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104.伯爵様からの依頼
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氷竜王グランフロストを使役してから数日のこと、僕たちはなぜか伯爵様の居城にお呼ばれしていた。
「まあ作法など気にせず食ってくれ」
「はあ……」
そう言われても大貴族の目の前で料理などなかなか喉を通るものではない。
料理は凄くおいしそうなんだけどね。
伯爵様は40代半ばくらいに見える筋骨隆々のナイスミドルだ。
中年だというのにその肉体に衰えは見られず、その濃ゆいお顔に人好きのする笑顔を浮かべている。
僕たちのパーティは以前のドラゴン討伐のご褒美を頂くときに全員伯爵様にお目通りしているから、初対面ではない。
初対面ではないが、別にそう何度も家に呼ばれるほどの仲でもないんだけどな。
なんで今日呼ばれたんだろう。
冒険者ギルド経由で呼び出されたので、依頼関連だとは思うのだけれど。
伯爵様は大きく切った肉を豪快に口に放り込み、それをワインで飲み下してから口を開く。
「実はお前達にひとつ依頼したいことがあるのだ」
やっぱり依頼なのか。
しかし今のタイミングで依頼となると、戦争関連のことしか思い浮かばない。
「まあ察しの通り戦争関連だ。この前の件で帝国に抗議の使者を立てたのだが、使者は首だけになって帰ってきた」
ひぇっ。
貴族ってこんなやりとりを日常的にしているのだろうか。
なんという乱世。
「帝国とはじきに戦になるだろう。すでに帝国の国境付近にはかなりの数の兵が集められているとの報告も入っている」
やっぱり戦争になってしまうんだね。
自分の生まれ育った国が戦火に包まれるというのは、良い気分ではない。
「私の見立てでは、今回の戦はなかなか辛い戦いになるだろう」
「それで、僕たちに何を頼みたいのですか?」
なかなか話が見えてこないので、僕はじれて結論を聞いてしまう。
とても貴族に対してしていい話し方じゃなかった。
やっぱり人と話すのは苦手だ。
伯爵様は気にした様子も無く結論を口にする。
「息子の護衛を頼みたい」
「え?リグリット様の、ですか?」
「ああ、今回の戦はとてもではないが息子の初陣には向かんと何度も言ったのだがな。あいつが出陣するときかんのだ。どうやらドラゴンの襲撃事件のことが、許せなかったみたいだな。感情で動くとは貴族としては失格だが、私も内心ではハラワタが煮えくりかえっているのだ。息子の気持ちを汲んでやりたい」
「それで護衛を」
「ああ。9体ものドラゴンを討伐した我が領最強の冒険者ならば、息子に万が一のことも無いと思ってな」
僕は一応みんなの顔をうかがってみる。
リリー姉さんはいつものごとく強敵を求めてギラついているし、ミゲル君はビビッている。
会長はなにか考えていたみたいだが、顔を上げて僕に頷きかけてくる。
全員の了承が得られたところで、僕は伯爵様に了承の旨を伝えた。
「ありがとう。お前達にはすでにドラゴンから息子を守ってくれた実績がある。安心して任せられるというものだ」
報酬は前回のときよりも高い金貨1000枚。
朝昼晩とご飯が出るし、夜はワインも付くそうだ。
期限はひとまず1ヶ月として、延長1ヶ月ごとに同じ内容の契約を自動更新となった。
日割り計算すれば前の仕事よりも割りは悪いけれど、交代でなら休めるのでずっと仕事をしているということも無い。
なにより、基本的に軍隊での行動なので盗賊や低級の魔物をわざわざ僕たちが警戒する必要がないということだ。
つまりほとんどの時間が待機時間となる。
夢の座っているだけのお仕事だ。
僕たちは伯爵様の居城を出てからおいしい仕事にありつけたことに乾杯した。
緊張して全然美味しい料理を食べられなかったからね。
そして朝チュンだ。
