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16.オーク狩り紀行4
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いきなりのオーク乱入に僕は少し呆けてしまったけれど、すぐにはっとしてお湯から出る。
服なんて着ている時間はないから全裸だ。
全裸でオークと対峙するなんて最悪だ。
「ブルッフェフェフェッ」
オークは1匹。
大きな棍棒を携えている。
なんだか僕の股間のあたりを見て笑っている気がする。
バカにしやがって。
僕は【凝縮lv1】で空中から液体窒素を作り出してお湯にぶち込んだ。
液体窒素は数秒で気化して白い煙を発生させる。
オークは少し驚いているみたいだ。
よしよし、僕を警戒しろ。
僕は次に【生活魔法lv3】で光球をたくさん浮かべる。
この生活魔法の光球は、イメージによって色を変えることができるということに最近気が付いた。
僕は真っ赤な光球や、青い光球、緑色の光球などの色とりどりの光球を自分の周りに浮かべオークを真っ直ぐ見る。
あたかも攻撃魔法でも撃つかのように不適な笑みを浮かべるのも忘れない。
オークは僕を魔法職だと思って警戒していることだろう。
「ブヒィィ……」
じりじりと睨み合う僕とオーク。
最初に動いたのはオークだ。
手に持った僕の背丈ほどの棍棒を振り上げて向かってくる。
「ブルヒィィィ!!」
僕はまだ動かない。
すでに罠は張った。
後はオークが掛かるのを待つだけだ。
オークはドタドタと足音をさせて凄い迫力で僕に向かってくる。
怖いな、やっぱり逃げようかな。
いやでも大丈夫のはず。
僕はこの罠に黒針地獄と名付け、発動する。
オークと僕との間に、無数の黒い針が地面から浮かび上がった。
髪を数十本寄り合わせて尖らせた極太の針だ。
しっかりとかえしも付いていて抜け難くしてある。
刺さったらさぞ痛かろう。
今まさにオークが踏もうとしていた地面から突き出た針を、オークは思い切り体重をかけて踏み抜いた。
「ブヒィィィィィッ!!!」
悲鳴を上げて悶絶するオークを僕は編み込んだ髪のロープを使い拘束する。
そのたっぷり詰まった脂肪が破裂しそうなほどギチギチに拘束されたオークは、もはやピクリとも動くことはできそうにない。
ここまで動けなくしてしまえば屈強なオークといえどただのタコ糸グルグル巻きのチャーシューだ。
だけど僕は自分の弱さというものを信頼している。
動けないからと言って近づいて仕留めるつもりはない。
僕は今まで自分の周りに浮かべていた色とりどりの光球を消し、その後ろに隠れていた髪の触腕に握られていた槍を10本すべて射出した。
槍はいままで投げていた木の棒を削っただけのものではない。
矢尻のように円錐形の尖った金属を棒の先に打ち込んであるのだ。
【回転lv3】の力で高速回転しながら射出された槍は、僕が投げたのとは段違いの速さと威力でオーク目がけて飛んでいった。
当たったのは5本。
それでもオークは絶命したようだ。
触腕による投擲はもう少し練習が必要だな。
僕はキンキンに冷えてしまっている風呂だったものをチラリと見て溜息をついた。
パチパチと焚火がはじける音が洞窟内に響いている。
なんだかんだで念願のオークを狩ることができたので今日は祝杯だ。
少しだけ持ってきた赤ワインを開ける。
ガラス瓶に入った少し高いやつだ。
この世界ではまだガラスは大量生産できないのでなかなか高い。
そのためいいお酒にしかガラス瓶は使われない。
これも1本で銀貨2枚ほどするお酒だ。
冒険者は質より量なのであまり飲まないお酒でもある。
でも僕には安酒は雑味が強すぎて飲めたものじゃないのでいつもは酒を飲まないようにしているのだ。
だけどきっとお酒が飲みたくなる夜もあるだろうなと思って今回のオーク狩りには赤ワインを1本だけ持ってきていた。
今が開け時だろう。
今日はオークを狩れた記念でもあるし、入浴をオークに邪魔されて全裸で戦うことになるという嫌なことがあった日でもある。
栓を固定している針金を外し、木製の栓を抜くとポンッという音がしてフルーティな香りが広がる。
ワイングラスに注いで飲みたいところだけれど、そんなものは売っていなかった。
この世界だとガラスの器で酒を飲むのはお貴族様くらいらしい。
残念だ。
僕はできるだけおしゃれなものを選んだ木の器にワインを注ぎ、一口飲んだ。
久しぶりのお酒は少し渋く感じた。
パチパチとまた焚火がはぜる。
その周りには串に刺さったオークの肉が遠火で炙られて油を光らせている。
オークの肉はおいしいらしい。
僕が倒したオークはかなり大きくてすべての肉を持ち帰ることはできなかったけれど、かなりの量の肉をこの洞窟に持ち帰ることができた。
串に刺さっている肉以外の肉は薄切りにして塩をまぶし、洞窟の天井から吊るしてある。
まだまだ街には帰るつもりはないので、これからも干し肉は溜まっていくかもしれない。
オークは売れる部位が2つある。
肉と睾丸だ。
肉はたぶんそんなに持って帰れないだろう。
僕の狙いは最初から睾丸なのだ。
これが1匹分で金貨1枚になるらしい。
まさに金の玉。
錬金術スキルを持つ人間が作ったホルマリンのような保存液が売っていて、それに浸しておけば1年くらいは持つらしいので僕はたくさん集めて瓶詰めにして帰るつもりなのだ。
すでに金貨1枚はもらったようなものだ。
