ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

文字の大きさ
70 / 159

70.シーサーペント肉

しおりを挟む
 顔に傷のある歴戦のガルーダに対して、現代兵器の力を用いて完全勝利した僕。
 デイジーよりも少しだけ体格の大きいガルーダのことを僕はオスだと思っていたのだけれど、どうやらそれは僕の間違いで、このガルーダはメスのようだ。
 ガルーダの雌雄は魔眼を使わなくてもお腹を見れば簡単に見分けることができる。
 ガルーダという魔物は鳥のような姿をしているにも関わらず、メスのお腹にある袋で子育てを行うのだ。
 その子供を育てるための袋が、このガルーダのお腹にはあった。
 ふかふかで暖かそうな袋だ。
 僕が入って寝たい。
 袋の大きさからいって、ガルーダの赤ちゃんは大人のダチョウくらいの大きさだろう。
 大きいヒヨコみたいで可愛いんだろうな。
 残念ながらデイジーもこのガルーダも独身のようで子供はいなかったのだけれど、一度見てみたいものだ。
 使役されていないガルーダの巣に入るのなんて、危険すぎてできないから無理かもしれないけれど。
 子育て中のガルーダを使役してしまうのは、なんだか可哀想なのでやりたくないしね。
 そんなわけで女の子だと分かったこの歴戦のガルーダには、バラライカと名付けた。
 名前の由来?
 大尉だよ。
 デイジーとバラライカは、性格的に相性が悪いということもなく仲良くしてくれているようだ。
 僕はそんな2羽に巨大な肉塊を与えていく。
 デイジーと協力して、というかほとんど僕が倒したシーサーペントの肉だ。
 僕は巨大な肉塊を啄ばむ2羽の隣で、ひとり焼いた肉を齧る。
 軽く塩を振って焼いただけの肉だけれど、結構美味しい。
 僕は個人的にオークの肉よりも好きかもしれない。
 オークの肉は豚肉に似た味と食感だったけれど、シーサーペントは鶏肉のようだ。
 鳥モモ肉のようにジューシーで、噛むたびに旨味と肉汁があふれ出てくる。
 僕は大きめのステーキ肉くらいの肉をあっという間に食べ終わってしまった。
 塩の次はタレといきますか。 
 僕はブラックキューブの中から調味料や飲料の入った石箱を取り出し、その中から異世界で買ってきた焼き鳥のタレと缶ビールを取り出す。
 塩はおいしすぎて一気に食べてしまったけれど、やっぱり美味しいものには美味しいお酒を呑まなくては。
 リリー姉さんのように強くはないのであまりたくさんは飲めないけれど、僕はお酒が結構好きなのだ。
 僕は液体窒素を使って氷水を作ると、その中に缶ビールを入れて冷やし、肉にタレを塗って焼いていった。
 シーサーペントの肉から滴る脂とタレが炙られて焦げ目を付け始めると、辺りには香しい匂いが漂い始める。

「クェェェェェェッ!!」

「キェェェェェェッ!!」

 デイジーとバラライカも匂いを嗅いで気になったのか、それは何かというような思念が伝わってくる。


「これは肉を更に美味しくしてくれる調味料だよ。調味料っていうのは、説明が難しいな。塩みたいなやつ。え、塩じゃないのかって?塩も入ってるけど、他にも色んなものが入ってるんだよ」

 魔物に調味料という概念を伝えるのは難しいな。
 デイジーとバラライカは、自分達の肉にもそれを塗って焼いて欲しいと伝えてきた。
 まあ言葉で伝えるよりは実際に食べてもらったほうが手っ取り早いと思うけれど、焼き鳥のタレが足りるかな。
 タレは1本だけで、1リットルくらいしか無い。
 こんな僕の身体くらい大きい肉に塗っていたら何リットルいるんだろうか。
 魔物に濃い味のものを食べさせて問題ないのかということも分からないしな。
 人間よりもずっと大きな身体だから、塩分摂取量を気にする必要はなさそうだけど。
 とりあえず僕は、巨大肉に薄くタレを塗って焼いてあげることにした。
 こんな大きな肉、どうやって焼けばいいのかな。
 また石魔法の簡易オーブンかな。
 僕は近くの岩を石魔法で改造して大きなオーブンを作り上げると、オーブンを暖めるために久しぶりに【チャージ】スキルを使う。
 日本語詠唱の紫色の着火を半分くらいまで溜めたチャージだ。
 結構攻撃力が高いのに、外でお風呂沸かすときくらいしか使ってないな。
 紫の炎が封じ込められた紫色の光球は、簡易オーブンの中で破裂して高温の炎を噴出す。
 
