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5.隣のラスボス
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ついに来てしまった。
しかもよりによって隣の部屋だ。
めちゃくちゃ横暴なバカボンボンだったらどうしよう。
「坊ちゃん、お父様の四宮ホールディングスも結構大きな会社ですよ?明確な格上などそれこそ真四角御三家くらいしかないのではないですか?」
真四角御三家、真四角グループを代表する主要企業の会長、社長たちによって結成された真四角グループの大まかな方向性などを決める会合である黒曜会の中核をなす真四角商事、真四角銀行、真四角電機の3大企業のことをそう呼ぶ。
実質的な真四角グループのトップだ。
この3企業の子息、令嬢が偶然にも全員俺と同学年で、今年高等部に進学するということはすでにエルザ情報で知っている。
できるなら一生会いたくなかったな。
「あとは一部の権力者の子供にも会いたくないな。芸能人の息子とかも可能性としてはあるな。あと裏社会のやつな」
「それではほぼ全員ですが」
「こんな学園でお友達たくさんできるわけない」
お腹痛い金持ちボンボン怖い。
そうそう言っているうちに廊下が静かになってきた。
お引越しが終わったのだろうか。
俺はドアに近づき、ちょっとだけ開けて外を見る。
なぜかエルザも付いてきて俺の後ろにぴったりと張り付く。
ちょっ、当ててんの?
廊下には気弱そうな背の低い男子生徒が一人で立っていた。
ちょうど引越しが終わったところのようで、出て行く引越し業者が見えなくなるまで見送っているようだ。
律儀なやつだ。
これはお友達になれそうな予感。
お、まずい、こっちに来る。
お隣に挨拶か?マジで律儀。
ちょ、エルザ、下がれって。
エルザは少し名残惜しそうにしながらも、俺の後ろから離れる。
直後ドアノッカーがカンカンという音を立てて鳴らされる。
危なかった、ギリギリセーフ。
俺は何事もなかったかのように自然にドアを開ける。
「あ、あの、初めまして、隣になりました雪村翼です。これから、よ、よろしくね」
そこには気の弱そうな美少年が立っていた。
世の中のお姉さま方の庇護欲をくすぐる天性の女垂らしといった風貌の少年だ。
だが、俺はそんなことよりも名前のほうに度肝を抜かれていた。
雪村翼、それは今年高等部に進学する真四角御三家の一角、真四角商事の会長の孫の名前だった。
俺はびっくりしすぎてちょっと涙が出てきた。
茫然自失状態の俺のお尻を、できるメイドがそっと撫でる。
ゾクリとする快感に俺は我を取り戻す。
「あ、あの、四宮要です。よ、よろしくおねがいします」
ここはめちゃくちゃ下手に出ておく。
ボンボン怖すぎる。
こんな可愛い顔してメイドさんを集めて酒池肉林とかしてるんだろうか。
メイドさんの胸の谷間から葡萄ジュースとか飲んでるんだろうか。
う、うちのメイドは渡さないぞ!?
「坊ちゃん…ポッ」
ポッて自分で言うな。
「あ、あの、四宮ってあの四宮ホールディングスの?」
「はい、末っ子です」
「ぼ、僕なんかに敬語は使わなくて、いいよ」
「そ、そうですか。そうかですか。?そう、そうか」
ビビりすぎて自分がなに言ってるのか分からなくなってきた。
「あ、あの、いままでなんで彩叶学園に通わなかったの?」
ビビッてました、とは言えない。
「い、いやあれだよね。世間一般の感覚というものを養うために、その、あらゆる可能性をだね、鑑みて、えーと、自分の可能性を試していた!」
「ボソッ)ビビッてたんですよね、坊ちゃま…」
今日はやけにメイドが騒ぎやがる。
さては俺の右腕に封印された邪神の欠片と共鳴してやがるのか?
