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69.再びvsガルーダ
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爆発したように水柱が立つ海面。
ちょっと液体窒素の杭100本はやりすぎただろうか。
液体窒素と海水との温度差によって爆発的に液体窒素が蒸発して辺り一面、白い煙が漂っている。
シーサーペントは当然死んでいる。
【回転lv10】で高速回転する液体窒素の杭の前には、水の盾なんて役に立たない。
ぐっさぐさのカッチコチだ。
瞬間冷凍されてるから味は落ちにくいかもしれない。
僕は毛魔法でシーサーペントを引き上げる。
このまま浜辺かどこかで焼いて食べたいところだけど、気絶したままのガルーダは起こしたほうがいいだろうか。
僕は少し考えて、起こさない方針でいくことに決めた。
肉が焼けるまでの間にもう1匹ガルーダを使役することにしよう。
デイジーがいらなくなったわけではないんだ。
乗り物として使うならもう1匹くらい居たほうがいいかと思っただけだ。
僕は浜辺まで小船で行き、肉を焼く用意をしてからガルーダを召喚した。
光の中からガルーダが現れる。
今度の奴はデイジーよりも少し身体が大きくて顔に傷がある。
オスメスの違いかな。
まさかデイジーは子供だったとかそういうパターンじゃないよね。
ボクシングに階級があるように、体格というのは結構大きな差だよ。
それに傷。
顔の半分くらいはあろうかという大きな傷があるのだ。
死線をくぐってきた歴戦の個体かもしれない。
とりあえず鑑定。
固有名:なし
種族:ガルーダ
スキル:【風魔法lv7】【高速飛行lv9】【視力強化lv8】【爪硬化lv8】【フェザーブレイドlv9】【フェザースティングlv8】【気配察知lv9】
ふーん。
風魔法スキルはデイジーのほうが高いね。
でも爪硬化とフェザーブレイドはこの個体のほうが高い。
気になるのはデイジーが持っていなかったスキルを持っていることだ。
【気配察知lv9】こんなスキルはデイジーは持っていない。
これは多分会長が持ってるのと同じスキルだよな。
以前会長がこのスキルを持っているという話を聞いて、主人公が持っていそうなスキルだと思った記憶がある。
そんなスキルを持ったガルーダ。
いいね。
味方になったら心強い。
僕は毛魔法の触腕を振るった。
もちろん避けられる。
スピード自慢のガルーダに僕の攻撃なんか当たるわけないよね。
でもこれで僕を敵と認識してくれた。
逃げられるのが一番困るからね。
向こうからかかってきてくれないと僕にはガルーダを捕まえられる手段が無い。
また網で捕まえてもよかったんだけど、なんかちょっとだけ戦ってみたいとか少年漫画っぽいことを考えてしまった。
歴戦のガルーダは鋭い眼光で僕を睨みつけてくる。
超怖い。
やっぱ網で捕獲すればよかったかな。
デイジーはピーピー鳴いて威嚇してくるイメージだったけれど、この個体は一切鳴かない。
空中に静止してこちらをじっと睨みつけている。
そしてふっと力を抜いたように降下すると、地面すれすれを高速飛行し始める。
砂煙で目暗ましをするつもりか。
風魔法も使っているようで、すぐにモクモクと砂煙が立ち込めて何も見えなくなった。
同じガルーダでここまで戦い方が違うものか。
僕にはハンカチで口を押さえて、反転魔法で防御を固めることしかできない。
やっぱり僕も感知系のスキルを手に入れたほうが良いだろうか。
砂煙で何も見えないけれど、反転魔法が何かを跳ね返した感触があった。
質量的にガルーダ本体ではないな。
デイジーのように自滅はしてくれなさそうだ。
おそらく風魔法で小手調べの攻撃を行ったのだろう。
なかなか慎重な性格だ。
しかし困ったな。
僕には超スピードで飛ぶガルーダを捕らえる手段が無いのだ。
