ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

文字の大きさ
82 / 159

82.信仰の自由

しおりを挟む
 夜の街歌舞伎町は今日も平常運転だ。
 夜とは思えないほどに煌びやかで、危険な香りに満ち溢れている。
 
「ゴブ次郎、ここか?」

「グギャ(イエス)」

 そこはどこにでもあるようなラブホテルだった。
 こんなところにあの黒服とお嬢様が滞在しているのか。
 まだ敵対していると思われる軍人風の男達には見つかっていないみたいで、銃声も聞こえてこない。
 僕はゴブ次郎の夢幻魔法で誰にも気取られないようにしてラブホテルの中に入る。
 夢幻魔法は幻覚を見せるスキルだけれど、レベル10にもなればその幻覚は防犯カメラの映像さえも欺けるようだ。
 スキルというのはつくづく不思議なものだ。
 ラブホテルの中はそこそこ掃除が行き届いていて、清潔感がある。
 おお、自販機がちょっとアダルティ。
 僕は前世でも童貞だったのでラブホテルの中に足を踏み入れるのは初めてなのだ。
 ワクワクしながらラブホテル内を大人の社会見学していく。
 さすがに部屋の中とかに入るのはマナー違反だと思うので想像で楽しんだ。
 一部屋だけドアを開けたままスリリングにアンアンギシギシしている部屋があったけれど、中年カップルだったのでそっとドアを閉めてあげた。
 なんかエイリアンVSプ〇デターを思い出した。
 さて、問題のお嬢様が滞在しているのは2階の一番奥の部屋だ。
 非常階段の近くだから僕たちもそのあたりで待機するとしよう。
 僕は拓君の家から持ってきたカップラーメンを取り出して水筒のお湯を注ぐ。
 ゴブ次郎にも注いであげる。

「あ、こら、すぐに食べるんじゃない。これは3分待たないとおいしくならないんだよ」

「グギャグギャ(マジっすか)」

「マジマジ。だから大人しく待つんだ」

「グギャグギャグギャグギャグギャ(なかなか長く感じるものですね)」

「そうだね。よし、僕は麺硬めが好きなので1分30秒で食べます」

「グギャグギャグギャ!グギャグギャグギャグギャグギャ(なんすかそれ!好みで時間変えていいなら早く言ってくださいよ)」

 僕がフライング気味に麺を啜り始めると、ゴブ次郎も待ちきれなくなったのか蓋を剥がして麺を啜り始めた。
 ラブホテルの廊下で食べるカップラーメンもなかなか乙なものだ。
 ん?なんか大勢の足音してきた。
 ちょっと、今食べ始めたとこじゃないですか。
 しょうがないなまったく。
 僕は凝縮スキルで熱々カップラーメンに水を注ぎ、スープを温くする。
 これで急いで食べても口の中を火傷しないだろう。
 僕はカップラーメンをかき込むようにして食べ、立ち上がる。

「ゴブ次郎、来たよ。急いで食べて」

「グギャ、グギャギャ……(え、ちょま……)」

 非常階段の扉が勢いよく開き、ぞろぞろと軍人風の男たちが入ってくる。
 熱々ラーメンを食べながらでもゴブ次郎はしっかりと仕事をしてくれているのか、男達が僕やゴブ次郎に気付いた様子は無い。
 さて、黒服とお嬢様はどう逃げるだろうか。
 表の入り口や裏口なんかも軍人風の男が待ち構えているんじゃないかな。
 だとしたら、窓とか?
 僕はどうしたらあのおっぱいの大きな女の人に好印象を持たれるだろうか。
 逃げるのを助けてあげても怪しまれてしまうだろうし、なにが目的なのかとか聞かれそうだし。
 特に目的なんてないもの。
 あえて言うならおっぱいだけれど、別に無理矢理揉んでやろうとかそんなことは童貞は思わないわけで。
 ただ遠くから眺めていたいというだけの話なのだ。
 もう少し、もう少しだけあのおっぱいを眺めていたい。
 一応アタッシュケースの中身も気にならないといったら嘘になるけれど、そちらは多分明日になれば忘れているレベルの気がかりだ。
 僕は軍人風の男たちの最後尾に着いていく。
 非常階段から浸入してきた軍人風の男は全部で7人。
 昼間見た数よりも幾分か少ない。
 おそらくこの7人が全員では無いだろう。
 表の入り口などを見張ることに人員を割いたのかな。
 しかし全員がごつい銃を携えており、お嬢様たちに勝ち目は無いように思える。
 男達はキビキビとした動きでお嬢様たちの宿泊している部屋のドアを囲み、一人が銃を構えたままドアを蹴り破った。

「くそっ、もう嗅ぎつけられたか。お嬢様を起こせ!」

「お嬢さま、起きてください!敵襲です!!」

 軍人風の男たちはぞろぞろと中に入っていく。
 あまり素早くない。
 そこまで練度が高いわけでは無いのかな。
 銃も構えてから撃つまでちょっと間があるし。
 男達は銃を構えて黒服たちを一人ずつ銃で撃っていくが、すべて僕の反転魔法に阻まれて銃弾はパラパラと床に落ちる。
 
「#$%&!?&%$#!!」

 男達はうろたえた様子でなにがしかの言葉を放つが、やはりそれらは日本語ではないので何を言っているのか分からない。
 僕は翻訳スキルをオンにする。
 このスキルはアクティブスキルなのでオンにしないと翻訳してくれないのだ。

『どうなってやがるんだ!!こいつら神にでも守られてるのか!?』

『くそったれ!!死ね!死ねよ!!』

 なるほど、かなり慌てていらっしゃる。
 それはそうだ。
 銃弾の雨を浴びせても見えない壁に阻まれたように標的には当たらない。
 銃弾の持つ運動エネルギーはすべてゼロになって床に落ちてしまう。
 
「こ、これは!?昼間と同じ」

「ええ、あの時の少年が関係しているのかもしれません」

 黒服とお嬢様には昼間顔を見られているからね。
 僕は悩む。
 ここで姿を見せていいものか。
 一応命を助けているわけだから敵じゃないと分かってくれればいいのだけれど。
 昼間のような恐怖の瞳を向けられたらちょっとショックだな。
 ここでもう少しおっぱいを見学するというのも手だ。
 お嬢さまの格好は昼間と違ってジャケットを脱いでいる。
 その素晴らしい山脈を惜しむことなくさらけ出した姿は少し神々しくもある。
 南無阿弥陀仏。
 僕は思わず手を合わせて拝んだ。
 これは信仰なんだよ。
 山岳信仰だ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

処理中です...