120 / 159
120.襲撃
しおりを挟む
「こ、これは……」
「戦車が、こんなにたくさん……」
「入り口を塞ぐように並べられている……」
「これはいったどこから建物に入るんだ?」
いい質問です。
僕は皆に後ろを向いているように指示して、戦車の一台に浮遊スキルを発動してどかす。
「もういいですよ?」
「なっ!!」
「い、いったいどうやって……」
「全然音もしなかったけど……」
「秘密です」
スキルの力だと言っても信じてもらえないだろう。
こちらの世界にもスキルを持った人がいるということはジャーハルやリーという軍人を見て分かるのだが、その扱いがいまいち良く分からないんだよな。
ジャーハルもリーも若いのに結構出世していたから、スキルを持っている人物が所属している国にとって重要な存在であることは分かる。
だけどスキル自体の情報は不思議なほど出回っていない。
超能力者とかテレビで出ても全部インチキなんだもんな。
スキルではない本物の超能力者だったら知らないけど、少なくともスキルは持っていなかった。
お嬢様と将軍の会話からも分かるように、国の上層部や一部の有力者などは知っているみたいだけどな。
帰ったらお嬢様に聞いてみようかな。
「ささ、こちらへどうぞ」
僕はショッピングモールへと日本人社員たちを案内する。
人数は50人ほどか。
ほとんどがお嬢様の会社の社員さんだけれど、数人だけ現地の協力者の人が混じっている。
この人たちはどうしたらいいのだろうか。
一応一回だけ鑑定しておくか。
ふむふむ、まあ当然だけどスキルなんか持っていたり……。
ん?
なんか、ひとりおかしなのがいる。
固有名:ジョセフ・オコチャ
種族:人間
スキル:【完全記憶】【詐術lv6】
産業スパイだろか?
まあいい。
今は産業スパイなんてどうでもいいと思うんだ。
お嬢様には後で報告しておこう。
僕はもう一度後ろを向いていてもらってバリケードを閉じた。
ショッピングモールの中には、お嬢様から預かってきた救援物資が運び込んである。
ヘリはお嬢様と将軍が必死で集めてくれているはずだ。
たぶん明日くらいには迎えに来てくれるかな。
それまではここで身体を休めてもらうとするか。
僕も疲れたので少し休む。
僕はゴブ之進を召喚し、ゴブ次郎と一緒に周囲の警戒を頼んだ。
はぁ、アフリカは暑くて疲れるねぇ。
「グギャギャギャ(起きてください)」
ゴブ次郎の声で目が覚める。
何かあったのだろうか。
「なにかあったの?」
「グギャグギャ(敵の襲撃です)」
「わかった。敵は戦車?」
「グギャグギャグギャグギャグギャギャギャ(戦車4、ヘリ2、あと爆撃機も近くを飛んでいるようです)」
「ええ、爆撃機?どこの国のかなぁ。ちょっと情勢が混乱しすぎて僕では予想もできないよ」
とにかく現場へ向かうこととする。
ゴブ次郎は火魔法を、ゴブ之進は雷魔法を買い与えてあるが、両方とも守りには向かない魔法スキルだ。
僕はちょっと人選ミスをしてしまったらしい。
急いでショッピングモールの屋上に向かった。
そこには2機のヘリに向かって雷を降らせるゴブ之進がいた。
しかしヘリも操縦士はそれなりにベテランなのか、うまいこと低空飛行して雷を周りの建物に擦り付けている。
そしてガトリング砲が掃射される。
ゴブ之進は姿勢を低くしてやり過ごす。
なかなか苦戦しているな。
僕はガトリング砲の弾を反転魔法で跳ね返す。
数発の弾がヘリに当たり、1機を見事撃墜する。
しかしなんでこんなにたくさんで僕たちのいるショッピングモールを狙ってきたんだろう。
