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49.レイド崩壊
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「早くせねばドラゴンが倒されてしまうぞ」
そんなことを言われたとて、僕は72層までしか転移門登録を済ませていないのだから仕方がない。
ドラゴンが出たというのは77階層だ。
5階層もの階層を下りるのに、僕たちは半日ほどかけてしまっていた。
これでも急いだのだ。
そもそも中層付近をこんな速度で駆け降りる冒険者はまずいない。
それもSランク冒険者であるナリキン氏と、そのクラン【黄金の剣】の力があってのことだ。
ナリキン氏のハーレムクランである黄金の剣は、ナリキン氏と9人の女性たちの計10人で構成されている。
女性たちは全員ナリキン氏の実家の力を使って集められた才能あふれる選りすぐりの強者たちばかり。
全員がザックスやドミニクと同格とまではいかないまでも、デニスレベルの使い手ばかりだ。
クランの総合力では僕たちのクランと同格くらいと言えるだろう。
ザックスとドミニクの人外の強さに加えて、彼女たちの的確なサポートもあって僕たちはあっという間に77階層に到着した。
ボス部屋まで進むと、開け放たれた大きな扉の中から激しい戦闘音が聞こえてくる。
「まだ終わってはいないようだな。今からでも参戦するか?」
「もう少し待とうよ。別に倒されたなら倒されたで何も損はしてないんだからいいでしょ」
「だが、Sランククランとしての名声が……」
そんなもの、盗賊に捕まった時点で終わってしまっているような気がするのだが。
あの盗賊はめちゃくちゃ強かったものの、そんなことは世間は知らない。
Sランククランを捕まえることのできる盗賊なんて存在しないと思っているから、ナリキン氏のクランは盗賊ごときに捕まった間抜けなSランククランと噂されている。
そのことを気に病んでいるからか、ナリキン氏は今回かなり功を焦っているように思える。
だが強敵相手に焦りは禁物だ。
最初に突っ込んだ奴は死ぬって相場が決まっているのだ。
「とりあえず他の冒険者たちの戦闘を見学させてもらおう」
せこいかもしれないけれど情報は大切だ。
ボス戦というのはボスがどのような攻撃手段を持っているのか、それをパターン化することが大切なのだ。
敵を知り己を知れば百戦危うからず。
どのパターンが来たらどのような回避行動をとるのかなどをすべて頭に入れてボスに臨めば、必ずボスを倒すことができる。
一番いけないのは焦ってダメージ加算を急ぐことだ。
「ライフゲージが一定以上減ると攻撃パターンが変化するボスもいるしね」
「坊ちゃんが言ってることが全く理解できねえ」
ゲーム脳は少しだけ封印するか。
ボス部屋に入ると、そこはとてもダンジョンの中とは思えない広さの部屋だった。
壁や天井はあるものの、どこまで行けば触れることができるのか想像ができないほどに遠い。
何も遮蔽物がないこんな広い空間で遠距離攻撃のできるドラゴンと戦うのは大変だ。
現にあちこちに倒れている人がいる。
血を流してはいるが生きているようだ。
現在ボス部屋にはあの大会議室にいた冒険者たちが全員勢ぞろいしてドラゴンと戦っている。
早いもの勝ちみたいな感じで出ていったのに全員同時に挑んでいるあたり馬鹿みたいな話だ。
目指すものが一緒なのだから当然だけど。
肝心のドラゴンはといえば、それほどダメージを受けた様子はない。
HPというものが存在していたのならば、1割くらいは削れたかというところか。
相対している3人のSランク冒険者たちはボロボロだ。
烈風のシドは宙に浮いたサーフボードのようなものに乗って戦うスタイルのようだが、すでに立つこともままならないようでしがみつくようにして宙に浮いている。
黒骨のカランは巨大ロボだかパワードスーツだかに乗っている。
アンデッドじゃなかったんだ。
おそらく黒いロボが黒骨の由来なのだろう。
そのロボも片腕を引きちぎられて大変なことになっているが。
最後に千刃のハザン。
彼はブレス攻撃か何かを受けたのか、右半身が炭化している。
見るからに瀕死の状態だ。
それでも立っているのがやはり主人公っぽい。
驚くことにパリパリと炭化した部分が剥がれて下からピンク色の肌が再生していくように見える。
どうやらエリクサーに類する回復アイテムか、肉体が再生するようなスキルを有しているようだ。
あと短剣はすでに3本になっていた。
三刃だね。
「お、おい。これはまずい状況なのではないか?」
「そのようだね。まあ予想はできた事態だけど。あの様子ならもう少しくらいはもちそうだ。まずは怪我人を救助しよう。速やかにこの階層から非難させる」
「「「了解」」」
僕は戦闘職の奴隷13人のうち、5人を屋敷の警備に残して8人を連れてきた。
メイドの中には元冒険者のアリシアもいて、彼女には銃やライトニングエッジの魔導印を支給している。
5人の戦闘職と協力すれば屋敷の警備は十分だろう。
僕を含めた9人は手分けして怪我人を壁際に運び、回復薬を飲ませた。
エリクサーは使わない。
僕の中ではジャブジャブ使える初級回復薬みたいな認識なのだが、あれは一応小瓶1本で金貨5000枚で落札したものだからね。
エリクサーを使われたと知った冒険者がショックで心臓麻痺を起こしてもおかしくないレベルだ。
それほど重篤な怪我人も千刃のハザン以外にはいないようだし、使わないに越したことはないだろう。
ナリキン氏のハーレムたちも手伝ってくれて、怪我人の避難が完了する。
この場に残られたら経験値が均等割りされてしまうからね。
可哀そうだけど彼らには部屋から出てもらった。
