ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

文字の大きさ
78 / 159

78.ゴブリンと魔法

しおりを挟む
 向かい合って対峙する4体のオークと僕たち。
 ピリピリとした緊張感があたりに立ち込めている。
 口火を切ったのはリリー姉さん。
 自身の身体よりも大きなバトルアックスを振り上げて先頭のオークに向かって素早く踏み込む。
 身体の回転をうまく利用した斬撃で瞬く間にオークの太い腕を切り落とすと、そのままもう一度回転してオークに回し蹴りを叩き込む。
 屈強なオークの身体に姉さんの強烈な蹴りがめり込む。
 
「ブヒィィィ!!」

 先頭のオークがやられたのを見ていた残り3匹のオークは激昂し、姉さんに殺到する。
 そのうち1匹の攻撃をミゲル君が持った大盾が防ぎ、もう1匹の脳天には会長が放った矢が突き刺さって絶命した。
 最後の1匹、一番後方にいたオークはいつの間にか忍び寄っていたゴブ次郎に喉笛をかき切られて血しぶきを吹いて倒れる。
 残るオークは2匹。
 うち1匹は姉さんによって片腕を落とされている。
 大勢は決した。
 五体満足なオークはミゲル君の棍棒によって脳天をカチ割られ、片腕のオークは姉さんの大斧で首を刎ねられる。
 僕たちのパーティは無事4体のオークに勝利したのだった。
 あれ、僕何もしてない。





「なかなかいい感じね。この調子ならすぐにCランクになれそうね」

「そうだね」

 Cランクか。
 Cランク冒険者になるためにはオークの単独討伐と盗賊退治をしなければならないんだよな。
 オークのほうは問題ないだろう。
 全員一対一ならオークを討伐できるだけの力がある。
 問題は盗賊だ。
 前回僕は盗賊退治で結果的に失敗しているんだよ。
 あれを普通の盗賊と考えるのは間違いだと思うけれど、僕はあれ以外の盗賊に出会ったことがないんだよ。
 いったい盗賊というのはどの程度の強さなんだろうか。
 いや、今の僕にとって相手の強さにはあまり関係がないだろう。
 スキルレベル10相当の本物のチート野朗でも出てこない限りは負ける気はしない。
 だけど、僕は人を殺したことがないんだ。
 リリー姉さんは僕と違って1回正式な犯罪奴隷になっているからなのか、冒険者ランクはFからのやり直しになってしまった。
 でも1回はCランク冒険者だったんだ。
 つまり盗賊討伐を無事にこなした経験があるということ。
 リリー姉さんのことだから盗賊を一人残らず皆殺しにするくらいのことはしたのかもしれない。
 盗賊のアジトに女性でも囚われていたのなら、間違いなく盗賊の命は無い。
 そしてきっと助けた女性にも恐れられたりするのだ。
 リリー姉さんはまあ問題ない。
 問題は僕たち男組。
 ミゲル君も会長も僕も、人を殺せる気がしないというところに問題がある。
 僕は利己的な人間だ。
 殺さなきゃ殺されるっていう状況であれば、多分僕は殺すだろう。
 でも困ったことに僕には殺さずに捕らえるだけの力があるんだ。
 ナチュラルボーンチートのミゲル君と会長も同じ。
 殺さずに捕らえられてしまう。
 おそらくギルド側としては盗賊くらい殺せなきゃこの先冒険者としてやっていけないぞってことで、これを関門にしていると思うんだ。
 しかしやりたくないものはやりたくないんだよね。
 であるならば、僕がやることは決まっている。
 圧倒的な力によって自分や仲間のみならず、敵の生死までも支配する。
 力だ。
 力が必要だ。
 



 力とは何か。
 僕は思う。
 力とは、ゴブリンだ。

「いいかね、ゴブ次郎君。いや、ゴブリンお庭番衆頭目ゴブ次郎と言ったほうがいいかな」

「グギャグギャグギャグギャ(なんでしょうお館様)」

「お前に新たなスキルを与える」

「グギャ!(なんと!)」

 僕は2つのスキルオーブを取り出す。
 
スキル名:【体術lv1】
  詳細:体術に補正がかかる。スキルレベルが上がるごとに技のキレが上がる。

スキル名:【火魔法lv1】
  詳細:体内の魔力を用いて火を操る。スキルレベルが上がるごとに操る火の温度が上がる。

「体術がうまくなるスキルと、火を操るスキルだ」

「グギャ、グギャグギャグギャ……(なんと、夢にまで見た火遁の術……)」

「異世界での修行に励め」

「グギャ!(はっ!)」

 僕はゴブ次郎喜んでいるゴブ次郎をとりあえず置いておいて、また別のゴブリンを召喚する。
 今日までに使役したゴブリンはゴブ次郎とゴブ之進を含めて合計8匹。
 
固有名:ゴブアイス
 種族:ゴブリン
スキル:【氷魔法lv1】

固有名:ゴブゲイル
 種族:ゴブリン
スキル:【風魔法lv1】

固有名:ゴブアクア
 種族:ゴブリン
スキル:【水魔法lv1】

固有名:ゴブアース
 種族:ゴブリン
スキル:【土魔法lv1】

固有名:ゴブヒール
 種族:ゴブリン
スキル:【回復魔法lv1】

固有名:ゴブプラント
 種族:ゴブリン
スキル:【植物魔法lv1】

 鉱山を出てここ半年くらいで稼いだ金すべてつぎ込んだ。
 会長とミゲル君からちょっと借金もしてしまった。
 もう僕の財布は銀貨が数枚入っているだけだ。
 しかしこいつらを異世界ですべてスキルレベル10まで育てれば無敵のゴブリン魔法兵隊になる。
 そんな端金はすぐに取り戻せるはず。
 やっぱり力とはゴブリンだな。
 更にガルーダも召喚できる10匹すべて召喚して使役するか。
 でもガルーダはでかいから使い勝手が悪いんだよね。
 やっぱり力とはゴブリンだ。
 僕はゴブリン達を連れて異世界に向かった。
 ちょっと拓君の部屋が手狭になってきたな。
 彼女も出来たみたいだし、引越しさせるか。
 ゴブ之進にも個室の部屋をあげたいからね。
 ペットありのところじゃないと猫と鳩とゴブリンは飼えないよね。
 ただ問題は、拓君が世間から見たら無職だということだ。
 動画投稿者としてそこそこ稼いではいるけれど、まだ最初の確定申告を迎えていない。
 賃貸契約できるかな。
 最悪URでもいいかな。
 お金はあるんだし、前払いで家賃を払ってもいい。
 僕は新居に胸を躍らせた。
 僕のじゃないけどね。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...