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6.隣のアットホーム
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「僕は2個隣の雪村翼です」
「俺は隣の四宮要」
「俺は、いや私は、中村文彦と申します」
「文彦の父、晴彦です」
「母、文乃です」
「メイドの高野恵理香です」
「恵理香の父、誠一です」
「母、麗子です」
アットホームだ。
というか全員自己紹介しなくても。
「あ、あの、同学年なんだからそんなにかしこまらなくても…」
ガチガチに緊張している中村家と高野家に雪村が冷静に指摘する。
だがそんなことは不可能だろう。
日本には特権階級は存在しないことになっているが、それは嘘だ。
金というのは力だ。
弱肉強食の摂理に当てはめるならば、金を持っていないものは弱者で、金を持っているものは強者だ。
俺にも、俺が恐怖する雪村という存在にも、きっとこの家族が逆立ちしても抗ううことはできない。
強いものは怖い、簡単な理屈だ。
「そ、そう?ならタメ口でいいかな?同い年だし」
そんな弱肉強食の掟を覆す存在、若さの力。
なるほど、さすがは幼馴染メイドを絶対に幸せにしてみせると言ってのけるだけある。
非常に肝が据わっているじゃないか。
幼馴染メイドの方はまだ少しビビッているというのに、この中村という男子生徒、やはり侮れない。
俺はまだ少し雪村が怖いぞ。
「うん、よろしく中村君。要君もいいよね」
あ、中村のことは中村君なんだ。
なんかちょっと優越感。
だめだこれ、BLルート入っちゃう。
メイドの尻撫でによって強制的に戻される。
もう、何度もお尻触らないでよね。
「ああ、よろしく、中村」
「こちらこそよろしく」
ま、とりあえず両隣がおっかない金持ちバカボンボンじゃなくてよかった。
それからさらに3日が経った。
明日は入学式だ。
正直もうお友達は両隣の2人だけでいいんだけど。
あの2人と同じクラスになりますように。
あの2人と同じクラスじゃなかったらまた1からお友達作りしないといけないじゃないか。
俺は朝の日課である新聞を読みながらそんなことを考える。
ああ、日経平均が調子いいなぁ。
ここのところ勝ちっぱなしだ。
倍々で軍資金が増えていく。
俺の日経平均予測手法はアナログとデジタルを組み合わせた古典的な手法だが、入力するデータを少し細かくカスタムしている。
HiGHかLOWかだけの予測なら8割は的中する。
だが、こんなことを続けていれば必ずいつか大損をするだろう。
オプション取引はここまでだ。
入学式までに資産をある程度増やしておきたかったから少し無茶をしたが、明日からは株で堅実に稼いでいこう。
最近の証券会社の売買システムは大したもので、スマホで取引ができる。
チャート分析には少し苦労するかもしれないが、俺の株式運用手法はファンダメンタル重視のガチガチの長期投資。
注文を出すだけならスマホで十分だろう。
くっくっく、俺は鬼と化すぞ。
「ああ坊ちゃま、いい顔です。まるでお父様のようです」
お前の父様魔王だろうが。
まあいい、朝飯にしよう。
「はい、坊ちゃま」
俺は結局未だ食堂に行けないでいる。
なんかね、もうこの朝食以上の料理が食堂にあるだろうか。
だって帝国ホテルにもないんだもの。
ああ、やっぱりこのベーコン癖になるな。
カリカリなベーコンを噛むと、旨みがじわりと染み出てくる。
なんだか最近スクランブルエッグも前より卵の味が濃厚になった気がする。
まさか、これも…。
「魔界のコカトリスの卵です」
魔界食材に侵食される今日この頃。
父よ、俺はもう魔界食材なしでは生きていけない身体にされてしまった。
「次はもう私なしでは生きていけない身体にして差し上げます」
俺の理性はもう限界です。
ルパンダイブしていい?
