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101.氷竜王グランフロスト
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竜王といえども心が折れれば屈服するはずだ。
心を折るものといえば、アレだ。
僕はブラックキューブの中から、アレを取り出す。
バラライカの心を一瞬で砕いた世界一臭い缶詰、シュールストレミング。
こいつを使えば氷竜王グランフロストだって一殺(いちころ)だ。
僕は毛魔法の触腕を振りかぶり、回転を加えて打ち出した。
シュールストレミングは回転しながら飛び、中空で爆散した。
僕は用意していた防毒マスクをつける。
『ぎにゃぁぁぁぁぁぁっ、な、何をした貴様ぁ!!何だこの匂いは、ぐぬぁぁぁぁぁぁっ』
自然界で暮らしているドラゴンは嗅覚強化スキルを常にオンにしているに違いない。
強化された嗅覚に強い匂いを嗅がされる苦しみは僕も知っているが、さすがにシュールストレミングの匂いを嗅いでみたことは無い。
単純に危険だからだ。
人間の精神では、おそらくその苦しみには耐えられない。
ショック死の可能性もある。
さて、竜はどうか。
『許さん、許さんぞ、人間がぁぁぁぁぁ!!』
氷竜王は怒り狂い、冷気ブレスを四方八方に滅多打ちする。
周囲の気温は下がり、僕のまつげにも霜が降りる。
ちょっとヤバイかも。
竜はシュールストレミングの匂いで発狂するようだ。
氷竜王の口に高密度のエネルギーが集束していく。
ブレスが来る。
そう思ったときにはすでに放たれていた。
氷竜王のブレスは真・ドラゴンブレスというスキルで、普通のドラゴンブレスとは違う。
ドラゴンブレスの弱点だった溜めも最小限に抑えられ、威力も桁違いに強い。
辺りは銀世界から一瞬にして灼熱地獄に変わる。
暑い。
シュールストレミング?蒸発したよ。
ブレスが僕に向かって放たれたものならば反転魔法で消したり返したりできたのだけれど、狙いを定めずに撃たれたものはどうすることもできない。
射程の短さと受動性の魔法であるところが反転魔法の弱点だな。
あとは酸素を奪ったり蒸し焼きにしたりする絡め手に弱い。
これを補うことのできるスキルというのが今のところ店売りのスキルの中では見当たらないので、どうすることもできないのだけれどね。
僕は液体窒素をぶちまけて周囲の気温を下げる。
かつて黄金の麦穂を揺らしていた大地は見る影も無く、見渡す限りのマグマが広がっている。
氷竜王と僕の周りは極寒で、それ以外はグツグツと煮立つ真っ赤な大地。
まるで地獄のような光景だ。
最高位のドラゴンという存在は、理不尽な大自然そのものであるかのようだ。
いや、怒らせたのは僕だ。
氷竜王グランフロストは最初送還したら許してくれると言っていたし、普通に話も通じた。
持っているスキルの中にカキ氷を召喚するスキルなどという可愛らしいスキルもあったし、竜王の中ではかなりまともな人格の竜なのかもしれない。
しかし怒らせてしまったものはしょうがない。
僕はビームスキルを発動する。
初めて使うスキルだ。
ワクワクするな。
手の内に、周囲から光が集まってくる。
かっこいいエフェクトだ。
威力も調整できるようだけれど、初めは全力で撃ってみよう。
ビームは無音で放たれた。
やはりビームなだけあってスピードは魔法スキルとは段違いだ。
見てから避けることは不可能。
想像していたような持続性の攻撃ではなく、パルスレーザーのような単発の攻撃だ。
ビームは氷竜王の身体を覆う超低温の空気に当たって小爆発を引き起こし、消えた。
氷竜王の鱗には傷一つない。
レベル1のスキルならこんなものか。
むしろこれでもかなり威力はある方だ。
火魔法のレベル5くらいの威力はあったんじゃないだろうか。
かなり良いスキルだ。
大事に育てよう。
後は一日に何発撃てるかだな。
これだけの威力のスキルだ、必ず回数制限はある。
僕は10発のビームを同時に撃ってみる。
周囲から光を集め、10個の光球が僕の周りをフヨフヨと漂う。
