ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

文字の大きさ
81 / 159

81.箱の中身はなんじゃろか

しおりを挟む
「あ、アニキ帰ってきたんすね。どうするんです?俺的には逃げたほうがいいと思うんすよ」

「ちょっと僕行ってくるわ」

「え、アニキさっき自分の周辺が一番安全みたいなこと言ってませんでした!?行っちゃうんすか!?安全地帯どこ行っちゃうんすか!?」

「ごめんね。ここにはゴブ次郎を置いていくから。一緒に帰って」

「えぇ……」

 僕はドアを開けて外に出ると、ゴブ次郎を召喚して拓君と不動産屋さんのことを任せる。
 ゴブ次郎は一流の忍なので、僕なんかよりも警護とか上手だと思うよ。
 夢幻魔法と隠密のおかげで誰にも認識されることなく影から守ってくれるはずだ。
 光に包まれて現れたゴブ次郎は、僕の命令に返礼を返すとするりと車の中に乗り込んだ。
 不動産屋さんも拓君も全く気付いた様子は無い。
 やっぱり一流の忍の仕事は違うな。
 僕は安心してその場を任せ、騒動の中心地に向かった。





「お嬢様、早くこちらへ!!」

「わかっています。きゃっ」

 一時はトレーラーによって遮られていた銃弾が、再び放たれ始める。
 他国の軍人風の男達がトレーラーの脇に回りこんだのだ。
 黒服たちと女は逃亡するための一瞬のチャンスを逃してしまった。
 トレーラーの荷台には逃走用の車両が載せられているのが見えるが、そこにたどり着く前に男達の銃撃が再開されてしまったのだ。
 あっという間に逃走用の車も蜂の巣にされ、正常に走行できるような状態ではなくなってしまう。
 僕はその様子を少し放れた場所から眺めていた。
 これは絶体絶命のピンチというやつなのではないだろうか。
 ここでかっこよく現れて窮地を救ったら、きゃっ素敵っていう感じになるのではないだろうか。
 あの女の人は頭を低くして車の陰に隠れている。
 僕の方からだとお尻しか見えないけれど、まるでお尻を突き出すかのようなポーズで非常にけしからんね。
 女は腰のあたりまである長いストレートヘアを無造作に後ろで括っている。
 その美しい黒髪を見る限りでは日本人なのだろうけれど、外国人顔負けのプロポーションだ。
 年の功は20代後半くらいだろうか。
 前世の僕と同年代くらいかな。
 いっちょド派手に介入してやろうか。
 僕はひっそりと誰にも気付かれないように反転魔法の足場を使って彼女の上空まで移動する。
 正義のヒーローは土壇場で空から降ってくると決まっているんだよ。
 僕は足場を消し、彼女の全周囲に反転魔法の壁を設置。
 そして上空から音も無く着地した。
 ちょっとこれはミステリアスポイント高いんじゃないかな。
 彼女も喜んで僕におっぱいを差し出すかもね。
 未だ蹲ったままの彼女と目が合う。
 彼女の瞳に宿る感情は恐怖。
 僕はちょっとしゅんとする。
 調子に乗りすぎたかもしれない。
 こんな状況で謎の第三者が出てきてまあ素敵となるわけがない。
 僕はふと彼女の隣に転がっているアタッシュケースに目をやる。
 いったい何が入っているのかな。
 こんな状況でも手放すことなく持って逃げているところを見ると、あの軍人風の男達の目的はこのアタッシュケースだと思うんだ。
 彼女が目的っていう線も無くはないけれど、彼女ひとり殺すのが目的ならこんな大規模な襲撃ではなく暗殺とかの方が楽なはずだ。
 僕は引き寄せられるようにアタッシュケースに一歩近づく。

「近寄るな!!」

「お嬢様お下がりください」

「こちらへ早く!!」

 すかさず黒服たちがガードに入り、銃弾が止んでいるのを見て彼女ごとどこかへ連れて行ってしまった。
 僕はそのまま追いかける気にもなれずその場に立ち尽くす。
 なんか思ってたのと違うな。
 僕は一度拓君と合流することにした。
 ゴブ次郎に憑依して視界を借りると、拓君はすでに自宅に帰っていた。
 僕はすぐにゴブ次郎を召喚し、送還で一緒に拓君の部屋まで帰る。
 
「ただいま」

「アニキ!どこいってたんですかもう。マジで銃声やばくてバンバンのバンっすよ」

「ああ、ごめんね。ちょっとなに言ってるのか分からない」

 僕はグレイを鳥かごから出し、憑依してさっきの場所まで飛んでみる。
 彼女が追われている限りは、どこかで銃声なりなんなりがあるはずだ。
 しかしスキルの力で視力は強化されているのだけど、聴力は別に普通だからな。
 僕は近くを適当に飛んでみる。
 うーんなんにも聞こえない。
 彼女は一応無事に逃げられたのだろうか。
 銃声がしないということは逃げられたのだと思いたい。
 僕は一度帰還することにした。
 長丁場になりそうだから向こうでパーティのみんなに少し戻りが遅くなることを伝えておかないと。
 




 夜中、ビジネスホテルで寝ているとスマホのバイブレーションに起こされた。
 画面にはゴブ次郎の文字。
 見つけたか。
 僕は街に優秀な忍であるゴブ次郎を放ち、彼女の捜索をお願いしていたのだ。
 僕はスマホをタップし、通話する。

「彼女はどこに?」

『グギャグギャグギャ(歌舞伎町です)』

「了解。1分後にお前を召喚する」

 僕は通話を終了する。
 歌舞伎町か。
 夜の街だよな。
 時刻は深夜0時過ぎ。
 歌舞伎町の夜はまだまだこれからといった時間だ。
 しかし大丈夫かな。
 人を隠すには人の中というけれど、それは工作員であるあちらも良く知っていることなんじゃないだろうか。
 むしろ情報戦では工作員に勝てるはずなんて無いのだから、人の中に隠れる作戦は失敗の可能性が高い。
 なんか日本に根を張っている外国人の情報屋みたいなやつとかドラマなんかでよく見るけどな。
 そんなやつから人を使って探されたら、すぐに見つかっちゃうよな。
 僕はゴブ次郎を召喚して送還で現地に向かった。
 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

処理中です...