ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

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80.銃刀法

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「アニキ、なんかヤバイっすよ。逃げたほうがいいんじゃないですか?」

「僕の周辺が一番安全だから、じっとしてて」

 とにかく何が起きているのか確かめないと。
 僕に解決できるものならばなんとかしてもいいけれど、無理そうなら避難だ。
 僕は拓君の家の鳥かごの中に入っているはずのグレイを召喚する。
 グレイは身体強化と視力強化、爪硬化スキルを付与した鳩だ。
 鳩なので自分で能動的にスキルの練習をするというような複雑な命令は理解できないのか受け付けなかったが、僕が憑依してスキルの練習をしておいたのでそこそこスキルレベルも高い。
 隼の垂直落下並みの速度で飛ぶことができ、その視力は遠くのものを正確に捉える。
 偵察にはもってこいだろう。
 僕は窓を少し開け、外にグレイを放った。

「お客さん、なんですか今の!手品!?」

「あ、ああ、そんなようなものです。なんてったって僕たち〇ーチューバーですから」

「そ、そうですか。すごいんですね、ユーチュー〇ーって……」

 なんとかごまかせたかな。
 別にスキルの力を隠しているわけではないのだけれど、あまり大っぴらにするようなものではないからね。
 人体実験のために拉致監禁されるっていうのはアニメの見すぎかもしれないけれど、なんらかの利益にはしようとする人がいるだろうから。
 僕は拓君に自分の身体のことを頼むと、外に放ったグレイに憑依した。
 視界が変わり、鳥の目線になる。
 スキルを付与したグレイの視界は非常に鮮明だ。
 鳩はそもそも目の良い動物だ。
 1.5キロ先の人の顔が正確に見えているかもしれないとか以前ネットの記事で読んだことがある。
 そこに更にスキルの力だ。
 もはや望遠鏡のような視力。
 今もパパパッ、パパパッ、という爆竹を爆ざしたような音が断続的に続いている騒動の中心地には近づきたくないので、遠くから物事を正確に見ることができるこの能力は都合が良い。
 僕は騒動の中心地が見える位置にある電柱に止まり、焦点を合わせる。
 騒動の中心は駅前の交差点のあたりだ。
 黒い車が6台止まっている。
 一台の車を5台の車が囲んで守護しているような状況のようだ。
 囲んだ5台の車を、さらに包囲するように10台くらいの車があちらこちらに配置されて6台の車は完全に進路を塞がれてしまっている。
 そしてこのパパパッという音。
 これは銃だね。
 包囲している10台くらいの車の陰に隠れた男たちが、どう見ても銃のような形をしたものから銃弾のようなものを発射している。
 視力強化というスキルは動体視力まで強化するのか、発射されている銃弾がはっきりと見える。
 これはすごい、あちらの世界に帰ったら僕の分も買おう。
 でもこれはどういうことなんだろうか。
 僕の記憶が正しければ、日本という国は銃を持っているだけで逮捕されるみたいな法律があったはずだ。
 ましてや、街中でぶっ放して平気なはずはない。
 日本で銃を持っている人たちと言われて思い浮かぶのは官憲側では警察や自衛隊、非合法側では暴力団などだろうか。
 あれはどう見ても警察や自衛隊ではない。
 でも、暴力団っていう感じでもないんだよな。
 皆無表情で、キビキビとした動き。
 いかにもお国のためにお仕事してますっていう感じ。
 要するに軍人さんっぽい。
 でも自衛隊は、日本の街中でいきなり銃を撃ったりはしないはずだ。
 ということは外国の軍人さんということになる。
 そんな人たちが日本に武器を持って入ってきたら、普通は止められるはずだ。
 じゃああの人たちは日本という国に銃を持って入ることを認められた人、もしくは気付かれないように日本に入国した人のどちらかだろう。
 十中八九後者だろう。
 密入国した外国の工作員ってことだ。
 なんであの6台の車を包囲してるんだろう。
 あの5台の車に守られている真ん中の車が怪しいな。
 あそこに何かがあるような気がする。
 おそらくあの1台の中の物もしくは人が外国の工作員の狙いなんじゃないだろうか。
 車の中が気になるな。
 でも横の窓はスモークガラスだから中が見えない。
 さすがにフロントガラスはスモークにできないはずだ。
 僕は車の正面が見える位置に移動する。
 さて、中はどうなっているのかな。
 うーん、やっぱり銃弾が飛び交っているからなのかみんな姿勢を低くしていて誰が何人乗っているのかわからないな。
 運転席と助手席は短髪だし、肌の質感から男だと思うんだよ。
 この感じだと後ろに乗ってるのは外国の政治家とかかな。
 あの車は全部の窓が防弾ガラスになっているようで、ヒビだらけになってはいるものの未だ割れていない。
 でもそれも時間の問題だろう。
 なんとかしないとヤバイと思うんだけどな。
 僕はもう少しだけ様子を見る。
 だれか助けに来ないのだろうか。
 警察とか、自衛隊とか。
 警察官っぽい人が3人銃を構えて遠巻きに見ているが、何の意味も無さそうな気がする。
 あきらかに駅前の交番のおまわりさんでは役不足だ。
 普通の犯罪であったなら警察の出番だと思うんだけど、こういう場合はどうなるんだろうか。
 犯人が他国の軍人っぽい場合。
 僕がそんなことを考えていると、丁度警察車両のサイレンが聞こえてきた。
 やっと警察のお出ましか。
 そちらに目を向けると、警察車両が8台こちらに走ってきていた。
 ちょっと少ないような気もするけれど、事態は好転するだろう。
 パトカーが拡声器を使って道を塞いでいる車をどかすように告げる。
 ああ、そうだね、日本の警察はそうだよ。
 平和ボケしている。
 銃で一方的に襲撃されている場面に、その呼びかけはあまりにも間抜けに過ぎる。
 外国の軍人さんっぽい男たちは、警察車両に向かって発砲する。
 警察官たちは警察車両の陰に隠れてやり過ごす。
 何人か身体から血を流している人もいるみたいだ。
 被弾したのだろう。
 しきりに無線で応援を呼んでいる声が聞こえてくる。
 装備も拳銃しか持っていないみたいだし、あの軍人さんたちが持っている連射できるライフル銃みたいな銃には太刀打ちできなさそうだ。
 これはダメだな。
 諦めて自分の身体に戻ろうとしたとき、男達が封鎖している交差点の一方向から大きなトレーラーが猛スピードで突っ込んでくるのが見えた。
 男たちは慌てて両脇に退避する。
 トレーラーは車道を塞いでいた車を吹き飛ばしながら中心の車に向かい、銃弾から車を守るように止まった。
 一時的に銃弾の雨から解放された車から黒服の男たちが降りてくる。
 そして中心にあった1台の車からも4人の黒服が降り、最後にひとりの女が降車した。
 その女はピシッとした黒のパンツスーツを着て、いかにもなアタッシュケースを持っていた。
 しかしそんなことは些細なことだ。
 僕の目はその女の身体の一部に釘付けになる。
 女の胸部。
 胸。
 おっぱいだ。
 なんというデカさ。
 乳袋というものが現実に存在していたなんて僕は初めて知ったよ。
 ジャケットで軽く隠れてはいるものの、その内側のブラウスは女の身体にピッタリとフィットしてその美しい形を際立てている。
 そういう形に仕立てたかのような服だが、おそらくあれは普通のブラウスなはずだ。
 それを彼女が着ることによって、あのような扇情的な見た目になってしまっているのだ。
 なんというわがままボディ。
 僕は自分の身体に戻ってこの騒動に介入することを決めた。


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