まるで僕が良く使っていた生活魔法のダミーみたいだ。
これからはダミーに本物を混ぜられるな。
そして発射の待機もできることが分かった。
撃つまでに溜めが必要なら、ドラゴンブレスと同じで弱点になるかもしれないと思ったけれど待機状態を維持できるのならばいくらでもやりようはある。
これからレベルを上げていけば撃つまでの溜めも短くなるかもしれないし、これは本当にとても良いスキルだな。
僕は10発のビームを氷竜王の顔の辺り目がけて発射する。
10の光芒が走り、氷竜王の顔のあたりが爆発した。
僕は楽しくなってさらに10、さらに10と撃ちまくる。
9回目10発撃とうとしたら9発しか出なかった。
どうやら1日に撃てる限度数は100発のようだ。
スキル効果10倍の効果はこういう数の制限があるスキルに対してはその数に現れることが多いから、おそらく本来の数はレベル×10といったところか。
この威力にも納得だ。
『ええい、鬱陶しいわ!!』
ビームはあまり効いているように見えなかったけれど、たくさん撃ったのが鬱陶しかったのか氷竜王は真・ドラゴンブレスで返してくる。
しかしさっきと違って今度は僕を狙って放たれたものだ。
僕は反転魔法で跳ね返した。
今までで受けた攻撃の中で一番大きな手ごたえだったけれど、まだまだ余裕があるように感じた。
やっぱり反転魔法はチートだな。
いや、たぶん普通の反転魔法では返せなかったから本当にチートなのはスキル効果10倍のほうだろうか。
真・ドラゴンブレスは真っ直ぐに跳ね返って氷竜王にぶち当たる。
『ぐぁぁぁぁぁぁぁっ』
さすがに自分のブレスは効いたようだ。
アイスブルーの綺麗な鱗には焦げ目が付き、あちこちから血を流している。
金の瞳が僕を真っ直ぐに見つめた。
『認めよう、貴様は強い。これよりは、我の全力を持って貴様を屠る。出でよ我が下僕共!』
一面の地獄絵図が光に包まれる。
それは見慣れた召喚系スキルの発動エフェクト。
氷竜王の持つ召喚系スキルは確か2つ。
そしてこれがカキ氷召喚で無いのであれば、答えは一つだ。
100体のブルードラゴンが、召喚された。
勝負はここからってわけですか。
いいよ、100体の下僕ごと僕のペットにしてやる。
心を折るものといえば、アレだ。
僕はブラックキューブの中から、アレを取り出す。
バラライカの心を一瞬で砕いた世界一臭い缶詰、シュールストレミング。
こいつを使えば氷竜王グランフロストだって一殺(いちころ)だ。
僕は毛魔法の触腕を振りかぶり、回転を加えて打ち出した。
シュールストレミングは回転しながら飛び、中空で爆散した。
僕は用意していた防毒マスクをつける。
『ぎにゃぁぁぁぁぁぁっ、な、何をした貴様ぁ!!何だこの匂いは、ぐぬぁぁぁぁぁぁっ』
自然界で暮らしているドラゴンは嗅覚強化スキルを常にオンにしているに違いない。
強化された嗅覚に強い匂いを嗅がされる苦しみは僕も知っているが、さすがにシュールストレミングの匂いを嗅いでみたことは無い。
単純に危険だからだ。
人間の精神では、おそらくその苦しみには耐えられない。
ショック死の可能性もある。
さて、竜はどうか。
『許さん、許さんぞ、人間がぁぁぁぁぁ!!』
氷竜王は怒り狂い、冷気ブレスを四方八方に滅多打ちする。
周囲の気温は下がり、僕のまつげにも霜が降りる。
ちょっとヤバイかも。
竜はシュールストレミングの匂いで発狂するようだ。
氷竜王の口に高密度のエネルギーが集束していく。
ブレスが来る。
そう思ったときにはすでに放たれていた。
氷竜王のブレスは真・ドラゴンブレスというスキルで、普通のドラゴンブレスとは違う。
ドラゴンブレスの弱点だった溜めも最小限に抑えられ、威力も桁違いに強い。
辺りは銀世界から一瞬にして灼熱地獄に変わる。
暑い。
シュールストレミング?蒸発したよ。
ブレスが僕に向かって放たれたものならば反転魔法で消したり返したりできたのだけれど、狙いを定めずに撃たれたものはどうすることもできない。
射程の短さと受動性の魔法であるところが反転魔法の弱点だな。
あとは酸素を奪ったり蒸し焼きにしたりする絡め手に弱い。