慎重になられたら打つ手無しだ。
僕は苦し紛れに髪の触腕を長く伸ばし、でたらめに振るってみた。
当然のごとく何も捕らえることはできなかったが、風圧で砂煙が少し晴れた。
そしてその向こうに、歴戦のガルーダの姿も見えた。
うーん、久しぶりに目潰し作戦でもやってみようかな。
たぶん視覚を奪っても気配察知スキルがあるから戦えると思うけれど、とにかく怒らせないと僕に向かってきてくれない。
僕は砂煙の晴れ間に光球を飛ばし、目を両手で押さえる。
「キェェェェッ!!」
今まで一声も鳴かなかったガルーダから、悲鳴のような鳴き声が上がった。
先ほどまでは小手調べ程度だった風魔法による攻撃が、バンバン飛んでくる。
めっちゃ怒ってる。
「キェェェェェェッ!!!」
ビュンビュンと風魔法が僕の周りの砂煙を吹き飛ばしていき、視界が晴れる。
ついにはフェザースティングまで飛んできた。
あんな予備動作の大きな攻撃を簡単に使うようなタイプには見えなかったのに。
しょせんは大きな鳥よのう。
僕はブラックキューブの中からある物を取り出す。
それは3重の石箱に入れられた超危険物。
異世界からジョークのつもりでお土産に持ってきたけれど、誰にも受け入れられることが無かったある缶詰だ。
その名もシュールストレミング。
正真正銘、あちらの世界で一番臭いとされる缶詰だ。
ブラックキューブの中に入れることにより缶の中は無菌状態になり発酵自体は止まってしまったものの、菌達が今まで一生懸命分泌した匂い物質は健在のはず。
僕は石箱を開け、その中の缶を取り出す。
発酵により発生したガスによって破裂しそうなほどに張り詰めたその缶を、僕は毛魔法の触腕に持たせる。
僕はそれに高速回転を加えて投擲した。
急激な回転が加わることによって、空中で爆発する缶詰。
「キェェェェェェッ、ゥェェ……」
歴戦のガルーダは墜落した。
僕の完全勝利だ。
現代兵器チートだ。
僕は歴戦のガルーダに使役魔法を撃ち込む。
使役契約は5秒で完了した。
ちょっと液体窒素の杭100本はやりすぎただろうか。
液体窒素と海水との温度差によって爆発的に液体窒素が蒸発して辺り一面、白い煙が漂っている。
シーサーペントは当然死んでいる。
【回転lv10】で高速回転する液体窒素の杭の前には、水の盾なんて役に立たない。
ぐっさぐさのカッチコチだ。
瞬間冷凍されてるから味は落ちにくいかもしれない。
僕は毛魔法でシーサーペントを引き上げる。
このまま浜辺かどこかで焼いて食べたいところだけど、気絶したままのガルーダは起こしたほうがいいだろうか。
僕は少し考えて、起こさない方針でいくことに決めた。
肉が焼けるまでの間にもう1匹ガルーダを使役することにしよう。
デイジーがいらなくなったわけではないんだ。
乗り物として使うならもう1匹くらい居たほうがいいかと思っただけだ。
僕は浜辺まで小船で行き、肉を焼く用意をしてからガルーダを召喚した。
光の中からガルーダが現れる。
今度の奴はデイジーよりも少し身体が大きくて顔に傷がある。
オスメスの違いかな。
まさかデイジーは子供だったとかそういうパターンじゃないよね。
ボクシングに階級があるように、体格というのは結構大きな差だよ。
それに傷。
顔の半分くらいはあろうかという大きな傷があるのだ。
死線をくぐってきた歴戦の個体かもしれない。
とりあえず鑑定。
固有名:なし
種族:ガルーダ
スキル:【風魔法lv7】【高速飛行lv9】【視力強化lv8】【爪硬化lv8】【フェザーブレイドlv9】【フェザースティングlv8】【気配察知lv9】
ふーん。
風魔法スキルはデイジーのほうが高いね。
でも爪硬化とフェザーブレイドはこの個体のほうが高い。
気になるのはデイジーが持っていなかったスキルを持っていることだ。
【気配察知lv9】こんなスキルはデイジーは持っていない。