やっぱりあの戦車が原因だろうか。
良く考えたらあんなこれ見よがしに戦車を並べたら、戦車を撃破した人物がここにいると喧伝してしまっているような気が今になってしてきた。
まずったね。
僕は知らず知らずのうちに、ピリピリしている敵の神経を逆なでしてしまったようだ。
4機の戦車から、戦車砲が発射される。
2発は建物に、もう2発は僕に直撃コース。
僕に向かって撃たれた2発は反転魔法で跳ね返す。
しかしもう2発は建物に直撃する。
ズンという横揺れ。
幸いにも倒壊するようなことはなかったけれど、これ以上撃たせたらまずいな。
僕は4機の戦車に向かって指を向ける。
戦車はもういっぱいあるので、これ以上は必要ない。
僕はビームスキルを発動する。
指先に光が集まり、4つの光球が発生する。
狙いをつけ、すべて発射した。
無音で飛んでいく4発の光線。
莫大な熱量を秘めたその光線は戦車の鋼鉄の装甲を貫き、内部でその熱量を爆発させた。
4機の戦車は溶鉱炉で熔かされたように赤熱したドロドロの金属塊になった。
当然中に乗っていた人は生きては居まい。
うーん、慣れない。
人の命を奪うということは、何度経験しても慣れるないな。
慣れてしまっても危ういのだろうけど。
その惨状を目にしたヘリは高度を上げて逃げていった。
ああ、ヘリが欲しかったのに。
「グギャグギャ(爆撃機来ます)」
「ええ?もう、忙しいな」
今度は上空に爆撃機が飛んでくる。
ヘリも戦車もダメだったから最終手段っていうわけか。
爆弾が直撃すればさすがに建物がもたない。
僕は視力強化で強化された視力によって、爆撃機を見据える。
ハッチが開き、爆弾が投下される。
今だ。
僕は空中の爆弾に向けてビームを放った。
空中で大爆発が起こる。
花火のようにきれいな爆発だったらいいのだけれど。
これは言わざるを得ない。
汚い花火だ。
「戦車が、こんなにたくさん……」
「入り口を塞ぐように並べられている……」
「これはいったどこから建物に入るんだ?」
いい質問です。
僕は皆に後ろを向いているように指示して、戦車の一台に浮遊スキルを発動してどかす。
「もういいですよ?」
「なっ!!」
「い、いったいどうやって……」
「全然音もしなかったけど……」
「秘密です」
スキルの力だと言っても信じてもらえないだろう。
こちらの世界にもスキルを持った人がいるということはジャーハルやリーという軍人を見て分かるのだが、その扱いがいまいち良く分からないんだよな。
ジャーハルもリーも若いのに結構出世していたから、スキルを持っている人物が所属している国にとって重要な存在であることは分かる。
だけどスキル自体の情報は不思議なほど出回っていない。
超能力者とかテレビで出ても全部インチキなんだもんな。
スキルではない本物の超能力者だったら知らないけど、少なくともスキルは持っていなかった。
お嬢様と将軍の会話からも分かるように、国の上層部や一部の有力者などは知っているみたいだけどな。
帰ったらお嬢様に聞いてみようかな。
「ささ、こちらへどうぞ」
僕はショッピングモールへと日本人社員たちを案内する。
人数は50人ほどか。
ほとんどがお嬢様の会社の社員さんだけれど、数人だけ現地の協力者の人が混じっている。
この人たちはどうしたらいいのだろうか。
一応一回だけ鑑定しておくか。
ふむふむ、まあ当然だけどスキルなんか持っていたり……。
ん?
なんか、ひとりおかしなのがいる。
固有名:ジョセフ・オコチャ
種族:人間
スキル:【完全記憶】【詐術lv6】
産業スパイだろか?