これを補うことのできるスキルというのが今のところ店売りのスキルの中では見当たらないので、どうすることもできないのだけれどね。
僕は液体窒素をぶちまけて周囲の気温を下げる。
かつて黄金の麦穂を揺らしていた大地は見る影も無く、見渡す限りのマグマが広がっている。
氷竜王と僕の周りは極寒で、それ以外はグツグツと煮立つ真っ赤な大地。
まるで地獄のような光景だ。
最高位のドラゴンという存在は、理不尽な大自然そのものであるかのようだ。
いや、怒らせたのは僕だ。
氷竜王グランフロストは最初送還したら許してくれると言っていたし、普通に話も通じた。
持っているスキルの中にカキ氷を召喚するスキルなどという可愛らしいスキルもあったし、竜王の中ではかなりまともな人格の竜なのかもしれない。
しかし怒らせてしまったものはしょうがない。
僕はビームスキルを発動する。
初めて使うスキルだ。
ワクワクするな。
手の内に、周囲から光が集まってくる。
かっこいいエフェクトだ。
威力も調整できるようだけれど、初めは全力で撃ってみよう。
ビームは無音で放たれた。
やはりビームなだけあってスピードは魔法スキルとは段違いだ。
見てから避けることは不可能。
想像していたような持続性の攻撃ではなく、パルスレーザーのような単発の攻撃だ。
ビームは氷竜王の身体を覆う超低温の空気に当たって小爆発を引き起こし、消えた。
氷竜王の鱗には傷一つない。
レベル1のスキルならこんなものか。
むしろこれでもかなり威力はある方だ。
火魔法のレベル5くらいの威力はあったんじゃないだろうか。
かなり良いスキルだ。
大事に育てよう。
後は一日に何発撃てるかだな。
これだけの威力のスキルだ、必ず回数制限はある。
僕は10発のビームを同時に撃ってみる。
周囲から光を集め、10個の光球が僕の周りをフヨフヨと漂う。
まるで僕が良く使っていた生活魔法のダミーみたいだ。
これからはダミーに本物を混ぜられるな。
そして発射の待機もできることが分かった。
撃つまでに溜めが必要なら、ドラゴンブレスと同じで弱点になるかもしれないと思ったけれど待機状態を維持できるのならばいくらでもやりようはある。
これからレベルを上げていけば撃つまでの溜めも短くなるかもしれないし、これは本当にとても良いスキルだな。
僕は10発のビームを氷竜王の顔の辺り目がけて発射する。
10の光芒が走り、氷竜王の顔のあたりが爆発した。
僕は楽しくなってさらに10、さらに10と撃ちまくる。
9回目10発撃とうとしたら9発しか出なかった。
どうやら1日に撃てる限度数は100発のようだ。
スキル効果10倍の効果はこういう数の制限があるスキルに対してはその数に現れることが多いから、おそらく本来の数はレベル×10といったところか。
この威力にも納得だ。
『ええい、鬱陶しいわ!!』
ビームはあまり効いているように見えなかったけれど、たくさん撃ったのが鬱陶しかったのか氷竜王は真・ドラゴンブレスで返してくる。
しかしさっきと違って今度は僕を狙って放たれたものだ。
僕は反転魔法で跳ね返した。
今までで受けた攻撃の中で一番大きな手ごたえだったけれど、まだまだ余裕があるように感じた。
やっぱり反転魔法はチートだな。
いや、たぶん普通の反転魔法では返せなかったから本当にチートなのはスキル効果10倍のほうだろうか。
真・ドラゴンブレスは真っ直ぐに跳ね返って氷竜王にぶち当たる。
『ぐぁぁぁぁぁぁぁっ』
さすがに自分のブレスは効いたようだ。
アイスブルーの綺麗な鱗には焦げ目が付き、あちこちから血を流している。
金の瞳が僕を真っ直ぐに見つめた。
『認めよう、貴様は強い。これよりは、我の全力を持って貴様を屠る。出でよ我が下僕共!』
一面の地獄絵図が光に包まれる。
それは見慣れた召喚系スキルの発動エフェクト。
氷竜王の持つ召喚系スキルは確か2つ。
そしてこれがカキ氷召喚で無いのであれば、答えは一つだ。
100体のブルードラゴンが、召喚された。
勝負はここからってわけですか。
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