「すごい…。自分の可能性を試すためにあえて過酷な環境に自分を追い込むなんて!誰にでもできることじゃないよ!!四宮君、僕と友達になってくれないかな?僕は君と友達になりたいんだ」
「ぶっくくくく、坊ちゃま、右腕に、邪神、ぶくくくっ、苦し」
上位悪魔を撃退する方法がわかったかもしれない。
しかし、雪村君はなにか熱いなにかを迸らせているな。
何が雪村君の琴線に触れたんだろうか。
今更怖いからお友達にはなれませんとは言えない。
「ああ、友達になろう。雪村君、いや、雪村」
「うん。これからよろしくね、要君」
おう、いきなり名前呼びですか。
ちょっと俺にはハードル高いです。
「あ、要君の反対隣も生徒が来たみたいだよ」
「本当だ…」
なんでよりにもよって俺の両隣は今日入寮しちゃってんだよ。
まあどうせいつかは入寮するんだ、早いか遅いかの違いしかないのならば早いほうが楽か。
それに俺の部屋の反対隣はどうやら珍しく一般家庭の生徒らしい。
引越しを家族らしき人が手伝っている。
金持ちならば俺のような例外を除いて、引越しには使用人か業者を使うだろう。
家族みんなでアットホームにお引越しなど金持ちはしない、と思う。
だけど、雰囲気というかなんかそういうのが、あの集団はきっと金持ちではないと感じさせる。
「恵理香、お前本当にメイドなんてできるのか?」
「大丈夫だってお父さん、私めちゃくちゃ練習したんだから」
「文彦、お前もこんなお金持ちばかりの学校でやっていけるのか?」
「問題ないよ、親父。絶対出世して、恵理香を幸せにして見せるよ」
「頼んだよ文彦君」
なんというアットホーム。
家族ぐるみでお付き合いしているのか。
大方幼馴染メイドといったところだろう。
まだ15、6歳で照れて気持ちを伝えられないお年頃だというのに、すでに幼馴染メイドと将来結婚するという関係性を家族ぐるみで確立している。
あの文彦君という男子生徒、なかなかの上級者だな。
しかし、この弱肉強食の金持ちボンボン学園で幼馴染を守り通すのは茨の道だと思うぞ文彦君。
絶対このド貧民、メイド置いて出ていきな!みたいなバカボンボンがいるんだ。
怖いよバカボンボン。
「そろそろあいさつに行こうか」
マジかよ雪村。
一生付いて行こうかな。
しかもよりによって隣の部屋だ。
めちゃくちゃ横暴なバカボンボンだったらどうしよう。
「坊ちゃん、お父様の四宮ホールディングスも結構大きな会社ですよ?明確な格上などそれこそ真四角御三家くらいしかないのではないですか?」
真四角御三家、真四角グループを代表する主要企業の会長、社長たちによって結成された真四角グループの大まかな方向性などを決める会合である黒曜会の中核をなす真四角商事、真四角銀行、真四角電機の3大企業のことをそう呼ぶ。
実質的な真四角グループのトップだ。
この3企業の子息、令嬢が偶然にも全員俺と同学年で、今年高等部に進学するということはすでにエルザ情報で知っている。
できるなら一生会いたくなかったな。
「あとは一部の権力者の子供にも会いたくないな。芸能人の息子とかも可能性としてはあるな。あと裏社会のやつな」
「それではほぼ全員ですが」
「こんな学園でお友達たくさんできるわけない」
お腹痛い金持ちボンボン怖い。
そうそう言っているうちに廊下が静かになってきた。
お引越しが終わったのだろうか。
俺はドアに近づき、ちょっとだけ開けて外を見る。
なぜかエルザも付いてきて俺の後ろにぴったりと張り付く。
ちょっ、当ててんの?
廊下には気弱そうな背の低い男子生徒が一人で立っていた。
ちょうど引越しが終わったところのようで、出て行く引越し業者が見えなくなるまで見送っているようだ。
律儀なやつだ。
これはお友達になれそうな予感。
お、まずい、こっちに来る。
お隣に挨拶か?マジで律儀。
ちょ、エルザ、下がれって。
エルザは少し名残惜しそうにしながらも、俺の後ろから離れる。
直後ドアノッカーがカンカンという音を立てて鳴らされる。
危なかった、ギリギリセーフ。
俺は何事もなかったかのように自然にドアを開ける。
「あ、あの、初めまして、隣になりました雪村翼です。これから、よ、よろしくね」
そこには気の弱そうな美少年が立っていた。
世の中のお姉さま方の庇護欲をくすぐる天性の女垂らしといった風貌の少年だ。
だが、俺はそんなことよりも名前のほうに度肝を抜かれていた。
雪村翼、それは今年高等部に進学する真四角御三家の一角、真四角商事の会長の孫の名前だった。
俺はびっくりしすぎてちょっと涙が出てきた。
茫然自失状態の俺のお尻を、できるメイドがそっと撫でる。
ゾクリとする快感に俺は我を取り戻す。
「あ、あの、四宮要です。よ、よろしくおねがいします」
ここはめちゃくちゃ下手に出ておく。
ボンボン怖すぎる。
こんな可愛い顔してメイドさんを集めて酒池肉林とかしてるんだろうか。
メイドさんの胸の谷間から葡萄ジュースとか飲んでるんだろうか。
う、うちのメイドは渡さないぞ!?
「坊ちゃん…ポッ」
ポッて自分で言うな。
「あ、あの、四宮ってあの四宮ホールディングスの?」
「はい、末っ子です」
「ぼ、僕なんかに敬語は使わなくて、いいよ」
「そ、そうですか。そうかですか。?そう、そうか」
ビビりすぎて自分がなに言ってるのか分からなくなってきた。
「あ、あの、いままでなんで彩叶学園に通わなかったの?」
ビビッてました、とは言えない。
「い、いやあれだよね。世間一般の感覚というものを養うために、その、あらゆる可能性をだね、鑑みて、えーと、自分の可能性を試していた!」
「ボソッ)ビビッてたんですよね、坊ちゃま…」
今日はやけにメイドが騒ぎやがる。
さては俺の右腕に封印された邪神の欠片と共鳴してやがるのか?
「すごい…。自分の可能性を試すためにあえて過酷な環境に自分を追い込むなんて!誰にでもできることじゃないよ!!四宮君、僕と友達になってくれないかな?僕は君と友達になりたいんだ」
「ぶっくくくく、坊ちゃま、右腕に、邪神、ぶくくくっ、苦し」
上位悪魔を撃退する方法がわかったかもしれない。
しかし、雪村君はなにか熱いなにかを迸らせているな。
何が雪村君の琴線に触れたんだろうか。
今更怖いからお友達にはなれませんとは言えない。
「ああ、友達になろう。雪村君、いや、雪村」
「うん。これからよろしくね、要君」
おう、いきなり名前呼びですか。
ちょっと俺にはハードル高いです。
「あ、要君の反対隣も生徒が来たみたいだよ」
「本当だ…」
なんでよりにもよって俺の両隣は今日入寮しちゃってんだよ。
まあどうせいつかは入寮するんだ、早いか遅いかの違いしかないのならば早いほうが楽か。
それに俺の部屋の反対隣はどうやら珍しく一般家庭の生徒らしい。
引越しを家族らしき人が手伝っている。
金持ちならば俺のような例外を除いて、引越しには使用人か業者を使うだろう。
家族みんなでアットホームにお引越しなど金持ちはしない、と思う。
だけど、雰囲気というかなんかそういうのが、あの集団はきっと金持ちではないと感じさせる。
「恵理香、お前本当にメイドなんてできるのか?」
「大丈夫だってお父さん、私めちゃくちゃ練習したんだから」
「文彦、お前もこんなお金持ちばかりの学校でやっていけるのか?」
「問題ないよ、親父。絶対出世して、恵理香を幸せにして見せるよ」
「頼んだよ文彦君」
なんというアットホーム。
家族ぐるみでお付き合いしているのか。
大方幼馴染メイドといったところだろう。
まだ15、6歳で照れて気持ちを伝えられないお年頃だというのに、すでに幼馴染メイドと将来結婚するという関係性を家族ぐるみで確立している。
あの文彦君という男子生徒、なかなかの上級者だな。
しかし、この弱肉強食の金持ちボンボン学園で幼馴染を守り通すのは茨の道だと思うぞ文彦君。
絶対このド貧民、メイド置いて出ていきな!みたいなバカボンボンがいるんだ。
怖いよバカボンボン。
「そろそろあいさつに行こうか」
マジかよ雪村。
一生付いて行こうかな。
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