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17.オーク狩り紀行5
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昨日は久しぶりにお酒と温かい食事をとって少し元気が出た。
お風呂はだめになっちゃったけどね。
掘った穴はまだ残っているからまた今度入ろう。
さて、今日はちょっと狩場を変更してみようと思う。
昨日一昨日と結局あの木立の足跡のところをオークが通ることはなかった。
それに同業者の姿も全然見ない。
このことから、ここらがオークの縄張りの中でもかなり外れなんじゃないかと僕は思った。
なので今日は昨日お風呂が邪魔された川を遡上してみようと思う。
あまり洞窟から離れると肉を運べる量が少なくなってしまうので2、3キロくらいかな。
歩いて大体1時間くらいの場所まで行ってみよう。
僕は昨日のお風呂の地点から川沿いに、どんどん歩いていく。
途中川沿いを歩けないところは迂回して川の位置を見失わないようにして歩くこと腹時計で1時間。
川は分岐点に差し掛かった。
僕はオークの足跡を探す。
流れ込んでいる支流のほうに、オークのものらしき足跡を発見した。
ちゃんと裸足の足型が残っている新しい足跡だ。
裸足でオークを狩っている大柄で野蛮人な冒険者でもないかぎり、この足跡は確かにオークのものだろう。
僕は支流を登った。
しかし良く考えてみれば川の近くにあるものといえば集落だ。
僕は途中で立ち止まった。
君子危うきに近づかず、冒険者は冒険をするな、だ。
僕は少し戻り、川の分岐点のあたりで待ち構えることにした。
どこに現れるか分からないので昨日使った黒針地獄をいつでも広範囲に発動できるように伸ばした毛髪をあちこちに垂らしておく。
うまいこと木の葉や木の棒で毛髪を隠し、少し匂いの薄れた布をかぶって潜む。
きっとまたしばらく待つことになるだろう。
僕は【重力(仮)魔法lv2】を石に向かって発動して時間を潰すことにした。
石を軽くして、戻して、また軽くして、戻して。
飽きたら【凝縮lv1】で水を出して飲んだり、【振動lv1】で小石を振動させたりして暇をつぶした。
それから半日ほどの時間が経っただろうか。
お腹の減り具合から昼すぎくらいだと思われる時間。
凝縮と振動、2つのスキルのレベルがひとつ上がった頃、僕の耳にドスドスと重たい足音が聞こえてきた。
オークだ。
僕はそっと音を立てないように罠を仕掛けた周辺をのぞき見る。
2匹のオークが連れ立って歩いている。
1匹は昨日のオークと同様の大きな棍棒を持ち、そしてもう1匹は元は冒険者の物であっただろう大剣を腰に帯びていた。
心臓がドクドクと早鐘のように鳴り響く。
オークが武器を持っている。
もちろん棍棒も武器だけれど、金属の武器を持っている個体というのはまた話が違ってくる。
オークの群れは完全なる縦社会だ。
上下関係にはかなり厳しいと聞く。
そんなオークの縦社会の、身分の上下はどうやって決まるのか。
それは強さだ。
つまり貴重な金属の武器を持っている個体。
それは他のオークよりも高い地位にある個体ということになり、非常に強い個体でもあるということになる。
やれるだろうか、僕に。
僕のやり方は罠を使っての奇襲。
罠を使えばきっと強い弱いはあまり関係ない。
しかしあのオークが昨日のオークと同様に悶絶して簡単に拘束されてくれるイメージは僕には湧かなかった。
ここは退こう。
僕はオークがいなくなるまで息を殺して石になった。
「ふー、さっきのオークめっちゃ強そうだったな」
僕はオークがいなくなったのを確認して息を大きく吐き出した。
冷や汗がすごい。
この布が臭くなかったら絶対汗の匂いでばれてたな。
臭い布様様だ。
もう僕は罠に仕掛けた毛を回収して帰ることにした。
さっき毛魔法のスキルレベルが一つ上がって毛を魔力に変換できるようになったのだ。
もちろん100パーセントの魔力を回収できるわけじゃないけれど、発動に使った半分くらいは魔力が回収できる。
つまりは単純計算で毛魔法を使うための魔力が半分になったようなものだ。
使った後大量の毛髪も残らないし、毛魔法の使い勝手がまた一段上がった。
僕は毛を巻き巻きして自分の魔力に変換し、川を下りていった。
川を下り始めてしばらくして、妙な音に気が付く。
キンッ、キンッ、という金属と金属がぶつかり合うような音だ。
これは誰かが戦っている音ではなかろうか。
しかも金属の音というとさっきの大剣のオークの可能性が高い。
僕はドキドキしながらも、少しだけ遠くからのぞいてみることにした。
他の冒険者の戦い方に興味があったのもあるけれど、あの大剣のオークがどのくらい強いのかも少し気になったのだ。
息を殺して音を立てないようにゆっくり近づいていく。
戦闘は川のすぐ横で行われているようだったので、森の中に入って木立に紛れる。
紛れるのは得意なんだ。
オークの側はさっき見かけた2匹、棍棒のやつと大剣のやつ。
対する冒険者側は……あれ?なんか見たことある。
いつぞやのお貴族様冒険者の4人だ。
前衛の一番位の高そうな少年が大剣で同じく大剣のオークと打ち合っている。
生半可な身体強化スキルではオークの膂力とまともに打ち合うことなんかできないので、高レベルの身体強化スキルか強化系の別のスキルだろう。
斥候っぽい少年は短剣の二刀流で棍棒オークを圧倒している。
普通に強いなあの斥候少年。
この間のゴブリンのときは数にビビッてしまっただけなのか、それともこの短期間に強くなったのか。
後衛の少女2人は少し後ろでなにがしかのスキルを発動している。
ヒーラーっぽい白ローブの少女は味方にかけるバフ系の魔法スキルかな?