「もう少し焦らします」
マジ悪魔だな。
う、俺の右目の魔眼が…。
「ぶっくくく、魔眼、ぶっくくくくく」
悪魔退散、南無阿弥陀仏。
俺達主従がそんな朝の心温まるやりとりを繰り広げていると、廊下のほうから無粋な声が漏れ聞こえてくる。
なんかここの寮、扉の防音性悪くない?
今度業者入れて改装してやる。
俺は例のごとく扉をちょっとだけ開けて外をのぞき見る。
メイドはやはりピタリとくっ付いてくる。
あ、あかんて、そないな下半身までぴったりとくっ付けたら。
俺はメイドをちょっと押し返しつつ、外を見る。
すると、お隣の中村とそのメイドさんが同じ学生だろうかやたらと金キラのアクセサリーを付けたプロ野球選手みたいな奴に絡まれていた。
どうやら俺が恐れていた金持ちバカボンボンがついに出没してしまったらしい。
もう、なんで俺の部屋の前で絡むんだよ。
他所でやってくれ。
隣の雪村の部屋は留守なのか、それともうちと違って防音設備が充実しているのか、一向に出てくる様子がない。
マジでこれ俺がいくのか?
「いいじゃねえかよ、どうせこいつから給料とか貰ってるわけじゃねねえんだろ?なら俺のメイドになれよ、な?うちのメイドは給料いいぞ?その代わり夜伽が業務に入ってるけどな。がははは」
本当にあいつ高校生かよ。
どう聞いてもベンチャー企業の社長がキャバ嬢口説いてるようにしか見えないぞ?
「困ります。私は文彦君のお嫁さんになるんです。それにあなたはタイプじゃないですし」
なんであの子はそういう煽るようなことを言うかな。
「なんだと!?てめぇ、女だからって容赦しねえぞ」
「恵理香は絶対に渡すわけにはいかない!!」
「文彦君、かっこいい…」
もう出て行かなくてもいいかな。
後ろを向くと、メイドはイケイケゴーゴーのジェスチャーをしている。
もうちょっと様子を見ようか。
「俺は隣の四宮要」
「俺は、いや私は、中村文彦と申します」
「文彦の父、晴彦です」
「母、文乃です」
「メイドの高野恵理香です」
「恵理香の父、誠一です」
「母、麗子です」
アットホームだ。
というか全員自己紹介しなくても。
「あ、あの、同学年なんだからそんなにかしこまらなくても…」
ガチガチに緊張している中村家と高野家に雪村が冷静に指摘する。
だがそんなことは不可能だろう。
日本には特権階級は存在しないことになっているが、それは嘘だ。
金というのは力だ。
弱肉強食の摂理に当てはめるならば、金を持っていないものは弱者で、金を持っているものは強者だ。
俺にも、俺が恐怖する雪村という存在にも、きっとこの家族が逆立ちしても抗ううことはできない。
強いものは怖い、簡単な理屈だ。
「そ、そう?ならタメ口でいいかな?同い年だし」
そんな弱肉強食の掟を覆す存在、若さの力。
なるほど、さすがは幼馴染メイドを絶対に幸せにしてみせると言ってのけるだけある。
非常に肝が据わっているじゃないか。
幼馴染メイドの方はまだ少しビビッているというのに、この中村という男子生徒、やはり侮れない。
俺はまだ少し雪村が怖いぞ。
「うん、よろしく中村君。要君もいいよね」
あ、中村のことは中村君なんだ。
なんかちょっと優越感。
だめだこれ、BLルート入っちゃう。
メイドの尻撫でによって強制的に戻される。
もう、何度もお尻触らないでよね。
「ああ、よろしく、中村」
「こちらこそよろしく」
ま、とりあえず両隣がおっかない金持ちバカボンボンじゃなくてよかった。
それからさらに3日が経った。
明日は入学式だ。
正直もうお友達は両隣の2人だけでいいんだけど。
あの2人と同じクラスになりますように。
あの2人と同じクラスじゃなかったらまた1からお友達作りしないといけないじゃないか。
