ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

文字の大きさ
121 / 159

121.砂男

しおりを挟む
『これからヘリを飛ばします』

「わかったよ。準備しておく」

『よろしくお願いします』

 お嬢様からヘリが揃ったとの電話があった。
 そろそろ僕の役目も終わりかな。
 いや、日本に帰るまでは油断しないように言ったのは僕だったな。
 
「グギャギャ(お電話です)」

 ほらね。
 お嬢様から借りていた衛星電話は2つ。
 1つは僕が、もう1つはゴブ次郎に持たせていた。
 僕とゴブ次郎は思念波で会話できるので電話なんて必要は無い。
 もう1つの衛星電話は単純に予備だ。
 1つで僕が電話しているときには、ゴブ次郎の持っている予備のほうへ電話が来るようになっている。

「もしもし?」

『ああ、クロードか?ジャーハルだ。少し厄介なことになった。手を貸してくれないか?』

「いいよ」

 それだけ言って僕は電話を切る。
 向こうでは何か困ったことが起こったようだ。
 ジャーハルは結構焦った声だった。
 急いだほうがいい。
 僕はゴブ次郎に後を託し、ジャーハルの元へ向かうこととする。
 ゴブ次郎たちは日本語が分かるので、筆談くらいならできる。
 戦力的にゴブ次郎とゴブ之進だけでは心もとないので、ゴブリン隊を全て召喚することにしよう。
 航空戦力に対抗するためにはガルーダも数羽必要かもしれない。
 少し過剰戦力かな?
 まあ過剰で困ることも無い。
 僕は召喚したゴブリンとガルーダに軽く状況を説明し、後はゴブ次郎の指示に従うように命令する。
 本当は姿を隠すことのできるゴブ次郎は連れて行きたいところだが、状況を熟知しているゴブ次郎にはここで指示を出してもらわなければならない。
 ゴブ次郎の夢幻魔法なしにガルーダで空を飛んだら、ちょっと大変なことになるかもしれないけれど今はそんなことを言ってられないよね。
 僕はバラライカに飛び乗ると、大空へと舞い上がった。





 パパパッ、パパパッ、と散発的に銃弾が飛んでくる。
 ガルーダに乗ってジャーハルのところに向かったら、案の定攻撃された。
 僕は衛星電話でジャーハルに電話をかける。

『クロードか。ちょっと今立て込んでる。後でかけ直……』

「ちょっと攻撃するのやめてくれる?大きな鳥は僕のペットだから」

『は!?ちょっ、ちょっと待てっ、撃ち方やめろ!!味方だ!あの鳥は味方!!』

 飛んでくる銃弾が止む。
 別に当たったわけじゃないけど、鬱陶しいからね。
 これで落ち着いて着陸できる。
 僕はヘリポートっぽいところに着陸するようにバラライカにお願いする。
 バラライカはゆっくりと高度を落とし、静かに着陸した。
 魔法による飛行はヘリのようにうるさくなくていいね。
 姿が優雅だし。
 僕はバラライカから飛び降りた。

「クロード!びっくりしたぞ!すごいな、この鳥!」

「結構可愛いでしょ」

「か、可愛い、のかな……。まあそう見えなくも無い」

 バラライカには適当に寛いでいるように言い、ジャーハルの背中について基地の中に入る。
 軍隊の基地っていうのは結構設備が充実しているな。
 トイレに温水洗浄便座付いてるかな。
 司令室と書かれた部屋に入る。

「君がクロード君だね。私はこの基地を任せられているウィルソン・モーゼス。私たちに君の力を貸して欲しい」

 その部屋に居たのは口ひげがダンディな中年の軍人。
 基地の責任者って言っていたな。
 まあとても偉い人っていうことだろう。

「僕はジャーハルの友達です。ジャーハルに力を貸します。軍の利益とジャーハルの利益が相反したときはジャーハルの利益のために働きますよ?」

「ああ、それで十分だ。頼むよ。では中尉、説明を」

「はっ」

 中尉と呼ばれたのはジャーハルだ。
 中尉がどのくらいの階級なのか分からないけれど、やっぱりそこそこのポジションなことは確かなはず。
 お給料とか結構もらってるんだろうな?
 まあ僕も今回の報酬はとてもいいものだったから、羨ましくなんてないんだけどね。
 まだ成功報酬も貰える約束になっているしね。

「A国とうちは同盟国だったんだが、A国軍の幹部が欲をかいてパイプラインの利権を独り占めしようとしたのが今回のことの始まりだ。欲は欲を呼び、もはやA国は火のついた欲望の渦だ。うちにも同盟国だからと手を貸せと言って来る連中が後を立たない。だが、そんな蛮族共の欲望渦巻く戦場になんか巻き込まれたくないというのが、我が国上層部の考えだ。我々は完全にこの国から手を引く」

「でも撤退がうまくいっていない?」

「そうだ。敵には厄介な能力者がいる。敵と言っても数日前までは同盟国だった国だ。そいつの力はよく知っている」

「どんな力なの」

「そいつの力は2つ。風を操る力と、砂を操る力だ。どちらも単純だが、合わされば厄介極まりない。それに力の強さも尋常ではない。能力には強さに個人差があるのをしっているか?」

 スキルレベルのことだろうか。
 こちらではスキルレベルのことがあまり知られていないのかな。
 鑑定を持った人もたぶんいるとは思うんだけど、古代語が読めないと全く意味の分からない文字が頭に浮かび上がる能力にしかならないからね。

「奴の風を操る力は俺の土を操る力や火を操る力の比ではないほど強い」

「なるほどね」

「何度も撤退しようとしたが、砂嵐を起こされて前後不覚に陥った。奴を単独撃破しようともしてみたが、犠牲が増えるだけの結果になった」

「それで僕に頼みたいのは?」

「その男を捕らえて欲しい。できれば生きたまま。A国にとってもその男は重要な存在だ。捕らえてもらえれば最高だ。だが無理なら殺してくれるだけでもいい」

「わかった。報酬は?」

「ドルがいいか?それとも円がいいか?」

「円で」

「ならば20億円出そう」

「了解」

 臨時収入で拓君にお土産でも買って帰ろう。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...