ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

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24.鍛冶屋2

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「ここにはない武器?どんなのだい?」

「と、投擲武器なんですけど……」

「ふむ、ちょっとこれにどんなものか描いてみてくれないか?」

 店主は木板と炭を僕に手渡す。
 僕はそれほど絵心が無いので描きやすい四方手裏剣の絵を描いた。
 笹かまぼこを十字に重ねたみたいな形のやつだ。
 
「大きさはこのままか?」

「正確にはわからないけど、多分このくらいだと思う」

 手裏剣の実物大の大きさなんて分からないから投げやすそうな大きさにした。
 
「刃はこの部分全部につけるのか?」

 正直よく分からない。
 忍者ってあんな全方位に刃が付いたものをよく無造作に掴んで投げられるな。
 僕だったら手が血まみれになりそうだ。
 でも刃をつけないと貫通力がガタ下がりだしな。
 練習あるのみかな。

「一応全部につけてください。それとは別に練習用に刃の付いてないものも欲しいです」

「わかった。確か金属板も必要なんだったな。倉庫にあるから一緒に来てくれ」

「はい」

 僕は店主の後ろについて工房に足を踏み入れる。
 中は特に炉があるとかそういうことも無く、乱雑に造りかけの武器や農具、工具などが置かれているだけの部屋だった。
 あまり綺麗とは言いがたいな。
 きっとこの店主は独身だろう。
 髭もじゃ大男の店主の背中が少し煤けて見えてくる。
 店主は工房を突っ切り、さらに奥の倉庫に向かう。
 倉庫のドアを抜けると少しひんやりする。
 日当たりが悪くて湿気が少し多いようだ。
 店主は倉庫をどんどん進んでいき、たくさんの金属板が重ねて置かれているあたりで止まった。
 
「これが鋼板。厚さ10ミグル(ミリ)のものが1ユグル(メートル)四方で銀貨40枚ってとこか。そんでこっちが鉄板。厚さ10ミグル(ミリ)1ユグル(メートル)四方銀貨20枚くらいだな。そんで最後が銅版。値段は鉄板と同じだ。ユグル単位で売るような金属板はこんなところだな」

 おお、結構綺麗な金属板だ。
 金属加工技術が未熟だからボコボコした金属板が出てくるかと思ったら、ピカピカで均一な厚さの金属板が出てきた。
 これもスキルの力だろうか。
 意外と安いし、本体までオール金属製でもいけるかもしれない。
 僕は今金貨をいっぱい持ってるんだ。
 このくらいの出費はいいだろう。
 しかし全部厚さ1センチとは少し厚いな。

「もう少し薄いものはありませんか?」

「1ミグル(ミリ)と5ミグル(ミリ)のものがある。値段は1ミグル(ミリ)鋼板が銀貨30枚、鉄板銅版は銀貨10枚。5ミグル(ミリ)鋼板が銀貨35枚、鉄板銅版は銀貨15枚だ。しかしいったい何に使うんだ?ちゃんと加工できるのか?まさか手作業で加工するわけじゃないよな?」

 まさか宙に浮かぶ乗り物を造りたいとも言えないので僕は適当に造りたいものがあるとだけ伝え、加工はスキルを使って行うことも話した。

「そうなのか。曲鉄と着鉄はいいスキルだよな。俺も見習いの頃はよく使ったぜ」

 店主の話によれば、曲鉄と着鉄は鍛冶職人が見習いのときによく使うスキルらしい。
 この世界にはスキルという便利なものがあるので鍛冶職人は当然みんなスキルを使って金属製品を作る。
 しかし鍛冶職人の使う【冶金】という曲鉄や着鉄の上位互換のようなスキルはなかなか高価で、鍛冶師組合に所属している職人しか買うことができない。
 だから見習いは皆金を貯めて安い曲鉄や着鉄などのスキルを買い、修行するそうだ。
 
「まあ精進あるのみだぜ。がんばれよ」

 店主は僕のことを鍛冶職人見習いだと思ったのか先輩風を吹かせて背中を叩いてくる。
 僕は冒険者なんだけどな。
 武器も腰のナイフだけだし、防具も付けてないのでしょうがないかもしれないけど。
 
「で、金属板は何枚必要だ?」

「えっと、1ミグル(ミリ)の鋼板が3枚」

 僕は脳内で設計図を修正し、必要な鋼板を買った。
 本当は金属は補強にしか使わない予定だったし、使っても鋼板が高かったら鉄板か銅版にするつもりだったけれど、思ったより安かったので鋼板を買ってしまった。
 安かったといっても日本円に換算すれば約90万円だ。
 さっき2020万円相当のスキルを買ってきたばかりなので、金銭感覚が麻痺しているのかもしれない。
 僕は手裏剣の制作費も聞いてお金を払う。
 手裏剣はすぐに失くしちゃうと思うからストックも含めて刃付きを30本、練習用を10本頼んだ。
 締めて金貨1枚と銀貨10枚だ。
 手裏剣は刃付きも練習用も1本銅貨50枚で作ってくれるようだ。
 もはや安いのか高いのかわからなくなってきた。
 今日だけで日本円に換算すると約2130万円の出費だ。
 僕はIT社長か。
 もう普通の金銭感覚に戻れる気がしない。
 僕は3枚の鋼板を【浮遊lv1】で浮かせ、引っぱって鍛冶屋を出る。
 店主が少し驚いていた。
 【浮遊】スキルは金貨10枚のスキルだ。
 とても鍛冶職人見習いには買えるスキルではない。
 僕が冒険者だということに気付いてくれるとありがたい。
 手裏剣は3日後には出来上がるそうなのでその時には先輩風は吹かせないで欲しいな。
 僕は町を歩きながらあと必要なものを思い浮かべる。
 あとは木材かな。
 本体の装甲板は鋼板でいいとしても、骨組みは加工しやすい木材で作るのが無難だろう。
 僕は木材を買うために市場に向かった。
 髪で編んだロープで鋼板を引っぱって歩くと、自然と人ごみが割れた。
 楽チン。
 僕は木材屋に行き、ちょうど良さそうな角材を数本買うと鋼板の上に乗せて髪のロープで縛り付けた。
 これで必要なものは大体そろったけれど、ここまで来たついでなのでエルフの露店商シルキーさんのところに顔を出してから宿に帰るとしよう。
 10日ぶりくらいだけれど、シルキーさんはまだ破産していないだろうか。
 僕は少しだけ心配になり、裏路地に急いだ。


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