俺は朝の日課である新聞を読みながらそんなことを考える。
ああ、日経平均が調子いいなぁ。
ここのところ勝ちっぱなしだ。
倍々で軍資金が増えていく。
俺の日経平均予測手法はアナログとデジタルを組み合わせた古典的な手法だが、入力するデータを少し細かくカスタムしている。
HiGHかLOWかだけの予測なら8割は的中する。
だが、こんなことを続けていれば必ずいつか大損をするだろう。
オプション取引はここまでだ。
入学式までに資産をある程度増やしておきたかったから少し無茶をしたが、明日からは株で堅実に稼いでいこう。
最近の証券会社の売買システムは大したもので、スマホで取引ができる。
チャート分析には少し苦労するかもしれないが、俺の株式運用手法はファンダメンタル重視のガチガチの長期投資。
注文を出すだけならスマホで十分だろう。
くっくっく、俺は鬼と化すぞ。
「ああ坊ちゃま、いい顔です。まるでお父様のようです」
お前の父様魔王だろうが。
まあいい、朝飯にしよう。
「はい、坊ちゃま」
俺は結局未だ食堂に行けないでいる。
なんかね、もうこの朝食以上の料理が食堂にあるだろうか。
だって帝国ホテルにもないんだもの。
ああ、やっぱりこのベーコン癖になるな。
カリカリなベーコンを噛むと、旨みがじわりと染み出てくる。
なんだか最近スクランブルエッグも前より卵の味が濃厚になった気がする。
まさか、これも…。
「魔界のコカトリスの卵です」
魔界食材に侵食される今日この頃。
父よ、俺はもう魔界食材なしでは生きていけない身体にされてしまった。
「次はもう私なしでは生きていけない身体にして差し上げます」
俺の理性はもう限界です。
ルパンダイブしていい?
「もう少し焦らします」
マジ悪魔だな。
う、俺の右目の魔眼が…。
「ぶっくくく、魔眼、ぶっくくくくく」
悪魔退散、南無阿弥陀仏。
俺達主従がそんな朝の心温まるやりとりを繰り広げていると、廊下のほうから無粋な声が漏れ聞こえてくる。
なんかここの寮、扉の防音性悪くない?
今度業者入れて改装してやる。
俺は例のごとく扉をちょっとだけ開けて外をのぞき見る。
メイドはやはりピタリとくっ付いてくる。
あ、あかんて、そないな下半身までぴったりとくっ付けたら。
俺はメイドをちょっと押し返しつつ、外を見る。
すると、お隣の中村とそのメイドさんが同じ学生だろうかやたらと金キラのアクセサリーを付けたプロ野球選手みたいな奴に絡まれていた。
どうやら俺が恐れていた金持ちバカボンボンがついに出没してしまったらしい。
もう、なんで俺の部屋の前で絡むんだよ。
他所でやってくれ。
隣の雪村の部屋は留守なのか、それともうちと違って防音設備が充実しているのか、一向に出てくる様子がない。
マジでこれ俺がいくのか?
「いいじゃねえかよ、どうせこいつから給料とか貰ってるわけじゃねねえんだろ?なら俺のメイドになれよ、な?うちのメイドは給料いいぞ?その代わり夜伽が業務に入ってるけどな。がははは」
本当にあいつ高校生かよ。
どう聞いてもベンチャー企業の社長がキャバ嬢口説いてるようにしか見えないぞ?
「困ります。私は文彦君のお嫁さんになるんです。それにあなたはタイプじゃないですし」
なんであの子はそういう煽るようなことを言うかな。
「なんだと!?てめぇ、女だからって容赦しねえぞ」
「恵理香は絶対に渡すわけにはいかない!!」
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もうちょっと様子を見ようか。
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