ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

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116.アフリカ

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「もういいですよ」

 自家用ジェット機の中で、お嬢様は白い鳩に向かって話しかける。
 普通であればちょっと頭の中がメルヘンな人なのかなと思われてしまう行動だ。
 しかしこの鳩には僕が憑依しており、そして召喚と送還を使ってジェット機の中に降り立つための目印でもある。
 僕は白い鳩、シロを手元に召喚してすぐにまた自分と一緒に送還する。
 あっという間に空の上というわけだ。

「本当に鳩がいる場所に出られるんですね」

「まあね」

 お嬢様には鳩がいる場所ならどこへでも行けると、軽く盛った設定を話してある。
 お嬢様が見ず知らずの鳩に話しかけないことを祈ろう。
 そこに僕はいません。
 
「それにしても、自家用ジェットって初めて乗ったな」

 別にアフリカくらいガルーダに乗ればすぐに行けたんだけど、一度自家用ジェットというやつに乗ってみたかったのだ。
 空の上は何が起こるか分からないとか適当なことを言ってお嬢様に乗せてもらった。
 ガルーダのほうが速いんだけどね。

「シャンパンをどうぞ」

「ありがとう」

 黒服がシャンパンを注いでくれた。
 なかなか気が利く。
 お嬢様から正式に依頼された仕事ではあるのだけれど、移動時間くらいはゆっくりと優雅に空の旅を楽しませてもらおう。
 ちなみに今回戦力は僕だけだ。
 今日本では病気から回復したお母様が自衛隊の上のほうに早く出動してくれるように働きかけをしてくれているようだけど、自衛隊の腰はなかなかに重いらしく難航しているらしい。
 そこでお嬢さまは僕と数人の黒服だけを連れて現地に急行しているというわけだ。
 1分1秒を惜しんで他に戦力を用意していない電撃作戦なんだ。
 なんか僕にそんな過度の期待をされても困るなぁ。
 




 アフリカ、広大な大地に50以上の独立国が乱立する混沌の地。
 地理的には地中海を挟んでヨーロッパの南に位置する。 
 赤道を挟んで南北双方に広い面積を持つ唯一の大陸でもあり、それに伴って多様な気候領域がある。
 面積は3020万平方キロメートルで、地球表面の6%、陸地全体の20.4%を占めるが、人口は約10億人で、世界人口比では14.72%を占めるに過ぎない。
 以上ウィ〇ペディアより。
 昔は暗黒大陸とか呼ばれたりしてたみたいだ。
 確かに今でもちょっと怖いイメージ。
 でも空港に降り立った印象では、意外に開発が進んでいるのかなと思った。 
 僕の中のアフリカは大陸全土が砂漠とサバンナに覆われていて、未開の文明が槍でジャッカルとかを狩っているイメージだったんだよ。
 来てみたら意外に文明的。
 エチオピア産の最高級コーヒーとか出てくる。
 これあれじゃないよね?猫の糞のやつ。
 お嬢様はおいしそうに飲んでいるけど、黒服は飲んでいない。
 目が合うと苦笑される。
 やっぱりこれ猫の糞のやつじゃん!
 僕はコーヒーには手をつけないことに決めた。
 
「それで将軍、状況はそんなに悪いのですか?」

「悪いなんてもんじゃありませんよミスサナダ。現地はもう地獄のような状況です。我が国の軍にも撤退命令を出しましたが、かの国は我が国を巻き込みたい様子。もはや泥沼は避けられない状況です」

「それでも、私は社員を救出に行きたいのですが……」

「あまりにも危険すぎます。お辞めになったほうがいい」

 ああ、暇になってきてしまった。
 お嬢様と将軍の話は難しくて分からないし、コーヒーは飲めないし。
 黒服も若干時間を持て余しているようだ。

「将軍は、能力者と呼ばれる者たちの存在をご存知でしょうか」

「え、ええ。不思議な力をその身に宿す者のことですよね。我が軍にも数人存在しております」

「こちらにおりますクロードさんは、凄腕の能力者なのです」

「なんと!では、彼の力で?」

「ええ、私たちは救出に向かいたいと思います」

「うーむ、なんとも言えませんな。彼の力量次第としか。私もあなたに死んで欲しくないのですよ」

「では、彼の力をお試しになりますか?」

「そうさせていただきたい」

 なにやら変な話になってきた。
 僕の力を試すだって?
 まあ暇だからいいけど。

「ごめんなさい、クロードさん。お願いしてもいいですか?」

「いいけど」

 僕は将軍とお嬢様に促されて応接室を出る。
 どうやら将軍は、この国の能力者と僕を戦わせるつもりのようだ。
 僕たちが案内されたのは兵たちの訓練場のような場所。
 黒い肌の兵隊さんたちが汗を流して訓練している。
 
「ジャーハルはいるか?」

「はっ、ここにおります!」

 駆け足でこちらに走ってきたのは、2メートルはあろうかという巨漢の男。
 たぶんミゲル君のほうが大きいから僕はそこまでびっくりしなかったけれど、お嬢様と黒服は結構びっくりしている。
 
「何用でありましょうか、将軍殿!」

「この少年の力がどれほどのものか、確かめたい」

「ほう?この少年でありますか」

 ジャーハルと呼ばれた軍人は、好戦的な顔で僕のことを下から上まで嘗め回すように見る。
 ちょ、セクハラだぞ。
 あと僕は今年で18歳になるので少年呼びは辞めてほしいものだ。
 そっちのこともおっさんって呼ぶぞ?
 とりあえず鑑定かな。

固有名:ジャーハル・カマラ
 種族:人間
スキル:【槍術lv6】【土魔法lv5】【火魔法lv5】【クイックステップlv7】

 ほほう、こちらの世界でこれほどのスキルを持った人がいるとは。
 魔法スキルを2つも持っているじゃないか。
 クイックステップという僕の知らないスキルも持っている。
 以前会ったリーという軍人よりも強そうだ。
 
「ではクロード殿、準備はいいですかな?」

「いつでもどうぞ」

 将軍は僕がこちらの言葉をしゃべれることに軽く驚いていたが、翻訳スキルでずっとこちらの言葉の意味は分かっていたんだ。
 簡単な言葉くらいは覚えるさ。
 
「では、初め!」

「はぁぁぁぁぁっ!」

 ジャーハルさんは手に持った古風な槍をいきなり投擲してきた。
 
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