これは多分会長が持ってるのと同じスキルだよな。
以前会長がこのスキルを持っているという話を聞いて、主人公が持っていそうなスキルだと思った記憶がある。
そんなスキルを持ったガルーダ。
いいね。
味方になったら心強い。
僕は毛魔法の触腕を振るった。
もちろん避けられる。
スピード自慢のガルーダに僕の攻撃なんか当たるわけないよね。
でもこれで僕を敵と認識してくれた。
逃げられるのが一番困るからね。
向こうからかかってきてくれないと僕にはガルーダを捕まえられる手段が無い。
また網で捕まえてもよかったんだけど、なんかちょっとだけ戦ってみたいとか少年漫画っぽいことを考えてしまった。
歴戦のガルーダは鋭い眼光で僕を睨みつけてくる。
超怖い。
やっぱ網で捕獲すればよかったかな。
デイジーはピーピー鳴いて威嚇してくるイメージだったけれど、この個体は一切鳴かない。
空中に静止してこちらをじっと睨みつけている。
そしてふっと力を抜いたように降下すると、地面すれすれを高速飛行し始める。
砂煙で目暗ましをするつもりか。
風魔法も使っているようで、すぐにモクモクと砂煙が立ち込めて何も見えなくなった。
同じガルーダでここまで戦い方が違うものか。
僕にはハンカチで口を押さえて、反転魔法で防御を固めることしかできない。
やっぱり僕も感知系のスキルを手に入れたほうが良いだろうか。
砂煙で何も見えないけれど、反転魔法が何かを跳ね返した感触があった。
質量的にガルーダ本体ではないな。
デイジーのように自滅はしてくれなさそうだ。
おそらく風魔法で小手調べの攻撃を行ったのだろう。
なかなか慎重な性格だ。
しかし困ったな。
僕には超スピードで飛ぶガルーダを捕らえる手段が無いのだ。
慎重になられたら打つ手無しだ。
僕は苦し紛れに髪の触腕を長く伸ばし、でたらめに振るってみた。
当然のごとく何も捕らえることはできなかったが、風圧で砂煙が少し晴れた。
そしてその向こうに、歴戦のガルーダの姿も見えた。
うーん、久しぶりに目潰し作戦でもやってみようかな。
たぶん視覚を奪っても気配察知スキルがあるから戦えると思うけれど、とにかく怒らせないと僕に向かってきてくれない。
僕は砂煙の晴れ間に光球を飛ばし、目を両手で押さえる。
「キェェェェッ!!」
今まで一声も鳴かなかったガルーダから、悲鳴のような鳴き声が上がった。
先ほどまでは小手調べ程度だった風魔法による攻撃が、バンバン飛んでくる。
めっちゃ怒ってる。
「キェェェェェェッ!!!」
ビュンビュンと風魔法が僕の周りの砂煙を吹き飛ばしていき、視界が晴れる。
ついにはフェザースティングまで飛んできた。
あんな予備動作の大きな攻撃を簡単に使うようなタイプには見えなかったのに。
しょせんは大きな鳥よのう。
僕はブラックキューブの中からある物を取り出す。
それは3重の石箱に入れられた超危険物。
異世界からジョークのつもりでお土産に持ってきたけれど、誰にも受け入れられることが無かったある缶詰だ。
その名もシュールストレミング。
正真正銘、あちらの世界で一番臭いとされる缶詰だ。
ブラックキューブの中に入れることにより缶の中は無菌状態になり発酵自体は止まってしまったものの、菌達が今まで一生懸命分泌した匂い物質は健在のはず。
僕は石箱を開け、その中の缶を取り出す。
発酵により発生したガスによって破裂しそうなほどに張り詰めたその缶を、僕は毛魔法の触腕に持たせる。
僕はそれに高速回転を加えて投擲した。
急激な回転が加わることによって、空中で爆発する缶詰。
「キェェェェェェッ、ゥェェ……」
歴戦のガルーダは墜落した。
僕の完全勝利だ。
現代兵器チートだ。
僕は歴戦のガルーダに使役魔法を撃ち込む。
使役契約は5秒で完了した。
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