魔法職っぽい黒ローブの子は多分氷魔法だ。
しきりに氷の矢みたいなやつを大剣オークに飛ばして前衛の少年をアシストしている。
すごいな、みんなレアスキルいっぱい持ってそう。
こんなにレアスキルがあってなぜゴブリンから逃げる。
お、見物しているうちに斥候少年が棍棒オークの首を掻き切った。
なんだあのスキル、なんか白い光で短剣が伸びたように見えた。
すごいな、羨ましいな。
これで勝負は決まってしまったかな。
いくらあの大剣オークが強かろうが、あんなレアスキルたくさん持った奴ら4人も相手にしたら勝てないだろう。
案の定オークは肩に体重の乗ったいいやつを食らって血を流す。
ふっと、辺りの空気が変わった気がした。
それはまるで、すべての音が消えてしまったかのようだった。
「グォォォォォォォッ!!!!!」
昨日聞いたオークの雄たけびとは似ても似つかない、それはまさに捕食者の咆哮だった。
オークの目は血走り、筋肉は隆起し、全身を赤いオーラが包み込む。
明らかに、なんらかのスキルを使用している。
対するお貴族様冒険者たちは、全員腰を抜かして尻餅をついていた。
白ローブの子だけは、前衛の少年を守ろうと震えながらも彼を自分の背中に隠そうとしていた。
さて、どうしようか。
当初の予定では冒険者側が負けた場合速やかに逃げようと思っていたんだけれど。
二言三言ではあるものの話したことのある人間だ。
助ける?逃げる?
しかし助けるにしても僕にあんな化け物みたいなオークが倒せるだろうか。
それが問題だ。
お風呂はだめになっちゃったけどね。
掘った穴はまだ残っているからまた今度入ろう。
さて、今日はちょっと狩場を変更してみようと思う。
昨日一昨日と結局あの木立の足跡のところをオークが通ることはなかった。
それに同業者の姿も全然見ない。
このことから、ここらがオークの縄張りの中でもかなり外れなんじゃないかと僕は思った。
なので今日は昨日お風呂が邪魔された川を遡上してみようと思う。
あまり洞窟から離れると肉を運べる量が少なくなってしまうので2、3キロくらいかな。
歩いて大体1時間くらいの場所まで行ってみよう。
僕は昨日のお風呂の地点から川沿いに、どんどん歩いていく。
途中川沿いを歩けないところは迂回して川の位置を見失わないようにして歩くこと腹時計で1時間。
川は分岐点に差し掛かった。
僕はオークの足跡を探す。
流れ込んでいる支流のほうに、オークのものらしき足跡を発見した。
ちゃんと裸足の足型が残っている新しい足跡だ。
裸足でオークを狩っている大柄で野蛮人な冒険者でもないかぎり、この足跡は確かにオークのものだろう。
僕は支流を登った。
しかし良く考えてみれば川の近くにあるものといえば集落だ。
僕は途中で立ち止まった。
君子危うきに近づかず、冒険者は冒険をするな、だ。
僕は少し戻り、川の分岐点のあたりで待ち構えることにした。
どこに現れるか分からないので昨日使った黒針地獄をいつでも広範囲に発動できるように伸ばした毛髪をあちこちに垂らしておく。
うまいこと木の葉や木の棒で毛髪を隠し、少し匂いの薄れた布をかぶって潜む。
きっとまたしばらく待つことになるだろう。
僕は【重力(仮)魔法lv2】を石に向かって発動して時間を潰すことにした。
石を軽くして、戻して、また軽くして、戻して。
飽きたら【凝縮lv1】で水を出して飲んだり、【振動lv1】で小石を振動させたりして暇をつぶした。
それから半日ほどの時間が経っただろうか。
お腹の減り具合から昼すぎくらいだと思われる時間。
凝縮と振動、2つのスキルのレベルがひとつ上がった頃、僕の耳にドスドスと重たい足音が聞こえてきた。
オークだ。
僕はそっと音を立てないように罠を仕掛けた周辺をのぞき見る。
2匹のオークが連れ立って歩いている。
1匹は昨日のオークと同様の大きな棍棒を持ち、そしてもう1匹は元は冒険者の物であっただろう大剣を腰に帯びていた。
心臓がドクドクと早鐘のように鳴り響く。
オークが武器を持っている。
もちろん棍棒も武器だけれど、金属の武器を持っている個体というのはまた話が違ってくる。
オークの群れは完全なる縦社会だ。