まあいい。
今は産業スパイなんてどうでもいいと思うんだ。
お嬢様には後で報告しておこう。
僕はもう一度後ろを向いていてもらってバリケードを閉じた。
ショッピングモールの中には、お嬢様から預かってきた救援物資が運び込んである。
ヘリはお嬢様と将軍が必死で集めてくれているはずだ。
たぶん明日くらいには迎えに来てくれるかな。
それまではここで身体を休めてもらうとするか。
僕も疲れたので少し休む。
僕はゴブ之進を召喚し、ゴブ次郎と一緒に周囲の警戒を頼んだ。
はぁ、アフリカは暑くて疲れるねぇ。
「グギャギャギャ(起きてください)」
ゴブ次郎の声で目が覚める。
何かあったのだろうか。
「なにかあったの?」
「グギャグギャ(敵の襲撃です)」
「わかった。敵は戦車?」
「グギャグギャグギャグギャグギャギャギャ(戦車4、ヘリ2、あと爆撃機も近くを飛んでいるようです)」
「ええ、爆撃機?どこの国のかなぁ。ちょっと情勢が混乱しすぎて僕では予想もできないよ」
とにかく現場へ向かうこととする。
ゴブ次郎は火魔法を、ゴブ之進は雷魔法を買い与えてあるが、両方とも守りには向かない魔法スキルだ。
僕はちょっと人選ミスをしてしまったらしい。
急いでショッピングモールの屋上に向かった。
そこには2機のヘリに向かって雷を降らせるゴブ之進がいた。
しかしヘリも操縦士はそれなりにベテランなのか、うまいこと低空飛行して雷を周りの建物に擦り付けている。
そしてガトリング砲が掃射される。
ゴブ之進は姿勢を低くしてやり過ごす。
なかなか苦戦しているな。
僕はガトリング砲の弾を反転魔法で跳ね返す。
数発の弾がヘリに当たり、1機を見事撃墜する。
しかしなんでこんなにたくさんで僕たちのいるショッピングモールを狙ってきたんだろう。
やっぱりあの戦車が原因だろうか。
良く考えたらあんなこれ見よがしに戦車を並べたら、戦車を撃破した人物がここにいると喧伝してしまっているような気が今になってしてきた。
まずったね。
僕は知らず知らずのうちに、ピリピリしている敵の神経を逆なでしてしまったようだ。
4機の戦車から、戦車砲が発射される。
2発は建物に、もう2発は僕に直撃コース。
僕に向かって撃たれた2発は反転魔法で跳ね返す。
しかしもう2発は建物に直撃する。
ズンという横揺れ。
幸いにも倒壊するようなことはなかったけれど、これ以上撃たせたらまずいな。
僕は4機の戦車に向かって指を向ける。
戦車はもういっぱいあるので、これ以上は必要ない。
僕はビームスキルを発動する。
指先に光が集まり、4つの光球が発生する。
狙いをつけ、すべて発射した。
無音で飛んでいく4発の光線。
莫大な熱量を秘めたその光線は戦車の鋼鉄の装甲を貫き、内部でその熱量を爆発させた。
4機の戦車は溶鉱炉で熔かされたように赤熱したドロドロの金属塊になった。
当然中に乗っていた人は生きては居まい。
うーん、慣れない。
人の命を奪うということは、何度経験しても慣れるないな。
慣れてしまっても危ういのだろうけど。
その惨状を目にしたヘリは高度を上げて逃げていった。
ああ、ヘリが欲しかったのに。
「グギャグギャ(爆撃機来ます)」
「ええ?もう、忙しいな」
今度は上空に爆撃機が飛んでくる。
ヘリも戦車もダメだったから最終手段っていうわけか。
爆弾が直撃すればさすがに建物がもたない。
僕は視力強化で強化された視力によって、爆撃機を見据える。
ハッチが開き、爆弾が投下される。
今だ。
僕は空中の爆弾に向けてビームを放った。
空中で大爆発が起こる。
花火のようにきれいな爆発だったらいいのだけれど。
これは言わざるを得ない。
汚い花火だ。
23
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
しののめ あき
ファンタジー
神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜
と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます!
3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。
ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです!
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
非常に申し訳ない…
と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか?
色々手違いがあって…
と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ?
代わりにといってはなんだけど…
と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン?
私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。
なんの謝罪だっけ?
そして、最後に言われた言葉
どうか、幸せになって(くれ)
んん?
弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。
※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします
完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる