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8.寄せ集めクラス
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ついに入学式。
新入生代表の挨拶は本物の篠原雅也だ。
全然違うし。
眼鏡の秀才タイプだった。
少し目つきは鋭いけれど、顔はいい。
女子がざわざわしている。
ちなみに入学式の会場も彩叶は一般の高校とは一線を画す。
生徒は全員リクライニングシートに座り、その隣で専属使用人が控えている。
優雅にお茶なぞシバきながら寛いでいるものもいる。
ていうか俺だ。
あれ?みんなお茶とか飲まないの?
なんかうちのメイドが淹れてくれたから俺ってば足なんて組んでふんぞり返りながら飲んじゃってるけど、これ他の生徒誰も飲んでないよね。
なんでお茶淹れたし?
「ボソッ)メイドジョークでございます」
まったくうちのメイドさんったらホントジョークがきついわ。
新入生代表がめっちゃこっち睨んでんだけど。
これまずくない?
もう無理だよ、俺が日本にいられなくなったら魔界で匿ってくれる?
「ボソッ)坊ちゃまは私が養いますのでご安心ください」
魔界でヒモ生活、悪くない。
だけどやっぱりその前に助けて欲しいかな。
『大丈夫です。私こう見えてもお父様より強いので。魔界三大魔王が勢ぞろいしない限りは坊ちゃまをお守りできます』
なんか頭の中に直接声が響いてる。
『念話です』
最終兵器メイドを見ていたら現世のしがらみとかどうでもよくなってきちゃったな。
気にしすぎだったのかな。
四宮ホールディングス社長の子息という肩書きと最強メイドの2つがあれば彩叶学園なんて恐るるに足らんかった。
財力にものを言わせて相手が魔王とか召喚してきても、うちのメイドは2体までならなんとかなると申しておるし。
いやもうメイドだけでいい気がするけど。
『もう、坊ちゃまったら。私だけいればいいなんて…』
そこまで言ってない。
メイドだけだと3食魔界食材になるだろうが。
そこまでいったらもう戻ってこれる気がしないぞ。
魔界食材は本当に中毒性が高くて困る。
『……ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします』
パチパチパチッ。
お、新入生代表の挨拶がやっと終わったらしい。
こういうのは大体同じようなことしか言わないんだからその部分は2文字の略語とかにまとめて欲しいよな。
キビキビとした動作で自分のリクライニングシートに戻っていく篠原雅也。
その眼鏡の奥の鋭い眼光は、まっすぐに俺を睨みつけている。
目を付けられちったね。
参ったな。
メイドのお茶目なジョークによる不本意な結果だけを残して、入学式は厳かに終了した。
クラス分けは中村とは一緒のクラスだったが、残念ながら雪村とは違うクラスになってしまった。
御三家がそれぞれ別のクラスになっていることを考えると、クラス同士の力関係を均等にしようとしているのかもしれない。
ちなみに俺は御三家が誰もいないクラスだ。
御三家がいると学園側もパワーバランスを均等にすることは難しいようで、どうしても御三家のいるクラスといないクラスには差が出てしまう。
だがこのクラスは特にひどい。
まるでこのクラスだけパワーバランスを調整することを諦めたように寄せ集めだ。
テリー珈琲レベルの会社の御曹司や、一般家庭の生徒が多い。
弱いものを集めて差別階級を作ることで適度に生徒のガス抜きを図っているのか?
社会の縮図やね。
だが俺をそのクラスに配属したことを後悔させてやるよ。
思春期特有の反骨心とは裏腹に、見事に埋没した未来が予想できる。
「さて皆さん、担任になりました鈴木彩香と申します。この学園はクラスの結束を高めることを目的として担任もクラスも3年間据え置きとなっています。長い付き合いになりますが、3年間よろしくお願いします」
担任教師は20代後半くらいの女性教師だ。
髪を後ろで一つに纏めた化粧気のない顔だが、不思議と愛嬌がありどこか可愛らしい雰囲気がある先生だ。
年齢から見て、教師経験は6、7年といったところだろうか。
この彩叶学園の教師に採用されているということはそれほど優秀なのか、それともこの学園のOGなのかのどちらかだろう。
OGだったとしても、在学中の成績や授業態度、卒業後の進路なども並のものでは採用されないだろう。
十中八九この先生は優秀な人物だ。
もしくは親が重要人物。
と、俺の脳裏にメイドの言葉が響く。
『彼女はこの学園のOGですが彼女の父はただの地方議員です。地元の雄ではありますが、彼女がこの学園の教師に採用されたのはほとんど彼女の実力によるものです』
エルザは今寮で俺の部屋の掃除などをしながら優雅に過ごしているはずだが、彼女は俺の目を通して俺の見たものを見ることができるらしい。
俺のプライバシーは……。
なかなかあの悪魔メイドは思春期の男子に対して酷なことをする。
鈴木先生の挨拶が終わると、出席番号順に生徒が挨拶していく。
挨拶か、苦手なんだよな。
無難に短く済ませておくかな。
やがて俺の順番が来たので立ち上がり挨拶する。
「四宮要です。よろしくお願いします」
こういうみんなに注目されるようなこととか得意じゃないな。
篠原雅也とか雪村とか、こういうの慣れてそうだよな。
と、思ったがなぜだか今日はあまり緊張しない。
首を傾げて他の生徒を良く見てみると、みんな必死にに俺と視線を合わせないようにしているようだ。
鈴木先生と中村だけが俺の話に注目している。
俺の自己紹介になんて興味ないのかと自虐気味に考えてみるが、それとはちょっと違うようだ。
もしかして、みんな俺にビビっている?
冷静に考えて自分の行動を振り返ってみれば、昨日はテリー珈琲の御曹司に日本にいられないようにするぞとか恫喝したし、今日は新入生代表の挨拶中にずっとふんぞり返ってお茶飲んでた。
まるで俺がずっとビビっていた金持ちバカボンボンの行動のようだ。
この教室にいるのはどいつもこいつも御三家などには逆立ちしても対抗できない有象無象ばかりだ。
御三家などには構ってられないとばかりに振舞う俺の姿にみんながビビるのも無理はない。
みんなの気持ちは俺が一番よく分かるぞ。
お友達がいっぱいできそうな気がしてきた。
新入生代表の挨拶は本物の篠原雅也だ。
全然違うし。
眼鏡の秀才タイプだった。
少し目つきは鋭いけれど、顔はいい。
女子がざわざわしている。
ちなみに入学式の会場も彩叶は一般の高校とは一線を画す。
生徒は全員リクライニングシートに座り、その隣で専属使用人が控えている。
優雅にお茶なぞシバきながら寛いでいるものもいる。
ていうか俺だ。
あれ?みんなお茶とか飲まないの?
なんかうちのメイドが淹れてくれたから俺ってば足なんて組んでふんぞり返りながら飲んじゃってるけど、これ他の生徒誰も飲んでないよね。
なんでお茶淹れたし?
「ボソッ)メイドジョークでございます」
まったくうちのメイドさんったらホントジョークがきついわ。
新入生代表がめっちゃこっち睨んでんだけど。
これまずくない?
もう無理だよ、俺が日本にいられなくなったら魔界で匿ってくれる?