上下関係にはかなり厳しいと聞く。
そんなオークの縦社会の、身分の上下はどうやって決まるのか。
それは強さだ。
つまり貴重な金属の武器を持っている個体。
それは他のオークよりも高い地位にある個体ということになり、非常に強い個体でもあるということになる。
やれるだろうか、僕に。
僕のやり方は罠を使っての奇襲。
罠を使えばきっと強い弱いはあまり関係ない。
しかしあのオークが昨日のオークと同様に悶絶して簡単に拘束されてくれるイメージは僕には湧かなかった。
ここは退こう。
僕はオークがいなくなるまで息を殺して石になった。
「ふー、さっきのオークめっちゃ強そうだったな」
僕はオークがいなくなったのを確認して息を大きく吐き出した。
冷や汗がすごい。
この布が臭くなかったら絶対汗の匂いでばれてたな。
臭い布様様だ。
もう僕は罠に仕掛けた毛を回収して帰ることにした。
さっき毛魔法のスキルレベルが一つ上がって毛を魔力に変換できるようになったのだ。
もちろん100パーセントの魔力を回収できるわけじゃないけれど、発動に使った半分くらいは魔力が回収できる。
つまりは単純計算で毛魔法を使うための魔力が半分になったようなものだ。
使った後大量の毛髪も残らないし、毛魔法の使い勝手がまた一段上がった。
僕は毛を巻き巻きして自分の魔力に変換し、川を下りていった。
川を下り始めてしばらくして、妙な音に気が付く。
キンッ、キンッ、という金属と金属がぶつかり合うような音だ。
これは誰かが戦っている音ではなかろうか。
しかも金属の音というとさっきの大剣のオークの可能性が高い。
僕はドキドキしながらも、少しだけ遠くからのぞいてみることにした。
他の冒険者の戦い方に興味があったのもあるけれど、あの大剣のオークがどのくらい強いのかも少し気になったのだ。
息を殺して音を立てないようにゆっくり近づいていく。
戦闘は川のすぐ横で行われているようだったので、森の中に入って木立に紛れる。
紛れるのは得意なんだ。
オークの側はさっき見かけた2匹、棍棒のやつと大剣のやつ。
対する冒険者側は……あれ?なんか見たことある。
いつぞやのお貴族様冒険者の4人だ。
前衛の一番位の高そうな少年が大剣で同じく大剣のオークと打ち合っている。
生半可な身体強化スキルではオークの膂力とまともに打ち合うことなんかできないので、高レベルの身体強化スキルか強化系の別のスキルだろう。
斥候っぽい少年は短剣の二刀流で棍棒オークを圧倒している。
普通に強いなあの斥候少年。
この間のゴブリンのときは数にビビッてしまっただけなのか、それともこの短期間に強くなったのか。
後衛の少女2人は少し後ろでなにがしかのスキルを発動している。
ヒーラーっぽい白ローブの少女は味方にかけるバフ系の魔法スキルかな?
魔法職っぽい黒ローブの子は多分氷魔法だ。
しきりに氷の矢みたいなやつを大剣オークに飛ばして前衛の少年をアシストしている。
すごいな、みんなレアスキルいっぱい持ってそう。
こんなにレアスキルがあってなぜゴブリンから逃げる。
お、見物しているうちに斥候少年が棍棒オークの首を掻き切った。
なんだあのスキル、なんか白い光で短剣が伸びたように見えた。
すごいな、羨ましいな。
これで勝負は決まってしまったかな。
いくらあの大剣オークが強かろうが、あんなレアスキルたくさん持った奴ら4人も相手にしたら勝てないだろう。
案の定オークは肩に体重の乗ったいいやつを食らって血を流す。
ふっと、辺りの空気が変わった気がした。
それはまるで、すべての音が消えてしまったかのようだった。
「グォォォォォォォッ!!!!!」
昨日聞いたオークの雄たけびとは似ても似つかない、それはまさに捕食者の咆哮だった。
オークの目は血走り、筋肉は隆起し、全身を赤いオーラが包み込む。
明らかに、なんらかのスキルを使用している。
対するお貴族様冒険者たちは、全員腰を抜かして尻餅をついていた。
白ローブの子だけは、前衛の少年を守ろうと震えながらも彼を自分の背中に隠そうとしていた。
さて、どうしようか。
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