くなった人の遺品がダンジョンに吸収され、宝箱の中身となる。
そしてすべてのダンジョンは繋がっており、吸収された遺品がどこのダンジョンのどの宝箱から出てくるのかはランダム。
この仮説ならばすべてが説明できる。
まあ遺品とダンジョン側が用意したアイテムの両方が宝箱から出るという可能性もあるけどね。
「そういえばさっき宝箱からはマジックアイテムが出るって言ってたけど、マジックアイテムって魔道具とは違うの?」
「違うな。魔道具はマジックアイテムを模して人間が作った物だ。ちゃんと仕組みがある。だがマジックアイテムは文字通り魔法が宿った品だ。なんの仕組みもなく武器やアクセサリーなんかに魔法が宿っているのさ」
文字通り魔法のアイテムってわけか。
空飛ぶ絨毯とか、精霊が封じ込められたランプとかあるかな。
今度一度オークションに参加してみるのもいいかもしれない。
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