「ああ、ちょっと石が溶けちゃったな……」

 でもこのくらい熱くないとあんな大きな肉焼けないよね。
 僕は薄く焼き鳥のタレを塗った肉を浮遊スキルで持ち上げて、オーブンの中に放り込んで蓋をした。
 焼くのに時間がかかってしまうだろうな。
 その間に僕は肉を食べながら冷えたビールを飲ませてもらおう。
 ジュージューと焼ける僕用の小さな肉を見ると、こちらのほうは食べごろのようだ。
 僕は熱々の肉を頬張った。
 焦げた醤油と肉の脂の香ばしい香り。
 程よく歯ごたえのある肉を噛み締めると、肉の旨味が口いっぱいに広がる。
 噛み切った肉の断面からは、止め処なく肉汁が滴り落ちる。
 こんな肉は日本には絶対に無いと断言できるね。
 僕だって高級な鶏肉くらいは食べたことがあるけれど、旨味の濃厚さや香りなんかが全然違う。
 僕は肉をもう一口齧って、冷えた缶ビールを開ける。
 缶から直接っていうのはあまり好きじゃない。
 僕はブラックキューブの中の食器類の入った石箱を取り出した。
 この中には日本の100円ショップで買った食器類が新聞紙に包んで入れてある。
 僕はデザインが気に入って買ったグラスを取り出し、それにビールを注いでいく。
 やっぱりお酒はお気に入りのグラスで飲んだほうがおいしいよね。
 キンッキンのそれを、僕はぐいっと一気に飲み干した。
 
「ふぅ……」

 たとえ今死ぬことになっても僕は後悔しないかもしれない。
 それほどの多幸感だ。
 おっと、そろそろ焼いたお肉を出してあげないとガルーダ2羽がクチバシを長くして待っている。
 しかしいくらオーブンで焼いたといってもお肉の中は完全に生だけど、寄生虫とかは大丈夫なんだろうか。
 日本でもペットに生の魚や肉を与えて、寄生虫で死んでしまったというようなことがあるらしいから心配だ。
 そういえば、ブラックキューブの中には生き物は入らないんだよな。
 僕はオーブンから取り出した肉を、一回ブラックキューブに入れてからもう一度オーブンでよく焼いていく。
 こうすれば菌も寄生虫も問題無いはず。
 しかしすでに寄生されてしまっている可能性もある。
 一度召喚生物たちをすべて医者に診てもらう必要があるかもしれないな。
 ゴブ次郎とか結構心配だ。
 でもガルーダなんて医者に見せたらびっくりさせてしまうかもしれない。
 ガルーダやゴブリンを診てくれる医者を探すのも大変そうだな。
 医者を探すのなら人口の多い領都がいいだろうか。
 そういえば僕は、スキル屋の店主にまたスキルを買いに行くという約束をしているのだった。
 領都に行くなら、スキル屋には必ず顔を見せなくてはならないだろう。
 もしかしたら店主なら、いい医者を知っているかもしれない。
 僕の残り3日しかない休日の予定は決定した。
 そうと決まれば急がないと。
 ほら、お前達さっさと肉を食え。
 僕は2羽の前に焼きあがった肉を置いてやる。
 2羽はクンクンとしばらく匂いを嗅いでいたが、ほぼ同時に啄ばんだ。

「クェェェェェェ……」

「キェェェェェェ……」

 2羽のガルーダからは今まで食べてたもん全部クソやな、という思念が送られてきたのだった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...