別に隣に誰かいるとかはないの……だけ、ど。
僕の手のひらにむにゅりと柔らかい何かが触れた。
額を冷や汗がつつと滴り落ちる。
ゆっくりと隣に目を向けると、そこには青髪金眼のクールビューティーがすやすやと眠っていた。
一糸身にまとわぬ姿で。
「お、お、おい。なんで……」
僕は恐る恐るそのおっぱいに触れる。
これは起こすためにしょうがなく触れるだけなんだからね。
「お、起きてよ」
「んっ、むぅ……」
すこし艶めかしい声を漏らしたものの、まだまだ起きる様子は無い。
僕はもう一度おっぱいを掴んで揺らす。
「んぁっ、もっと、優しく……」
なんて声を出すんだ。
僕の中の童貞が血の涙を流して喜んでいる。
僕は優しくお豆腐でも持ち上げるかのような力加減でおっぱいをぶるりとゆらす。
「んっ……。ん?なにしとる?」
ああ、起きてしまった。
起こすために身体に触っているという僕の中の童貞を黙らせるための言い訳が使えなくなってしまった。
しかし僕は慌てない。
ポーカーフェイスの童貞は強いよ。
「起きた?なんでここで寝てるのさ」
「ああ、主様おはよう。主様の下僕が主様と同衾するのは当然だろう?夜伽だって頼まれればするさ」
氷竜王はニヤニヤとした性格の悪い顔で笑う。
童貞をからかって遊んでいるに違いない。
冷たいお菓子が好きそうだと思ったから、今度異世界に行ったときに雪見だ〇ふくでも買ってきてあげようと思っていたのに。
もう絶対あげない。
そもそも裸なのは氷竜王だけだった。
僕はちゃんと服を着ている。
冷静になってみれば知らない間に童貞が非童貞になっているなんて物語の中だけの話だって気が付く。
あんなものはリア充が流したデマだ、都市伝説だ、ファンタジーだ。
僕は腹いせに堂々と胸を揉んでやった。
このっけしからんっ胸めっ。
「ああっ、もっと優しくしてくださいっ、ご主人様!!」
なぜか氷竜王もノリノリだったので10分ほど揉み続けてやった。
僕の眠れるドラゴンが起きてしまいそうになったのでその後少々宿のトイレを占有させてもらった。
ずっとゴンゴンノックしていた人、ごめん。
「まあ作法など気にせず食ってくれ」
「はあ……」
そう言われても大貴族の目の前で料理などなかなか喉を通るものではない。
料理は凄くおいしそうなんだけどね。
伯爵様は40代半ばくらいに見える筋骨隆々のナイスミドルだ。
中年だというのにその肉体に衰えは見られず、その濃ゆいお顔に人好きのする笑顔を浮かべている。
僕たちのパーティは以前のドラゴン討伐のご褒美を頂くときに全員伯爵様にお目通りしているから、初対面ではない。
初対面ではないが、別にそう何度も家に呼ばれるほどの仲でもないんだけどな。
なんで今日呼ばれたんだろう。
冒険者ギルド経由で呼び出されたので、依頼関連だとは思うのだけれど。
伯爵様は大きく切った肉を豪快に口に放り込み、それをワインで飲み下してから口を開く。
「実はお前達にひとつ依頼したいことがあるのだ」
やっぱり依頼なのか。
しかし今のタイミングで依頼となると、戦争関連のことしか思い浮かばない。
「まあ察しの通り戦争関連だ。この前の件で帝国に抗議の使者を立てたのだが、使者は首だけになって帰ってきた」
ひぇっ。
貴族ってこんなやりとりを日常的にしているのだろうか。
なんという乱世。
「帝国とはじきに戦になるだろう。すでに帝国の国境付近にはかなりの数の兵が集められているとの報告も入っている」
やっぱり戦争になってしまうんだね。
自分の生まれ育った国が戦火に包まれるというのは、良い気分ではない。
「私の見立てでは、今回の戦はなかなか辛い戦いになるだろう」
「それで、僕たちに何を頼みたいのですか?」
なかなか話が見えてこないので、僕はじれて結論を聞いてしまう。
とても貴族に対してしていい話し方じゃなかった。
やっぱり人と話すのは苦手だ。
伯爵様は気にした様子も無く結論を口にする。
「息子の護衛を頼みたい」