回り始めたお酒にいい気分になりながら、僕はよく焼けたオークの肉にかぶりつきワインを飲み干した。
うまうま。
服なんて着ている時間はないから全裸だ。
全裸でオークと対峙するなんて最悪だ。
「ブルッフェフェフェッ」
オークは1匹。
大きな棍棒を携えている。
なんだか僕の股間のあたりを見て笑っている気がする。
バカにしやがって。
僕は【凝縮lv1】で空中から液体窒素を作り出してお湯にぶち込んだ。
液体窒素は数秒で気化して白い煙を発生させる。
オークは少し驚いているみたいだ。
よしよし、僕を警戒しろ。
僕は次に【生活魔法lv3】で光球をたくさん浮かべる。
この生活魔法の光球は、イメージによって色を変えることができるということに最近気が付いた。
僕は真っ赤な光球や、青い光球、緑色の光球などの色とりどりの光球を自分の周りに浮かべオークを真っ直ぐ見る。
あたかも攻撃魔法でも撃つかのように不適な笑みを浮かべるのも忘れない。
オークは僕を魔法職だと思って警戒していることだろう。
「ブヒィィ……」
じりじりと睨み合う僕とオーク。
最初に動いたのはオークだ。
手に持った僕の背丈ほどの棍棒を振り上げて向かってくる。
「ブルヒィィィ!!」
僕はまだ動かない。
すでに罠は張った。
後はオークが掛かるのを待つだけだ。
オークはドタドタと足音をさせて凄い迫力で僕に向かってくる。
怖いな、やっぱり逃げようかな。
いやでも大丈夫のはず。
僕はこの罠に黒針地獄と名付け、発動する。
オークと僕との間に、無数の黒い針が地面から浮かび上がった。
髪を数十本寄り合わせて尖らせた極太の針だ。
しっかりとかえしも付いていて抜け難くしてある。
刺さったらさぞ痛かろう。
今まさにオークが踏もうとしていた地面から突き出た針を、オークは思い切り体重をかけて踏み抜いた。
「ブヒィィィィィッ!!!」
悲鳴を上げて悶絶するオークを僕は編み込んだ髪のロープを使い拘束する。
そのたっぷり詰まった脂肪が破裂しそうなほどギチギチに拘束されたオークは、もはやピクリとも動くことはできそうにない。
ここまで動けなくしてしまえば屈強なオークといえどただのタコ糸グルグル巻きのチャーシューだ。
だけど僕は自分の弱さというものを信頼している。
動けないからと言って近づいて仕留めるつもりはない。
僕は今まで自分の周りに浮かべていた色とりどりの光球を消し、その後ろに隠れていた髪の触腕に握られていた槍を10本すべて射出した。
槍はいままで投げていた木の棒を削っただけのものではない。
矢尻のように円錐形の尖った金属を棒の先に打ち込んであるのだ。
【回転lv3】の力で高速回転しながら射出された槍は、僕が投げたのとは段違いの速さと威力でオーク目がけて飛んでいった。
当たったのは5本。
それでもオークは絶命したようだ。
触腕による投擲はもう少し練習が必要だな。
僕はキンキンに冷えてしまっている風呂だったものをチラリと見て溜息をついた。
パチパチと焚火がはじける音が洞窟内に響いている。
なんだかんだで念願のオークを狩ることができたので今日は祝杯だ。
少しだけ持ってきた赤ワインを開ける。
ガラス瓶に入った少し高いやつだ。
この世界ではまだガラスは大量生産できないのでなかなか高い。
そのためいいお酒にしかガラス瓶は使われない。
これも1本で銀貨2枚ほどするお酒だ。
冒険者は質より量なのであまり飲まないお酒でもある。
でも僕には安酒は雑味が強すぎて飲めたものじゃないのでいつもは酒を飲まないようにしているのだ。
だけどきっとお酒が飲みたくなる夜もあるだろうなと思って今回のオーク狩りには赤ワインを1本だけ持ってきていた。
今が開け時だろう。
今日はオークを狩れた記念でもあるし、入浴をオークに邪魔されて全裸で戦うことになるという嫌なことがあった日でもある。
栓を固定している針金を外し、木製の栓を抜くとポンッという音がしてフルーティな香りが広がる。
ワイングラスに注いで飲みたいところだけれど、そんなものは売っていなかった。
この世界だとガラスの器で酒を飲むのはお貴族様くらいらしい。
残念だ。
僕はできるだけおしゃれなものを選んだ木の器にワインを注ぎ、一口飲んだ。
久しぶりのお酒は少し渋く感じた。
パチパチとまた焚火がはぜる。
その周りには串に刺さったオークの肉が遠火で炙られて油を光らせている。
オークの肉はおいしいらしい。
僕が倒したオークはかなり大きくてすべての肉を持ち帰ることはできなかったけれど、かなりの量の肉をこの洞窟に持ち帰ることができた。
串に刺さっている肉以外の肉は薄切りにして塩をまぶし、洞窟の天井から吊るしてある。
まだまだ街には帰るつもりはないので、これからも干し肉は溜まっていくかもしれない。
オークは売れる部位が2つある。
肉と睾丸だ。
肉はたぶんそんなに持って帰れないだろう。
僕の狙いは最初から睾丸なのだ。
これが1匹分で金貨1枚になるらしい。
まさに金の玉。
錬金術スキルを持つ人間が作ったホルマリンのような保存液が売っていて、それに浸しておけば1年くらいは持つらしいので僕はたくさん集めて瓶詰めにして帰るつもりなのだ。
すでに金貨1枚はもらったようなものだ。
回り始めたお酒にいい気分になりながら、僕はよく焼けたオークの肉にかぶりつきワインを飲み干した。
うまうま。
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