ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

文字の大きさ
23 / 159

23.鍛冶屋

しおりを挟む
 すべてのスキルがレベル5になるまで、新しいスキルは買わない。
 そう誓った僕だったけれど、やっぱりやめようと思う。
 必要なスキルは買わなくては。
 そう思い僕はスキル屋で4つのスキルを買った。
 2つは銀貨10枚のスキル、残りの2つは金貨10枚のスキルだ。
 銀貨10枚のスキルが【曲鉄lv1】と【着鉄lv1】。
 金貨10枚のスキルは【浮遊lv1】と【リキッドステイクlv1】だ。
 【曲鉄lv1】と【着鉄lv1】は工作用に、【リキッドステイクlv1】は戦闘用、そして【浮遊lv1】は移動用だ。
 金貨を稼ぐにはオークを狩るのが一番手っ取り早い。
 しかしオークを狩るのには移動だけで片道2日かかってしまう。
 それを解消するために、乗り物を作ろうと思う。
 車輪で動く前時代的なものではない。
 空飛ぶ乗り物だ。
 道が整備されておらず街道ですら平らじゃないこの世界では、車輪の乗り物には踏破能力に問題がある。
 しかし空を飛ぶ乗り物なんて科学の力だけで実現しようと思えばそれこそ21世紀並の科学力と技術力が必要だろう。
 それを解決するために【浮遊lv1】のスキルを買った。
 このスキルは鉱山や採石場で使われているスキルで、重いものでも宙に浮かす力がある。
 スキル屋の店主によれば、空高く浮くとかは無理だけど地面から30センチくらいの高さならかなり重いものでも浮かせられるらしい。
 僕には【スキル効果10倍】スキルがあるのでその10倍くらいはいけると見ていいだろう。
 10倍の重さの物を浮かせられるのか、10倍の高さまで浮くことができるのかは分からないけれど、乗り物を作るのに問題は無さそうだ。
 後は宙に浮いた後の動力。
 浮遊スキルは宙に浮くだけで自由に動けるわけではない。
 横に動く力が必要だ。
 それには風力を使おうと思っている。
 もちろん帆を張るとかではなく、プロペラだ。
 【曲鉄lv1】と【着鉄lv1】を買ったのは金属を加工してプロペラを作るためだ。
 箱のようなものを作ってそれを【浮遊lv1】で浮かせ、【回転lv4】でプロペラを動かし風力で進む。
 【回転lv4】は物体に触れていないと回転させることができないという欠点があるが、なにもプロペラの羽に触れなくても軸に触れればいい。
 そして必ずしも自分の手で触れる必要はないのだ。
 触腕からの槍の投擲で【回転lv4】が毛魔法で操った毛髪からも発動できることは実証済みだ。
 だとしたらプロペラの軸には、毛魔法で操った毛髪で触れていればいい。
 それなら摩擦熱で手が火傷する心配もないし、髪はツルツルなので回転を阻害することもない。
 なかなか面白い乗り物ができそうだ。
 やっぱりスキルは面白い。
 科学が全然発達してないのに、向こうの世界の近未来っぽい乗り物になるなんて。
 しかし完成すればオーク狩りに日帰りでいけるようになるかもしれない。
 僕はうきうきしながら鍛冶屋に向かった。
 鍛冶屋に向かう目的は2つ。
 プロペラに使う金属を買うためと、新しい武器を買うためだ。
 乗り物を全部金属で作るのは材料費が高くなってしまうので本体の大部分は木で作るつもりなのだが、プロペラだけは木で作るというわけにはいかない。
 僕には木をそんなに巧みに削る技術がない。
 金属なら【曲鉄lv1】スキルを使って板状の金属を歪ませれば不恰好ながらプロペラの羽ができる。
 それを着鉄でくっつけてプロペラを作るつもりなのだ。
 そしてもうひとつの理由である武器。
 これは以前から考えていたことだ。
 金が入ったらもっといい武器が欲しいと。
 よくよく考えてみたら僕の投擲武器はほとんど手作りなのだ。
 ある程度のところまではそれで行けるが、これからはそれでは無理だ。
 武器に金をケチって死んでしまっては元も子もない。
 だからいい感じの投擲武器を買いに行く。
 理想は手裏剣。
 手裏剣は僕の一番長く使っているスキル【回転lv4】と非常に相性がいい。
 棒手裏剣でも四方手裏剣でも八方手裏剣でもなんでもいいのであればいいのだが。
 僕は鍛冶屋の扉をくぐる。
 鍛冶屋は冒険者ギルドの近くにあって、裏手が工房表が店舗になっているみたいだ。
 僕が入ったのは店舗。
 いきなり工房のほうに入る勇気はなかったよ。
 頑固一徹なドワーフみたいな男がいるに決まってる。
 僕は適当に店内を見て回る。
 無用心にも誰もいないみたいで僕のような人見知りでも気楽に見て回ることができる。
 投擲武器はあまり人気が無いようで店の隅にあった。
 僕はこういう店の隅に置いてある物とかが好きなんだ。
 やっぱり日本伝統の投擲武器である手裏剣は置いてないみたいだ。
 真っ直ぐな刃のスローイングダガーやスローイングナイフばかりだ。
 回転して飛んでいくものといえばスローイングアックスかトマホークくらいか。
 僕はその手の短い手斧みたいな投擲武器を手に取る。
 スローイングアックスは巻き割りに使うような頭の重たい斧ではなく、鋼板を切り出して作ったような一定の厚みの斧だった。
 軽くて丸みを帯びていて投げやすい。
 逆にトマホークはインディアンが使っていた物のように重たくて破壊力のありそうな投擲武器だった。
 刃の付いている逆側は鋭く尖っていて、これならオークの脳天でもカチ割れるだろう。
 ここは無難にスローイングアックスを買っておくかな。
 トマホークもかっこいいんだけどね。
 ちょっと腰に帯びるには重たくてズボンが落ちそうだから。
 僕はスローイングアックスを3本手に持って店員さんを探す。

「すみませーん」

 奥の工房のほうに向けて呼んでみる。
 おっかないおっさんが出てきませんように。
 もう一度。

「すみませーん」

「あいよっ!!すんませんねお客さん、聞こえなくて」

 出てきたのは熊のようにでかい男だった。
 髭もじゃ。
 怖い。

「あ、あの、これください」

「あいよ。1本銅貨90枚でしめて銀貨2枚と銅貨70枚ね」

 意外と気性が荒くない。
 異世界で鍛冶屋を営んでいるのは気性の荒い益荒男ばかりだというのは僕の偏見だろうか。
 僕は少し安心して銀貨を3枚渡す。

「まいど。お釣り銅貨30枚ね」

「あ、あの、ここになかった武器の注文ってできますか?あと金属の板が欲しいんですけど」

 僕は意外と気性の荒くなかった鍛冶屋に思い切って切り出してみた。
 
「なに?ここにはなかった武器!?」

 鍛冶屋の目がぎろりと光った。
 やっぱり怖い。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...