「え?リグリット様の、ですか?」
「ああ、今回の戦はとてもではないが息子の初陣には向かんと何度も言ったのだがな。あいつが出陣するときかんのだ。どうやらドラゴンの襲撃事件のことが、許せなかったみたいだな。感情で動くとは貴族としては失格だが、私も内心ではハラワタが煮えくりかえっているのだ。息子の気持ちを汲んでやりたい」
「それで護衛を」
「ああ。9体ものドラゴンを討伐した我が領最強の冒険者ならば、息子に万が一のことも無いと思ってな」
僕は一応みんなの顔をうかがってみる。
リリー姉さんはいつものごとく強敵を求めてギラついているし、ミゲル君はビビッている。
会長はなにか考えていたみたいだが、顔を上げて僕に頷きかけてくる。
全員の了承が得られたところで、僕は伯爵様に了承の旨を伝えた。
「ありがとう。お前達にはすでにドラゴンから息子を守ってくれた実績がある。安心して任せられるというものだ」
報酬は前回のときよりも高い金貨1000枚。
朝昼晩とご飯が出るし、夜はワインも付くそうだ。
期限はひとまず1ヶ月として、延長1ヶ月ごとに同じ内容の契約を自動更新となった。
日割り計算すれば前の仕事よりも割りは悪いけれど、交代でなら休めるのでずっと仕事をしているということも無い。
なにより、基本的に軍隊での行動なので盗賊や低級の魔物をわざわざ僕たちが警戒する必要がないということだ。
つまりほとんどの時間が待機時間となる。
夢の座っているだけのお仕事だ。
僕たちは伯爵様の居城を出てからおいしい仕事にありつけたことに乾杯した。
緊張して全然美味しい料理を食べられなかったからね。
そして朝チュンだ。
別に隣に誰かいるとかはないの……だけ、ど。
僕の手のひらにむにゅりと柔らかい何かが触れた。
額を冷や汗がつつと滴り落ちる。
ゆっくりと隣に目を向けると、そこには青髪金眼のクールビューティーがすやすやと眠っていた。
一糸身にまとわぬ姿で。
「お、お、おい。なんで……」
僕は恐る恐るそのおっぱいに触れる。
これは起こすためにしょうがなく触れるだけなんだからね。
「お、起きてよ」
「んっ、むぅ……」
すこし艶めかしい声を漏らしたものの、まだまだ起きる様子は無い。
僕はもう一度おっぱいを掴んで揺らす。
「んぁっ、もっと、優しく……」
なんて声を出すんだ。
僕の中の童貞が血の涙を流して喜んでいる。
僕は優しくお豆腐でも持ち上げるかのような力加減でおっぱいをぶるりとゆらす。
「んっ……。ん?なにしとる?」
ああ、起きてしまった。
起こすために身体に触っているという僕の中の童貞を黙らせるための言い訳が使えなくなってしまった。
しかし僕は慌てない。
ポーカーフェイスの童貞は強いよ。
「起きた?なんでここで寝てるのさ」
「ああ、主様おはよう。主様の下僕が主様と同衾するのは当然だろう?夜伽だって頼まれればするさ」
氷竜王はニヤニヤとした性格の悪い顔で笑う。
童貞をからかって遊んでいるに違いない。
冷たいお菓子が好きそうだと思ったから、今度異世界に行ったときに雪見だ〇ふくでも買ってきてあげようと思っていたのに。
もう絶対あげない。
そもそも裸なのは氷竜王だけだった。
僕はちゃんと服を着ている。
冷静になってみれば知らない間に童貞が非童貞になっているなんて物語の中だけの話だって気が付く。
あんなものはリア充が流したデマだ、都市伝説だ、ファンタジーだ。
僕は腹いせに堂々と胸を揉んでやった。
このっけしからんっ胸めっ。
「ああっ、もっと優しくしてくださいっ、ご主人様!!」
なぜか氷竜王もノリノリだったので10分ほど揉み続けてやった。
僕の眠れるドラゴンが起きてしまいそうになったのでその後少々宿のトイレを占有させてもらった。
ずっとゴンゴンノックしていた人、ごめん。
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