ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

文字の大きさ
122 / 159

122.砂男のスキル

しおりを挟む
 ソロモン・オルマ、それが例の敵軍のスキル保持者の名前なのだという。
 黒人で、身長は185センチくらい。
 スキンヘッドにサングラスがトレードマークだとジャーハルは言っていた。
 悪そうな見た目だな。
 これから向かうのは敵の軍事拠点。
 僕がそこに直接行ってその男を捕まえてくるということになっている。
 なにせこれは20億円の仕事だよ。
 気合も入るというものだ。
 20億円なんてユー〇ューブに何本の動画を投稿すれば稼げる金額なんだ。
 今の再生数ならば1億2億は年内に稼げるかもしれないけれど、さすがに20億はそれを何年も続けなければ稼げない金額だ。
 ユー〇ューバーという職業がそこまで存在しているという保証も無い。
 今回の仕事はいい臨時収入になった。
 それも成功すればの話だけどね。
 バラライカは快速で飛び、すぐに敵の軍事拠点が見えてくる。
 体育館のような大きな建物が規則的に並んだ大きな拠点だ。
 建物の周りにはぐるりと囲むように有刺鉄線付きのフェンスが張り巡らされ、警備の兵は皆銃を構えている。
 厳重な警備だ。
 まあ僕には関係ない。
 まっすぐ正面突破だ。
 僕はバラライカを送還し、高空から垂直落下する。

「なっ、なんだ!?落下物?いやっ、人だっ!!敵襲!!敵襲!!」

 反転魔法の足場にふわりと着地する。
 地面からの高さは大体10メートルくらいだろうか。
 警備兵たちから銃弾がお見舞いされる。
 全方位からだからちょっと魔力がきつい。
 僕は毛魔法で髪を四方八方に伸ばし、片っ端から人間を絡めとっていく。
 
「うわぁっ、なんだこりゃっ。くそっ、絡み付いて取れない。それになんだ、これは力が抜けるし頭が痛い。毒か!?」

 ついでとばかりに魔力を奪っていく。
 マナドレインは高かったが、買ってよかった。
 これはとても使えるスキルだ。

「なんの騒ぎだ?」

 奥から軍の偉そうな奴と一緒に、標的の人物と身体的特徴の一致する人物が出てくる。
 185センチくらいの身長にスキンヘッド、サングラスをした黒人。
 たぶんあれがソロモン・オルマだろう。
 僕は毛魔法の触手をソロモン・オルマに殺到させる。
 
「くっ、なんだこれは!風刃!!」

 触手は風の刃によって切り裂かれてしまった。
 触手が1本でも絡み付いていればマナドレインで魔力を吸って無力化できていたのだが、そうそう上手くはいかないか。
 
「あのガキが能力者か!風刃!砂弾!」

 風の刃と砂の弾丸がたくさん飛んでくる。
 跳ね返したら殺してしまいそうだ。
 すべて打ち消すだけに留める。
 ジャーハルの言っていたとおり、砂の弾丸はそれほどでもないが風の刃はそれなりに強い攻撃だ。
 僕はソロモン・オルマを鑑定する。

固有名:ソロモン・オルマ
 種族:人間
スキル:【風魔法lv9】【砂魔法lv6】【暗視lv6】

 すごいな。
 風魔法のレベルは向こうの世界でもなかなかいないようなレベルだ。
 これはジャーハルたちが苦労するわけだ。
 もしかしたら、この国の軍幹部が欲にかられてしまったのもこの男の存在が原因の一端にはあるのかもしれない。
 こんなに強い力を持った人間が手駒に居たら、パイプラインの利権くらい手に入るかもと思ってしまっても不思議ではない。
 なんなら世界征服もできるかもとか馬鹿なこと考えていたりしてね。
 そんなわけないか。

「くそっ、なんだあれ!俺の攻撃が当たってねーぞ!」

「何をしているんだソロモン!さっさとあのガキを殺さんか!!」

 ソロモン・オルマの隣にいた偉そうな男が焦れて騒ぎ出した。
 軍関係者にしてはずいぶんと腹の出た男だ。
 眼鏡が顔にめり込んでいる。
 悪趣味な金のネックレスと金の腕時計、さらには眼鏡のフレームもよく見れば金だ。
 アフリカは世界有数の金の産出地だと聞いたことはあるが、そこまでして地元のものを宣伝しなくてもいいのに。

「わかってますよ!すぐに殺ります。ちょっと黙っててください!」

「なんだと貴様!」

 ソロモン・オルマは激昂する金ぴかの偉そうな男を無視して落ちていた軽機関銃を拾う。
 そのまま僕の方へ向けて発砲する。
 僕の反転魔法の性質でも調べようというのか。
 銃弾は僕の前で止まり、ポロポロと地面へ落ちていく。

「物理攻撃も効かねえか……」

 残念ながらね。
 ソロモン・オルマは再び風と砂を操作する。
 しかし今度はさっきまでのような小技ではないようだ。

「仕方がねえ。俺の最強の必殺技を使うしかねえようだな」

 最強の必殺技。
 すごい響きだ。
 まあ確かにこの世界でレベル9の魔法スキルを持っていれば、個人の持てる力としては最強に近いだろう。
 ソロモン・オルマは砂を巻き上げ、その上に飛び乗った。
 砂はどんどん巻き上がっていく。
 ジャーハルが言っていた、砂嵐で前後不覚にする技だろうか。
 
「おぉぉぉぉぉっ!」

 なにやらめちゃくちゃ気合が入っている。
 砂はどんどん集まり、大きな砂の竜巻のようになっていく。
 ここはすぐ近くに砂漠がある。
 砂はどれだけでも集めることができるだろう。

「おぉぉぉぉぉぉっ!砂龍!!」

 砂はやがて蛇のように長く伸び、1匹の龍を形作る。
 なんとかボールを7つ集めると出てくるような細長い龍だ。
 なかなかにかっこいい技じゃないか。
 そちらが龍で来るのならば、僕も竜を見せなければなるまい。
 出でよ毛竜。
 僕の髪がにょきにょきと伸び、絡み合う。
 幾重にも編みこまれてどんどん強度を増していく。
 地を踏みしめ、天を食らう。
 漆黒のドラゴンが砂の竜を睨む。
 2匹のドラゴンはぶつかり合った。

「ぬぉぉぉぅ!俺の龍がそんな西洋かぶれのトカゲもどきに負けるかよ!!」

「僕の竜だってそんな東洋かぶれの鯉の進化系には負けない!」

「「おぉぉぉぉぉぉ!!」」

 2人の男の咆哮が重なった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...