「さて、ハザンは生きてるかな」
僕たちはドラゴン戦に参戦する。
そんなことを言われたとて、僕は72層までしか転移門登録を済ませていないのだから仕方がない。
ドラゴンが出たというのは77階層だ。
5階層もの階層を下りるのに、僕たちは半日ほどかけてしまっていた。
これでも急いだのだ。
そもそも中層付近をこんな速度で駆け降りる冒険者はまずいない。
それもSランク冒険者であるナリキン氏と、そのクラン【黄金の剣】の力があってのことだ。
ナリキン氏のハーレムクランである黄金の剣は、ナリキン氏と9人の女性たちの計10人で構成されている。
女性たちは全員ナリキン氏の実家の力を使って集められた才能あふれる選りすぐりの強者たちばかり。
全員がザックスやドミニクと同格とまではいかないまでも、デニスレベルの使い手ばかりだ。
クランの総合力では僕たちのクランと同格くらいと言えるだろう。
ザックスとドミニクの人外の強さに加えて、彼女たちの的確なサポートもあって僕たちはあっという間に77階層に到着した。
ボス部屋まで進むと、開け放たれた大きな扉の中から激しい戦闘音が聞こえてくる。
「まだ終わってはいないようだな。今からでも参戦するか?」
「もう少し待とうよ。別に倒されたなら倒されたで何も損はしてないんだからいいでしょ」
「だが、Sランククランとしての名声が……」
そんなもの、盗賊に捕まった時点で終わってしまっているような気がするのだが。
あの盗賊はめちゃくちゃ強かったものの、そんなことは世間は知らない。
Sランククランを捕まえることのできる盗賊なんて存在しないと思っているから、ナリキン氏のクランは盗賊ごときに捕まった間抜けなSランククランと噂されている。
そのことを気に病んでいるからか、ナリキン氏は今回かなり功を焦っているように思える。
だが強敵相手に焦りは禁物だ。
最初に突っ込んだ奴は死ぬって相場が決まっているのだ。
「とりあえず他の冒険者たちの戦闘を見学させてもらおう」
せこいかもしれないけれど情報は大切だ。
ボス戦というのはボスがどのような攻撃手段を持っているのか、それをパターン化することが大切なのだ。
敵を知り己を知れば百戦危うからず。
どのパターンが来たらどのような回避行動をとるのかなどをすべて頭に入れてボスに臨めば、必ずボスを倒すことができる。
一番いけないのは焦ってダメージ加算を急ぐことだ。
「ライフゲージが一定以上減ると攻撃パターンが変化するボスもいるしね」
「坊ちゃんが言ってることが全く理解できねえ」
ゲーム脳は少しだけ封印するか。
ボス部屋に入ると、そこはとてもダンジョンの中とは思えない広さの部屋だった。
壁や天井はあるものの、どこまで行けば触れることができるのか想像ができないほどに遠い。
何も遮蔽物がないこんな広い空間で遠距離攻撃のできるドラゴンと戦うのは大変だ。
現にあちこちに倒れている人がいる。
血を流してはいるが生きているようだ。
現在ボス部屋にはあの大会議室にいた冒険者たちが全員勢ぞろいしてドラゴンと戦っている。
早いもの勝ちみたいな感じで出ていったのに全員同時に挑んでいるあたり馬鹿みたいな話だ。
目指すものが一緒なのだから当然だけど。
肝心のドラゴンはといえば、それほどダメージを受けた様子はない。
HPというものが存在していたのならば、1割くらいは削れたかというところか。
相対している3人のSランク冒険者たちはボロボロだ。
烈風のシドは宙に浮いたサーフボードのようなものに乗って戦うスタイルのようだが、すでに立つこともままならないようでしがみつくようにして宙に浮いている。
黒骨のカランは巨大ロボだかパワードスーツだかに乗っている。
アンデッドじゃなかったんだ。
おそらく黒いロボが黒骨の由来なのだろう。
そのロボも片腕を引きちぎられて大変なことになっているが。
最後に千刃のハザン。
彼はブレス攻撃か何かを受けたのか、右半身が炭化している。
見るからに瀕死の状態だ。
それでも立っているのがやはり主人公っぽい。
驚くことにパリパリと炭化した部分が剥がれて下からピンク色の肌が再生していくように見える。
どうやらエリクサーに類する回復アイテムか、肉体が再生するようなスキルを有しているようだ。
あと短剣はすでに3本になっていた。
三刃だね。
「お、おい。これはまずい状況なのではないか?」
「そのようだね。まあ予想はできた事態だけど。あの様子ならもう少しくらいはもちそうだ。まずは怪我人を救助しよう。速やかにこの階層から非難させる」
「「「了解」」」
僕は戦闘職の奴隷13人のうち、5人を屋敷の警備に残して8人を連れてきた。
メイドの中には元冒険者のアリシアもいて、彼女には銃やライトニングエッジの魔導印を支給している。
5人の戦闘職と協力すれば屋敷の警備は十分だろう。
僕を含めた9人は手分けして怪我人を壁際に運び、回復薬を飲ませた。
エリクサーは使わない。
僕の中ではジャブジャブ使える初級回復薬みたいな認識なのだが、あれは一応小瓶1本で金貨5000枚で落札したものだからね。
エリクサーを使われたと知った冒険者がショックで心臓麻痺を起こしてもおかしくないレベルだ。
それほど重篤な怪我人も千刃のハザン以外にはいないようだし、使わないに越したことはないだろう。
ナリキン氏のハーレムたちも手伝ってくれて、怪我人の避難が完了する。
この場に残られたら経験値が均等割りされてしまうからね。
可哀そうだけど彼らには部屋から出てもらった。
「さて、ハザンは生きてるかな」
僕たちはドラゴン戦に参戦する。
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