「ボソッ)坊ちゃまは私が養いますのでご安心ください」
魔界でヒモ生活、悪くない。
だけどやっぱりその前に助けて欲しいかな。
『大丈夫です。私こう見えてもお父様より強いので。魔界三大魔王が勢ぞろいしない限りは坊ちゃまをお守りできます』
なんか頭の中に直接声が響いてる。
『念話です』
最終兵器メイドを見ていたら現世のしがらみとかどうでもよくなってきちゃったな。
気にしすぎだったのかな。
四宮ホールディングス社長の子息という肩書きと最強メイドの2つがあれば彩叶学園なんて恐るるに足らんかった。
財力にものを言わせて相手が魔王とか召喚してきても、うちのメイドは2体までならなんとかなると申しておるし。
いやもうメイドだけでいい気がするけど。
『もう、坊ちゃまったら。私だけいればいいなんて…』
そこまで言ってない。
メイドだけだと3食魔界食材になるだろうが。
そこまでいったらもう戻ってこれる気がしないぞ。
魔界食材は本当に中毒性が高くて困る。
『……ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします』
パチパチパチッ。
お、新入生代表の挨拶がやっと終わったらしい。
こういうのは大体同じようなことしか言わないんだからその部分は2文字の略語とかにまとめて欲しいよな。
キビキビとした動作で自分のリクライニングシートに戻っていく篠原雅也。
その眼鏡の奥の鋭い眼光は、まっすぐに俺を睨みつけている。
目を付けられちったね。
参ったな。
メイドのお茶目なジョークによる不本意な結果だけを残して、入学式は厳かに終了した。
クラス分けは中村とは一緒のクラスだったが、残念ながら雪村とは違うクラスになってしまった。
御三家がそれぞれ別のクラスになっていることを考えると、クラス同士の力関係を均等にしようとしているのかもしれない。
ちなみに俺は御三家が誰もいないクラスだ。
御三家がいると学園側もパワーバランスを均等にすることは難しいようで、どうしても御三家のいるクラスといないクラスには差が出てしまう。
だがこのクラスは特にひどい。
まるでこのクラスだけパワーバランスを調整することを諦めたように寄せ集めだ。
テリー珈琲レベルの会社の御曹司や、一般家庭の生徒が多い。
弱いものを集めて差別階級を作ることで適度に生徒のガス抜きを図っているのか?
社会の縮図やね。
だが俺をそのクラスに配属したことを後悔させてやるよ。
思春期特有の反骨心とは裏腹に、見事に埋没した未来が予想できる。
「さて皆さん、担任になりました鈴木彩香と申します。この学園はクラスの結束を高めることを目的として担任もクラスも3年間据え置きとなっています。長い付き合いになりますが、3年間よろしくお願いします」
担任教師は20代後半くらいの女性教師だ。
髪を後ろで一つに纏めた化粧気のない顔だが、不思議と愛嬌がありどこか可愛らしい雰囲気がある先生だ。
年齢から見て、教師経験は6、7年といったところだろうか。
この彩叶学園の教師に採用されているということはそれほど優秀なのか、それともこの学園のOGなのかのどちらかだろう。
OGだったとしても、在学中の成績や授業態度、卒業後の進路なども並のものでは採用されないだろう。
十中八九この先生は優秀な人物だ。
もしくは親が重要人物。
と、俺の脳裏にメイドの言葉が響く。
『彼女はこの学園のOGですが彼女の父はただの地方議員です。地元の雄ではありますが、彼女がこの学園の教師に採用されたのはほとんど彼女の実力によるものです』
エルザは今寮で俺の部屋の掃除などをしながら優雅に過ごしているはずだが、彼女は俺の目を通して俺の見たものを見ることができるらしい。
俺のプライバシーは……。
なかなかあの悪魔メイドは思春期の男子に対して酷なことをする。
鈴木先生の挨拶が終わると、出席番号順に生徒が挨拶していく。
挨拶か、苦手なんだよな。
無難に短く済ませておくかな。
やがて俺の順番が来たので立ち上がり挨拶する。
「四宮要です。よろしくお願いします」
こういうみんなに注目されるようなこととか得意じゃないな。
篠原雅也とか雪村とか、こういうの慣れてそうだよな。
と、思ったがなぜだか今日はあまり緊張しない。
首を傾げて他の生徒を良く見てみると、みんな必死にに俺と視線を合わせないようにしているようだ。
鈴木先生と中村だけが俺の話に注目している。
俺の自己紹介になんて興味ないのかと自虐気味に考えてみるが、それとはちょっと違うようだ。
もしかして、みんな俺にビビっている?
冷静に考えて自分の行動を振り返ってみれば、昨日はテリー珈琲の御曹司に日本にいられないようにするぞとか恫喝したし、今日は新入生代表の挨拶中にずっとふんぞり返ってお茶飲んでた。
まるで俺がずっとビビっていた金持ちバカボンボンの行動のようだ。
この教室にいるのはどいつもこいつも御三家などには逆立ちしても対抗できない有象無象ばかりだ。
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